2010年2月22日月曜日

驚くほど内容のない自伝、元木大介

貧乏なのに野村克也の新刊を買って、「何でこんなモノに一食分の食費に当たる出費をしなきゃならんのか! しかもつまらんし!」と憤っていたら、この本のことを思い出した。元木大介の著書『クセ者 元木大介自伝』のことだ。

この本ほど内容がなくてつまらない本はない。エピソードのほとんどが通り一遍のもので、スポーツ紙ほども掘り下げられてない。こぼれ話も、プレーの解説も、ホロっとする話も何もない。しかも完全語りおろしで、本を読む妙味すらない。

ちょっと目を引いたのは、巨人のOB、選手を語っているところ。といっても、大したことは書いてない。ザっと列記してみると――

・落合博満=パシリにされてた。ことあるごとに「大介」と呼ばれ、ボールやバッグを持って行ったりしていた。時々、ボソっと野球に関するヒントを教えてくれた。
・槙原寛巳=兄弟盃を交わした。すごく楽しい人。高橋尚成選手と一緒に飲みにいってた。
・斎藤雅樹=最初に声をかけてくれた人。気配りがすごい。
・桑田真澄=ことあるごとに声をかけてくれる気配りの人。
・松井秀喜選手=入団当初からモノが違った。V旅行のときでも夜中に黙々とスクワットをしていた。2000年くらいから「大ちゃん」って見下ろされている。
・高橋由伸選手=入団当初は松井よりも上。センスがある。小さくまとまりすぎるな。
・高橋尚成選手=かわいい後輩。家族サービスの旅行以外は何をするのも一緒。
・仁志敏久選手=個人的な付き合いはない。仲は悪くない。自分との関係は桑田、清原の関係に近いかも。
・阿部慎之介選手=コーチにでもズバズバ自分の意見がいえるところが良い。
・二岡智宏選手=おとなしすぎ。嫌われてもいいからもっと怒れ。

――といったところ。

このように悪口は一切書いてないが、堀内恒夫監督に対する評価だけは辛らつ。

「堀内さんが監督になった2004年の春季キャンプは、いきなり二軍スタートだったんです。『二軍スタート』というのは、俺は新聞を見て知ったんです。新聞記者に『二軍スタートなんですか?』って聞かれて、『そんなの俺知らない。何も聞いてない』と答えたんですが、その二~三日後に球団から『二軍スタート』を言い渡されたんです」
「ただ、なんで二軍スタートなのか。その理由もわからないし、何も話がないまま、それを自分で『チームの自分への愛情だ』と無理に思い込んでいくのは、やはり辛かったです。先に話があれば全然違ったと思いますがね」(143~144頁)

西本聖の本にも堀内の酷さが切々と書かれていたけど、やっぱり人格的に相当問題があるのかねぇ。こういった配慮のなさは、同時期に近鉄でエースを張っていた鈴木啓示と同じだよなぁ。

「名選手は名監督にあらず」ってのはウソだと思うけど、名選手が名投手になると途端に腑に落ちるのは、手前だけじゃないと思います。

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