2015年12月11日金曜日

ザ・フラッシュは良かったけど、Arrowは……

・ザ・フラッシュ(S1):◎。ファーストインプレッションは、「これは間違いなく今年一番のドラマ。てか、SFドラマとしても史上屈指じゃねぇか!」。まぁ、視聴後しばらくたったいまでは、ここまで大絶賛することはありませんが、それでも今年観た海外ドラマのなかでは、『ナルコス』に匹敵する面白さであったと断言します。

「面白いといったって、所詮、スーパーヒーロードラマでしょ?」
「シーズン3がアレな出来だった『Arrow』のスピンオフだしねぇ……」

正直、観る前はこんな感じでナメていたわけですよ。でも、そのテイストは「『アメイジング・スパイダーマン』と『フリンジ』と『Dr.Who』を足して3じゃなくて2で割った」というもので、つまるところ手前の好きなものをてんこ盛りにしたドラマってことです。

あえて3ではなく2で割ったことには理由があります。それは「ストーリー展開が早く、シーズン全体の密度が高い」こと。実際、『Smallville』なら3シーズンくらいかけてやるようなことを、1シーズンで語り終えているわけです。それくらいトントンと話しが進むうえに、意外&容赦ない展開もあったりして、思いのほか先の読めず、「じゃぁ、次はどーなるんよ!?」と、次から次へとDVDを入れ替えてしまうと。

で、こういったストーリー展開の早いお話しであれば、多くの場合、人間関係やキャラの掘り下げが浅くなるものです。つまり、テンプレート通りの薄っぺらいキャラが、チェスの駒のように動くだけで、大筋では面白いけど、中身はゼロで心に何一つ残らないドラマになるってことです。この点、『フラッシュ』は、無駄な回顧や色恋沙汰を一切なくし、各キャラ、展開に必要不可欠なエピソードを厳選して深く掘り下げる手法をとっています。なので中身はスカスカどころか非常にタイトでみっしり詰まっているわけです。

唯一不満を言うなら、大切な人への「身バレ」がアッサリ過ぎたこと。手前の考えでは、スーパーヒーローもののお話しにおいては、「身バレ」こそが“華”なので――この点、『Smallville』は本当に素晴らしかった。シーズン5でラナにアレするシーンは、スーパーマン史上最高にロマンチックな「身バレ」です――、これが何のカタルシスも感じられないようなシーンになっていたのは、本当に残念だった。これこそが製作者の意図であるとわかってはいても、ねぇ……。

あと、ヒロイン。随分と評判が悪いようだけど、手前は好きです。実際、「幼馴染で告白したいけど、なかなかできない相手」のルックスとしては、パーフェクトに近いと思いますね。これが目を引くような美人であれば、「何で主人公はさっさと告白してチョメチョメしないだ!」ってなるし、ブサイクならどうでもいい存在に成り下がるでしょう。でも、美人すぎず愛嬌があるからね。

・Arrow(S3):△。つじつまはあっている。というか、良く合わせたものだと思う。サイドキックはアーセナルからスピーディになるし、ダイナもブラックキャナリーになる。あまつさえちゃんと超音波攻撃までする。ノーラン版バットマンシリーズライクなリアルっぽい路線で、ここまで原作要素を盛り込んだことは、素直に凄いと思う。シーズン通してのハナシや色恋沙汰にも、一応、決着はついた。決着の付き方も、十分納得できるもので、これ自体に不満はない。

でも、設定からハナシから色恋から人間関係まで、つじつまを合わせるためのロジックがあまりにもガバガバ。もはや突っ込むのが野暮になるんじゃないかというくらい、突っ込みどころが満載で、なんというか、敢えて突っ込まれるスタイルをとっているとしか思えないくらいにヒドイ。

なので、後半は完全にあきれながら見ていたけど、不思議なことに嫌いにはなれなかった。S4のレンタルが解禁されれば、たぶん、一足早く観る事になるだろうね。

追記:『007 スペクター』の件。感想は「う~ん、なんともなぁ……」。期待値が尋常でないくらいに高かったので、観終わった後の失望感はとても大きかった。どれくらい残念だったのかといえば、「ドルジ引退の方を耳にした時の5倍くらい」のガッカリ感。純粋に一本のサスペンスアクションとして観た場合、出来はそこまで悪くない……ってこともないだろうね。実際、『M.I.5』や『ウィンター・ソルジャー』のが全然面白かったしなぁ。

シリーズの完全リブートとなった『カジノ・ロワイヤル』は、劇場に2回行ったくらい大好きだし、リブートから新シリーズへのフックとなった『スカイフォール』にも心底満足していた――というくらい、ダニエル・クレイグの007は大好きなのよ。で、45年ぶりに宿敵スペクターが復活して、ブロフェルドを演じるのがクリストフ・ヴァルツで、サム・メンデスが監督続投なんて聞いた日には、観る前の期待値が東京スカイツリー以上の高さになることは必定なワケで。正直、『マッド・マックス』や『スターウォーズ』の10倍楽しみにしてましたからね。

色々言いたいことはあるけど、書いていくと怒りのあまりあることないことをえんえんと書き連ねそうなので、ここは涙を飲んで割愛。ただ一つだけ言うなら、「泥臭くて強面なダニエル・クレイグと、007シリーズのお約束展開って、絶望的に食合せが悪かったのだなぁ」ということ。前作までの「旧シリーズよりも格段にリアリティラインが上がった作品」では、ピッタリとハマっていたんだけどなぁ。

ともあれ手前は、韓国は仏像を返還すべきであると思う。

2015年11月11日水曜日

エスオーエス! エスオーエス! 課金、課金、課金♪

なんてこと書いても、若い人にはわからんかもね。このあいだ30代の知り合いと話しているときに「よっこい庄一」って言っても全く通じなかったしね!

【パイロット版】マグマ大使【ピー・プロ】

先月末にめでたく日本語版が発売された『NBA 2K16』のことです。手前は当然のことながら8200円のジョーダンエディションを購入し、5分後には5000円課金して20万VC取得しました。ゲームソフト1本に1万3200円なんて、スーファミ時代の『信長の野望』以来の出費ですよ。実際、steamのサマー及びウィンターセールでも、1回でここまでお金をつぎ込むことはなかったですからね。

で、感想。試合部分は大きく進歩しています。ファーストインプレッションとしては、「選手の動きがよりリアルになっているなぁ」 選手は一歩づつちゃんと走り、ステップするので、前作までままあった「ドムみたいに滑る動き」はほぼゼロ。本当に一人の人間を動かしているという実感が得られます。AIも少しだけ賢くなっているようで、前作で最も不満だった「フリーのシューターにパスしても、無駄なムーブを繰り返して相手に詰め寄られる」というバカな挙動がなくなっています。このほかにもスクリーンの入り方やインサイドへの飛び込み方、ペリメーターでフリーになる動きなど、敵を出しぬく賢さと動きがアップ。併せてディフェンス側もそうはさせじとチート抜きで対応するようになったので、オフボールでの戦いがより激しくなった感があります。

動きやAI以外の点では、3Pとミドル及びディフェンスにチェックされたシュートが入りにくくなった一方で、インサイドパスが通りやすくなったようです。また、スクリーンが強くなり、前作では全然役に立たなかったピックアンドロールが使えるようになったことで、「3Pの連発で試合を決める」という必勝法が成り立たなくなり、ポストプレイやペリメーターでの攻防を織り交ぜた、よりバラエティに飛んだ試合展開をしなければ勝てなくなったことも嬉しいポイント。

結果、7フッター超で容易に相手からチェックされないビッグマンの価値がグンと上がり、「210cm以上=正義。215cm以上=大正義」という公式が成り立つようになっています。今作で遂に収録されたカリーム・アブドゥル=ジャバーやヤオ・ミンの強さには、本当に惚れ惚れするほど。

