2010年9月30日木曜日

願ってもない展開でニヤニヤが止まらない

巨人vs阪神は1勝1敗。巨人の優勝は消え、阪神は7連勝しなければ優勝できない(土曜日に中日が負けたらコンティニュー1回あり)という無理ゲーっぷりで、どこからどう見ても中日優勝は決まったようなものなんですが、TVニュースはいずれも「阪神はM7」「7連勝すれば優勝ですからね」って、そんなに中日が嫌いか? そこまで落合が憎いのか? 上等だよ! 『Civilization』でも『Victoria』でも一番燃える展開ってのは「世界vsオレ」な状況なんだから、土曜日には全ての野球マスコミと野球ファンの吠え面ってのをよくよく拝ませてもらってやんよ!

と、威勢のイイことをいいつつも、土曜日のナゴドのヤクルト戦で9回表10-0で勝っていても「ここで連打くらったら延長かも知れないし」「ここのところ岩瀬の調子が悪いからなぁ」とかいらぬ心配をするのが中日ファンクオリティなわけで……。

それにしても04年に次ぐ貧弱な戦力でよくここまで来たもんだわ。得失点差+19点(阪神は+78点、巨人は+85点)、チーム打率と盗塁数は12球団中11位。確か6~7月頃は、防御率以外の数字全部がリーグ最低だったものね。正直、今年に限っていえばほとんどリーグ優勝を期待していなかったので、手前的には「リーグ優勝さえしてくれればOK!」ですよ。CSも日本シリーズも06年や07年は「絶対に勝て!」って念じていたけど、今年は「オマケでイイや」って感じですよ。



2010年9月29日水曜日

いまさら何をしても無駄

漁船衝突ビデオの公表示唆 外交防衛委で法務副大臣

ことここにいたったら、正直、やれることは何もない。予算とか法律のことを考えなければ「離島に兵力を貼り付ける」「進入してきた船を沈める」のが最善手だろうけど、それが出来るのなら最初から船長をリリースしていないだろうし、社会党の残党と小沢派がいる限り、政調レベルで関連法案が葬り去られるのは火を見るより明らかだからねぇ。

で、昨日も書いたとおり菅が謝罪と賠償をしない限り中共は動く筋合いがないもの。そもそも中共の立場としては、「天安門広場の前で不逞日本人が不法にも同志を連れ去り監禁した」ってのと同じものなんだから、それ相応の“誠意”を見せなきゃ許せないんでね。

あと、「今回の件は長期的に見れば日本にプラス。これで中共の無法ぶりが日本国民の隅々にまで知れ渡り、対中政策の転換を喚起する契機になった」なんていうのがいるけど、それと“船長の解放”は全く関係ないでしょ? 

確かに前原(バカ)が後先考えずに<船長を逮捕>したことは良かった。目的はどうあれ、結果的に自民党が30年以上続けてきた媚中政策を180度転換する契機になったことは確かなわけだから。でも、この最大の僥倖は早々に“船長を解放”したことで最大のピンチに化けちゃったものね。船長を確保し続けていればこそ、「なぜ、小日本ごときから無辜の同志を奪い返せないのか!」ってハナシになって、解決を焦る中共と対等な交渉ができる可能性があったんだから。

だいいちいくら中共が対応をエスカレートさせても、中共政府が表立って日本人を殺すことだけは出来ない――ただし、政府に黙認された暴走した人民同志がテロに走る可能性は十二分にある。というか、北清事変から今日まで「憂国の念に発起した人民が攘夷を決行して外国人を手にかける」というのが中国が諸外国を脅すときの黄金パターン――でしょ? 事態がエスカレートすれば、拘束された4人にはたぶん死刑判決が出ただろうけど、死刑判決を言い渡すのと実際に決行することには果てしなく長い距離があるんでね。

もし、死刑を決行したら日本政府が本格的に中共を殴る格好の理由になっていたでしょう。普段は羊のようにおとなしい日本国民も忠臣蔵とか東宝任侠映画のクライマックスのように大爆発するだろうから。もっとも、そうなる前にアメリカが黙っちゃいないだろうけどね。属国の市民をいいように弄ばれたら世界の警察としてのメンツが立たないもの。

対中貿易がストップすることは、不景気な日本にとって確かに小さくないダメージだけど、一番のお得意様(カモ)である日本と商売できなくなって一番困るのは中共だし。例えば上海市の財源(地方税)の半分以上は外国人&外資系企業(メインはもちろん邦人&邦人企業)からのものでしょ? だいたい日本にとっては中国の代わり(タイ、インドネシア、ベトナム、マレーシア……その他諸々)はいくらでもいるけど、中国にとっては日本の代わりはどこにもいないからね。

2010年9月28日火曜日

この野郎! いい加減にしないと土下座するぞ!

手前が中共の国家主席なり首相だったなら、菅に土下座させて賠償金が振り込まれるまでは、4人の社員を返すことはないね。たった4人の人質で仮想敵国の鼻面を引きずり回せるんだから、最大限にしゃぶり尽くすまで許す必要なんてこれっぽっちもないでしょ。国際的評判? 信用? そんなものチベットでやってきたことを考えれば屁でもないって!そもそも中国人を信用している人間なんて、全世界で大アジア主義者の日本人(左右ともに多いんだ、これが!)くらいしかいないわけでね。

つくづく船長(事実上のスパイ)をサッサと返したのは大失敗だった。人間、30歳を過ぎるとTVや新聞のニュースで腹を立てることなんて滅多になくなるもの――TVを見ていて一瞬でも本気で頭に来るのは贔屓の野球チームが惨敗したときくらいのもの――で、赤松口蹄疫のときだって事態の推移を生暖かく見る余裕があったけど、今回の件はねぇ……そんな余裕は一切ないもの。TVをつけているだけでイヤでもニュースが入ってきて、新情報を耳にするたびに鶏冠に来るものね。

このまま2週間もしたら、人質の4人を迎えるために謝罪と賠償をするだろうね。「命には代えられない」ってふざけたこといって。その後は、「トヨタとユニクロを潰すくらいなら、あんな小さい島など中国にやっちまえ!」ってことになるでしょう。って、早速言い出してるし。でも、これで折れたら次は沖縄、対馬だよね。

本来、自国領海内で停船命令を無視した艦艇にはこれくらいやってもOKなわけでね。北朝鮮の不審船だってキチンと撃沈された後はこなくなってるんだから。もちろん沈める前に中国の在留邦人に退避勧告を出すのはデフォだけど。中国に進出している企業はどうなるんだって? カントリーリスクを考えて出てるんだから、それで損をしたら自業自得。値下げしないで左前になった吉野家と同じことで、単なる経営責任。

ここで新橋の酔っ払いオヤジみたいに威勢のイイことを書いたところでどうなるものではないし、このハナシについてはどう転がしたところで面白くなるものでもない。でもねぇ、それでも何か言わずにいられない。最大のチャンスを逃して最大のピンチを招いたバカな指導者にNOを突きつけずにいられないんよ。ホント。

2010年9月27日月曜日

ま、最後の試合を勝てばいいことだし

巨人vs阪神戦が二つも残っているからいいか。これで一勝一敗になった時点で、ほぼ中日の優勝が決まるってことだし。試合もないから生暖かい視点で見れるし。神宮最終戦恒例の挨拶もあったようだし、まぁ、最後の最後まで盛り上げる意味で負けたのだよ……とでも思わないとやってられんわい!

途中からチェン・ウェイン投手をつぎこんでの敗戦。この湿りっぱなしの打線で本当にCSを勝ち抜けるのか? チェン投手、山井大介投手、中田賢一投手は額面通り仕事をしそうだけど、山本昌投手はそろそろ魔法が解けかけてきた感じだし、吉見一起投手は相変わらず。今の打線だと2点以内に抑えないと勝てないようだから、投手陣にしてみれば「NormalでスタートしたつもりがVery Hardだったでござる」って感じだろうしね。

2010年9月26日日曜日

高杉晋作は彦島の租借に反対したわけだが

自ら奇兵隊内閣とかほざいていたヤツは何を思うのかねぇ。多分、何も思わないんだろうねぇ。

今回のケースでアッサリと無罪放免したってことは、都内で公務執行妨害を働いた不逞中国人はみんな起訴できないってことになるよなぁ。皇居広場で警備員を殴った不逞中国人に対しても、「前科もないし計画性もないしちょっとふらついて顔に拳が当たっただけで危険がなかったため、日中関係を鑑みて処分保留とする」ってことになるわけか? 今回の件は、戦後日中関係の歴史の分水嶺となる事件でしょ。

民主党にとって今回の事件は、ある意味で神風に近い僥倖だった。内閣発足直前に言い訳できないレベルで大暴れした漁船(事実上のスパイ工作船)が来たと思ったら、逮捕権限を持つ責任者が去年の政権交代で反小沢だったものだから一番面倒くさい国交大臣(高速道路無料化とか八場ダムとか。いまじゃみんな忘れてるけど)に厄介払いされていたエエカッコしいの前原(バカ)だった――なんて幸運がなかったら、そもそも捕まえてないわけだから。

前原(バカ)が後先考えずに「捕まえちゃえ!」と命令した結果、中共嫌いの大多数の有権者が支持して、順風満帆のスタートを切れたわけでね。自民党政権ならいつものようにキャッチアンドリリースで済ませていたはず――実際、谷垣も「最初から強制送還してりゃよかったのに」ってコメント。ホント国賊だ!――で、国交相が前原(バカ)以外でも同じように捕まえていなかった可能性は十分にある。

自民党が土下座を続けていたのは、野党(昔社会党、今民主党)とマスコミの猛烈な反対という“三分の理”もあったけど、民主党にはこういう事情もないしね。捕まえた以上は、このまま拘留し続けて来月の国会まで引き伸ばしておけば、「対中問題で原理原則を貫く民主党vs土下座外交を求める自民党」という大変愉快な構図になって、自民党から“ユルめの保守系支持者”を引き剥がすチャンスだったのにねぇ。

ここまでサッサと掌返しちゃったら、防衛予算も増やしようがないだろう。「戦略的互恵関係」なんて戯言は意訳しちゃうと「中共に土下座し続けます」ってことだからね。今回の事件がこの戯言を覆す最大のチャンスだったのに、あっさりと手放しちゃったわけだし。尖閣諸島に兵力を貼り付けるなんて夢のまた夢ってこと。喜んだのは在日米軍だけで、二度の事業仕分けでも仕分けされなかった思いやり予算が、筋の通った(ように見える)理由付きでたんまり支払われて万々歳ってところか。

