2014年2月13日木曜日

『ゴシップガール』のチラ裏:ダン×ブレアが作られた製作上の都合

正直、GG開始当初からダン×ブレアの組み合わせが考えられていたとは思えない。S1E4でダン×ブレアのイイ感じのシーンがあるけど、あれはあくまでもメインキャスト同士の絡みを深めるための一手であって、あれから恋愛関係にまで発展させようとまでは考えてなかったはずなのね。実際、S1~S2まではダン×ブレアの関係は基本険悪――S2E8で恋愛相談に乗るけど――だし、S3でもE2でキツく反撃しているし。

でも、S3のドロータの結婚式で布石を打ち、S4後半からダン×ブレアのカップル成立に向けてハナシが作られたことには、以下のような製作上の都合があったんじゃないかと。

①できるだけドラマを引き延ばしたいという事情=物語としてはS2で語りつくし、S3で一通りメインキャスト同士のカップルを作ってしまった以上、ハナシを引き伸ばすにはチャック×セリーナかダン×ブレアをやるしかなかった。

②ブレイク・ライブリーの力量不足という事情=演技スキルの足りないブレイク・ライブリーに、高度な演技が求められるシーンを任せられないため、代わりにTV俳優としては一定水準の演技スキルを持つレイトン・ミースターのポジションが高まっていった。

このうち①については、通算100回を超える長寿ドラマならばどんな番組でもあり得ること。敢えて言うなら、なぜ、チャック×セリーナがなかったかといえば、「チャックがリリーの養子になった」から。この義兄弟問題でダン×セリーナが破局した以上、チャックとセリーナをくっつけるという選択肢はあり得なかったはず。

問題は②。実際ねぇ、ブレイク・ライブリーの演技力ってエビせんべいくらいに薄っぺらいからなぁ。いや、演技が下手っていうと言い過ぎかも知れない。例えばS1E7の終盤で恥じらいを見せるところとか、S2E1でダンとキスしたあとに嬉しがる表情なんかは素晴らしいからね。でも、芸達者かといえば決してそんなことはなくて、演技スキルについて言えば、TV俳優としても物足りないって思うのよ。

具体的に言うとね、S3最終回でネイトに「一度時間を置きたい」って告白する場面で、I love youっていうけど、このセリフの言い方のなげやりさと来たらねぇ……。確かにアノ場面は、心のこもってないセリフを言うのが正しいんだけど、それでもあそこまで明確に捨鉢な言い方をしちゃダメじゃね? と思うわけよ。実際ねぇ、同じ場面を吹き替えで見ると、口では愛していると言い、実際、ネイトを捨てるのを惜しみながらも、心はダンに惹かれていて……というセンシティブな情感が良く出ていて、「製作者が意図した演技って、実は吹き替えの方だったのかもなぁ」と思うわけよ。

じゃぁレイトン・ミースターの演技が上手いのかっていうと、決してそんなことはないのよ。『ヴェロニカ・マーズ』(ちょっと陰のある女子高生)と『ドクター・ハウス』(ストーカー化した女子高生)で演じているのを見る限り、演じ分けは全然出来てないもの。今にして思えば、「あ、これ二人ともブレアじゃん」と。役柄により全く違う人格に見せるハリウッド俳優に比べれば、どう見たって演技スキルは足りない。それでも状況に応じて必要な表情や情感を込めたセリフを言うことはできているし、TV俳優としては十分な演技スキルはあるように見えるのね。

つまるところレイトン・ミースターはブレイク・ライブリーと比べて相対的に芸達者であって、それ故に、ドラマでのポジションが向上していった――ってこと。演技の巧拙や華の有無でゲストから準レギュラー、レギュラーへと昇格するってのは、海外ドラマでは当たり前にあることだし。

といった事情からダン×ブレアのカップルが作られたのだ! と、勝手に邪推しているわけだけど、そういった製作上の都合はどうあれ、結果的に出来上がったハナシを見てみれば、GG中随一どころか、手前的にはこれまでに見た古今東西の映像作品のなかでも屈指に甘ったるく、かつ、これ以上なく念入りにカップルになる過程を描いていて、ベタなラブコメに目がないおっさんには辛抱たまらん出来になっているんですよ。
(つづく)

ともあれ手前は、韓国は仏像を返還すべきであると思う。

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