次にゲーム内容。現時点で最も遊んでいるマイキャリアモードについて言うと、「1年目はクソ。2年目以降は良い」といったところでしょうか。とりわけ1年目のムービー&ストーリーはヒドい出来です。今時、行動の選択肢が一切ないムービー垂れ流し演出ですからね。しかもストーリーそのものもステレオタイプの集積みたいなもので心底つまらないんですよ。スパイク・リー演出というのだから、せめてスポーツ映画の佳作(『コーチカーター』とか『ゲームプラン』とか)みたいなモノを期待していたんだけどねぇ……。

加えて、主人公は黒人の両親が産んだ二卵性双生児(双子の姉はもちろん黒人)という設定なので、プレイヤー設定で白or黄色にしてしまうと、「黒人家族のなかで白or黄色が一人」という無残なムービーが流れてしまうことになる。前作(NBA2K15)では、「セルビア出身の白人チビPGがドラフト外から大活躍」というロールプレイをしたものだけど、今作は欧州及びアジア出身者でのロールプレイは事実上不可能――もちろんできるけど、白人なのに黒人っぽい訛りで喋りつつ、双子である黒人の姉に諭されたりする。せめて養子設定ならよかったのにねぇ――ですからね。

で、記念すべきファーストキャラは、221cm(設定できる最高身長)のアウトサイドが得意な黒人センター。有り余るVCを使って初手からアスリートとアウトサイドシュートをMAX、リバウンドを10段階まで上げて、高校生活をスタートした。難易度はもちろんルーキー。高校、大学で無双した結果、ドラフト全体1位でミネソタ・ティンバーウルブズに入団。なぜかリアルで全体1位指名されたカール=アンソニー・タウンズも一緒に入団したのはご愛敬。

こうして華々しくルーキーシーズンを迎え、「さぁて、新人王目指してがんばるぞ!」と勢い込んでいたら、なんと1年目は8試合しか出られない! しかもスタッツやチームの順位なども一切確認できない糞仕様。だったらルーキーシーズンの成績はどうなるのかといえば、出場した8試合で残した数字を出場時間と試合数で割った平均により算出されるわけですよ。

1年目は、どんなに能力値(レート)が高くても、どんなに優れた数字を残してもスターターにはなれない。結果、出場時間は多くても20分前後にとどまってしまう。加入したミネソタ・ティンバーウルブズは、「全体1位の指名権を持つ=前年度最下位」という弱小なので、手前がガンガン点をとらない限り勝てない。なので、限られた出場時間の全てでエゴイスティックなプレイに走り、1試合当たり35~40点をとり、リバウンドも12~15くらいとった結果、新人王はもちろんのこと、シックスマン賞、オールスター1stチーム、オールディフェンシブ1stチーム、おまけにシーズンMVPとタイトルを総ナメしてまったわけです。

あまりに非現実的な展開にテンションもダダ下がりで、位人臣を極めたキャラで2年目以降もプレイする気になれなかったので、なくなく削除。残った70,000VCとジョーダンEDのボーナスとしてもらった35,000VCを使って205cmのスピーディでインサイドの得意センターを作成。これでプレイしてみたら、7フッター超の相手センターにガシガシブロックされるわ、ポストフックももれなくチェックされて全然入らないわで、FG率31%台のポンコツに堕してしまい大後悔。

「やっぱりNBAで一線級のセンターをやるためには、最低でも210cm以上の身長が必要なのだナ」という、当たり前の事実を認識したところで、新たに2000円を課金して75,000VCを取得。今度は215cmのアウトサイドシュートが得意なセンターを作成……という具合に、課金が止まりません。いずれは2キャラ目としてシューティングガードかスモールフォワードを作りたいと念じているので、まとまったお金が出来たor今のキャラで遊ぶのに飽きた時点で更に課金しそうでね。こう書いていると、本当に自分で自分が嫌いになってくるね。

ともあれ、マイキャリアモードについていえば、1年目は本当にクソであるものの、2年目以降はオフに練習したり、チームメイトや有名人と交流したり、スポンサーに媚を売ってVCを貰ったりできるので、前作よりも面白くなっていることは間違いありません。

最後に選手レート(能力値)について一言。前作に比べて低めに抑えられていますが、このリニューアルには両手を挙げて賛成です。とりわけレジェンドと普通の選手に大きく差をつけたことが素晴らしい。手前が思うにレートの基準は――

・マイケル・ジョーダン=99
・歴代最高級の選手。ジャバー、M・ジョンソン、連覇時のレブロン=97
・殿堂級の選手。シャック、オラジュワン、レブロン、カリーなど=96~93
・超一流の選手。ハーデン、A・デイビス、デュラント、C・ポールなど=92~90
・一流の選手。ウエストブルック、グリフィン、J・ウォールなど=89~86
・ロスター上位級の選手=85~80
・ロスター級(ドラフト一巡目上位)の選手=79~75
・シックスマン級の選手=74~70
・控え=69以下

――という具合なんでしょう。

ともあれ手前は、韓国は仏像を返還すべきであると思う。






2015年10月17日土曜日

Netflixに満足したことと失望したこと

Netflixを利用して1カ月半。無料期間終了後のコンテンツ追加ラッシュも一段落ついたところで、個人的な使用感について報告します。

満足した点は、画質の良さとオリジナルコンテンツのクオリティです。

画質については、2chのNetflix板で見た方法――大雑把にいうと、IE11もしくはMicrosoft Edgeを使って視聴する方法。Win8.1か10でなければできない――を試したところ、ホンモノのフルHD画質(1080p。すなわちブルーレイと同等)で視聴できてビックリしました。レンタルではDVDしかない『glee』や『ゴシップガール』なんかも、フルHD画質で観られるので、映像にこだわりたい人であれば、「動画配信サイトはNetflixの一択」になるものと思います。

次にオリジナルコンテンツのクオリティについて。これはズバ抜けて凄いと言わざるを得ません。これまで『デアデビル』、『ベター・コール・ソウル』、『sense8』に『ナルコス』と観てきましたが、いずれも大当たりでした。以下、『sense8』と『ナルコス』の感想です。

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・Sense8(Sense8。S1):○。序盤の数話は静かな展開。設定、キャラ紹介が中心で、激しいバトルとか爆発とか劇的な人間関係の変化が起きるわけでもないので、人によってはつまらなく感じるかも知れない。ただ、画がとてもキレイなのと、韓国の銀行家の娘(=女キックボクサー)の存在感のデカさで、グイグイと引っ張られた。

中盤から徐々に盛り上がっていき、ラスト2話でアクション連発のクライマックスに至り、観終わってみれば心底満足した。全員のスキル&ナレッジを活かして絶望的な局面を打開していく一連のシークエンス(とりわけマクガイバー的なアノ展開!)には、素直に燃えた。製作者の言う通り、連続ドラマというよりは「12時間の映画」であるので、休みの日に一気見するのが良いと思う。

・ナルコス(Narcos。S1):◎。大傑作。タイトルと予告、イメージボードを見る限りでは、「麻薬とギャングのドラマ? ブレイキング・バッドみたいなのかね?」と思われるかも知れないが、中身は全然違う。内容は、コロンビアの麻薬王だったパブロ・エスコバルの実録ドラマで、テイストとしては、「シティ・オブ・ゴッドとグッドフェローズとアンタッチャブルを足しっぱなし」にした感じ。モノローグはドキュメンタリー風で、役者もスターやメジャーな人材(少なくともアメリカ人は、主人公以外ほぼ無名)を使っていないので、より実録風味が増している。残酷なのがダメな人以外は、すべからく見るべしと言いたい。

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↑の通り『ナルコス』は、これを観るためだけに1000円払っても惜しくない作品でした。

