2014年2月15日土曜日

『ゴシップガール』のチラ裏:S5終盤~S6の超展開は許せない

ここまでGGについて、「ハナシがわかりやすい」とか「美しいシーンがてんこ盛り」とか「ダン×ブレアのカップリングが素晴らしい」とか、べた褒めしまくってきたんだけども、実のところ不満点がないわけじゃない。てか、猛烈に不満に思うところが一点だけあるのね。というのは、「S5終盤からS6通しての超展開」のこと。

えっ? ハナシの杜撰さとかご都合主義はGGの華って言ってたじゃんって!?

いえね、何事にも限度ってのがあるんですよ。妊娠させたままだと別れさすのが面倒くさいから、ここは一つ交通事故で流産させちゃえ! とか、何度も何度もくっついたり離れたりする理由のストックが切れちゃったから、ここは一つ神頼みってことにしちゃえ! とかいうご都合主義に基づく超展開は許してるんだ。だって、こういうのがないとダン×ブレアのカップリングができないからね。このお陰で良いシーンも生まれたことだし。

でも、S5終盤で実はバートが生きてました……って展開は、さすがにない。だって、↑のは単なるご都合主義だけど、バートの物故については、チャックがS2後半通して悲しみ抜いて人格破綻寸前までいったわけでしょ。ドラマとはいえ、人様の死でここまでハナシを動かしているんだから、これを事実上なかったことにするような後出しジャンケンはねぇ……。しかも、バートが生きていたからって劇的にハナシが進むわけでもないしね。

まぁ、バートが復活したことで、チャックが全てを失ったり、リリーとルーファスの婚姻が無効になったりとね、それなりに事態は進んださ。でも、これって別にバートが生き返らなくたってどうにでもなるハナシでしょ。例えばチャックについていえば、自身の致命的なスキャンダル発覚か何か――パッと思いつくのはブレアの持参金を負担したことが、役員会で問題視される――で社長を解任されるとかね。それにリリーとルーファスなんて、バートとは一切関係なく結婚生活は破綻寸前だったわけだし。

で、S6は、視聴率悪化を受けて10エピソードしかない短縮版だったわけだけど、ハナシの進み方はこれまで以上に急加速。結果、急展開やご都合主義、説明不足なシーンが頻出するんだけど、そういった不都合を含めた悪いことは全てバートに押し付けるのね。もう「何もかも悪いことは全てバートのせい」って感じで、ハナシが進むわけなのよ。

こっぴどく振られてUESへの復讐鬼と化したはずのダンも、ブレアとの失恋に整理をつけないまま、ずるずるとセリーナとくっつくし。くっついてからは一応波乱もあるし、その原因が田舎者と都会人との根本的な立場・認識の違いだったりするのはいいんだけど、その辺の事情についてはあまりにも説明不足だし、視聴者が納得出来ないままどんどんハナシが進んでいくのね。ダン×ブレアのカップル成立までに丸々1シーズンかけたとは思えないほど乱暴なんだ。

もちろん、「10エピソードで綺麗に風呂敷を畳まにゃならんのだから、説明不足や超展開には目を瞑ってくれ」ってことかも知れないけど、それにしたって納得出来ないものは納得できないのよ。それにね、バート復活は置いておくとしても、S5最終回の締め方は結構好きだったのよ。

・セリーナは、過去にこだわり自分を変えられなかった結果、全てを失い、S1開始前の荒んだ状態に戻る。
・ブレアは、会社を継いで“有力者”という目標を達成したうえで、チャックを追いかける。
・ダンは、UESの人々にこっ酷く裏切られ、これに復讐すべく暴露本を執筆する。
・ネイトは、マスコミ人士としてGGの正体を明かすべく決意を新たにする。
・チャックは、その臆病な気質故に愛に溺れ、経営の鬼に徹しきれず、全てを失う。

って感じで、ハッピーエンドでは全然ないんだけど、5シーズン、100エピソードかけて好き放題歩んできた人生の決算としての“ほろ苦い結末”というのがね、実に妥当に思えてね。と考えていたら、「あるべきS5終盤とS6」というのを思いついてしまって……。

……って、いい加減、思いついたことをそのまま書くのを止めないと、2月一杯GGのどうでもいいハナシを書くことになりそうだから、もっと言いたいことはあるんだけど、ひとまずここで強引に打ち止め。散々ネタバレかましておいてこんなことを言うのも何だけど、もし、これからGGを見るのであれば、「せめて最初の3話まで我慢して見て」ってこと。

正直、パイロットの出来は微妙――登場人物の紹介に終始している感じで、ハナシのスジ自体はそこまで面白いわけじゃない。予算がないので全体的に安っぽいし、ダンの丸刈りもキモい――なので、「パイロットはS1E2との連続モノで、2つ合わせて“第1話”」と思った方が良いかも。で、次のS1E3にて黄金パターンが炸裂するので、これを見て面白いと思わなかったら、以降も面白いと感じられないはず。逆に言えば、パイロットだけで見限るには勿体ないと思いますですよ。

ともあれ手前は、韓国は仏像を返還すべきであると思う。

2014年2月14日金曜日

『ゴシップガール』のチラ裏:交際まで1シーズン超かける気概

ダン×ブレアのどのシーンがいいとか、どこにグッとくるとかいうハナシは、書いても詮のないことなので割愛しますですよ。ただ、作品のテーマと造形されたキャラクターの相性から、絶対に相容れないはずの二人をくっつけるため、製作者サイドが要した努力については、一言以上いいたい。てか、べた褒めしたい。

やっぱりねぇ、いの一番に褒めたいのは、二人の関係を恋人同士にするために、じっくりと時間をかけたこと。これが素晴らしい。ダン×ブレアが完全に恋人になるまでに要した時間は、話数にして――S4E11のドライブからS5E17でブレアがダンと呼んでキスするまで――実に29エピソード。事実上の布石であるS3E17から数えれば、丸々2シーズンくらいかけてくっつけてるのよ。

海外ドラマでカップルがくっつく場合って、多くの場合は、ケーブルTV製作の四半期13エピソードのドラマなら3~4エピソード、ネットワーク製作の半年24エピソードのドラマでも6~7エピソードくらい掛かるものなのね。もちろん例外はあるよ。でも21世紀以降、展開の早いドラマがトレンドになっていることを考えれば、あるカップルを成立させるために丸々1シーズンかけるケースってのはほとんどないはず。