それもこれも無神経で無学で軽率な菅と、事業仕分けを文化大革命と宣った仙石(アカ)と前原(バカ)みたいなのを選んだ国民の選択だから仕方ない。この3人のレベルも国民のレベルなんだもの。今更文句をいったところでどうなるものでもない……って毎度毎度同じように考えて自分を慰めるのも限界に近づいてきましたよ。ええ。まぁ、これほどの犠牲を払えば、大多数の有権者が社会主義政権に引導を渡すことは間違いないだろう。次の総選挙で民主党が政権を維持することはほぼ確実になくなったのだろう――と思わないことには憤死しかねないしね。

2010年9月25日土曜日

池山隆寛、ブンブン丸の「野村野球」伝道:その4

野村克也の時代から現在まで、スワローズの底流にある「古田派」「池山派」の派閥問題。FAで日本ハムに移籍した稲葉篤紀選手が、「ファイターズは派閥だったりそういうのもないですし、孤独感なんて全くないですね」と暗に語っていたように、巨人における早大閥vs慶大閥くらいに確固たるものとして存在しているものだが、当の池山は古田敦也をどのように捉えていたのか? 同著の小見出し「古田との関係」(142頁~)から、以下、読書メモ風に紹介する。

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新人時代の古田は不動の地位を確立しておらず、スタンドからの声援も少なかった。広沢が「たまには古田って呼んでやれ」と野次を返したこともあった。

同い年で同郷ということもあって、広沢が池山を酒に誘うときは古田も一緒に誘っていた。クラブでヘネシーをホステスのヒールに注ぎ、ジャンケンで負けた奴が飲むという悪ふざけや麻雀も良くやった。グラウンドの中でも外でも「仲間」だった。

しかし、翌91年、古田が首位打者を獲得すると関係も変わっていった。そのオフから広沢や池山と一緒に遊ぶことがほとんどなくなった。広沢が「おい、古田、今日は飲みに行くぞ」と誘っても、古田の方に別の約束が入っていることが多くなったのだ。タイトルを取り、不動の地位を確立すれば、自然と取り巻きもできて自分独自の人脈も出来てきたのだろう。

これは自分の想像だが、タイトルをとってプライドも生まれ、いつまでも子分のように広沢と池山についていくのではなく、自分の道を歩もうと考えたのかもしれない。グラウンドの外でかつての「仲間」のように付き合うことがなくなっていった。

古田はリーダータイプ。みんなより一段高い立場に立ち、たとえ自分が嫌われ者になろうとも、必要だと思えばいうべきことはズバズバいう。04年の球界再編騒ぎでは、こうした古田のリーダーシップがなければ乗り切れなかっただろう。

一方、自分はキャプテンタイプだ。みんなと一緒に騒ぎ、そのノリで「さあ、がんばっていこう」と盛り上げるタイプ。怖い存在ではないようで後輩もじゃれついてくる。欠点は相手に対して強くいえなかったり、情に流されやすいことかもしれない。

かつて広沢に何くれとなく面倒をみてもらい、ずいぶんありがたかった。広沢がチームを去った後は、自分が広沢の役目を果たさなければならないと思い、努力してきたつもりだ。自分の引退後は、宮本慎也や真中満がその役目を果たしている。

あえていわせてもらえば、自分にとって古田はライバル。同い年、同郷でともに野球を始めた。高校時代は自分の方がリードしていた。しかし古田は、二年目で首位打者を獲って自分に並んだ。そして現在、ヤクルトの監督と楽天のコーチという立場となり、古田が一歩リードしている。

古田がどう思っているかはわからないが、少なくとも自分にとっては、古田のような存在がいることが励みになっている。古田が監督として成功すればするほど、自分の目標が高くなる。

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池山が自分の想像と断って書いているように、「タイトルをとってプライドも生まれ、いつまでも子分のように広沢と池山についていくのではなく、自分の道を歩もうと考えたのかもしれない」ことが真実なのだろう。また、球団も早くから古田を幹部候補として育てていくことを決めていたのかも知れない。その後の広沢克実のFAは、事実上、球団が広沢を追い出したような形――池山によると、93年オフの契約更改のときに「フロントからプライドを傷つけられるようなことを言われていたのだった」(140頁)という――だったが、これが球団の意図したものか否かはどうあれ、結果的に古田が球団内でイニシアチブを取りやすくなったことは事実だろう。

ただ、古田と直接話し合うことの多い投手陣はどうあれ、古参の選手や野手陣にとっては、チームの柱だった広沢が追い出され、(古田自身に何の悪気も落ち度もないにせよ)球団やマスコミが「ヤクルト=野村&古田のチーム」という構図で持ち上げるサマは、決して面白いものではなかっただろう。こうした不満が“広沢の一の子分”であり、自他共に認めるキャプテンタイプの池山を「池山派」の長として祭り上げることになった――と、邪推しているのだが……。本人の意図はどうあれ、派閥ができるときはこのようなものではないのだろうか。なお、古田自身は著書で池山について特に言及していない。

2010年9月24日金曜日

少しでも期待した手前がバカだった

首相と外相が不在のなか、官房長官がビビって勝手に釈放したってことか? いや最後の落とし所として「処分保留の釈放」はあってもいいんだけど、あまりにも早すぎるだろうよ。せめて一カ月は粘らないと捕まえた意味ないじゃん! 

人質とられてビビってへたるなんてなぁ……。これじゃ戦前の幣原外交と同じだものね。テロにビビってへたった結果、蒋介石がつけあがって第二次上海事変(蒋介石による戦争計画の発動)を起こしたように、こういう要らぬ腰砕けが戦争を招くんだよ! 21世紀にもなって平気でビザンチン外交をやろうなんて国に「話し合い」が通じるわけがない。中共に比べれば松永弾正の方が信頼できるだろう。あれだけ中共が「ウチも困ってんよ!」とキャンキャン鳴いていた――首相まで出てきて大鳴き。しかも日本人や外国人相手じゃなくて在米中国人相手に鳴いていたところが涙を誘う――わけだから、来月の国会で大多数の中共嫌いの有権者に「中共ごときになめられへんでぇ!」とアピールしてから、みんなが忘れた頃にそっと「処分保留で釈放」で良かったのにねぇ。

池山隆寛、ブンブン丸の「野村野球」伝道:その3

「おまえは三振が多すぎる。一〇〇個三振するうち、半分をバットに当てて前に飛ばせ。そうすれば、そのうち何割かはヒットになって打率が上がるし、チームにも貢献できる。これからはそういうバッティングを心掛けろ」(123頁)

野村克也は池山に対して、直接このように諭したという。「ブンブン丸」としてフルスイングを続け、三振かHRかというバッティングで実績を残してきた池山にとっては、自らのプライドに関わる言葉だった。

「いつでもフルスイングしたい。しかし、『するな』と監督はいっている。理屈は監督の方にある。どうしたらいいのか……。ぼくはふたつの思いの間で悩んだ」
「ぼくには『監督は社長、選手は社員』という感覚があり、選手は監督のいうことに従わなければならないと思っている。だから結局、野村監督の教えに従う道を選択した。長打が必要のない状況やカウント2-0、2-1などではフルスイングを避け、ミート中心のバッティングに変えるよう努力したのである」(124頁)

結果、池山は初の三割バッターとなり、HRも34本から31本へと3本減らすだけに止まった。数字だけを見ればバッティングスタイルの転換は大成功に見える。しかし、心の中では全く納得できていなかったようだ。

「じつは、ぼくはテレビ局に頼み、第一号から第三〇四号まで自分が十九年間で打ったホームランのほとんどすべてを収めたビデオを持っている」
「それを見ると、ホームランバッターになり始めた頃は、いわば自然体の構えで、バットのヘッドがほぼ真上を向いている」
「ところが、野村監督の教えに従うようになってからしばらくすると、構えたときにバットのヘッドがピッチャー側に少し傾くようになった。ということは、当然スイングの軌道が大きくなり、フルスイングすればより大振りになる」
「ぼくは意識的にこういうフォームにしたのではない。フルスイングしたい。しかし、してはいけない。でも、やはり遠くへ飛ばしたい……そんな葛藤をするうちに力んでしまい、無意識のうちにフォームが変わっていたのだ」(125頁)

心理的葛藤からスイングが乱れた結果、三割を記録した翌年からは三振も増えたうえHRも減り、ケガにも悩まされるようになってしまった。19年間の現役生活を振り返ってみると、池山にとっては散々な結果に終わったバッティングスタイルの転換だったが、それでも潰れることなく、1500安打、300HRを記録したところは並みの選手ではないのだろう。もし、「ブンブン丸」のまま現役生活を続けていたら、あれほどケガに悩まされることもなく、長嶋茂雄のHR記録(444本)くらいは抜いていたのではないだろうか。

しかし、「ブンブン丸」を続けていれば、選手としては田淵幸一くらいのクラスの実績を残し、ヤクルトで不世出の人気者になっていたかも知れないが、コーチとしてお呼びが掛かることは決してなかっただろう。田淵幸一がダメ監督、ダメコーチ――HRのサインを出したり、うねり打法とかを教えたりする斜め上な指導者だった――であったように、「名選手は名監督ならず」を地で行くような展開になるか、あるいは「ブンブン丸」という色眼鏡で見られ、タレントとして扱われてもコーチとしては扱われなかった可能性が高そうに思える。

バッティングスタイルの転換は、野村監督と野村ID野球に心酔した結果で、結局、このことがあって野村が楽天監督に就任した際に打撃コーチとして招聘されることになった。池山を招聘した理由について、野村自身は「おれはもう七十歳や。プロ野球の世界を離れ、いったん社会人野球の監督をやったのに、この歳でまたプロ野球の監督を要請されるというのは、プロ野球の世界に監督としての後継者が育っていない証拠や。おれのもとでコーチをやらせ、将来の監督候補者を育てるのもおれの仕事や」(19頁)と語っている。実際、野村のミーティングをまじめに聞いてノートまで取っていたのは古田敦也と池山くらいだったらしい。しかし、敢えて下種の勘繰りをするなら、野村が自らの指導で名選手を潰してしまったという“贖罪”の意味もあったのではないだろうか?