一方、失望したことはといえば、「海外ドラマのラインアップが貧弱すぎること」です。無料期間を終えてコンテンツ追加ラッシュが起こるなか、どれだけ多くの海外ドラマが追加されるのか? とwktkしていたのに、追加されたのは『サン・オブ・アナーキー』のみ。しかも、シーズン5までですからね。同じ日にHuluはシーズン6を一気に配信したのに、ねぇ……。

このようにオリジナルコンテンツ以外の海外ドラマを配信しないのは、一重に「オリジナルコンテンツに目を向けさせるため」なのでしょう。実際、いまのTSUTAYAの店頭と同じくらいに海外ドラマが配信されていれば、手前とて「ナルコス」や「Sense8」も後回しにしていたことは確実ですからね。

その一方で、名画や準新作を中心とした映画の配信には積極的です。このような方針から見るに、Netflixが狙うターゲットは、あくまでの「お茶の間でTVを見るファミリー層」であって、すなわち「年に数回、TSUTAYAに行く層」なのかも知れません。少なくとも手前のような海外ドラマジャンキーを相手にしていないことは、間違いないものと思います。

で、Netflixがこのままの路線を突き進むのであれば、手前は11月末日で解約するつもりです。

なぜ、11月末か? といえば、11月20日に『ジェシカ・ジョーンズ』が配信されるからです。主役がクリステン・リッター(『ヴェロニカ・マーズ』では市長の娘、『ブレイキング・バッド』ではジェシーの恋人で超印象的だった女優。ゴリゴリのアメリカ人なのにフランス人ぽく見える人)で、仇役がデヴィッド・テナント(10代目ドクター!!!)なんだから、これはもう観るしかないわけでね。なので、11月末日までは契約するつもりです。

しかし、その後は、見たいオリジナルコンテンツの次のシーズンが配信されるのが、1年後になるはずなので、それまでは毎月1000円を払わずにいて、新シーズンが出揃った1年後に改めて1カ月だけ契約して、オリジナルコンテンツをまとめて視聴する――というのが、手前の目論見です。

それこそ、毎月『ナルコス』クラスのコンテンツが配信されるなら、ずぅーっと契約を続けますよ。でも、オリジナルコンテンツを除けば、「一度は見たことのある映画orドラマ」か「見たくもない日本のドラマorアニメ」しかないですからね。それこそ観たいコンテンツの多くはHuluにありますし、1~2カ月ごとに海外ドラマの目玉コンテンツ――『サン・オブ・アナーキー』、『Dr.Who』、『アウトランダー』、『ウォーキング・デッド』etc――をぶち込んでくるので、下手に解約もできないですしね。

……という不良利用者を増やさないためにも、Netflixは海外ドラマ配信にも力をいれるべきだと思うのですよ。

ともあれ手前は、韓国は仏像を返還すべきであると思う。

2015年10月5日月曜日

まともな野球ファンなら、全員「●ね」と思っているはず

*急いで書いたので、一切推敲していません。乱文ご容赦。

毎日どころから毎週更新する気力がなくなっているので、日々のニュースに反応してblogを更新するつもりはゼロだったんだけどね。こういう超ド級のスキャンダルを耳にしちゃうとね。どんなにつまらない内容であっても、何らかの意見を表明しなきゃいかんよね。とりわけ「黒い霧事件」でググったら、そこそこ上位に表示される野球ファンのblogなら、何か言うのが義務だろうとも思うし。

巨人・福田投手が野球賭博関与 夏の甲子園、自軍の試合も対象に

まず、謹慎とあるけど、これが最終的な罰ではない。ここでいう謹慎の意味は、不祥事を起こして左遷される社員が、処分が確定するまで、ひとまず「人事部付」に配属されるのと同じこと。球団から公式発表があり、かつ、ほぼ全てのマスコミが同じ内容を報じていることから考えれば、福田投手が野球賭博を行っていたことは99.9%事実なんでしょう。で、これを前提として考えれば、最終的に下される処分は良くて「1年間出場停止」。最悪、「無期限出場停止(事実上の追放処分)」となるでしょう。記事を見る限り、八百長には関与していないようなので「永久追放処分」にはならないでしょうが……。

ともあれ、黒い霧事件という、本邦のスポーツ界における最悪のスキャンダルを経てきた日本プロ野球において、ここまで安易に野球賭博に手を出している選手がいるとは、正直、想像もできなかった。しかも賭博のやりとりがメールで、胴元が球場に来て支払いを求めるとか。こんなプロットの野球小説を書いたら、編集者から「いくらなんでも杜撰だし、現実離れしている。もう少しアタマを使ってプロットを書きなおして」って突っ返されるレベルだもの。

福田選手に胴元を紹介した笠原選手から、芋づる式に賭博をやっていた選手が出てくるのか? 正直なんともいえないかなぁ。福田選手の推定年俸は4000万円。よほど派手な生活をしないかぎり、金に困らないだけの稼ぎはあるといっていいでしょう。言葉を変えれば、「貧乏だから賭博した」「稼ぎが少ないから、リスクを背負っても八百長や賭博で稼ぐ」という公式が成り立たないわけだもの。

となると、以前、手前が書いたような――

年俸の高騰、野球賭博の衰退、テレビ・ネット中継の発達、球場、ホテルにおける警備体制の厳格化、写真誌、週刊誌による“監視”、そして何より黒い霧事件で明らかになった世間と球界の八百長に対する厳しい姿勢もあり、現在のプロ野球界には黒い霧事件以前のような八百長工作は、ほぼなくなっているものと思われる。

――ハナシは成り立たなくなっているともいえるわけで……。ともあれ、浄化する必要があるほど蔓延しているのであれば、これを機に怪しい選手を徹底的に洗い出してもらいたいものだ。入団時から毎年キャンプ前のミーティングで、こういうことについての注意は耳にタコができるくらい言われているはずなので、球界&球団の教育が悪かったとは思わない。

最後に福田へ一言。本当に●ね。

ともあれ手前は、韓国は仏像を返還すべきであると思う。

2015年10月1日木曜日

9月までに観た海外ドラマの短評

観たけど覚えていないものも多数あり。『ビューティ&ビースト』とか『エージェント・オブ・シールド』とかね。あと、一応、採点の基準は以下の通り。

◎=誰が観てもおもしろい。もしくは個人的に年間ベスト級。
○=とてもおもしろい。もしくは個人的に年間ベストテン級。
△=まぁまぁ面白い。
×=面白くなかった。

・ダウントンアビー(Downton Abbey。S1~S3):◎。もはや説明不要の人気ドラマ。評判通りの面白さで、文句の付け所はない。個人的にも、いち早くS3を観るためレンタル解禁日の朝にツタヤ前へ並んだくらいにはハマった。

・ワンス・アポン・ア・タイム(Once Upon a Time。S1~S2):○。ディズニーのオールスタードラマ。ハードすぎずソフトすぎない絶妙なバランスの展開&世界観が良い。エピソードによって冗長に感じたこともなくはなかったけど、優れたキャストが小さな瑕疵を全て帳消しにしている。とりわけ「悪の女王」は完璧。もう、この女優は全ての実写版ディズニー映画において「悪の女王」を務めてもいいと思う。あと、ムーラン役の女優は、「アメリカ人が理想とする東洋美人(=ルーシー・リュー系統の女優)」の究極系だと思う。

・MAJOR CRIMES〜重大犯罪課(Major Crimes。S2~S3):○。安定の面白さ。ここまで観た結果、『クローザー』より好きになってしまった。S3はリオス検事が退場してしまって残念。

・SUITS/スーツ(Suits。S3):○。安定の面白さ。今シーズンでは、法廷モノよりも学歴詐称と権力闘争を巡るドラマに重点を置いた感じ。陰謀中心のドロドロした展開は好物なので、点数はちょっと甘め。