翻ってダン×ブレアは、S4E11で初めて長時間二人きり――コネチカットへのドライブ旅行。劇中では全く触れられていないけれど、片道2時間近くのドライブ中、絶対に映画や美術についてのハナシをしなかったわけがない。で、このお喋りこそが二人が急接近する一番の理由であるはず、と脳内補完――にして、そこから6エピソードかけて初キス。その後は18エピソードかけて、ダンが片思いで身を焦がすところと、ブレアが少しづつダンを信頼していく過程を見せて、そこからさらに5エピソードかけてカップルを成立させるという念の入れようだもの。

しかも、シーズン3まで無頓着だったダンへの呼びかけ方も、シーズン4からは「ハンフリー」に統一。そうやって30エピソード近くに渡って「ハンフリー」と呼ばせた上で、S5E17で「ダン」と言いながらキスさせる心憎さ! 時間をかければいいってものじゃないけど、少なくとも絶対に相容れないはずの二人がなぜ恋人同士になったのか? について、その過程を丁寧に見せているところは他のドラマにはない、フレッシュかつ優れている点ですよ。

もっとも、その過程でかなり無理矢理な超展開があったりするんだけどさ。でもね、結果として成立したカップルが織りなす、甘ったるくてカワイイ名シーンの数々を目にしてしまえば、超展開もご都合主義もどうだっていいじゃん! と全面降伏するしかないもの。

実際、ダン×ブレアのいちゃつきシーンは、どれをとっても珠玉の出来なので、オススメのシーンを挙げろと言われたら、「そりゃ全部ッス」としか答えようがない。でもまぁ、強いて一つだけ挙げるならコレかなぁ。

The Movie Date

なんつーか文系インドア派の男の子ならば、死ぬまでに一度は経験してみたい甘酸っぱいシチュエーションですよ。……って『ローズマリーの赤ちゃん』についてしっかり突っ込みが入れられるほど映画の知識があって、かつ美人で金持ちで意味のある会話を成立させられる女なんて、空想の世界にしかいないわね。
(つづく)

ともあれ手前は、韓国は仏像を返還すべきであると思う。

2014年2月13日木曜日

『ゴシップガール』のチラ裏:ダン×ブレアが作られた製作上の都合

正直、GG開始当初からダン×ブレアの組み合わせが考えられていたとは思えない。S1E4でダン×ブレアのイイ感じのシーンがあるけど、あれはあくまでもメインキャスト同士の絡みを深めるための一手であって、あれから恋愛関係にまで発展させようとまでは考えてなかったはずなのね。実際、S1~S2まではダン×ブレアの関係は基本険悪――S2E8で恋愛相談に乗るけど――だし、S3でもE2でキツく反撃しているし。

でも、S3のドロータの結婚式で布石を打ち、S4後半からダン×ブレアのカップル成立に向けてハナシが作られたことには、以下のような製作上の都合があったんじゃないかと。

①できるだけドラマを引き延ばしたいという事情=物語としてはS2で語りつくし、S3で一通りメインキャスト同士のカップルを作ってしまった以上、ハナシを引き伸ばすにはチャック×セリーナかダン×ブレアをやるしかなかった。

②ブレイク・ライブリーの力量不足という事情=演技スキルの足りないブレイク・ライブリーに、高度な演技が求められるシーンを任せられないため、代わりにTV俳優としては一定水準の演技スキルを持つレイトン・ミースターのポジションが高まっていった。

このうち①については、通算100回を超える長寿ドラマならばどんな番組でもあり得ること。敢えて言うなら、なぜ、チャック×セリーナがなかったかといえば、「チャックがリリーの養子になった」から。この義兄弟問題でダン×セリーナが破局した以上、チャックとセリーナをくっつけるという選択肢はあり得なかったはず。

問題は②。実際ねぇ、ブレイク・ライブリーの演技力ってエビせんべいくらいに薄っぺらいからなぁ。いや、演技が下手っていうと言い過ぎかも知れない。例えばS1E7の終盤で恥じらいを見せるところとか、S2E1でダンとキスしたあとに嬉しがる表情なんかは素晴らしいからね。でも、芸達者かといえば決してそんなことはなくて、演技スキルについて言えば、TV俳優としても物足りないって思うのよ。

具体的に言うとね、S3最終回でネイトに「一度時間を置きたい」って告白する場面で、I love youっていうけど、このセリフの言い方のなげやりさと来たらねぇ……。確かにアノ場面は、心のこもってないセリフを言うのが正しいんだけど、それでもあそこまで明確に捨鉢な言い方をしちゃダメじゃね? と思うわけよ。実際ねぇ、同じ場面を吹き替えで見ると、口では愛していると言い、実際、ネイトを捨てるのを惜しみながらも、心はダンに惹かれていて……というセンシティブな情感が良く出ていて、「製作者が意図した演技って、実は吹き替えの方だったのかもなぁ」と思うわけよ。

じゃぁレイトン・ミースターの演技が上手いのかっていうと、決してそんなことはないのよ。『ヴェロニカ・マーズ』(ちょっと陰のある女子高生)と『ドクター・ハウス』(ストーカー化した女子高生)で演じているのを見る限り、演じ分けは全然出来てないもの。今にして思えば、「あ、これ二人ともブレアじゃん」と。役柄により全く違う人格に見せるハリウッド俳優に比べれば、どう見たって演技スキルは足りない。それでも状況に応じて必要な表情や情感を込めたセリフを言うことはできているし、TV俳優としては十分な演技スキルはあるように見えるのね。

つまるところレイトン・ミースターはブレイク・ライブリーと比べて相対的に芸達者であって、それ故に、ドラマでのポジションが向上していった――ってこと。演技の巧拙や華の有無でゲストから準レギュラー、レギュラーへと昇格するってのは、海外ドラマでは当たり前にあることだし。

といった事情からダン×ブレアのカップルが作られたのだ! と、勝手に邪推しているわけだけど、そういった製作上の都合はどうあれ、結果的に出来上がったハナシを見てみれば、GG中随一どころか、手前的にはこれまでに見た古今東西の映像作品のなかでも屈指に甘ったるく、かつ、これ以上なく念入りにカップルになる過程を描いていて、ベタなラブコメに目がないおっさんには辛抱たまらん出来になっているんですよ。
(つづく)

ともあれ手前は、韓国は仏像を返還すべきであると思う。

2014年2月12日水曜日

『ゴシップガール』のチラ裏:ダンとは相容れないブレアのキャラ

ブレアのことを都会人の中の都会人っていったけど、実のところブレアは、UESにおいてトップクラスのセレブというわけじゃない。作中におけるトップクラスのセレブは、大富豪・ローズ家の一員であるセリーナ、バス産業の御曹司であるチャック、名門政治家一族・アーチボルト家の後継者であるネイトの3人しかいない。