ともあれ、指導者の言葉が選手の将来にどれだけの影響を及ぼすのか? 小手先の技術だけでなく心構えや葛藤が、どれほど身体的に大きな影響を与えるのか? を文字通り身体で知っていることは、指導者になるうえで大きなアドバンテージといえそうだ。
(つづく)

2010年9月23日木曜日

池山隆寛、ブンブン丸の「野村野球」伝道:その2

「この日は三連戦の初戦であり、ロッカールームでそのミーティングが開かれていた」
「ところが、東京ドームのロッカールームは細長く、モニターの前に全員が集まると非常に窮屈になる。そのためかどうか、ベテランの小早川さんと若手の副島孔太(ヤクルト→オリックス。〇四年引退)がモニターの後ろで話を聞いていた」
「ミーティングが終わり、選手が着替えを始めると、部屋全体に聞こえるような声で、あるコーチが副島に向かってこういった」
「『おまえはなんで画面を見ないんだ。小早川はいずれ引退しなきゃいけないが、おまえはまだ若いんだから、モニターをちゃんと見てなきゃ駄目だろ』
「それを聞いた瞬間、ぼくはやりきれない気持ちになり、怒りがこみ上げてきた」
「『おまえはなんで画面を見ないんだ』まではいい。しかし、『小早川はいずれ引退しなきゃいけない』とはいったいどういうことだ。~~中略~~いくらなんでも、いっていいことと悪いことがあるではないか。なぜもっと選手に対する敬意や愛情を持てないのか……」(169~170頁)

怒りに燃えた池山は、この試合をボイコットする。トレーナーに事情を説明したうえで試合途中に腰が痛くなったことにして、2打席で引き下がると登録抹消され二軍に行った。結果、28試合欠場したという。この経緯を知っているのはトレーナー、一部の選手だけで、家族も若松勉監督も知らなかったという。

その場で怒りをぶちまけたり、ハイタッチ拒否をしたりするような“わかりやすいヤンチャ”をするほど子どもではないものの、義憤を形に表さずに済ませられるほど大人でもない。

池山のとった行動には正直疑問が残るが、どうにもやりきれない、大人になろうとしてもなり切れないほどの怒りを感じたときに、身を捨てて行動に示した――この時点では、岩村明憲選手とのレギュラー争いが完全な決着をみていなかっただけに、「ケガで二軍に落ちる」ことは、池山自身にとって極めてリスクの大きな選択だった――ところが池山らしい。

チームの精神的支柱でありながら大人になり切って何も行動しなければ、選手の心は離れていくだろうし、“わかりやすいヤンチャ”をすれば自分を慕う一部の選手やファンは喜ぶかもしれないが、多くの選手や首脳陣、フロントは「ただのガキ」「野球バカ」「人の上に立てないヤツ」と見下すことだろう。

子どもになるか大人になるか? ある意味で窮極の選択を迫られたとき、自分なりにベターな答えを出して果敢に行動したエピソードを見るに、池山が単なる熱血キャプテン、振り回すだけの野球バカでは終わらないパーソナリティを持つ男といえまいか。

「『監督は社長、選手は社員』という信条通り、ぼくはどちらかというと上の人のいうことには素直に従う方だ。しかし、あのときはどうしてもあのコーチの発言を許すことができず、怒りとやるせなさをああいう形で表現するしかなかったのだ」
「彼も根っから悪い人だとは思わない。そうではなく、たぶん心の弱い人なのだ」
「ぼくはこの『事件』から、他人に対する態度や言葉がいかに重要かを学んだ」
「じつは、のちに引退を決めたとき、球団からは『二軍コーチにならないか』と誘ってもらった。しかし、ぼくはお断りした。野球理論はもちろんのこと、もっと自分の人間性を磨かなければ他人を指導することなどできないと思ったからだ」
「そういう意味で、この『事件』はぼくの人生にとって大きな節目となるものだった」
(170~172頁)

この事件を経て選手とのコミュニケーションに如何に心を配るべきかを学んだ池山は、少なくとも無神経な言動で選手を敵に回すことはないのだろう。そしてこのことは、これからコーチ人生を送るにあたって強力な武器になると考えられる。

大久保博元が打撃コーチとして一定以上の成功を収めた理由について、若手とのコミュニケーションが上手かったことを指摘する向きもあったが、これも掘り下げてみれば池山のケースに重なる点が多い。大久保が現役時代に、先輩やコーチから「デブ!」「減量しろ!」と心無い言葉を浴びせられてとき、藤田元司監督だけは「お前は、痩せたら力が落ちるんだからそのままでいい。その代わり捻挫なんかしないように足腰を鍛えて力をつけろ」(「『情』のリーダー論」藤田元司著。167頁)という言葉をかけたという。打撃コーチとしての成功は、このことに涙を流すほど感謝したという経験があったことも大きな理由の一つといえよう。

「野村ID野球」の口伝、後述するバッティングスタイルを大胆に変えた経験、そして上記のような得難い経験と決断をした池山は、同世代のOBのなかではコーチとしての潜在能力が相当高いように思えるのだ。
(つづく)



2010年9月22日水曜日

これで虎の息の根は止めたはず

無死満塁で三振て……おぉもう! 藤井がきっちり走ってりゃ試合は終わってたんだよ! 
代打にお兄ちゃん。ってここで球児! もう三振かゲッツーしか見えない……。
って年5回もない監督の直接アドバイスキターーーーーーーー!
でも気づいたらファールで2-0。ふぅ……。
ってサヨナラエラー? さすが天使のブラ(笑)!

池山隆寛、「ブンブン丸の『野村野球』伝道」:その1

◆目次
・第一章:再会(引退後、野村克也からコーチに誘われる)
・第二章:運命(ドラフトから新人時代)
・第三章:喜び(野村ID野球の薫陶を受け日本一に)
・第四章:葛藤(フルスイング禁止令と野村辞任)
・第五章:屈辱(怪我と二軍落ち、年俸半減)
・第六章:決断(引退の決断と引退試合の思い出)

ヤクルトの小川淳司監督代行が来季より監督に就任することが正式に発表された。遡る9月19日には、池山隆寛が打撃コーチとして入閣するというハナシがあったが、ここまで音沙汰がないということはただの新聞辞令だったのだろうか。池山の全盛期を知るものの多くは、「ブンブン丸と言われて振り回すだけの選手だった奴にコーチなんか務まるか!」と思っているのかもしれない。しかし、池山の著書を読む限りにおいては、少なくともダメコーチ(例:中畑清)で終わるような人間ではなさそうに思える。

プロ野球のコーチに必要な資質とは何か? と問われれば、十人十色の答えがあるだろう。有無を言わせぬ実績、高度な打撃理論、若い選手と同じ目線に立てる謙虚さ……一つ一つ挙げていけばキリがないが、手前が考える最も必要とされるファクターは、「二軍で辛酸を舐めた経験」だ。とりわけ一流選手でありながら、二軍で下積み経験をしたことがあったり、ケガ以外で二軍に落とされた経験を持つOBは最も適任だろう。

よく「名選手は名監督にあらず」といわれるが、この言葉は長嶋茂雄や王貞治のように、ほとんど二軍生活をしていないOBにのみ当てはまる言葉だろう。彼らはプロ野球の底辺を知らず、自らと同じレベルの選手にしか技術を伝える術を知らないのではないだろうか。

「教える側が頭のなかで描いている技術レベルと、聞きにくる側が求めているそのレベルにはギャップがある。だいたい、彼らは私たちが考えている水準よりも低いところを、念頭においている。だから、自分が考えていた程度のことを学ぶと満足して帰っていく。だが、それは教える側からすると、目指しているレベルの何段も下の段階のことが多いのだ」(『勝負の方程式』落合博満著。106頁)

落合の言うように、底辺のレベルを知らなければ、若手に教える際にも現状のレベル以上のことを求めがちになってしまうのだろう。かつて王が駒田徳広に一本足打法を伝授しようとして失敗したときのように、当人の資質、現状のレベルに合わない指導の押し付けは、双方にとって不幸な結果に終わることが多いといえよう。

この点池山は、高卒で入団後3年下積みを経験し、1500安打、300HRを達成している一流選手であることに加え、ホームランバッターからアベレージヒッターへ打撃スタイルを転換した経験もある。いわば、ありとあらゆるレベルとタイプのバッターに対して指導できるだけの経験を持っているということだ。

ただ、経験だけあれば良いコーチになれるわけではない。その経験を適切に伝えられる人柄やコミュニケーションスキルがなければ元の木阿弥だが、第五章:屈辱で綴られているエピソードを読むと杞憂といえそうだ。
(つづく)



2010年9月21日火曜日

でも“アジア的解決”だけは勘弁な

Q――練馬区の畑から大根を獲らんとする怪しい車にパトカーが停車命令を出したら、逆にぶつけられてしまいました。パトカーは実力で車を停車させ、運転手の不逞中国人を逮捕しました。不逞中国人はこれからどうなるのでしょうか?

A――警察の取調べを受け、起訴され、裁判を受けることになります。

いま話題の漁船衝突事件は本質的に↑と同じことで、現在までの日本政府の対応は極めて常識的で真っ当なものでしょう。尖閣諸島だろうがベヨネーズ列岩だろうが皇居広場だろうが、日本の領土であることには全く変わりはないわけだから。そこで法を破った者は日本人だろうがトンガ人だろうが中国人だろうが日本の法律に服さなきゃならんわけでね。

まさか民主党政権になってから対中問題で自民党政権よりも原理原則を貫くとは思いもよらなかったけど、日本の法律に従って粛々と手続きを進め続けるのであれば、それはそれで大変良いことだと思いますよ。こういうことはあまり認めたくないものだけど、これまでの自民党政権(小泉首相を除く)では、ほぼ全ての案件でなし崩し的に“アジア的解決”をしていたわけだから。

で、これで戦争になったらどうするかって?