・THE MENTALIST/メンタリスト(The Mentalist。S5):○。予想以上に面白かった。スリル、ミステリ、ユーモアの盛り込み方が絶妙で、ついついフルシーズンを一気見してしまった。ここまで煽ってきたんだから、レッドジョンの正体はそりゃもう凄いヤツなんだろうなぁ(白目)。

・ベター・コール・ソウル(Better Call Saul。S1):○。果てしなく高い期待値に十分応えてくれた。弁護士が主人公だけど、法廷シーンはほとんどない。ソウルが長広舌を振るうシーンは、どんな格闘&爆発シーンよりもエキサイティング。

・スリーピー・ホロウ(Sleepy Hollow 。S1):○。今年一番の収穫。視聴前は「どーせ数多ある“量産型スーパーナチュラル”の一つなんだろう?」くらいの期待値だったけど、あにはからんや古典的陰謀論を堂々フューチャーしたアドベンチャーだったとはねぇ。「フリーメイソン」「ロアノーク植民地」「ワシントンの遺言」「真夜中の騎行の真実」「黙示録の四騎士」とか、こういうキーワードにわくわくする人(=手前)であれば絶対確実に楽しめる。テイストとしては、映画『ナショナル・トレジャー』が最も近い。主人公の相棒は、シーズン前半まで微妙なルックスだけど、後半に入ってからは回を追うに連れてキレイになっていく。ヒロインがKatia Winterというのも個人的にツボでねぇ。『デクスター』で「ウクライナ出身のストリッパー(ただし脱がない)」を演じているのを観て以来、「バカなブロンド役で終わるには勿体ない逸材だよなぁ」と常々思っていただけに、今回の抜擢は嬉しい限り。

・ゲーム・オブ・スローンズ(Game of Thrones。S1~S4):△。採点は←の通りだけど、これはあくまでも手前の主観。客観的にみれば、ほとんどの人が最高に面白いと感じるはず。で、感想。原作が面白いのだから、これを忠実に再現したドラマだって面白いことに間違いはないんだけど……。実のところ原作を読んで想像していたビジョンや補完していたイメージと、実際の映像が結構違っていた――とりわけ立派すぎるキングスランディングやウィンターフェルや、デカすぎる北の壁。あんなん王土の税収で建てられるわけないだろうに――ので、この辺のところがマイナスに働いてしまってねぇ。あんまり書くと愚痴になるので、これで打ち止め。

・リゾーリ&アイルズ ヒロインたちの捜査線(Rizzoli & Isles 。S4):(限りなく○に近い)△。観る前の期待値はかなり低かったけど、見終わってみれば大満足。各話の脚本の質は、これまでのシーズンの中でも最も高い。

・ARROW/アロー(Arrow 。S3):△。S3前半まで視聴。後半を観ていないのは新作で一週間レンタルが解禁されていないからであって、決してつまらなくて中断しているわけではない。「実は煉獄だけではなくて、香港にも行っていた」って展開をみるにつけ、「一体、設定とは何なんだろう?」という哲学的な問いかけを発したくなるものの、それはそれで面白くなっているのだから、まぁ、いいんだろう。死亡認定が王大人より杜撰なのも相変わらず。二代目ブラックキャナリーの訓練シーンのみっともなさには大いに笑わせてもらった。

・デアデビル( Daredevil。S1):△。主役よし。仇役よし。ヒロインよし。コスチュームよし。オレによし。お前によし。うんよし(キングピン役の元微笑みデブへのリスペクト)。とても良くまとまっていてアラはほとんどないけど、どこか突き抜けるような所もなかった。ただし、21世紀に制作されたアメコミ・ヒーローもののドラマとしては、間違いなく歴代ベスト5級だと思う。

・New Girl / ダサかわ女子と三銃士(New Girl。S1~S2):△。パルクール!

・オーファン・ブラック 暴走遺伝子(Orphan Black。S1):△。S2Ep1で中断。面白いことは面白いけど、いつでも観られると思うとついつい観るのを延期してしまうのね。『ハンニバル』も同じような感じで中断中。言葉を変えれば、そこまで一気に没入させるだけの魅力がないってことなのかも。

・DALLAS/スキャンダラス・シティ(Dallas。S1):△。S1Ep1で中断。理由は上に同じ。

・ウェアハウス13 〜秘密の倉庫 事件ファイル〜(Warehouse 13)。S1):△。S1Ep6で中断。理由は上に同じ。

・ハートランド物語(Heartland。S1):△。S1Ep3で中断。理由は上に同じ。

・12モンキーズ(12 Monkeys。S1):(限りなく△に近い)×。映画は3回くらい観たことがあるくらい好き。ただ、穴の多い脚本とTVズレしたキャストと安さを感じざるを得ない絵作りがねぇ……。決して嫌いではないし、ヒロインも素晴らしいんだけど、「面白かった!」とか「観て良かった!」とは言い難い。

・ザ・ブック/CIA大統領特別情報官(State of Affairs。S1):×。Ep1は良かった。設定も良い。でも、Ep2以降はよくあるスパイものみたいになってしまい、結果的には「ホームランドの下位互換」で終わってしまった。キャサリン・ハイグルは嫌いじゃないし、ウデもあると思うけど、この役をやるには演技力が足りなかった。

・The 100/ハンドレッド(The 100。S1):×。S1Ep3で脱落。イケメンと美少女だけの『LOST』という感じ。そもそも『LOST』みたいな謎ありきのドラマが大の苦手な手前にとって、視聴を続けるのは難しかった。客観的に見れば普通におもしろいドラマなのだとは思う。

・プリティ・リトル・ライアーズ(Pretty Little Liars。S1):×。S1Ep1で脱落。理由は上に同じ。Netflixから「ゴシップガールの好きなあなたに」って薦められたんだけどねぇ。

・HOMELAND/ホームランド(Homeland。S3):×。S1~S2は通してみたけど、S3はEp6で脱落。ハナシとしては、S1で完全に語り終えているのではないか? S3なんて戦争捕虜と何一つ関係ないものね。もはやクレア・デインズの顔芸を楽しむだけのドラマだと思う。

ともあれ手前は、韓国は仏像を返還すべきであると思う。

2015年9月3日木曜日

今年一杯はNetflixとHuluを併用すると思う

昨日、動画配信サービスの大本命たるNetflixが、日本でのサービスをスタートしました。3年近くHuluに世話になっている視聴者としては、「Netflix? オレにはHuluがあるからいらないや! うぉぉぉ! またリックとダリルが血まみれだ!!」というのが、このニュースに対する正しい受け止め方なのかも知れません。でも実際の反応といえば、「アメリカでは配信タイトル、視聴者数ともNetflixがHuluを圧倒してるんでしょ? だったら契約しなきゃウソでしょ!」ですよ。

さて、サービス開始から1日経ってのファーストインプレッションは以下の通りです。

・インフラはNetflixが圧倒的に上。
・現時点における配信タイトル数はHuluが圧倒的に上。
・現時点における海外ドラマの配信タイトルでは若干Huluが上

という感じでしょうか。Huluについては4年前から国内向けサービスをスタートしていたアドバンテージ――日本語字幕、吹き替えや番組獲得について、時間をかけて充実させてきた――があるので、配信タイトルが倍以上あるのは当然といえば当然です。ただし、回線速度や字幕・音声の切り替え機能(Huluは字幕版、吹き替え版を別々に配信)、プッシュ機能などのインフラ面は、文字通りNetflixが圧倒しています。フルHD画質でも一切カクツクことなく、回線の再読み込みもせず、途中で画質が悪くなることもなく番組が見られることには、正直、感動しました。実際、4画面×4K配信サービス(月額1450円)までやっているのだから、HD配信でカクツクわけもないのでしょうが、ニコニコ動画(プレミアム会員ですよ)やHuluでは、普通にHD画質でトラブルなく1時間通してみるのが難しいですからね。

