2010年3月14日日曜日

追跡!AtoZ、新薬が生まれない

2010年問題なんてことは10年前からわかりきっていたことでしょう? そのあいだに何をやってきたかといえば、「ゾロ新開発への傾斜」「既存の大型品を売りぬくための営業力強化」じゃないの? だったら製薬企業の自業自得じゃないのかねぇ。

番組では新薬開発が難しくなっている理由について、以下の二つを挙げていた。

A:現在、疾患のメカニズムが解明されている治療薬はほとんど作りつくした。
B:臨床試験の安全基準が厳格化し、ほいほいと新薬を上市できなくなった。

Aについては、100年前に物理学界で言われていたことを指摘したい。当時、「人間が知ることのできる自然法則はほとんど解明されている。これからの物理学はパラメーターの多寡を調べるだけになるだろう」といわれていた。その後、アインシュタインが特殊相対性理論を発表。自然法則にもまだまだわからないことが多いことが理解されるようになっている。医薬品の世界でも同じことだろう。

Bについては事実だけど、これを曲げることが許されるのか? 「薬の効果、特性などを勘案して柔軟に対応」とかいうけど、日本は人治主義の国じゃないんだから。治験の迅速化は必要だろうけど、それは手続きのことであって「製品の安全性」を無視していい話ではないだろう。

番組では発見した化合物が新薬になる可能性は1/20000(コメンテーターは1/100000くらいに厳しいとの見解)として、「いや、新薬開発って難しいんですよ」といってたけど、この数字にはあんまり意味がない。自動車やインスタントラーメンを開発しているわけじゃないんだから。ハイスループット・スクリーニングで桁違いの種類の化合物を解析している現在では、「これくらいの高い率で当たりが出るんじゃん!」といえなくもないわけだし。

と、つらつら考えていくと、手前のように頭の造りが粗っぽい人間には、「特許切れで収益が激減する? R&D費にお金を回せない? だったらMRを切っておけよ!」というハナシの方が一番しっくり来るんだよなぁ。

たしかに、スタチンだけで「リピトール」「リポバス」「リバロ」「ローコール」「クレストール」が競合しているなかに、プラバスタチンの後発品がひしめく――なんて状況だから、「とりあえずウチのをお願いしますよ!」とMRをガンガン配置したくなる“恐怖”はわかるんだけど……。でも、ここに掛かる固定費を開発費に回せば、少なくとも開発費用に困るってことはない。大体、研究開発費なんて思いっきり投資している製薬企業でも20%前後なんだし。

「だったら、ピカ新が出るまでの15年間(開発期間)、どうやってメシを喰ってくわけ?」

といわれたら確かにグウの音もない。でもねぇ、この理屈で、収益の上がるゾロ新開発に傾斜して、営業スタッフを増やし……ってやってきたのが今日の状況なわけで。

こうして考えていくと、現在の大手製薬企業に期待し続けるのは間違いなのかも知れないなぁ。やっぱり「ベンチャーへの投資規制緩和」が最適解なのかなぁ。

治験空洞化? しょうがないでしょう。いずれは人権を顧慮しない中国、インドあたりが「安全性に問題ある化合物でもガンガン人体実験を繰り返して、手っ取り早く使える新薬を上市する」なんて方法でのし上がってくるのかもなぁ。

これに対抗するには、ホームレスやニートみたいになっているのを集めて、これまでより“大胆な形”で治験(フェーズ1)ができるようにすればいいだとろうけど……。本当にやったら人権問題とかで“わや”になりそうだけどね。

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