セリーナは、当初の設定でこそ「大富豪との結婚を繰り返して金持ちに成り上がったリリーの娘」だったけど、この設定は、「父親がハーバード大卒(シーズン3で出てくる実父・ウィリアムはコロンビア大卒)」という設定とともに闇に葬られ、シーズン2以降は、「アメリカ屈指の大富豪であるローズ家の当主・シシーの孫娘」に書き換えられた。ローズ家の資産がどれくらいかはわからないけど、シーズン2でガブリエルの詐欺を弁済したり、ブレア曰く、「ルーファスがリリーと結婚したら、ジェニーはあんたたち全員合わせたより金持ちになるのよ」というハナシを前提とすれば、少なくとも数十億ドル以上の資産はあるんだろう。

チャックについて言えば、「マンハッタンの半分を掌中に収めるバス産業」の御曹司なので、こちらも半端ない富豪であることは間違いない。ネイトの一族であるアーチボルト家は150年前に炭鉱を見つけて一財を成した高祖父以降、州知事、下院議員などを輩出している政治家一族なので、セリーナやチャックのような大富豪ではないものの、社会的ステータスは極めて高い。

で、ブレアに話を戻すとだね、ウォルドーフ家ってのは、母親のエレノアが一代で築いたアパレルブランド「エレノア・ウォルドーフ・デザイン」しかない成り上がりの富豪なわけ。ブランドの知名度自体は、マーク・ジェイコブスに勝るとも劣らない設定だけど、決して儲けまくっているわけじゃない。実際、スーパーに商品を卸すハナシを蹴っているし、業界への影響力も限定的――ブレアのインターン先(=ファッション誌)を紹介できなかった――なので、その総資産は、恐らくユニクロの柳井(=8000億円)には遠く及ばないはず。ビジネス規模から考えれば、数億ドルもあれば御の字だと思うのよ。

つまり何がいいたいのかというと、作中においてブレアは「メインキャストの中で最も貧相なセレブであり、そのことがコンプレックスになっている」ってこと。だいたい親友であるセリーナが、生まれながらの勝ち組で、かつルックスとスタイルも完璧で愛嬌もあるってという「セレブの中のセレブ」だもの。

だからこそブレアが人生で目指しているのは、「プリンセスになるという夢」か「Powerful Woman(=有力者。ヒラリー・クリントンやインドラ・ノーイみたいな“世界屈指の影響力を持つ女性”のこと)になるという目標」を実現することで、セリーナ以下のUESの面々に逆転勝利することであって、これに向けてガリ勉もすれば、策略も駆使すれば、公子や公爵のことも頑張って好きになる努力をするわけ。で、この人生の夢と目標を阻むのが、「チャック・バスの恋人になるという抑えがたい欲望」なんだけど、ここではハナシが違うので割愛しますですよ。

ともあれブレアは、ハイクラスなセレブに憧れ、コンプレックスを抱いているが故に、「自分こそが真のUESの住人であり、セレブなのだ」という自負心は誰よりも強烈に持っているんであって、だからこそ誰よりも都会人の中の都会人であろうとしているのね。

そんなUESの権化であるブレアは、決して田舎者のダンを認められないのよ。それに作品のテーマである、「田舎者が都会人になろうとあがくハナシ」を前提に考えれば、ダンがブレアと恋人同士になった時点で、田舎者が都会人の中の都会人から認められたってことになるわけで、その時点で作品として終了ってことになる。

えっ? ダンはセレブの中のセレブであるセリーナと付き合ってるじゃんって?

セリーナは、「都会人でありたくない都会人」であって、UESの嫌なところを忌み嫌うキャラでしょ? だからこそ田舎者にも偏見は持たず、ダンとも別け隔てなく付き合っているわけ。なのでダンがセリーナと付き合ったとしても、それがそのまま田舎者が都会人に認められたってことにはならないんじゃねぇかと。要するに、外形的には「変わり者の都会人が田舎者と付き合った」ってことであって例外ってこと。
(つづく)

ともあれ手前は、韓国は仏像を返還すべきであると思う。

2014年2月11日火曜日

『ゴシップガール』のチラ裏:ダンは製作者の“業”の産物

手前が思うに、GGの主人公はダンです。で、GGがどんなハナシかといえば、「田舎者が都会人になろうとあがくハナシ」ですよ。確かにクレジット上ではトップにブレイク・ライブリー(=セリーナ)、次いでレイトン・ミースター(=ブレア)と来るので、「主人公はセリーナであって、恋多き女であるセリーナの恋愛遍歴を見るドラマなのだ」といっても間違いじゃないですよ。ええ。でも、このドラマの主人公は間違いなく“孤独なぼく”であるダンですよ。

これは●●が実は……云々というハナシだからってわけじゃ全然ありません。製作者であるジョシュ・シュワルツのテーマであり“業”に直結するハナシだからですよ。そのテーマってのは、「内向的な青年が、高嶺の花であるブロンド美人に一目惚れされるけど、お互いの立場の違いから恋が成就せずにヤキモキする」ってやつ。これ、クリエイターとしての事実上のデビュー作である『The O.C.』、スマッシュヒットした『CHUCK』にも通じるものなのね。

実際、『The O.C.』、『CHUCK』、GGの大雑把なプロットを並べると、こんな感じになるもの。

・The O.C.=貧困地区であるチノ出身のライアンは、ケンカは強いけど無口で内向的な心優しい少年。いろいろあって高級住宅街であるオレンジカウンティに住むことになるが、そこで隣に住むブロンドの美少女・マリッサに心奪われる。内向的で上手くアプローチできなかったものの、実はマリッサはライアンに一目惚れしていて、結局、二人は付き合うことに。しかし、チノ出身のライアンと、オレンジカウンティ出身のマリッサには、根本的な価値観の違いがあり、結局、二人は一緒になれなかった。

・CHUCK=時給11ドルの店員であるチャックは、生粋のオタクで内向的な青年。とある事件から、ブロンドの美女スパイ・サラに四六時中護衛されることになり、二人は偽の恋人を演じる。内向的で上手くアプローチできなかったものの、実はサラはチャックに一目惚れしていて、結局、二人は付き合うことに。しかし、一般人のチャックとスパイのサラには、根本的な立場の違いが有り、結局、二人は別れてしまう(その後、チャックが自らスパイになることで二人は結婚する)。