で、4年来のにわか海外ドラマファンとしては、海外ドラマの配信タイトルがどうなのか? が、一番気になるところなのですが、結論から言うと「多分、今年一杯はHuluを解約するのは難しいかも」です。

まず、Netflixの強味は、言うまでもなく自社オリジナルタイトルにあります。大傑作ドラマ『Breaking Bad』で一番好きで愛すべきキャラであったソウル・グッドマン――しっかし凄いネーミングセンス。これに匹敵するのは肉欲棒太郎くらいだと思う――を主役に据えたスピンオフ『Better Call Saul』(AMC制作だけど配信はNetflix独占)や『Daredevil』(3話まで見たけど及第点以上の出来)、それに近々にもシーズン3も含めて配信されるであろうキラータイトル『House of Cards』あたりは、Netflixでなければ見られませんからね。

このほかにHuluにはないタイトルとしては、

『The Blacklist』(レンタルDVD有)
『Peaky Blinders』(見たくて震えるほど楽しみ)
『Spartacus: Blood and Sand』(レンタルDVD有。配信されているなら見るしかないでしょ)
『The 100』(レンタルDVD有)
『The Fall』(レンタルDVD有)
『The Originals』(レンタルDVD有)
『The Following』(レンタルDVD有。役者は凄いけど中身は聳え立つクソ)
『The Adventures of Merlin』(レンタルDVD有。是非見たい)
『Heartland』(見たかったんだよ、これ)
『Black Mirror』(存在自体知らなかった)
『The Bletchley Circle』(紹介文を読む限り面白そうだ)
『Line Of Duty』(これも知らなかった。シーズン2から“オレのキーリー・ホーズたん”が出ているので、見たいのだけど……)

あたりがあります。このなかで文句なしにキラータイトルと言えそうなのは、『Spartacus: Blood and Sand』くらいと思います。『The Originals』『The 100』あたりも客寄せには十分でしょうが。

あと、Huluで配信されているタイトルながらもフルシーズン(もしくは日本語化されている最新シーズンまで)配信しているものとして、

『Friends』
『Damages』
『The Big Bang Theory』
『Supernatural』

があります。一方で、『Bones』(シーズン5、6のみ)『24』(シーズン1、2のみ)、『The Mentalist』(シーズン1、2のみ)あたりはフルシーズンで見られません。

片やHuluはといえば、Netflixのサービス開始に合わせて日本で最も早く『The Walking Dead』のシーズン5を配信したのを皮切りに、『The Killing』『SUITS』『Gossip Girl』といった人気タイトルの最新シーズンを配信しました。なお、これら3つのタイトルは、Netflixでも同じように配信しています。恐らく1~2カ月中には『Doctor Who』のシーズン8も配信するでしょう。このほかにも『Orphan Black』『Outlander』といった独占タイトルや『Sons Of Anarchy』(多分、近々にも『Netflix』で配信されるはず)『Spooks』といった新しめのタイトルから、『The X-Files』『Buffy the Vampire Slayer』などのクラシックまで揃っているので、海外ドラマファンとしては、すぐに解約するのは惜しいといえましょう。てか、手前的には『The Walking Dead』『Doctor Who』という2大キラータイトルを見るためだけに、毎月1000円払っても惜しくないと思っているので、しばらくHuluにもお布施を払うことは決定済みなんですけどね。

というわけで、現時点では海外ドラマの配信タイトルの質、量においてはHuluがNetflixに勝っていると思われます。が、日を追うごとにNetflixのタイトルが充実してくるであろうことは、ほぼ間違いないでしょう。何せ本家Netflixの強味は、「古い番組のラインアップ」にあるわけですから。なので、日本語化作業の進展とともに、『Dawson's Creek』とか『MacGyver』とかが見られるはず。

てか、こういった「アメリカでは当たり前に見られているけど、何故かローカライズされなかった超メジャータイトル」の配信こそが、手前がNetflixに求めていることなので、最新タイトルとか独占タイトルとかよりも、こっちの方を優先してほしいものです。実際、『Life On Mars』『Ashes To Ashes』『Smallville』の3つをフルシーズンでローカライズしてくれるなら、明日にもHuluを解約して、最上位サービスに契約しなおすので、もしNetflixの担当者がコレを見てくれたのであれば、サッサと上司に進言しろ……じゃなくて、是非とも提案してください。

ともあれ手前は、韓国は仏像を返還すべきであると思う。

2015年8月11日火曜日

第一章だけで一冊分以上の価値がある『兵頭二十八の防衛白書 2015』

◆タイトル:『兵頭二十八の防衛白書 2015』
◆目次
・Ⅰ 中東・アフリカ編
・Ⅱ 米軍編
・Ⅲ 中共編
・Ⅳ 朝鮮半島編
・Ⅴ 日本編
・Ⅵ 特別編

「そういえばさ、このあいだ都築クンが言ってたヒョウドウ先生って、この人のこと?」
「そうですかね。ええ、そうです……って、日経新聞っすか?」
「本の広告見てたらさ、ふざけたタイトルに見慣れない名前だったからね。で、都築クンって尖閣とか憲法のハナシをするときに、だいたい『ヒョウドウ先生の受け売りですけどね』って言ってるじゃん。だからさ、苗字が兵頭だから、この人のことかなと」
「いやぁ、兵頭先生の本が日経新聞の広告に載るとはなぁ。しかも9刷で6万部!? こういっちゃアレだけど、多分、ここ5年に先生が出した全ての本を合わせたよりも多く売れてるんじゃないかなぁ」
「でさ、都築クンってこの本読んだの?」
「読んだも何も、2冊持ってますよ」
「じゃぁ、1冊貸してよ」

以上、2カ月ほど前、仕事先で交わした会話です。Amazonの売れ筋ランキング(8月11日現在)で、講談社+α新書で13位、軍事入門で18位と、発売から4カ月以上経っているにも関わらずTop20圏内にあるベストセラー『こんなに弱い中国人民解放軍』(講談社+α新書)を巡ってのハナシであることは、改めて言うまでもないでしょう。内容は軍師の既著の中で最高じゃあないでしょう(同じテーマなら『日本人が知らない軍事学の常識』の方が、内容的に明らかに上)。が、軍師のキャリアにとっては、処女作である『日本の防衛力再考』に比肩するほどの重要な一冊と思います。

さて、軍師にとって画期的なベストセラーとなった『こんなに弱い中国人民解放軍』の次に上梓されるのが、昨年より草思社より刊行されたシリーズ最新刊『兵頭二十八の防衛白書 2015』です。

「えっ!? また対シナ防衛モノなの? シリーズとはいえ『アメリカ大統領戦記』を除いたら、何かここ最近同じようなネタばかりじゃないのかね」

と、思った方、正直に手を挙げてください。全国数千の兵頭ファンで手を挙げなかった人が皆無とは思いません。何せ(四捨五入して)20年来のファンである手前でさえ、タイトルを見た瞬間にチラッと思ったくらいなんだから!