いや、この危機はアメリカと防衛省にとって慈雨みたいなものでしょ。

大国(笑)である中国が粋がっていることを奇貨にして防衛予算だって増やせるし、在日米軍にしても存在意義を主張しやすいものね。正直、もっと煽れ、もっと本気で来い! って願ってるんじゃないかなぁ。仮に戦争になったところで、海上自衛隊にしてみれば中国海軍の威容なんてものは、風俗嬢が一見の客に言う「まぁご立派」くらいにしか思ってないだろうし。怖いのは核ミサイルだけだけど、それを打つときは中共が滅ぶ日なわけでね。

こうした事態をいたずらに惹起させないためには、現地に兵隊を張り付かせておけばいいだけの話だ。

兵頭二十八師も別冊正論Extra.13で「米軍は、自衛戦闘が発生していない外国の領域にわざわざ出張して進駐軍を追い払うようなマネはしない(例外は、そこがクウェートのような一大産油地域であった場合だ)。北方領土や竹島を考えると分かりやすいだろう。あるいは自衛戦闘を最初からしないでいったん敵による占領を黙認した形ができたら、そこへあとから自衛隊が攻め込んだとしても、米国政府には『それは自衛戦闘ではない』と裁量する自由があり、必ずしも米軍をして日本軍を後援させる義務はないのである」(229頁)と書いているように、駐留軍がいれば中共が軍事的冒険をすることは決してないでしょ。

それをずーっと怠ってきたってことは、「適当に危機を煽っておいて、それを理由に省益を確保しようなんて考えてるんじゃないか?」って陰謀論を唱えたくなるくらいのサボタージュだものね。自民党政権がこういうことをやったらマスコミが黙ってないけど、社会主義政権である民主党政権であればマスコミの風当たりもだいぶ弱いから、これを機会に自衛隊にキチンと仕事(=国境線近くの離島に兵力を貼り付ける)をさせたらいいんじゃないかなぁ。もし、本当にこれが実現したとしたら、その一点だけで「政権交代にも少なからず良いことがあった」って思えるかも知れない。少なくとも現時点では政権交代して良かったことなんて何一つなかったわけだから。

2010年9月20日月曜日

来年こそは堂々エースになってくれ!

一番恐れていた「阪神or巨人の3タテ」がなくなった時点で、チョー気楽に観戦していたんだけど、ちゃんと勝ったねぇ。やっぱり中田賢一投手はエースの風格があるよなぁ。背番号とかルックスとかじゃなくて、投げっぷりの良さとか、絶対負けちゃいけないとき“だけ”は期待にこたえてくれる凄さというか。それに比べて“エースさま未満”な方はもうね……。

昔、江川卓と西本聖のキャラと資質を譬えたハナシで、「勝ちたいときは江川、負けられないときは西本」というのがあったけど――ちょっと前に国際試合における松坂大輔投手と上原浩治投手の比較では、「勝ちたいときは松坂、負けられないときは上原」って言われてたっけ――、往年の西本ほどの信頼感はないものの、今年復活した中田投手は「ここは頼んだ!」って試合で大体結果を出してくれているものなぁ。

これで今日の試合は、巨人、阪神どっちが勝っても気にする必要はないし、ヤクルトに3タテされることもなくなったので、優勝争いの最中にも関わらずかなり気楽に見られそうだ。21日からの阪神3連戦に向けてリリーフを酷使しないことを願うくらいかな。

それにしても落合博満監督になってから、この時期の神宮は毎年レフトに中日ファンが山盛りだよなぁ。今日勝ったら恒例の挨拶(って帽子をとってレフト側に頭下げるだけだけど)をするのか? それとも来週の神宮で挨拶するのか? ともあれ今日勝って阪神が負けたら十中八九優勝確定だ!

追記:伏見蒲鉾から出ている「おじゃがまる」がヤバイ! おでんのたねとして売られているものだけど、レンジで暖めるかフライパンで焼いてしょうゆorマヨネーズで食べると実においしい。しかも、1パック7個入りでそこそこボリュームがあるにも関わらず、250kcalに満たないローカロリー(しっかりした揚げ芋の味と満足感から考えると350~450kcalくらいあっても不思議ではない)であることが素晴らしい。手前的には今年一番のヒット商品です。

2010年9月19日日曜日

“古田派”終了のお知らせ?

ヤクルト 荒木コーチに2軍監督要請へ

>一方で、来季発足する小川政権には、OBの橋上秀樹氏がヘッドコーチ、池山隆寛氏(ともに野球評論家)が打撃コーチで入閣予定。小川監督の就任とともに来週中にも最終決定する。

まだ新聞辞令だから確定とはいえないだろうけど、池山隆寛がコーチになるというのは本当かね? ということは、しばらく古田敦也が監督になる芽はないってこと……ていうか、これが本当だとしたら社長以下のフロントが一掃されない限り古田とは縁を切るってことだよなぁ。監督のラインとしては、荒木大輔にはもちろんやらせるとして、これがダメだったときのリリーフには池山、順調にいけば宮本慎也選手という“池山派”のラインで行くってことだものね。

で、ヤクルトからお呼びがかからなかったら、どこからも声がかからなそうだしなぁ。あ、野村克也&池山と訣別した楽天があったか! って、古田が満足するほどのオファーは出さんでしょ。結局、タレントで適当に稼ぎながら再登板が噂される頃には年をとり過ぎて手遅れになってしまった江川卓みたいになるのかなぁ。

古田の監督としての手腕には大いに疑問があるけど、前回の失敗を経て、プレイングマネージャーという足枷を外した後の<フルスペックの古田>については一度見てみたいとは思っていただけに、ちょっと残念だねぇ。

2010年9月18日土曜日

*読書メモ:一万年の進化爆発

◆目次
・第一章:概観――世の中で一般に信じられていること
・第二章:ネアンデルタール人の血
・第三章:農耕の開始による大きな変化
・第四章:農業のもたらしたもの
・第五章:遺伝子の流れ
・第六章:拡散
・第七章:中世の進化――アシュケナージ系ユダヤ人の知能の高さはどこから来ているか?

「人類の進化が過去一万年に緩慢になった、あるいは停止したという考え方がある。しかし実際には、むしろ加速している。本書のテーマは、現在、人類の進化は、ヒトの誕生以後六〇〇万年間の平均よりも約一〇〇倍も速く進んでいることを読者に納得してもらうことである。ペースが非常に急速であるせいで、人類は有史時代を通じて肉体的にも精神的にもかなりの変化を遂げてきた。サルゴンとインホテップは、現代人と文化的に異なるだけでなく、遺伝学的にも異なっていたのである」(7頁)

人類の進化についての通説は、4~5万年前のヨーロッパで文化的な進化とヒトの生物学的進化の終わりを特徴とする『大躍進』が起こり、その後は進化が凍結した――というもの。

この考え方は、環境は静的なものだということを基礎としているが、実際には過去5万年のあいだに変化の嵐を経験してきている。旧石器時代から新石器時代、農業の開始、地理的な拡大……こうした文化的な革新は、人類が経験する選択圧を変化させた。

10万年前に至近距離から槍で狩りをしていたときの人類は筋肉質で骨太であり、体格を維持するために大量の食物を必要としていた。これが投槍や弓矢の発明により体重が軽くて足が速く、食物をあまり必要としない体格へと進化した。ブッシュマンは痩せていて身長150cmに満たない。

ヒトの言語が複雑さが現在のレベルに近づきつつあること、聴覚の変化に関する選択が起きたようだ。内耳に影響する多くの遺伝子に、最近選択を受けたことを示す痕跡が見られている。会話が複雑になるにしたがって、騙しのテクニックも磨かれただろう。

進化的変化は本来非常に進行が遅い。そのせいで、著しい変化は何百万年単位で起きると思われている。スティーヴン・J・グルード曰く「この4~5万年のあいだに、人類には生物学的変化はまったく見られなかった。私たちが文化や文明と呼んでいるものはすべて、同じ肉体と頭脳の上に築かれたものだ」。

しかし、この考え方は誤っている。飼い犬からトウモロコシの粒まで、最近の進化がもたらした産物はたくさんある。イヌは約1万5千年前にオオカミから家畜化された。ロシア人科学者のドミトリ・ベリャーエフは40年でキツネの家畜化に成功した。トウモロコシは7000年前にテオシントという野草から進化した。

氷河期の終焉により海面が上昇。山が小さな島になった地域も出た。そういう地域では大きい捕食者の個体数を支えられなくなった。結果、身体が大きいことの利点はなくなった。ゾウは5000年間で身長4mから1mほどへと劇的に進化した。ゾウの一世代は約20年。当時のヒトとかなり近い。

現代のフィンランド人とズールー人を見間違える人はいないだろう。現生人類がアフリカを出て拡散してから、民族によって異なる進化の道を辿った。

北ヨーロッパ人と中央アフリカ人の対マラリア抵抗性について見ると、ナイジェリア出身の人には「鎌状赤血球変異」を持つ人がいるかも知れないが、北ヨーロッパ人でこの変異を持つ人はほとんどいない。ナイジェリア人の大部分はこの変異を持っていないが、それでもどんなスウェーデン人よりもマラリアに対する抵抗性は強い。彼らはこの変異以外の遺伝子のマラリア耐性版を持っているからだ。

自然選択における進化では、以上のように「ある集団」に相関した変化が起きる。同じ方向に向かい、同じ選択圧に対する反応として起きるのだ(都築注:つまり、地域レベル、閉鎖された集団レベルで進化するということか?)。

感想:以上、「第一章:概観」より。遺伝子解析をベースに、「ネアンデルタール人とは混血していたはず。異種との遺伝的交流により現代人にとって望ましい対立遺伝子(遺伝子の変異体)がプールされ、『大躍進』の基盤になった」「現代ユダヤ人がホワイトカラーの仕事でハバをきかせているのは、同族結婚を続けた結果、高い知能が有利になるような自然選択が働いたおかげ」と主張している。一歩間違えればトンデモ本だが、これらの主張の全てに科学的な根拠(遺伝子解析の結果)があるのが何とも……。ほんの少しコースをずらすだけで、フランシス・ゴルトンの「優生学」と融和しかねない危険があるが、通説を覆すという点でスリリングな本であることは確か。

2010年9月17日金曜日

マスコミの本音は政界再編だろうね

でも、次の代表選挙は2年後だから、党内政局で菅を引き摺り下ろすのは無理じゃないかね。小沢にしても「国会議員200人の支持は重い」なんていってるけど、もし本気で党を割ったとしても1/4もついてこないでしょう? なもんだから“与党内野党”になると割り切って、ありとあらゆる手管を使って議事運営を邪魔する気マンマンだろうね。自民党にしてみれば内ゲバを生暖かく見守りながら、「生かさず殺さず」で落選高齢候補に引導を渡す時間稼ぎをしていれば、次の総選挙で政権奪取できるでしょう。逆にクリスマス解散なんてされたら本当に解党しかねない。

小沢が幹事長のとき政調を廃止して強権的に議事運営していたけど、往年の自民党以上に思想的なふり幅の大きい選挙互助会政党――党是を作れば分裂しかねないから、未だに党是がない――だから、ある意味で必要悪に近かった。で、この手法に明確なNOを突きつけ、党議拘束すら反対してきた仙石&前原が“与党内与党”になった今日、“与党内野党”になった小沢一派が議事運営に一切協力しなくなったら、いったいどうする気なのかね?

