2010年2月20日土曜日

「アライバ」コンバートの理由

いかに優れた組織でも、いかに優れた指導者であっても、長く同じことを続けていると必ず停滞する。

ローマも最後はgdgdになったよねとか、江戸幕府も西郷さんがぶっ倒したよね――坂本龍馬? あんなの薩摩のパシリです。偉い人にはそれがわからんのですよ――とか、山一証券もダイエーもダメになったよねとか……。

例を挙げればいくらでも挙げられるけど、つまるところ「長期政権→停滞→腐敗→崩壊」というプロセスは、ある意味で歴史の“定説”じゃないでしょうかね? っていうとアカみたいだけど、多分、マルクスの言う歴史的必然よりは確かな話だと思います。奢る平家も久しからずっていうし。

この“定説”は、当然のことながら野球界にも適用できるわけで――

V9を達成した巨人が、一年にして最下位に転落した理由は、長嶋茂雄の無能だけに帰せられるものではない。V9時代のレギュラーがその地位に安住し、知らず知らずのうちに“横着”し始め、貪欲さ(レギュラーを勝ち取る意欲であり、勝利を奪う意志)を欠いたこと。こうした9年間の“澱”が、川上哲治監督の退任により一気に噴出したことこそが、V9巨人凋落の真の原因なのだ!

――なんて主張は、長嶋擁護の本に腐るほど書いてあることだけど、この分析は(長嶋監督の能力への評価を除いて)あながち間違ったものではないと思うわけですよ。

で、いまの野球界において、この長期政権の“澱”を一番心配をしなくちゃならないのが、中日なんじゃないでしょうか?

落合博満監督は、多分、この10年で最も優れた監督だと思います(その前の10年では森祇晶。その前は広岡達郎かなぁ)。でも、そんな優れた監督であっても7年間もチームを率いていれば、どうしたって長期政権の“澱”が出てくるもので……。

その“澱”がどこにあるのか? どんな形をしているのか? どのように浸透しているのか?

そこのところはインサイダーじゃないのでわからない。もしかしたら落合監督も森繁和、辻発彦両コーチも川相昌弘二軍監督も完全には把握していないのかも知れない。

で、この“澱”をあぶり出し、あわよくば掃きだしてしまおう――という狙いで打った手がアライバのコンバートじゃなかろうか? と思っているわけです。

(やらない夫じゃないけど)常識的に考えれば、名実ともに12球団最高の二塁手、遊撃手をコンバートするなんて愚の骨頂だ。

井端弘和選手のヒザが悪く、負担軽減のため」
「守備範囲の広い荒木雅博選手を活かすため」
「もう1段階上の野球を目指す」
「二人の悪いところをリセットするため」

など、理由はいくらでもつくし、それぞれ真実だと思う。
でも、全てではない。

アライバという誰もが認めるレギュラーの中のレギュラーをリセットすることで、7年に及ぶ長期政権も一緒にリセットする。これにより弛んだ組織のケツを蹴り上げ、新陳代謝を活性化させ、あたかも新監督を迎えたチームのごとくイキの良い状態にもっていくことを目指したのだ!

といったところがアライバコンバートの本当の狙いじゃないか? と思っているわけです。

言葉を換えれば、アライバをコンバートするという思い切った手を打たざるを得ないほど、長期政権の“澱”がシャレにならないくらい溜まっていて、落合監督は、このことに相当な危機感を抱いているともいえるんじゃないでしょうか?

以上、四半世紀来の落合ファンの意見ですた。

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