といっても中身は同じではありません。実際、全体の1/4強は中東・アフリカに巣食うムスリムのテロ集団を巡るハナシです。とりわけIS(イスラミック・ステート。いわゆるイスラム国)についての解説は、池○ナントカさんとかNHKに出てくる中東関係の教授連中のハナシよりも1.5倍くらいわかりやすく、100倍くらいタメになります。いや、ホントに。

実際、ISに関する定義づけだって、「ISは『異端』のシーア派絶滅を専ら目がける、シリアからイラクにかけてのスンニ派アラブ人だけの地域遺恨集団である」(18頁)という具合に、誰よりも明確ですからね。

こんないつもより冴えた“兵頭節”で、シーア派とスンニ派の対立軸を中心に、自国の安全を確保するために中東全域のカオス化を目指すイスラエル、シーア派の“本尊”として各国のスンニ派弱体化を目指すイラン、元帝国にしてアラブ人を屁とも思っていないトルコ……etcといった各国の思惑と、各々の事件の背景、これから起きる事象について書ききっています。手前も一人前の大人として、中東情勢についてはそれなりに勉強してきたつもりですが、新刊の15頁から125頁までを読んで、言葉通りに蒙を啓かされました(この辺についてのハナシは、後日改めて書くかもしれません)。

もちろん対シナ防衛ネタだって、いつもと同じ内容じゃありません。今回、手前的に大ヒットしたのは、「膨大な軍事費をつぎ込んだ結果、実数では日本を遥かに凌駕している中共の空軍が攻めてきたら、具体的にどう反撃するの?」という疑問について、120%答えきっているところです。

「中国軍が奇襲してきたら、日本はひとたまりもない」「何百発もの巡航ミサイルや、百機以上の攻撃機による飽和攻撃に対して、現時点で日米軍とも対処できない」――なんてことを、酒の席でふっかけられたりしたものですが(実際、これに類する“中共脅威論”をことあるごとに主張する評論家は少なくありません)、こういう説に対して軍師は、以下のようにキッチリと反論しています。

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 中共空軍や海軍は、長距離を高速で往復できる攻撃機を何十機は揃えている。それに取り付ける対艦ミサイルも、多数ある様子である。
 しかし、その「陸攻」(旧帝国海軍航空隊が陸上基地から飛ばして対艦攻撃させるために開発した中型~大型機)隊を、たとえば南シナ海の米空母艦隊に向けて一斉に発進させようとした場合、かならず米軍のIRS網には「兆候」が捕らえられてしまう。
 まずかなり前から全機のクルーにひととおりの訓練が課される。決行日が近づくにつれて、基地間の通信量が倍増する。暗号を使っているつもりでも、その暗号はNSAが解いてしまう。
 燃料や弾薬やエンジンのスペアパーツの取り寄せがあわただしくなる。その発注のための有線通信も傍受されてしまう(途中にスパイウェアが埋め込まれているので)。基地内からかけられた携帯電話は、傍受専門の人工衛星がその内容を録音する(各種SIMカードはとっくにNSAで解析済み)。
 ルーミント(SNSえやりとりされる住民たちの噂話を傍受し、ビッグデータとして解析するアスピオナージ手法)は、数カ所の基地で特に空気が緊張しつつあることを教えてくれる。
 陸攻が発進する飛行基地では、離陸前のエンジンの暖機運転が、顕著な兆候としてスパイ衛星に探知される。
 そのあたりで米軍は、GPS衛星のシナ大陸および周辺海域に対する位置データ提供サービスを一時的に停波するであろう。GPS衛星は米空軍の管轄なので、電波を止めるのも随意、思いのままなのだ。
 これで中共軍の陸攻は、離陸直前の自機INS(慣性航法装置。三軸のジャイロにそれぞれ加速度センサーがついており、その加速度値を時間値で2回積分して現在の自己位置を算定する)に対する初期座標入力作業を、GPS以外の方法、たとえばロシア版GPSであるGLO-NASや、中共版GPSである北斗[ベイドウ]の信号によって実施するか、あるいはキーボードを使って手作業で入力しなくてはならなくなる。
 自機INSに対する離陸直前の位置座標入力が、信頼度の落ちる数値であれば、そのあとで空中から発射する巡航ミサイルの内蔵するINSにもその不正確さはそっくり引き継がれて、飛んで行った先の洋上で、目標の的軍艦を発見できないということになってしまう。
(中略)
 このように「長距離の巡航ミサイル」というものが「超精密なINS」を内蔵していないで、GPSやGPS類似の信号に依存する方式であった場合、それは米軍相手の実戦では、「役に立たない武器」になるのである。
 中共軍機は米艦隊を攻撃するためには、目標艦から100km以内に近づいて、対艦ミサイルの弾頭シーカーを目標艦にロックオンさせた状態で発射する必要があるであろう。そのような戦術は今日の米空母に対しては非現実的であるということについて、多言は要せぬであろう。

(198~201頁)

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ちょっと長めの引用ですが、あまりにも見事な論だったので、そのまんま載せちゃいました。

というわけで今回の新刊は、半端無く読み応えがあり、内容も充実した一冊となっています。『こんなに弱い中国人民解放軍』で兵頭流軍学に触れた人も、ダイハードな兵頭ファンも、8月15日に読むべきはこの本ですよ。

ともあれ手前は、韓国は仏像を返還すべきであると思う。

2015年7月29日水曜日

1ヶ月経ってもなお飽きず

購入して1ヶ月余になるにも関わらず、NBA2K15熱は未だ冷めず。以下、にわか中のにわかNBAファンなおっさんプレイヤーの覚書。

・マイキャリア。毎日2試合(1QT12分)くらいこなす感じで、ようやく2年目のオールスターまでこぎつける。我がPGの主なスタッツは「1試合平均得点=30.9」「1試合平均アシスト=10.5」「1試合平均スティール=3.8」「1試合平均ターンオーバー=3.2」

・今のところ得点王、アシスト王、スティール王だけど、ターンオーバーも6位(1位はアンドレ・ミラーで4.0)で結構多い。でもこれは果敢にアシストを狙ったがゆえのことであって、やむを得ない数字なのだ。……といっても、さすがに1試合12TOをかましたときには、「もういいから、早く交代させてくれ!」と叫びそうになった。

・ここまで望外な結果を残しているのは、難易度が一番簡単なルーキーだからこそ。ただ、にわかとはいえ、バスケットボールのことを少しばかり理解し、プレイスタイルを「ひたすらゴールに向かってドリブルした後、ジャンプシュートを打つだけマン」から、「ペネトレイトからのレイアップやポストからパスを受けての3P、アシストにスティールからの速攻→ダンクまでをこなすペリメーターディフェンダー」へと転換したことも、このスタッツに反映されているはず。実際、1年目は得点数こそ多かったものの、アシストやスティールなんて1~2あれば御の字だったし。

・ここしばらくは、YouTubeで過去の名選手の動画を見ながら、これを再現することに精を出している。結果、スピンやフェイダウェイ、アウリープパスといったプレイのほか、敵の戦術を読んで素早くパスコースに入ってパスカット→速攻からノールックパスでアシストみたいなこともできるようになり、プレイ振りも大分サマになってきた。

・このように汲めども汲めども尽きることのない泉のように、豊穣な舞台を持つNBAとNBA2K15について、果たして飽きが来ることがあるのか? このあいだ観たアレン・アイバーソンのスーパープレイ集だけで、軽く30分は潰してしまうくらいにハマっている――てか、あんなにカッコよくて、あんな人外なプレイができるなら、そりゃ人気者になって当然だわなぁ――状況を見る限り、随分と先のことになりそうな。

・……と、思ったら9月末日にはNBA2K16が発売されるとのこと。といっても、日本はおま国で予約できず。予約特典が「2K15のVC(ゲーム内通貨)35000と、2K16のVC30000。加えてマイキャリア用にジョーダンブランドのシューズとTシャツもプレゼント」なんだから、7000円だろうが8000円だろうが即ポチるのになぁ。

ともあれ手前は、韓国は仏像を返還すべきであると思う。


2015年6月21日日曜日

こんなに楽しいなら、もっと早くにNBAファンになっていれば良かった

このあいだに引き続き『NBA2K15』のハナシ。以下、一週間前までバスケットボールのことを何一つ知らなかったおっさんプレイヤーの覚書です。

・ゲーム設定について①:カメラは「ターボ」。コートを縦に見るカメラ設定で、最大の利点は、攻守交代やコートチェンジでも視点が一切変わらないこと。つまり「上に攻め、下を守る」スタイルが維持される。だからこそ操作も容易で、速攻で戸惑うこともなくなる。「2K」や「ダイナミック放送」も悪くないが、視点や攻め手が変わってしまうのがねぇ……。