多分、半分以上本気で党を割ってもらいたいんだろうし、マスコミも小沢派の妨害で議事運営がストップしたら、「政界再編ktkr」となって煽りに煽りまくるんだろうけど、民主党の票田(業界団体票と労組票)を握っているのは小沢派(&横路)だからね。これがなかったら政権交代はありえなかったわけだし。

ともあれ、これで手前が一番恐れていた民公連立の芽はなくなった――さすがにレッドカードを突きつけた菅と連立するような食言はできんでしょう。仙石の政策秘書の問題だってあるし――ようだし、外国人地方参政権付与法案が日の目を見る可能性も少しは遠ざかった。そして多分、来年の地方統一選で民主党が勝てる芽も限りなく小さくなったといっていいんでしょう。菅内閣の下で「景気回復、財政改善、沖縄問題円満解決、領土問題解決」みたいなヒトラーレベルの魔術的な政権運営ができれば勝てるだろうけど、曲がりなりにも挙党一致体制だった小鳩体制ですら何一つ解決できなかった問題を、「参議院のねじれ&“与党内野党”」を抱えるなかで解決できるなんてお花畑なハナシがあるわけないんでね。

2010年9月16日木曜日

デフォルトでネガなのが中日ファンクオリティ

昨日も勝って9月は11勝1敗1分。ようやく負け数を阪神とタイに戻した。例のごとく80勝ラインで見ていくと、

・中日:5勝5敗
・巨人:9勝6敗
・阪神:12勝5敗

となる。苦手としている神宮のヤクルト戦が3つ残っているものの、いまのチーム状態から見れば残り10試合をタイで凌ぐのは難しい話ではない。そうなると阪神は13勝しなければならないし(直接対決で中日に負け越しているため、80勝で並ぶと中日優勝)、巨人が中日を勝率で上回るためには11勝4敗(82勝)する必要がある。つまり、日本プロ野球界の常識から見れば、リーグ優勝はほぼ手中にしたといっていい。

でもここで阪神ファンみたく「Vやねん!」とか浮かれていられないのが中日ファンクオリティなわけで……。

「ヤクルトに3タテされたらどうするよ!」
「いや、ナゴドで阪神に3タテされるかも」
「ヤクルト、阪神で6敗したら最高で79勝。巨人が10勝5敗で凌いだら逆転される!」

と、いらぬ心配ばかりして夜も寝られないわけですよ。ええ。

しかし、改めて振り返ってみると9月の成績は本当に出来過ぎだなぁ。阪神にしても広島にしても、大事なところで“やらかし”てくるけど、この“やらかし”をほぼ100%点に繋げる抜け目なさ――レギュラーを固定しているため“野球勘”が良く働き、アクシデントにも慌てず対応できる。要するに「野球を知っている」選手が多いということ――と、ここまでどんなに苦しくても浅尾拓也投手と高橋聡文投手というリリーフ2枚看板を、同点の場面で使わずに徹底して勝ち試合だけに使ってきたことが今の好循環を生んでいるんだろう。でも、こういうことは負けているときには中々目に見えないものなぁ。

6~7月の絶望も全部今日のためにあったということか。04年と並ぶほどの貧弱な戦力でここまで戦っている落合博満監督は、ホント、名将だと思いますよ。

2010年9月15日水曜日

ようやく復旧

いろいろあってようやく復旧。最低限のデータはサルベージできたけど、連絡先とかしこしこ買っていたiTunesの曲とか王心凌フォルダとかも全部おしゃか。あと、10年以上学習し続けてきてとても知的になっていたIMEもダメに。やっぱりセカンドマシンをそろえなきゃダメだね。

業務連絡:現在は平常運転中です。連絡先もいつものアドレスでお願いします。

2010年9月14日火曜日

DH、カラクリドーム、飛ぶボール

【プロ野球】なぜセ・リーグはエースが育たないのか?

結局、「DH制度の有無」しか理由はないんじゃないの? ダルビッシュ有投手が投げていても田中将大投手が投げていても、DH制度のない環境で接戦になっていたら迷わず代打を出されるでしょうよ。

あと考えられるのは「東京ドーム、横浜球場の有無」。飛ばせばHRという投手泣かせの球場がパリーグにはないからね。もう一つ言えば、12球団で最も豊富な才能が集まる巨人の野球が、伝統的にボールを多用する野球であることも大きな理由でしょう。「カウント2-0になったら1球外さないと罰金」というチームなので、パリーグのエースみたいに3球勝負できないし。

つまり、本来、球界のエースになれるはずの才能(内海哲也投手など)が、常にホームランに脅えつつこうした方針に忠実に則って丁寧に攻めた結果、5~6回で100球を超えてしまう――1人討ち取るのに「フルカウント&数本のファール」で7~8球必要となり、結果、1イニング20球=5イニング100球超となってしまう――ということ。

逆に言えば、東京ドームをホームにしながら当たり前のように2ケタ勝利&防御率2~3点台を記録し続けていた入団5~6年目くらいまでの上原浩治投手は、間違いなく当時における日本一の投手――当時の松坂大輔投手よりも上――だったってことですよ。コントロールと実績(多分、上原投手だけは「3球勝負で罰金」の例外だったんでしょう)にモノを言わせて平気で3球勝負をしてたしね。

で、来年は飛ぶボール規制がスタートするので、多分、エースが現れてくるものと思います。上位3チームとも中継ぎを酷使しているので、来年は使い潰されて戦力にならないから継投に頼れなくなっているという事情もあるだろうから、完投する投手は今年よりも増えてくるんじゃないでしょうかね。

2010年9月13日月曜日

いま、シャレにならないくらい雷が凄い

何かTVがときどきチラチラするし、救急車が走ってるし……。この暑さで停電したら眠れないし、仕事もできないよ。

優勝への壁を一つ突き抜けたのかな?

ホームで最下位チーム相手とはいえ、正直望外の3タテ。阪神も適当に負けてくれたし――アウェイ3連戦で藤川球児投手を酷使させたことが良い布石になった!――、これで次のアウェー6戦(広島、ヤクルト)は、負け越さなければどうにかなるメドがついた。4勝2敗でいければほぼ王手確定だけど神宮のヤクルトは苦手だからなぁ……。

例のごとく80勝ラインで見ていくと、

・中日は7勝5敗
・阪神は12勝7敗

が必要。連勝続きでそろそろ負けそうなタイミングではあるものの、12戦で2つの勝ち越しであれば無理なくできるレベル。しかも、80勝で阪神と並んだ場合は直接対決で阪神に勝っている中日が優勝という規定なので、「中日が80勝したら、阪神は13勝6敗で乗り切らないと優勝できない」ことになる。巨人戦を5つも残し、中継ぎが不安で、かつ藤川投手を酷使し過ぎた現在の阪神にとっては相当高いハードルだろう。

といっても、上記のハナシは全部が全部、「ナゴヤドームの阪神戦(残り3戦)を全部勝つ」ことが前提のこと。いくらホームで強くても絶対にできる保証はない。というわけで広島、ヤクルトで少しでも貯金を稼いでほしいなぁ。

2010年9月12日日曜日

私家版・兵頭二十八の読み方:その10

**「私家版・兵頭二十八の読み方」のエントリでは、日本で唯一の軍学者である兵頭二十八師の著作を、独断と偏見を持って紹介します**

『別冊正論Extra.13』に兵頭二十八師の論文が掲載されています。タイトルとリード、中見出しは以下の通り。

~~~~~~~~~~~~~~~

『米国人がなぜ日本人を信じないのかを知れ』
・集団安保の必要を理性で理解し、条約を尊重する言語理性があれば、日本が核武装しようとも米国の指導者層は妨害しない。自省すべきは何か。公務員の国家叛逆や売国、あらゆる公的な嘘・ごまかしを日本人にのみ推奨するマック法典が日本をダメにしている。

●米国に対日不快視はあっても敵視はなかった
●隣国人の悪徳を英語で暴露し続ける仕事を政府は怠るな
●嘘つきと不正確な言論は「不自由」のはじまり
●国防強化策なら「フォース・マルチプライヤー」を考えよ

~~~~~~~~~~~~~~~

結論から言うと、「これ一本のために1000円出しても悔いなし」です。

実のところ今月の収入が前月比50%減で、税金、保険料どころか食費もままならなさそうで「その出費は、どうだろうか?」という状況にも関わらず、1000円もの現生を散財していて大丈夫なのか? と思わなくもないんですが、近所の図書館に入ってないから立ち読みで済ませようと思ったものの読んでいるうちに「これは買わねば!」と思い久しぶりに衝動買いしてしまったもんだからしょうがない。

ともあれ、他に読むべき論文はほとんどない――正直、10年前と同じようなことをうつまでもぐちぐち言い続けている反米右翼の戯言ばかり。再掲も多いしね。個人的にちょっと面白かったのは東谷暁氏の『戦後日本には「疾病利得」しなかいか―内田樹という病理』くらい――ので、正直、手前的にはコストパフォーマンスが物凄く悪かったのですが、それでも兵頭師の論文のおかげで、「まぁ、新刊とか講演のダイジェストと思えば1000円出しても損ってこたぁねぇか」と救われましたよ。念のために言っておくと、反米右翼な人とか、保守論壇の議論が好きでしょうがない人には「兵頭師の論文以外は全てオススメ」です。なぜかというと、特集号のタイトルが『日米「宿命」の対決――日本の根本課題がここにある」にも関わらず、兵頭師の論文だけが初手からタイトルと正反対のことを主張しているからです。

「『日米戦争』は、終わったのである」
「そもそも日米両国は、宿命的な競争・対立関係に置かれたことはなく、今も置かれていない。なぜなら日本には、EU諸国並の強国の潜在力は備わっていても、米国や旧ソ連並の超大国になれる条件がないからだ」(219頁)

と、最初からクライマックスだぜ! な書き出しで初手からちゃぶ台返しをするさまは、10年近く前の『日本の論点』で「徴兵制」の項目の執筆を任されたものの、「いまどきオレに徴兵制肯定論を書かせようなんて、文芸春秋編集部はバカなのか? これから現代日本に徴兵制がいかに必要ないかキッチリ論証してやるわぁ!(大意)」と華々しくケンカを売っていた頃を思い出して、そこにシビれる! あこがれるゥ!