・GG=ブルックリン出身のダンは、奥手な文学青年。ある事件を契機にUESのセレブ・セリーナに片思いする。2年後、偽デートを契機にいい関係になる。内向的で上手くアプローチできなかったものの、実はセリーナはダンにべた惚れで、結局、二人は付き合うことに。しかし、ブルックリン出身のダンと、UES出身のセリーナには、根本的な価値観の違いがあり、結局、二人は別れてしまう(その後、いろいろあって復縁。二人は結婚する)。

こんな感じで大体同じハナシを作っているってこと。だから、チャック×ブレアとか、セリーナやネイトの恋愛遍歴とか、ローズ家やバス家を巡る真相とかは、あくまでもサブプロットに過ぎない。メインのハナシは、ダンというブルックリン出身の中産階級の青年が、世界随一の富豪が集うUESの住人になろうとあがくハナシなんですよ。

このテーマってのは、S1E2のクライマックスでダンがセリーナに言ったセリフ――「君だけはUESの人間とは違うと思っていたけど、結局、同じだったんだな」――に集約されているのね。で、このアンタとは住む世界が違うっていう“根本的な価値観の違い”の問題は、S1最終回の別れの理由であり、S2の別れの理由であり、S5最終回の絶交の理由であり、S6後半の葛藤の理由であって、ダンを巡る全ての状況に通底する問題だったりするわけ。もっといえば、ルーファス(=ダンの父)、ジェニー(=ダンの妹)、ヴァネッサ(=ダンの親友)、ジュリエットetcといった田舎者が、最終的にUESから放逐された理由でもある。

ここでようやく本題のダン×ブレア問題に触れていきたいんだけどね。ここまで書いてきた通り、ダンってのは作中における田舎者の象徴なわけ。一方でブレアは、S1E4でダンがルーファスに語っていたように、「UESの嫌なところを凝縮したような女の子」であって、いわば都会人の中の都会人なのよ。つまり、水と油、陰と陽、北斗と南斗etcという感じで絶対に相容れない組み合わせなわけ。『The O.C.』で喩えるなら、「ライアンとサマーが付き合う」くらいに驚天動地なことで、本ッ当にあり得ないカップルなのよ。
(つづく)

*補足――ダンの出身地であるブルックリンは決して田舎ではない。ニューヨーク州の中心地にあり家賃もそれなりに高い。実父のルーファスは、ローリングストーン誌による「90年代の忘れられたバンドTOP10の9位」にランキングされたリンカーン・ホークのリーダー兼ソングライターで、ビルボードTOP10クラスのシングルを何枚か出している。ロフトとアートギャラリーを含めた総資産は、恐らく100万ドルは下らないだろう。実際、イェール大学の奨学金を断られるくらいには裕福なんであって、つまるところ「ハイクラスの中産階級」ということ。それでもなお田舎者で貧乏人とされるのは、数億~数十億ドルの資産を持つ富豪中の富豪が集うUES住人と比べられているため。ダンは度々「ブルックリン」と呼び捨てにされるが、これを日本で喩えるなら、青山学院に通う埼玉県出身の生徒が、山の手の生徒から「おい、さいたま!」と呼び捨てにされるようなものだろう。

ともあれ手前は、韓国は仏像を返還すべきであると思う。

2014年2月10日月曜日

『ゴシップガール』のチラ裏:主要キャストのオレ得メモ@その3

*以下、シーズン1~6までの強烈なネタバレしかありません。未見の人は見ないでください。

◆ダン・ハンフリーの6年間

・シーズン1:2年間片思いを続けてきた高嶺の花であるセリーナが、マンハッタンへ帰ってきた。彼女にアタックをかけた結果、ひょんなことから成功。ほどなく恋に落ち、順調に交際を進める。しかし、セリーナの過去の悪行を知るジョージーナに誘惑され、キスしてしまう。二人の間に亀裂が走り、結局、この件で平然とウソを重ねるセリーナに愛想がつきたダンは、夏休みを前に別れを告げる。

・シーズン2:夏休み中は、セリーナのことを振り切るため女遊びを繰り返していた。セリーナへの思いに気づきヨリを戻すも、二人の立場の埋めがたい差に気づき別れる。セリーナを思い続け、冬休み明けにヨリを戻すが、ルーファスとリリーの間に子供がいることを知り、かつ大学で離ればなれになることから、二人の関係は気まずくなり、冬のうちに別れる。その後、国語教師のレイチェルと肉体関係を持つが、レイチェルは退職。プロムにはセリーナと出席したが、彼女への未練は完全に断ち切った。

・シーズン3:NYUで一緒になったジョージーナと肉体関係に発展するも、すぐに別れる。映画スターのオリヴィアと恋に落ち、順調に交際を進めるが、ある夜、ヴァネッサと3Pを敢行したことで、関係が気まずくなる。別れた後はヴァネッサと交際するが、彼女はCNNのインターンでハイチへ行くことに。逃亡を図るウィリアムの下へセリーナを連れて行き、一晩語り明かした後、セリーナへの思いを再認識する。衝動的にパリまで追いかけようとしたその時、妊娠したジョージーナが現れ、ダンはパリ行きを断念する。

・シーズン4:ジョージーナの子を実の息子と勘違いさせられたダンは、良きパパとなるべくヴァネッサとの同棲を決め、甲斐甲斐しく育児に専念する。ジョージーナが息子を連れ去ると、再びセリーナへの思いに懊悩するが、ネイトやコリンに目移りするセリーナの姿勢に失望する。セリーナがジュリエットの罠にハメられたことを知り、ブレアから共同戦線を組む提案を受ける。その作戦の一環としてコネチカットへドライブしている中で、ブレアに好意を持ち始める。W誌のインターンとして働き始めたブレアとは、映画や美術について語り合う友人となり、次第に関係が深くなる。恋愛関係にあるか否かを確認するためにキスした結果、ダンは恋に落ちた。しかし、ダンのことを友人としか見なしていないブレアは、ルイとの婚約を決める。セリーナのいとこのチャーリーと交際するが、すぐに破局。夏休みはハンプトンズの別荘で過ごす。

・シーズン5:ヴァネッサが無断で出版社に持ち込んだ私小説『インサイド』が出版される。その内容はブレアをヒロインに仕立てたものだった。ダンに恋するセリーナは内容にショックを受ける。一方ブレアは、自分をモデルにした濡れ場をだけを読んで激怒。中身は通読しなかった。ブレアへの叶わぬ恋に身を焦がすダンは、徹底的にブレアに奉仕を続ける。ブレアとルイの結婚式でセリーナから愛を告白されるも、返事をせずに受け流す。ブレアとルイの結婚はすぐに破綻。『インサイド』を読んだブレアは、ダンの思いを知り熱烈なキスをする。二人は順調に関係に深め、ダンは愛を告白する。しかし、ブレアはそれに応えられず、チャックの下へと行く。完膚なきまでに振られた傷心のダンは、セリーナと肉体関係を持つが、それが罠と気付き激怒。セリーナと絶交した後、ジョージーナとともにローマに行き、UESの暴露本を執筆する。