・ゲーム設定について②:難易度は「ルーキー」、ゲームスタイルは「デフォルト」。一度スライダーをいじってみたけど、スライダーの恩恵はプレイヤーだけでなくCPUも平等に受けると知り、いわゆるチートは無理と悟ってからは手付かずに。

・この設定でマイキャリアのPGをやると、1QT=12分なら50得点は軽く超える。これまでのレコードは87点。FG率は70%前後。これが難易度「プロ」になると、途端に現実的なスタッツになる。得点は15~25点くらいで落ち着き、FG率も良くて40%前後になる。

・現在のマイキャリアは「自キャラが弱っちくても無双したい」「難易度ペナルティで取得VCが半分になっても、無双した方が得られるVCが多い」ことから、「ルーキー」、「デフォルト」、1QT=10分でプレイしている。

・ただ、シュートは面白いように決まっても、アシストとスティールはなかなか決められない。1QT=12分でもアシストは3~5、スティールは1つ取れたら御の字という感じ。ダブル・ダブルの道は遠いなぁ。

・感心したこと①:リプレイ時の際にカメラがキャラに寄るけど、そのときの映像がとてもリアル。汗のかきかたや髪、髭の質感がとても良い。とりわけ汗については、疲労度によってかきかたが違うようで、前半出ずっぱりだった選手は全身汗みどろだけど、ベンチウォーマーは顔にちょっと汗をかいているという具合。

・感心したこと②:会場を埋め尽くす観客の挙動。ホームでダンクを決めたり逆転したりすると、大歓声とともに総立ちになる。あと、アウェイで大勝すると試合終了後はガラガラになるし、スター選手の出てこない試合だと空席が目立ったりする。

・感心したこと③:マイキャリアの試合では、ハーフタイムになるとコーチから前半の総括と後半の方針が示される。そこで語られる内容は極めて多彩。どのくらいのバリエーションがあるのかといえば、これまでに30試合くらいやって一度も内容がかぶらなかったくらい。一体どれくらいの指示パターンがあるのか? あるいは自動生成AIがとても賢いのか?

ともあれ手前は、韓国は仏像を返還すべきであると思う。


2015年6月17日水曜日

久しぶりにゲームで徹夜

『NBA2K15』のハナシです。今年になってから購入したゲームで、通算10時間以上プレイしたのは『GTA5』を筆頭に、『Dead Rising3』『Project Zomboid』『Wining Post 8 2015』と4本あります。が、購入初日にぶっ通しで10時間以上プレイしたものは1本もありませんでした。というか、そこまで夢中になってやったゲームは、『Mount & Blade: Warband』『Civilization4』くらい(『Skyrim』だって購入初日は2時間くらいでやめた)のもの。で、今回、『NBA2K15』が、この合法ドラッグの一群に名を連ねたというわけです。

『NBA2K15』は、タイトル通りバスケットボールのゲームです。より具体的にいうなら、世界最高峰のリーグであるNBA公認のゲームで、ゲームモードには各種試合、オンラインマッチからゼネラル・マネージャーとして球団を経営するMyGM、一人の選手としてキャリアを全うしていくMyCarrier、ロスターやサラリーキャプ、プレイオフの試合数からトレーニング効果まで、あらゆる要素をカスタマイズしたうえで最大80年フランチャイズ運営ができるMyLeagueなどがあります。ざっとまとめると「NBAを舞台に一選手から監督、GM、コミッショナーまでやれちゃうゲーム」です。

「えっ!? でもアンタは30年来の野球ファンであって、バスケットボールファンじゃないでしょ?」

その通り。手前はバスケのファンどころか、バスケの知識すらありません。実際、知っているプレーといえば、小学校の体育で学んだ「トラベリング=ボールを持ったまま動いちゃダメ」くらいだし、NBAで知っている選手だって「マイケル・ジョーダン、デニス・ロッドマン、あとマジック何とか……」くらい。一応、『SLAM DUNK』全巻と『黒子のバスケ』20巻までは一通り読んでますが、だからといってポジションとか戦術なんて一っつもわかりませんからね。

こんな具合のズブの素人が、何故にバスケ? 何故に『NBA2K15』? というと――

①Steamで絶賛開催中のモンスターセールで75%オフ、1750円で買えたから
②このスクリーンショットに衝撃を受けたから
③ニコニコ動画のゆっくり実況「【ニコニコ動画】【PS4】真・ゆっくりがNBAに殴り込みPart001【NBA2K15】」がとても面白かったから

――です。開発前の期待値としては、「超リアルな映像を一通り鑑賞したら、後は積みゲーでもいいかナ」くらい。でもプレイしてみたら、単に左スティックをがちゃがちゃ動かして、ボタンを適当に押すだけで、「うわっ、こんだけリアルな挙動で人が思い通りに動くんだ。気持ちエエ!」となり、一気にもっていかれました。

そう、本当に挙動がリアルなんですよ。いや、本当はそうじゃないかもしれないけど、手前はNBAの試合を観たことがないので、仮におかしいところがあったとしても、それに気づかず「スゲーリアルじゃん!」と思っているだけなのかもしれません。てか、多分、そうなんでしょう。実際、野球ゲームだと、プロスピはもとより『MLB The Show』でさえ不自然に感じますからね(6-4-3のダブルプレー時における、セカンドのベースカバーの滑るような動きetc)。

この点、『NBA2K15』は、とにかく人間的でリアルに見えます。

まぁ、バスケットボールを手足のように操って、後ろに倒れながらジャンプシュートしている時点で人間離れしているんですけどね。それでも2mにならんとするほどのスーパージャンプは決めないし、全力で走れば急に止まれないし、サッカーゲームのキャラみたいに弾かれるように急ターンはできないし、左右にディフェンスしても慣性に引っ張られるので、そろばんの玉みたく軽々とは動けなないし――という感じで、挙動一つ一つに説得力があります。だからこそ試合展開も実にリアルに見えるというわけです。加えて観客一人一人も別々にモデリングされていて、動きも違っているので、スタジアムの書き割り感はゼロ(グラフィック設定を最高レベルに設定したときの美しさはため息が出るほどで、R9 280Xの威力を再認識しました)。

……と、ここまで書いてきたようなリアル感、臨場感で喜ぶのは、多くの場合、ゲームを始めて30分から1時間くらいのもの。そこから先は、ゲーム性が高くなければプレイしません。

だったらゲーム性はどうかといえば、これが素晴らしい。てか、『NBA2K15』が優れているというよりは、バスケットボールというスポーツそのものの面白さ、ゲーム性が高いんでしょう。この「バスケの面白さ」について書いていくとキリがありませんし、特段面白いことも書けないので省略します。結論を言えば、「スピーディでエキサイティングで奥深い戦術が繰り広げられるハイレベルなバスケに夢中!」ってこと。加えて、40年以上生きてきて全く知らなかった世界のことを一つ一つ知っていくことの悦びも大いに感じているところです。本や映像ではなく、ゲームを通して擬似的に身体を通して知る悦びってやつです。

それこそ、このゲームをやるまでステフィン・カリーなんて人のことは、名前どころか存在すら認識していなかったわけですが、MyCarrierでマッチアップしたものの、ガンガン抜かれてバシバシ3Pシュートを決められてチンチンにされた結果、「何なんや、この怪物」と、ググって見たら、現役最高レベルのスターだったという――こんな発見の悦びが、スター選手だけではなくて、ルールや戦術、リーグ運営に至るまであるんだから、これが楽しくないわけがない!