といっても、ちゃぶ台返しをしているのはあくまでもタイトルの前半部『日米「宿命」の対決』だけで、後半部の『日本の根本課題がここにある』については、しっかりと書き切っています。詳しい内容については是非、手にとって読んでください。

2010年9月11日土曜日

山本昌、「133キロ怪速球」:その3

古手のOBの多くは「昔の野球の方がレベルが高かった」と言いたがるものだが、すでに中堅のOBと同じくらいの年齢である山本昌投手は、こうした意見には明確に異を唱えている。

「『体が強くて壊れない人』だけが勝ち残ったのが、昔の野球界。今は『みんなを救える時代』である。『壊す確率』は間違いなく今の方が少ない。ぶっ倒れるまで走っていた、それで壊れるのは弱いヤツという時代から、ゲームでの動きを意識したトレーニングを徹底している」
「そこは一長一短なのである。『強くする』ことだけを目的にすれば、昔の方法が優れている。だけど、度を超すと故障につながる。そのさじ加減が、昔は誰もわからなかったし、わかろうともしていなかった」(184~185頁)

このように昔の野球と今の野球の比較や、自らの経験に照らして語る野球論は類書にはない面白さがある。一流と二流のレベルの違いに関する山本昌投手の見解は以下の通りだ。

「プロ野球に入ってくるような選手なら、まず『絶好調ならみんな必ず勝てる』といい切れる。ファームのローテーションに入っている選手なら、運不運は抜きにすればまず白星を手に入れられるだろう。だけど、真理はこうだ」
「『一軍と二軍の決定的な違いは『平均点』の差にある』」
「たとえば、川上憲伸は悪くても勝つ。それが『平均点』。好調時に勝つのはいわば当たり前ということだ」
「理論という名のよりどころをもった選手、打者の確率をほんのわずかでも下げられる選手、不利なカウントでも勝負できる球種をもった選手。これが平均点が高いということだ。100球のうち50球ストライクを投げられる投手と、60球の投手ではやはり技術に差がある」(216~217頁)

言われてみれば当たり前のことであり、ある程度プロ野球を見てきたファンであれば何となく承知していることでもあろう。しかし、誰よりも長く現役生活を送ってきた選手が敢えて断言している事実は重いものだ。しばらく連敗が続いたチームのコーチの中には、「うちにはイキの良いピッチャーがいない」などと平気で言う、まるで無責任なファンのような者もいるが、こうした愚痴がいかに的外れであることか。

このような無責任な愚痴への回答は、山本昌投手の言葉に従うなら「ファームでローテを張っているピッチャーの実力をフルに発揮させる環境を整える」「『平均点』こそすぐに向上できなくても、調子の良し悪しを見極めて一軍に上げる」だけで良いということだ。えこひいきをせずまじめに仕事に取り組んでいれば、こうしたことを実行するのはそこまで難しいものではないのではないか? もしできない――20~30人の集団を率いるリーダーシップがないか、投手の調子を見る眼がない――のであれば、それは単に無能ということだろう。

このほかにも「とても勝てないライバル」だった近藤真一と「健全なライバル」だった今中慎二との関係や、涙なしにはアイク生原との邂逅と別れ、10.8の記憶――と、新書ながら読みどころの多い本。山本昌投手のことをまったく知らない人にはもちろんのこと、山本昌投手に関する“基礎教養”のある人にも、それを再確認する意味で読むことをオススメしたい。

2010年9月10日金曜日

もうお腹一杯!

あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
『おれはワンアウト満塁でサヨナラと
思ったらいつのまにかライトの守備に投手が就いていた』

な…何を言ってるのか わからねーと思うが
おれも何をされたのかわからなかった

頭がどうにかなりそうだった…
アニキの顔面ブロックだとか大和のルンバワロスだとか
そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ

もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…

――ブラゼル退場の結果↓

1 投 藤川球児
2 左 平野恵一
3 遊 鳥谷敬
4 三 新井貴浩
5 右 西村憲
6 一 浅井良
7 二 大和
8 中 藤川俊介
9 捕 小宮山慎二

(二右左右左右左)  平野
右左右左右 西村
(中右左中) 藤川俊

~~~~~~~~~~~~~~~

というわけで、10年……いや20年に1度くらいのお笑い試合の結果、天王山の3連戦は1勝1敗1分けで終了。優勝争いから完全脱落というわけでもないにせよ自力優勝はなくなってしまったわけで。まぁ、負けなくて良かったってとこでしょうか。選手一人一人について言いたいことは山ほどありますが、一々あげつらっていたらキリがないものね。というか、いろんな意味でいいものを見せてもらった結果、もう、呆れるとか腹が立つとかいう境地を超えて、どうでも良くなっているのが正直なところですよ。3連戦の唯一の収穫は、藤川球児投手を酷使させたことくらいでしょうかね?

2010年9月9日木曜日

山本昌、「133キロ怪速球」:その2

同書のなかで最も興味深いポイントは、歴代監督について書いているパートだろう。「第5章:わが師の教え」より、星野仙一監督、高木守道監督、山田久志監督、落合博満監督に対する見解を読書メモ風に紹介してみたい。

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◆燃える男は情の人――星野仙一(133頁~)
・一言で言えば『情』の人。感情、激情、温情、情熱……。少なくとも鉄拳は飛んできた。私生活や練習態度などで殴られることはなかったが、打たれたときには殴られた。

・「ノーアウトから打たれるとはなにごとや!」「ワンアウトから打たれただと!」「ツーアウトから打たれるとは詰めが甘いんじゃ!」――要するに打たれたらいつだって叱られた。

・中村武志と並ぶ『叱られ役』だったが、怒られて一人前になった。それに最後は使ってくれた。怒られたことなど「枝葉」にすぎない。試合に使ってくれることに勝るフォローはない。

・初勝利の監督賞は34万円。リリーフで挙げた勝利なのに、当時の月給を遥かに超える額だった。結婚式の祝儀も同じ金額。もっと背番号が大きかったら? そんなこと恐れ多くて考えられません!

◆選手の自立を促す――高木守道(139頁~)
・初めて大人扱いしてくれた監督で、最も喜ぶ顔が見たいと思った監督。どんなに打たれても叱責されたことはなかった。自立したいと思う時期に自立させてくれた監督。

・選手に一度たりとも嫌な思いをさせなかった監督だが、昔からよく知る人は「本当はすごく短気な人」と口をそろえる。

◆厳しさと愛情の指揮官――山田久志(142頁~)
・投手には厳しい監督だった。そして実に投手のランニングにうるさい人だった。そこにベテランも若手も区別しない監督でもあった。34歳で本来なら“配慮”される年齢だったが特権はなかった。それこそが本物の「愛情」なのだが、当時の自分は完全に理解していただろうか?

・“山田元年”の02年、引退を考えたことがある。球宴までに2勝、6~7月終わりまでファーム暮らしで、本来やるべきランニングもサボった。後半戦8試合で5勝して現役を続行したが、これがなかったら自暴自棄で引退していたかも知れない。

・あの頃の球界には「投手35歳定年説」のような風潮があった。それなのに本当に愛情あふれる接し方をしれくれた。あの年で終わらず、現役生活を続けられたのは山田監督の「走れ」にあったと思っている。

◆日本一の“野球眼”――落合博満(145頁)
・91年のシーズン、未勝利のまま4月を終えようとしていた試合で、落合さんはこんな言葉をかけてきた。「おい、きょうはオレが打って勝たせてやるよ」。その夜は本塁打を含む4打数4安打、6打点。

・ピンチになるとふらりとマウンドにやってきては、実に的確な言葉をかけてくれる。ピンチに焦っていればハッと我にかえるような……激励というより極めて基本的な内容。誰もがわかっているけどピンチに取り乱している投手にはわかっていない、そんな部分を指摘してくれた。

・落合博満監督には今でも感謝している言葉がある。「年齢はグラウンドに立てば関係ない。ひとつでも多くのアウトをとれるやつを、オレは使う。力のあるやつが、このグラウンドに立つことができるんだ」。

・“野球眼”は本当にすごい。監督としてもマウンドに来るが、そこでたまに「予言」めいたことをいう。これが実によく的中する。大げさでなく神がかり的。

~~~~~~~~~~~~~~~

山田監督と折り合いが悪い選手が数多くいた――という話はちらほら聞こえていたが、山﨑武司選手のように真相を明け透けに語るのではなく、あくまでも真相をうっすらと撫でるように書いて納めているところは、人間ができているということなのだろう。落合英二や井上一樹が自伝を書いたならどのような内容になるのか? 純粋に下世話な好奇心だけでいうならば猛烈に読んでみたい。

追記:小沢、不倫スキャンダル…浴衣姿の青木愛とラブラブ!?