・シーズン6:暴露本を書いたダンは、少しづつその内容を公表していく。友人から軽蔑され、行き場をなくした結果、ブレアの家に泊まるが、その直後にダンとのセックステープが公表され、ブレアから絶交される。傷を舐め合う形でセリーナとヨリを戻し、高校時代に叶わなかった「理想のデート」を経て深い関係になる。しかし、セリーナの軽薄振りを余すことなく書いた小説を公表した結果、セリーナは激怒し、LAへの移住を決断。ダンはセリーナの荷物に、15歳の頃から愛し続けていたことと、ゴシップガールの真実を書いた小説を潜り込ませる。これを読んだセリーナはLA行きを取りやめ、長い時間をかけて話し合い和解。5年後、二人は結婚する。

ともあれ手前は、韓国は仏像を返還すべきであると思う。

『ゴシップガール』のチラ裏:主要キャストのオレ得メモ@その2

*以下、シーズン1~6までの強烈なネタバレしかありません。未見の人は見ないでください。

◆ブレア・ウォルドーフの6年間

・シーズン1:親友であるセリーナが、マンハッタンに帰ってきた。しかし彼女は彼氏のネイトを寝とっていた。その恨みから対立するも、すぐに和解する。が、ネイトの心はセリーナにあった。ネイトを失ったブレアは、半ばやけくそ気味にチャックのリムジンに乗り込み、後部座席で処女を捧げる。その後、ネイトとヨリを戻し、肉体関係へと発展するが、これに嫉妬したチャックが全てを暴露。尻軽振りが同級生にバレた結果、女王の座を降ろされる。しかし、持ち前の策略により女王の座を奪還。バートとリリーの結婚式で、チャックからの愛の告白を受けて快く応じるも、結局、チャックに裏切られる。

・シーズン2:夏休みはヨーロッパを周遊。マーカス・ビートン卿と交際する。しかし、チャックへの思いを捨てられず別れる。チャックと恋愛ゲームを続けているうちに、二人の気持ちは燃え上がるものの、チャックの父であるバートが事故死したことで関係は暗転。チャックの叔父であるジャックと一夜を共にした後、ネイトとヨリを戻す。ネイトとは順調に交際を続けていたが、イェール大学の合否判定を巡り教師のレイチェルと対立。結局、イェール大学の入学を取り消される。失意のブレアはカーターと一夜を共にするが、結局、ネイトと和解。しかし、プロムの夜に、ネイトが「高校生の彼」でしかないことに気づき別れる。その後、チャックに愛を告白され、二人は結ばれる。

・シーズン3:NYUに入学したブレアは、高校時代のように学校を支配できないことに困惑していた。チャックとの関係は恋人としてもパートナーとしても順調に進んでいたが、ジャックの奸計に落ちたことで二人の関係は破綻する。ブレアは、ホテルの人身御供としてジャックに身を差し出したのだった。チャックからの関係修復のサインを無視し、キャメロンとデートするが、深い関係には発展しない。チャックはブレアに、「エンパイアステートビルの屋上で19時まで待つ。来なければ生涯関係を断つ」と最後通告を行う。産気づくドロータを病院に送ったことで、チャックとの約束には間に合わなかったが、チャックに愛を告白したことで二人はヨリを戻す。しかし、チャックがプロポーズせんとするその時、ダンがチャックを殴りつける。チャックはブレアに振られたと思い込み、ダンの妹であるジェニーと一夜を共にしていたのだった。チャックに裏切られたブレアは激怒。一方的に絶縁を言い渡し、夏休みをパリで過ごすべくセリーナと一緒に旅立つ。

・シーズン4:パリでモナコ公国の公子であるルイと出会う。一時、おとぎ話のようなデートをするが、夏休みの終わりとともに別れる。コロンビア大学に転学したブレアは、チャックへの未練を残していた。チャックとの“戦争”を経た後、憎しみのセックスを繰り返すが、結局、二人は健全な恋愛関係は築けず、友人にもなれないことを確認する。セリーナがジュリエットの罠にハメられたことを知り、ダンに共同戦線を組む提案をする。その作戦の一環としてコネチカットへドライブしている中で、映画や美術について忌憚なく話せるダンの魅力に気づく。インターン先を決めかねているなかで、ダンから「センスの追求者」と指摘され、W誌のインターンに応募。ダンとの友情を深めていくなかで、恋愛関係にあるか否かを確認するためにキスをする。その結果、チャックへの思いを再認識するも、彼の子供じみた策略に失望。ちょうどその頃、ルイがブレアを訪ねてマンハッタンへ来る。恋に落ちた二人は婚約するが、チャックへの思いも捨てられず懊悩する。しかし、ブレアの幸せを願うチャックが身を引き、ブレアはルイの正式な婚約者となる。

・シーズン5:ブレアはルイの子を身ごもっていた。しかし、妊娠の公表や友人関係を巡るゴタゴタの中で、ルイはブレアへの疑念を深め、様々な策略を弄する。結果、二人の関係は破綻寸前まで行きつく。チャックへの思いを捨てきれないブレアは、ルイとの婚約を解消し、チャックとの駆け落ちを決心。しかし、二人の乗るリムジンが事故に遭い、ブレアは流産。ブレアが「神前で約束した通りルイと結婚して、チャックとは一緒にはならないと誓う」と神に祈った結果、奇跡的にチャックは助かる。ブレアはチャックを諦め、結婚式に赴く。ブレアを諦めきれないチャックは、控室で愛を告白。ブレアは神との約束を明かし、チャックとは一緒になれないことを告げる。しかし、その様子をジョージーナが撮影していた。この動画を得たダンは、ルイとの不幸な結婚を潰すことを狙いゴシップガールに投稿。動画を見たルイは、ブレアに仮面夫婦を続けることを強要する。絶望したブレアはダンに助けを求め、空港まで逃げる。結局、ルイとの結婚は成立し、二人は新婚旅行に旅立つが、すぐに関係は破綻。この間、献身的に支えてくれたダンの思いに気づき、交際を始める。順調に関係を深める中、ダンから愛を告白されるが、チャックへの思いに気づき、彼の下へ行く。しかしチャックは、事故死を装い生きていたバートに全てを奪われていた。チャックは会社を取り戻すことを選び、ブレアの告白を拒絶する。それでもブレアは諦めず、モンテカルロまで追いかける。