あんまり下品なことはいいたくないけど一言だけ。青木愛、福田衣里子、中本奈緒子(参院選静岡選挙区候補)と見ていくと、小沢の女の好みはブレてないね。ブルック・シールズ、柏原芳江が好きだった皇太子と同じくらい一貫しているよなぁ。

2010年9月8日水曜日

山本昌、「133キロ怪速球」:その1

今年無傷の4勝。春先からどうにも乗り切れなかった2010年の中日ドラゴンズに現れた“45歳のラッキーボーイ”である山本昌投手。『133キロ怪速球』(ベースボール・マガジン新書)は山本昌投手の初めての自伝だ。

目次は以下の通り。

・第一章:投手としてのこだわり
・第二章:野球人生のスタート
・第三章:転機――米国野球留学
・第四章:プレッシャーとの付き合い方
・第五章:わが師の教え
・第六章:「遊び心」を磨く
・第七章:正しい努力の方法

内容的には、自身のホームページ(Way to Win)や「湘南の快男児」などと重複するものが多く、新味のあるものではない。「スクリューボールの師はフェルナンド・バレンズエラではなく、スパグニョーロという出稼ぎ内野手」とか「星野監督に『全力で投げてみろ』といわれ、『これが精一杯なんです』と答えて呆れられた」といったエピソードは、山本昌投手のファンにとっては“基礎教養”といったところだろう。

同書の大部分はこうした“基礎教養”で占められているが、それ以外のエピソードも少なからず紹介されている。その一つがタイトルの由来であり、山本昌投手が現役を続ける一つの基準<133キロ怪速球>の意味について解説している点だろう。

「さて、大好きな見逃し三振を奪うそのストレートであるが、僕はこんな言葉を口にしたことがある」
「『全力で投げて133キロが出なくなったら、引退する』」
「これはある意味、本心である。そして、今もそう思っている。『たいして速くないじゃないか』と思われるかもしれないが、僕にとってはこれが引き際の“ライン”なのだ」
「133キロへのこだわり。なんとも中途半端な球速ではあるが、僕の経験則からはじき出している。これだけのスピードさえあれば、ストレート勝負ができる。逆にいえば、これ以上の速さが出ているうちは、僕は現役を退きたくないし、ストレートで打者と勝負できるということになる」(27~28頁)

プロ27年目のベテランが語る経験則だけに無条件で信じたくなるが、この「左投手の133km/hは、プロの第一線で通用する最低ライン」という基準についていえば、ある程度客観的な証拠も存在する。例のごとく落合博満の証言を引いてみよう。

「本格派サウスポーの投げる145キロのボールの威力は、球質や角度などから総合的に判断すると、右投手の150~155キロに匹敵する」(『プロフェッショナル』145頁)

つまり、左投手のストレートは右投手のそれと比べると体感速度で5~10km/h早く感じるということ。右打者にとって左投手のストレートが早く感じるということは、TV解説などでも良く言われることで(例:中畑清、山本浩二など)、落合の専売特許ではない。その理由については諸説あるが明確なものは何一つない。ただ、多くの選手やOBが同じように証言している以上、「左投手のストレートは右打者にとって早く感じる」ことは真実なのだろう。

そのうえで、ストレートにどれだけのスピードがあれば一線級で戦えるのかについては、中日移籍当時の西本聖を引き合いに出して、「コントロールが良ければ130km/h後半で十分」という。

「前にも書いたと思うが、ピッチングの基本は、真っすぐなのである。どれだけ真っすぐに力があるかで、ほかのボールが生きてきたり、死んでしまったりするのである」
「(都築注:中日移籍当時の西本聖について)このころの彼は、そこそこの真っすぐをほうっていた。一三〇キロ後半のスピードが出ていたのではなかったか。これだけの真っすぐをもっていたから、彼のシュートはさえわたったのである」(『勝利の方程式』97~98頁)

以上の落合の証言を照らし合わせてみると、山本昌投手の言う<133キロ怪速球>は、落合の指摘する「プロの一線級で通用する最低限のスピード=130km/h後半」に相当するということだろう。三度の三冠王と最後の200勝投手というレジェンドが、ともに同じような指摘をしていることを考えれば、少なくとも21世紀初頭の日本プロ野球においては「右投手は130km/h後半、左投手は130km/h超の良くコントロールされたストレート」があれば、プロの第一線で通用すると断じて良いのではないだろうか。
(つづく)





2010年9月7日火曜日

*読書メモ:トムラウシ遭難はなぜ起きたのか

以下、同書「第4章:低体温症(金田正樹)」(150頁~)より抜粋。

体温34℃の段階で震えが激しくなった頃には、すでに脳における酸素不足で判断能力が鈍くなっている。そのため本人、周囲に低体温症の知識がなければ、何が起きているか把握できないまま回復を遅らせてしまうことになる。

身体がガタガタ震えているときに「眠気」がくる理由は、食後に「眠気」がくる理由と同じ。食後は消化器官に血液が集まり、酸素を消費する。血液量は一定なので、脳に行く血液は少なくなる。このために「眠気」がくる。低体温症時の震えは、全身の骨格筋を不随的に激しく収縮させて熱を作り出す現象。熱の産生を最大優先し、筋肉に血液量を増やすため脳血流が減らされて「眠気」がくる。

トムラウシ遭難事件では、低体温症の症状により早期から脳障害を発症することがわかった。低体温によって言語を発する抑制がとれ、自分の意志とは関係ない奇声、意味不明な言語、呂律の回らない言い方、赤ちゃん言葉などを発している。

北沼分岐で待機していた14名はすでに低体温症になっていたが、出発に際してしゃがんだ状態から立ち上がって歩き出した瞬間から、その症状が急激に悪化した。「意識が朦朧とする」「つまずいて歩けなかった」「左右の区別ができない」「意識が飛ぶような感覚だった」と表現している。

静止状態から運動状態になったときに、冷たい血液が体内に一気に流れ、脳や筋肉が機能障害に陥ったのだろう。ここで体温は34℃から33℃に加速的に下がっていったものと思われる。この待機から再出発した人たちのうち6人がわずか数キロのあいだで亡くなったことは、強風雨下に無防備で止まっていたことが、いかに急速に体温を下げたかを物語っている。

低体温症を発症して動けない客に付き添ってビバークしようとしたツアーガイドが死亡しているが、現場は岩がゴロゴロした吹きさらしの場所で、とてもプロの登山ガイドがビバーク地として選ぶ場所ではなかった(都築注~彼に知識がなかったのではなく、低体温症を発症していて著しく判断力が減退していたのだろう)。

同じ日に同じ場所から出発し、トムラウシ温泉に向かった伊豆ハイキングクラブ(男性2名、女性4名)は13時間後、無事到着した。しかし、途中で1名が低体温症になっていた。ロックガーデン付近で遭難パーティを追い越すが、この時点で寒さで震えを感じ、時には「眠気」を伴うようになった。転倒を繰り返しながら歩いたが、トムラウシ分岐を過ぎた頃からひとりの女性の歩き方がよろよろしだす。仲間も支えきれないほどだったが、本人の自覚は全くなく、震えもなかったという。

夢遊病者のような歩き方で、受け答えも無関心でスローだったため、休憩をとり、カロリーメイトを食べ、お湯を5杯のみ、ダウンジャケットを着る。ここからは2人の男性に解除されるような格好で下山する。前トム平からコマドリ沢への下降のころには体調も戻り、足取りがしっかりしていた。

症状から推測すると、体温は34℃もしくはそれ以下だったろう。山中で回復できるぎりぎりの体温で、条件によってはそれから危険な状態になっていたかもしれない。脳症状が先にきて、熱産生のための震えが来ていないことも大きな特徴。一歩間違えば、このパーティも遭難していただろう。周到な準備、仲間意識、前日の短い行程による体力温存、短い休憩などが、無事下山できた理由と思われる。

低体温症が起きる原因について、当初は雨で衣服が濡れ、それに強風が加わることで体温が奪われたものと考えられていた。しかし、遭難パーティ、伊豆ハイキングクラブとも衣服がびしょ濡れだったと証言した人は意外に少なかった。

そこで事故調査委員会が最も注目したのは、悪天候のなかでヒサゴ沼避難小屋からトムラウシ温泉まで12.5km、10時間の行程に十分なエネルギー補給を行なっていたか否かという点だった。

結果は、初日から遭難当日までの栄養摂取は決して十分ではなかったということ。この点が低体温症に結びつく重要なポイントになったと考えた。悪天候時の行動には多くのエネルギーを消費するために、晴天時よりもご飯、パンなどの炭水化物をとる必要がある。しかし、軽量化を重視したインスタント食品はそのカロリーが少なく、強風に耐えるだけの運動エネルギーと低体温に対する熱エネルギーになるだけのものがなかった。防寒・防風対策の装備以前に、この問題が低体温症の第一の要因になったと考えるべきだ。

低体温症については、自覚症状を見出すよりは「この環境なら低体温症になるかも知れない」という認識が重要。個人の装備、体力などは異なるので、この天候なら低体温症になるとは断定できない。過去の夏山での低体温症の例を見ると、雨、気温10℃以下、風速10m以上の天候で起こっている。しかし、登山者の条件によっては、これより天候が良くても起こり得るだろう。風、湿度、栄養状態、ウェアの条件で誰でもなる危険性があると認識すべきだ。

いわゆる「疲労凍死」については、事故調査はほとんど行なわれていない。その意味で、今回のトムラウシ遭難の調査は意義が大きい。

感想:大量遭難を描いた迫真のレポートもさることながら、気象状況や低体温症、運動生理学などの専門分野について、「一般的な知識」「登山との関係」「トムラウシ遭難との関係」「必要な対策と準備」を、手前のような登山未経験者にもわかりやすく解説しているところが素晴らしい。共著者は全員がその分野のプロにして登山経験者。山岳会に加盟している登山経験者には耳にタコな話なのかも知れないが、“ツアー登山”を考えている人、実際に“ツアー登山”に行っている人は必読の本だろう。

2010年9月6日月曜日

ゲームオーバー

とは、昨日の試合終了に際してのNHK実況の言葉。ゲームセットではなくゲームオーバーと言ってしまったのは、昨日ナドヤドームで9連敗したチームが優勝争いから事実上脱落したことを示唆したってことかね? 優勝ラインを80勝とすると――

・阪神:14勝11敗
・中日:11勝7敗
・巨人:15勝7敗

――だから、現時点ではちょっと勝ち越せばノルマを達成できる阪神が圧倒的に有利。中日はしばらく2勝1敗ペースを維持することが絶対条件なのでちょっと難しい。巨人は残り試合全てで2勝1敗ペースを維持しなければならないので絶望的――ってところでしょう。

まぁ、敵地とはいえ、こう無様に負けてしまっては「切り替えていく」ってわけにはいかないものね。だいいち切り替えたところで次はないんだし。てか、切り替える前に事前にきちんと対策を練っておけと。

いや、こうやって余裕ぶっこいてるけど、こっちだって和田一浩選手以外湿りっぱなしの打線だからね。ちょっと流れが変わっていたら負け越していた可能性もあったわけで……。といっても、得失点差がマイナスにも関わらず首位を0.5差で追いかけるような名将が監督をやっているので3連敗ってことはなかっただろうけど。

さて、明日からは竜虎決戦にして首位対決だ。ノルマは勝ち越し。一応表ローテだし、リリーフも適度に投げて適度に休んでいるし、敵地といってもスカイマーク神戸で2試合やるので少しは楽だろうから、ここは絶対に勝ち越してほしい。てか、勝ち越せなきゃ優勝はない。文字通り天王山。今週は私事とか仕事とかで珍しく色々とありそうで、3連戦ともまともにTV観戦できなさそうだけど、出先であろうが車のなかであろうが心の中では【ニコニコ動画】『ぶっちぎりの青春』を歌いまくりですよ! 打て打て打て打て打って打って打ちまくれですよ!