・シーズン6:母親であるエレノアから会社を任されたブレアは、チャックと熱い夜を過ごす。しかし、新任社長であるブレアと、無位無官のチャックは、二人の社会的ステータスが確立してから一緒になることを誓い、発展的に交際を解消する。アパレル会社の経営に四苦八苦するなかで、チャックとバートとの暗闘へ積極的に介入するも、結局、バートに追い込まれる。バートの奸計から逃げ延びたチャックは、エンパイアホテルの屋上でバートと対峙、結果的に彼を突き落とす。バート殺人の罪を背負った二人は、「妻の証言は採用されない」という法理を活用すべく急いで結婚。5年後、セリーナとダンの結婚式には二人の息子であるヘンリーがいた。

ともあれ手前は、韓国は仏像を返還すべきであると思う。

『ゴシップガール』のチラ裏:主要キャストのオレ得メモ@その1

*以下、シーズン1~6までの強烈なネタバレしかありません。未見の人は見ないでください。

◆セリーナ・ヴァンダーウッドセンの6年間

・シーズン1:コネチカットの寄宿学校にいたセリーナは、マンハッタンに帰ってきた。親友であるブレアと対立するが和解。同時にダンと恋に落ちる。順調に交際を続けていたが、過去の悪行を知るジョージーナの罠にハマり、ダンとの関係が気まずくなる。結局、夏休みを前にダンから別れを告げられる。

・シーズン2:夏休みの終わりとともにダンとヨリを戻すが、すぐに別れる。その後、アーロンと交際するが、肉体関係へと発展する前に別れ、ダンとヨリを戻す。しかし、ルーファスとリリーとの間に子供がいることを知り、かつ大学で離ればなれになることから、ダンとの関係が気まずくなり、冬のうちに別れる。その後、詐欺師のガブリエルとスペイン旅行に行った後、何度か夜を共にするが、騙されていたことを知り別れる。

・シーズン3:夏休みはカーターと一緒に実父であるウィリアムを探していた。ブラウン大学への入学は一年延期し、マンハッタンで自分探しを始め、ひとまずPR会社に雇われる。カーターとの不安定な関係に終止符を打った頃には、PR会社を退職。ネイトのいとこで下院議員であるトリップの事務所に就職し、不倫関係に落ちる。交通事故を経てトリップと別れた後、甲斐甲斐しく看病したネイトと交際。リリーの下にきたウィリアムを歓迎するも、その後、詐欺を働いていたことを知る。ウィリアムの処遇を巡り、ネイトは警察に通報。一方ダンは、逃亡を図るウィリアムの下へセリーナを連れて行った。セリーナとダンは一晩語り明かす。男選び、仕事、自分探しに失敗したセリーナは、ブレアと一緒に夏休みをパリで過ごす。

・シーズン4:コロンビア大学に入学したセリーナは、ネイトとダンのどちらと付き合うべきか迷っていた。非常勤講師のコリンと親密な仲になるも、肉体関係へと発展する前に関係を解消。その後、ジュリエットの罠にハマり薬漬けにされ、オストロフ治療センターに入院する。ジュリエットは兄であるベンのために復讐していた。ベンは、セリーナが寄宿学校にいた頃の恩師だったが、転学を望むリリーが策を弄して「未成年であるセリーナと肉体関係を持っていた」という無実の罪でベンを投獄。セリーナは成績が足りないながらもコンスタンツ・ビラードへと転学できたのであった。ベンを助けるべく奔走し、やがて肉体関係を持つが、家族同士の確執などを理由に別れを告げられる。その後、ダンに未練を残しつつ、ブレアの婚約を妨害するが失敗。夏休みをLAで過ごす。

・シーズン5:LAでは映画会社に就職。夏の終わりとともに、マンハッタンの事務所に転勤。ダンへの思いを再認識し、ブレアの結婚式の日に愛を告白するが、ダンはブレアに夢中だったためあえなく振られる。映画会社をクビになり、ネイトの主宰するネットニュース会社に入社するが、そこもクビになる。一時的にゴシップガールの運営を行うが、これも本家に奪われる。ウィリアムは、彼の実娘であるローラを可愛がっていたので、一方的に縁を切った。本家ゴシップガールにブレアの日記を盗撮していたことが暴露され、ブレアから絶交される。その仕返しにブレアと交際していたダンを誘惑、肉体関係に持ち込む。しかし、その様子を撮影していたことがバレてしまい、ダンは激怒。絶縁を申し渡される。愛する人、親友、仕事、実父と全てを失って絶望したセリーナは、ドラッグをやりながらマンハッタンを後にする。

・シーズン6:一時オーバードーズで自分を失っていたセリーナは、中年の資産家であるスティーブンと交際していた。マンハッタン時代の仲間とは縁を切っていた。しかし、ダンとのセックステープが公表され、スティーブンから別れを告げられる。同じく除け者にされていたダンと愚痴を言い合っているうちに再びヨリを戻すも、ダンはセリーナの軽薄振りを余すことなく書いた小説を公表する。セリーナは激怒し、LAへの移住を決断。しかし、ダンが15歳の頃から愛し続けていたことと、ゴシップガールの真実を知ったことで移住を取りやめる。その後、長い時間をかけてダンと話し合い和解。5年後、二人は結婚する。

ともあれ手前は、韓国は仏像を返還すべきであると思う。

2014年2月9日日曜日

『ゴシップガール』のチラ裏:ハナシのスジより美しいシーン

*思いついたことを箇条書きにするのも面倒くさいので、ファミレスで3時間語り倒すモード(=ひとり語り風)で、頭に浮かんだことをそのまま書いていくことにします。

エピソードの構成が『水戸黄門』と同じくらいの金太郎飴的構成……ってか黄金パターンに則ったテンプレート的な安い作りと、杜撰でご都合主義な構成&おハナシであることの利点は、何と言っても「深く考えずに見られること」にあると思うんだ。ぼんやりとTVを眺めているだけで、何となくハナシがわかる。セリフが構図、シーンの移り変わりに集中していなくても、ハナシの筋を簡単に追えるってことは、すなわちコレ、「極めてわかりやすいドラマ」ってこと。