追記:[2010.09.05] ドアラ バク転チャレンジ@リプレイ満載 N○Kスペシャル

2010年9月5日日曜日

これで来年も落合監督が見られそうだ

昨日の山本昌投手は本当に素晴らしかった。交流戦が終わったときには本当に意気消沈して、「ラッキーボーイが出てこねぇかなぁ」ってグチをこぼしていたものだけど、出てきたね、45歳のラッキーボーイが! まるで88年の再来……ってポーラ・アブドゥルが新人だった頃からずぅーっと第一線で活躍してるんだものなぁ。しかも常に二番手として。その間のエースは今中慎二、野口茂樹、川上憲伸投手(彼は“エースさま”だけど)、吉見一起投手(彼は“エースさま未満”だけど)と4世代も代替わりしてるものね。

昨日勝ったことで巨人に対して年間勝ち越しが確定したので、落合博満監督は白井オーナーとの3つの約束――リーグ優勝、巨人への勝ち越し、マスコミ対応の強化――のうち2つを達成したわけだけど、もしこの3連戦で負け越してしまったら<今年でクビ>になる可能性もあったんでしょう。実際、ここで負け越したら優勝はほぼ絶望的だし。

それもこれも、昨日巨人に勝って阪神も負けたことで、「3連戦の勝ち越し確定」「仮に今日負けても優勝の可能性は十分ある」という位置につけられたので、<今年でクビ>になることは99%なくなったといっていいのではないでしょうか。昨日、一昨日とドームは満杯だし、巨人との最後の直接対決で勝ち越しを決めたことで、ファンにもフロントにも随分と好印象を与えたみたいだし。

ともあれ、首位と0.5差といっても負け数と残り試合を考えたら3~4ゲーム差はあると考えなきゃならないだろうし、優勝ラインであろう80勝までは12勝7敗の成績が必要なので、やっぱり下手に負けてはいられない。というわけで中田賢一投手、今日は頼んだぞ!

2010年9月4日土曜日

10歳はサバを読んでるハズ!

山本昌投手完封キタ━(゚∀゚)━!!!!!
凄すぎる凄すぎる凄すぎる! これで無傷の4勝とか。絶対にサバ読んでるだろ!

大晦日には「菅の方が良かった」と言ってるんだろうなぁ

いまの若者はけしからん! というのは古代エジプトの古文書に書いてあったこと――メソポタミア時代の粘土板に書かれていたというハナシもあるけど、未だにキッチリとしたソースを見たことがない。小林登志子氏の名著『シュメル――人類最古の文明』にも当該エピソードはなかったし――というのが真実か否かはわかりませんが、ともあれ昔から言われてきたことであることは間違いないのでしょう。

こういうことを口にする人間の半分くらいは、心底、「昔は良かった」と思っているのかもしれませんが、手前も含めた残りの半分くらいは、昔より今の方がよくなっていることが多いことを自覚しつつも、過去に対する憧憬(若い頃は何事も初めて体験するものであって、何でも輝いて見えるものだし)と、すれっからしで何事にも不感症になってしまった現状とを、ついつい客観的に比較せず「昔は良かった」と感じているものではないでしょうか。

要するに、「わかっちゃいるけど、過去を思って今の不遇を慰めたいよ」ということ。Whitesnakeのデヴィッド・カヴァデールは、85年にDeep Purpleが再結成したとき、自分に一言も声が掛けられなかったことに気分を害して、「過去を思うのはいいが、過去に生きたくはない」という大名言を残しましたが、これは全面的に正しいと思うのですよ。もっともカヴァデールは、87年に過去の曲をカバーして食言。結局、これが大ヒットして第一線に復活したんですが……。

菅vs小沢の対決は、ニッカ、サントリー、オールドパーの頃から三角大福中、安竹小とか金竹小、軍人凡人変人の頃と比べても著しくレベルが低い――そもそも21世紀になってから何度同じ人間が復辟するのか?――と思うし、そのレベルの低さを一々あげつらうのも面倒くさいと思うし、こう思うのも「昔は良かった」補正で過去を美化して現状を貶めているだけでもないのではないかとも思います。

でも、結局のところしばらくは総選挙がないこと、数千円払って民主党員になって投票したところでほとんど意味がないことを考えると、報道されるニュースに一々心を動かされるのは人間ができていないということなんでしょう。何を言ったところでいまあるモノで凌がなきゃならないわけで、菅と小沢がダメだからといってその代わりが海江田、前原、岡田、原口、田中真紀子とかであることを考えたら、「もしかして菅、小沢の方が良かったかも」と感じるのは必然だろうし。

1年前に週刊朝日が書いたようなバラ色の未来はこないし、自民党のように“そこそこの善政”を敷くことも期待できない政権に対して何かアクションを起こすとすれば、来年の統一地方選挙で、自民党候補に投票することくらいでしょうか。






2010年9月3日金曜日

天王山とはいわないけど「敗北即V逸」の三連戦

攻撃陣がgdgdでも勝ち、マエケンを出されても勝ち、残りの試合でも勝ちで、結局、対広島戦9連勝。首位との差を2.5のままで離されずに、いよいよ巨人との最後の直接対決。吉見一起投手が意地――このあいだの試合があまりにも無様だったので、手前の中では“エースさま”ですらないけど――を見せて、山本昌投手がアメリカ帰りのときのような大活躍をして、中田賢一投手が本来の実力で押さえ込む、という展開で3タテしてもらわないとなぁ。

ここまで来たら「敗北即V逸」なので、何としても勝ってもらいたい。幸いマキシモ・ネルソン投手が完封してくれたのでリリーフ三本柱は一休みできたし、何よりナゴヤドームだからね。これで3タテが無理ゲーなら、CSに出たとしても勝ち抜けるわけがないんで。てか、河原純一投手は結局今季出番ナシってことか。高橋聡文投手が年間通して調子が良いから“穴”が目立ってないけど、彼に代わる投手が出てこないのがねぇ。あと1枚、1点差でも信頼できる投手が入れば、楽に勝てるんだけどなぁ。

中日新聞の『読む野球』(落合博満監督の連載)によれば、「ドラフト、FA、トレード、外国人。オフは今までのような無風状態ではない」とのことだから、多分、前に書いたようなトレードもあるんでしょう。でも、外野手はイイのが獲れてたとしても信頼できるリリーフは引く手数多だから、トレードで獲るのは難しいだろうね。

2010年9月2日木曜日

菅に知性を求めるのは無茶なことだね

代表選は「西南戦争」=小沢氏排除で政権交代完結?-菅首相

なんで菅は、こう安易に歴史上の人物とか団体になぞらえてハナシをしたがるかね? 過去の偉人になぞらえたところで、自分自身がパワーアップできるわけでもなかろうに。

「政権交代以降、西郷さんはああいう末路を迎えた。これが大事だ」

手前は多分、日本で三番目くらいに小沢一郎が大嫌いだけど、これはヒドイ言い草。失礼にもほどがある。還暦過ぎてこれだけ無神経で無学で軽率なんだから、もうどうにもならんだろうね、てか、そもそも奇兵隊とか高杉晋作とか言ってたのは誰だよ? 

日本人なんだから『春秋左氏伝』とか『キケロ選集』とかから引用しろとは言わないけど、こういう一昔前の『週刊ダイヤモンド』的なセンスの奴に日本を任せたくはないわな。要するに「織田信長に学ぶ改革術」とか「西郷南州に学ぶ人心掌握術」とかで童門冬二(笑)あたりが書き散らしたコラムをありがたがって読むような知性の持ち主ってことだからね。だからといって小沢に日本を任せるのも絶対にゴメンだけど。



2010年9月1日水曜日

で、小沢の後は誰がやるの(笑)

①菅負ける→即、解散総選挙――菅党、小沢党、みんなの党、自民党が拮抗するカオス状態?
②菅負ける→小沢総理誕生――前原派、菅派大粛清。小勢力なので党を割るに割れない?
③菅負ける→総理・代表分離――小沢代表、菅総理。要職は全て小沢派。菅は操り人形?
④小沢負ける→来年度末、内閣不信任に賛同→菅総辞職。小沢派の誰かが総理に?
⑤小沢負ける→来年度末、内閣不信任に賛同→解散総選挙。菅党、小沢党劣勢?
⑥小沢負ける→党に止まる――一部要職に小沢派。菅は小沢派懐柔に回る?

出来レースだとすれば⑥が穏当だろうけど、小沢は重要局面では一度も下手なブラフをかまさず、足して二で割る妥協もしたことがない――都知事選も経世会分裂も新進党分裂も自自公連立離脱も、小沢の交渉相手はみんながみんな「あれはブラフ」「落とし処はココ」と思って交渉していたら、「本気だったのかよ……」と後悔することの繰り返しだった――ので、多分、本気で戦うつもりなんでしょう。

で、ガチで戦うとなれば⑥案では収まらないだろうから、結局、ここ1年くらいで政権運営に重大な支障が出てくる可能性が高いってことなんでしょう。もし、来年春までに解散なんてことになったら、自民党もみんなの党も政権交代できるだけの体制も支持も集められないだろうから、いずれにせよ社会主義陣営が政権を保持し続けるってことになるのかなぁ。

このまま小沢が勝ったとすれば間違いなく民公連立に奔走するんだろうけど、ガチで戦った後となれば、「民公連立はまかりならん!」なんて大義名分で前原派、菅派、野田派、岡田派が党を割って解散に追い込みかねないしね。彼らは100人に満たないし、抜けたところで議席的には問題ないかもしれないけど、民公連立を有名無実化するには十分な数だものね。

追記:それにしても政治評論家って凄いね。みんながみんな「菅・小沢対談をするということは、小沢は出馬しない!」だもの。小沢の出馬表明の4時間前に「100%ない(キリッ」なんて言ってた奴もいたし。今年の夏を「冷夏になる!」って断言した気象予報士よりヒドイ。