この「極めてわかりやすいドラマ」ってのは、当然、製作者が意図したものでね。実際、製作が『Buffy the Vampire Slayer』とか『Smallville』みたいな中高生向けSFドラマを作ってきたワーナーを前身とするCWのドラマなので、対象視聴者層だって10~20代なんであって、彼らのおつむでも理解できるようなハナシにしようってことは、ドラマ製作の前提にあったはずなのよ。

でもね、そういう製作者サイドの事情は置いておくとして、こういう「極めてわかりやすいドラマ」を作った結果、想像以上の相乗効果が出てきたと思うのよ。その相乗効果ってのは、「限られた時間内に美しいシーンを数多く詰め込めること」と「それをつないだり締めたりする、クサいセリフをてんこ盛りにできる」ってこと。

つまり、GGではハナから「シーズン通しての巨大な陰謀を暴く」とか「各話、各シーズンごとに伏線を張り、見事に回収する」とか「キッチリと整合性がとれ、誰もがハナシの流れに感得できる巧みな脚本」みたいなことで、視聴者のカタルシスを昇華させようなんてことは思ってないのよ。こういうことは全部、他のドラマとか映画にまかせているわけ。

その代わりGGは、臆面もないベタなシチュエーションをベースに、どっかで見たことのあるようなシーンを、美男美女と豪華なセット&衣装で絢爛豪華に飾り付けたうえで美しく撮り、ハナシの整合性を無視して詰め込むと。そのつなぎと締めには敢えてクサいセリフを使って、視聴者に深く印象付ける――つまるところ、美しいシーン、印象的なシーンありきのドラマってことなのよ。

そのためにはハナシの整合性なんてどうでもいいし、ご都合主義を乱発してもかまわない。それよりも、例えば「パリ駅の寒色の外光と暖色の屋内照明、真っ赤なドレスのブレアとボロを着たチャックという対比を軸に、泣かせる曲をバックに流してクサいセリフを言い合せる」ような印象的なシーンを、目一杯見せられればいいってことですよ。

Gossip Girl 4x02 "Double Identity" Chuck/Blair Scene

「あんなドレスで駅を闊歩する女がどこにいるのか?」「お腹への銃撃で神経麻痺になるなんてありえない」なんて野暮なことを言ってもしょうがない。今どきの映画やドラマでは見られない、ベッタベタでマンガチックだけど、とにかく印象に残るシーンであればいいってこと。

美しいシーンとクサいセリフを作るためには、相応のシチュエーションを作る必要があり、シチュエーションを作るためには人間関係を弄る必要がある。で、人間関係をどう弄るのかといえば、メインキャラクターを頻繁にくっつけたり別れさせたりすると。

結果、メインキャストであるセリーナ、ブレア、ダン、チャック、ネイトは全員穴兄妹――男同士とセリーナ×チャックの組み合わせだけはない――になるんだけど、そういった複雑怪奇な人間関係の流れや構図も、何も考えずに見られる黄金パターンに乗っかったドラマだからこそ、ハナシのスジに気を取られずに把握できると。じっくりとドロドロした人間模様を楽しめるってこと。

だからね、シーズン3以降、ちょっと辻褄の合わない設定が出てきたり、ありえない展開がてんこ盛りになったり、複雑だけど杜撰で現実味に乏しい策略が乱発されてもだね、これをもって「何てヒドいドラマなんだ!」っていうのは、ちょっと筋違いじゃないかと思うのよ。いやもちろん、これらは全部瑕疵よ。瑕疵。批判だって正当なもので、決して不当じゃない。

でもさ、そういうところがウリじゃないのに、そこを批判するってのは、喩えるなら「二足歩行の巨大軍事用ロボなんて非現実的」みたいな批判と同じだと思うのよ。そりゃガンダムとかエヴァンゲリオンなんて、常識的に考えれば未来永劫作られないだろうさ。でもね、大多数の視聴者は、「でっこーでんでんでっこーでんでん♪ ってBGMに乗りながら街を蹂躙するザク」みたいな“非現実的だけど問答無用にカッコイイ画”を見たいわけじゃん。だったら、それを見せるために、現実的か否かとか、辻褄が合うか否かとかいう設定上の問題は棚において、もっと視聴者を驚かせる、楽しませる、うっとりさせる画を書くことの方が大正義じゃん――って思うわけよ。

……と、ここまでは前菜みたいなもので、本当に言いたいのはだねダン×ブレアのハナシなんだな。ドラマ上のカップルについて語るなんて、本当に本当にしょうもないことだよ。現実世界のカップルについて語ることでさえ、夫婦げんかについて語ること以上にくだらないことなのに、架空のカップルなんて、ねぇ。

そう。下らないこと、益体もないことだってわかっちゃいるのよ。それでもこのハナシについて何か言いたい、何か書きたいという衝動が抑えられないんだからしょうがない。というわけで次は、ダン×ブレアを語る前に、その前提となる情報を整理した「主要キャスト3人のオレ得メモ」をババッと明かすことにしますですよ。

ともあれ手前は、韓国は仏像を返還すべきであると思う。

2014年2月8日土曜日

『ゴシップガール』のチラ裏:各エピソードの黄金パターン

*思いついたことを箇条書きにするのも面倒くさいので、ファミレスで3時間語り倒すモード(=ひとり語り風)で、頭に浮かんだことをそのまま書いていくことにします。

まずねぇ、GGの大きな特徴は、「テンプレートが見え過ぎるほど、エピソードの構成がワンパターンであること」 もっとも連続ドラマってのは、どんなものでもハナシの作り方のパターンってのはあるのよ。SFものでも、刑事ものでも、恋愛ものでもそう。突き詰めればどんなお話でも、お話である以上は起承転結なり序破急なりの骨組みに還元できるわけでしょ。だから「1シーズン24エピソードの全部が起承転結の構成でワンパターンだ!」なんてことはいわない。

ただ、小説でもドラマでもそうだけど、この究極の骨組みをベースに、いろいろと肉付けをしているんであってね。肉付けに使う素材を変えたり、工夫するなりして、他とは違う個性を出しているわけじゃない。この工夫の一つとして、「エピソードの構成がワンパターンに見えないようにする」ってのがあると思うのよ。

例えば21世紀におけるアクションドラマの金字塔である『Alias』だって、「初めに派手な事件が起きて、シドニーが変装して敵の陰謀を探って、そのうちに格闘と銃撃があって、実は陰謀には裏があって、その結果シドニーがピンチに陥るけど、仲間の助けによって辛くも危機を脱出する」ってワンパターンではあるよ。他のドラマも以下同文な感じであることは認める。

でもね、普通のドラマってのは、視聴者になるべくワンパターンであることを気づかせないように、色々と工夫しているものでしょ。エピソードごとに構成を変えたり、シーンごとの時間配分を意図的に短縮or冗長にしたり、2話連続のエピソードにしたり、強烈なゲストキャラを投入することでエピソードの構成から目を反らしたり……etcってな感じで、視聴者の目先を変えるために涙ぐましい努力をしているもんなのよ。

それがGGについていえば、こういうエピソード構成のワンパターンを隠すような工夫は一切ナシ。本当に一つの工夫もない。基本、S1E2から最終回まで全エピソードが以下のテンプレートに沿って作られてるんだ。

①メインキャストの誰かが、有利/不利になることが起きる。
②メインキャストの誰かが、有利/不利になることを実現/阻止するために安っぽい悪巧みを仕掛ける。
③安っぽい悪巧みは敵対者にあっさり看破され、カウンターの悪巧みを仕掛けられる。
④カウンターの悪巧みは成功し、メインキャストの誰かが窮地に陥る。
⑤この状況を打開するため、パーティで窮余の一策を講じる。
⑥窮余の一策が暴走し、パーティがぶち壊し/ぶち壊し寸前になる。
⑦メインキャストの誰かが、説教/巧みなフォローをすることで破滅的状況を回避する。
⑧ここまでの状況で変化した人間関係の結末を紹介する。

この黄金パターンはS1E3で完全に確立しているのね。いやホント、S6までのどのエピソードを見ても、必ず開巻25分前後にパーティをやるんだって! テンプレート通りであることを隠す気ゼロ。以降は、このテンプレートに忠実すぎるほど忠実におハナシが作られてるの。

正直いって、この黄金パターンは意図したものであったとしても、決して褒められるものじゃないでしょ。黄金パターンといえば『水戸黄門』だけどさ、確かにいっつもいっつも印籠が出てきても面白いものは面白い。長続きしただけの理由がある良いドラマだとも思うよ。でもね、あんまりこういう言い方はしたくないんだけどさ、いわゆる批評家的視点から見てだね、例えば『Before the Devil Knows You're Dead(その土曜日、7時58分)』みたいな凝った構成の映画と比べて優劣をつけるなら、どう考えても優れているとは言えないわけでしょ。

というわけで、GGもドラマとして見れば決して出来は良くないのよ。この黄金パターンもそうだし、辻褄を合わせるきゼロの杜撰なシリーズ構成もそうだし、ご都合主義でしかハナシが進まない安易な脚本もそう。これ全部瑕疵。てな感じでアラ探しをすれば、いくらでもアラは出てくるんだ。

でもねぇ、手前はねぇ、こういう黄金パターンを持ち、杜撰でご都合主義な構成&おハナシであるからこそ、映える魅力ってのがあると思うんだ。
(つづく)

ともあれ手前は、韓国は仏像を返還すべきであると思う。




2014年2月7日金曜日

『ゴシップガール』のチラ裏:『Skyrim』以来の中毒症状に陥る

1月中旬より今日まで、『ゴシップガール』(GG)にハマっています。実は海外ドラマ視聴にハマり始めた頃に、パイロットを視聴していたのですが、当時は、「クリスティン・ベルのナレーションはイイけど、内容はちょっと微妙かなァ。てか、他に面白そうなモノがいっぱいあるし」と思い、S1E1で視聴を止めていました。

が、去年12月半ばの冷え込んだ日に「布団にくるまってHulu漬け」を敢行してから、去年9月に『ブレイキング・バッド』(去年で配信終了)を視聴して以来、久しぶりにHuluでドラマを“まとめ視聴”する悪癖が再燃。以降――

・『Dr.Who』(誰が見ても面白い。各シーズン最終話の大団円感は凄い)
・『Torchwood』(かなり微妙)
・『Spooks』(トム時代は最高。キャラ的にはロスのが好き)
・『Life on Mars』(最高に面白い! S2はニコ動で視聴)
・『In Plain Sight』(S2をどっかで見られないものか)
・『Drop Dead Diva』(去年で配信終了)
・『Life』『Fairly Legal』(サラ・シャヒは本当にイイ女)
・『THE MENTALIST』(リズボンを眺めるだけで満足。ロビン・タニーは“ジト目の女王”だと思う)

――あたりを見終わり、差し当たってHuluで視聴するドラマが見当たらなくなってきたところで、「そういえば前に視聴を諦めたモノを再見してみるか」と思い立ち、『プリズン・ブレイク』とGGを見始めた結果、『プリズン・ブレイク』はS1E3でリタイヤしたものの、GGはS1E3まで見たところで手前の心の奥底に眠る乙女回路がスパーク! 

以降、Huluで偶数月に配信されるS2、S4を見るのが待ちきれずにツタヤに特攻。準新作扱いのS5は半額クーポンが発行される水曜日に借りて視聴するとともに、S6も字幕抜きのものを違法アップロードサイトで視聴するという具合。しかも、S1~S5までは通しで2回、飛ばし飛ばしで3回、お気に入りシーンだけなら数えきれないほど見るというハマりっぷり。つまるところ、手前にとっての合法ドラッグである『ガラスの仮面』か『Skyrim』かというぐらいの中毒症状に陥ってしまったということ。

で、2月に入ってHuluで配信されたS2、S4を再び通しで見たところで、いろいろと言いたいことが出てきたので、これからしばらくはGGについてのチラ裏を吐き出していくことにします。なぜチラ裏かといえば、『マッドメン』を見て書いたような小学生並みの感想よりもしょうもないことしか書けないからです。実のところGGのどこが面白いか? っていうことを説明するのって、『ガラスの仮面』の面白さを説明するのと同じくらい大変に難しいことなんですよ。

最後にGGを視聴しているときに、土地勘のないニューヨーク周辺の距離感について「とりあえず首都圏で喩えてみよう」と脳内変換するときの一覧表を紹介しておきます。

●アッパー・イースト・サイド(UES)=番町
●ブルックリン=西葛西
●ハドソン=取手
●コネチカット=高崎
●ハンプトンズ=熱海(避暑地としては軽井沢だが、距離が遠くビーチがない)
●バス産業=森ビル
●エレノア・ウォルドーフ・デザイン=ハナエ・モリ
●リンカーン・ホーク=ジュン・スカイ・ウォーカーズ
●UES住人が自宅で開く一般的なパーティ費用=一晩で3000万円(S5E18のラストでアイヴィーに提示された請求書から換算)

ともあれ手前は、韓国は仏像を返還すべきであると思う。