確かに操作は複雑で初見殺しっぽい感もなくはないのですが、一頃の格ゲーのコマンドのような理不尽さはないので、プレイを続けていくうちに自然と覚えていけます。てか、手前は基本的なシュートとパス、ディフェンス、ブロックしかできませんが、それでもそれなりの試合――あ、難易度はルーキーですよ――にはなるので、つまらないということは一切ありません。

手前が思うに、『NBA2K15』こそは、あらうるスポーツゲームの最高峰と思うので、Steamのモンスターセール最終日の復活セールで見かけたら、バスケのしらない野球ファンかサッカーファンであっても、すべからく開発すべしと確言します。

ともあれ手前は、韓国は仏像を返還すべきであると思う。

2015年5月27日水曜日

軍師の歴史読み物の完成形『アメリカ大統領戦記』

◆タイトル:『アメリカ大統領戦記 1775▶1783~~独立戦争とジョージ・ワシントン[1]』
◆目次
・開巻の辞
・1:若きジョージ・ワシントン
・2:ノースブリッヂの銃声
・3:ボストン包囲戦
・4:独立宣言
・5:イギリス軍の南部作戦
・6:ニューヨークの攻防
・7:ニュージャージー退却戦
・8:名将ハウの退場
・9:サラトガの快勝
・第一巻あとがき

兵頭二十八師の新刊『アメリカ大統領戦記 1775▶1783~~独立戦争とジョージ・ワシントン[1]』(草思社)を読みました。タイトルに[1]とあるように、同書はこれから続々と刊行されるであろう『アメリカ大統領戦記シリーズ』の第一巻です。オビによれば――

・独立戦争とジョージ・ワシントン[2]
・対英抗争から主権拡大時代
・南北戦争とエイブラハム・リンカーン
・ラテンアメリカの制圧と太平洋への進出
・第一次世界大戦から暗黒の木曜日まで
・第二次世界大戦とフランクリン・D・ルーズベルト
・核時代の大統領
・ソ連の消滅と世界経営

――という形で続刊を刊行する予定とのことです。

軍師の年齢から考えると、ある意味でライフワークと言えそうな一大シリーズを始めた理由はどこにあるのか? その意図について軍師は開巻の辞で以下のように書いています。

「アメリカの強大さの秘密は、なによりその、恵まれすぎた資源地理的な所与条件にある――と、頭から信ずることは簡単であった」
(中略)
「だが、その把握は、米国建国史の実相とは乖離している。アメリカが英帝国に宗主権を放棄させ、たちまちに世界強国となった理由は、有権者の質が高かったからである」
「質の高い有権者が、質の高い州政府や連邦政府を作った。質の高い政府は、適切な戦争指導ができた。その戦争指導が、一七七五年から一七八三年にかけては、ジョージ三世とその廷臣たちの戦争指導よりも、うまくいったのだ」
「かりにもし北米十三殖民地に入植していたのがシナ人や朝鮮人たちであたなら……と考えたら、分かるだろう」
「米国政府を代表する人格は、合衆国大統領だ。しかしその大統領に緊張感を持たせ続け、常に大国指導者らしく振る舞わせているのは、周囲の有権者たちなのである」
(中略)
「そうした『政府の質』がいちばん端的にあらわれる、戦史を追うのが、初学者としては適当かもしれない」(3~4頁)

つまるところ、日本のみならず世界中に多大な影響を与え続けている超大国・アメリカについて、兵頭流軍学の基本通りに“ゼロから考えてみる”ことを目指した本である――と、手前は考えています。開巻の辞の冒頭にある通り、「アメリカ合衆国は、今日なお継続中の『実験』である。同国がスーパーパワー(超大国)化するより前から、その実験には、文明化された全人類を代表するような趣があった」(1頁)わけですから、このアメリカについて“ゼロから考えてみる”ことで、現代社会における諸々のこと(日本及び世界レベルの安全保障から、アメリカ流の企業経営指針、社会制度、果ては種々の流行まで)を深く知ることができるといえましょう。もっといえば、日本と世界の近過去、現在、未来について考えたり、論じたりするのであれば、アメリカについて深く知らねばハナシにならないってことです。

では、その内容はどのようなものなのか?

一言で言うと「潤色を廃した独立戦争に関する歴史読み物」です。兵頭ファンの方限定に、もう少し詳しく紹介するなら、「『大日本国防史』より遥かに詳しいけど、『箱館戦争』よりもわかりやすい独立戦争史」というところでしょうか。軍師はこれまで様々な歴史読み物を上梓してきましたが、手前が思うに今回の新刊は、この路線の完成形です。塩野七生氏や井沢元彦氏の著作のような“歴史小説”ではないので、流し読みするように気軽に読めるものではありません。が、誤解を恐れずに言うなら、「いい意味で、限りなくこの手の“歴史小説”に近いリーダビリティ」が確保されています。

例のごとく、新たな知見、軍師らしい鋭い洞察も盛りだくさん――フリントロック式銃の限界(不発率は実に50%!)に規定された戦列歩兵の戦術。独立宣言に先立つヴァージニア憲法=宣戦布告書。独立宣言にいたる欧州における思想の変遷etc――なので、兵頭ファンであれば昼食を抜いても絶対に買うべき本です。実際、これが売れなければ続刊もないわけですからね。

兵頭本の未読者にはオススメできないのかって? ……確かに何の予備知識もない人には、読み通すことが難しいかもしれません。が、中学校の歴史の副読本(世界史部分)程度の知識があるならば、本を開いたら最後、夜が更けても止められなくなるほど夢中になって読めることを約束しますですよ。

ともあれ手前は、韓国は仏像を返還すべきであると思う。


2015年5月19日火曜日

GTA5はどのくらいのグラボで満足に動くのか?

このあいだに続いてPC版GTA5の話。また、このハナシかって? といわれても、発売日から今日まで、空いた時間はだいたいサンアンドレアスにいますからね。このハナシしか話題にしようがないんだからしょうがない。

さて、前回のエントリで手前は、「4Kテクスチャを含むグラ強化MODをしこたま入れ、クソ重いENBセッティングをしたSkyrim」なんて例えを書いたものですが、当Blogを読み続けているような奇特な人のなかには、「あれ? このあいだSkyrimの公式ハイレゾパック第3弾を入れたらCTDを起こしたって行ってなかったっけ? そんなしょぼいPCなのに、どうして↑のような例えを書けるわけ?」ということに思い至る、察しの良い人もいるものと思います。

そう、購入時につけていたHD7870では、↑のように4Kテクスチャを含むグラ強化MODを入れただけで、グラボのメモリの許容範囲を超えてしまい、起動すらできません。じゃぁ、なんで↑のような例えを書いたのかといえば、「グラボを新調して、 4Kテクスチャを含むグラ強化MODをしこたま入れ、クソ重いENBセッティングをしたSkyrim」を遊んだからです。

というのも、先月末にHD7870が完全にいかれてしまい、夜のうちに近所のPCパーツショップにて展示品のR9 280Xを購入(税抜き29000円。相場よりかなり安い)。このグラボは、一世代前のAMD最強のシングルカードであるHD7970GEの省電力版的なカードで、性能はほぼ同等。つまるところ「ちょっと前のハイエンドカード」ってことです。グラフィックメモリは3GB。なので、SkyrimであればMODをてんこ盛りにしてもCTDすることはなく、ヌルヌル動きます。

実際、HD7870では最高設定でカクツキ(雨の日と渋滞時に限る)が見られた『Watch Dogs』も、R9 280Xの下では最高設定&ENBでもヌルヌル。クソ重いと評判の『Shadow Of Mordool』も右に同じという感じです。恐らく、フルHDで遊ぶ分には、現時点で販売されているほとんどのソフトについて、最高設定でヌルヌル動かせるグラボといえましょう。

翻ってGTA5について見ると、R9 280Xでさえ最高設定で遊ぶことができません。なぜかといえば、全ての設定を最高にしてしまうと、使用するビデオメモリが3GBが超えてしまうからです。なので、いくつかの設定で妥協することで、使用するビデオメモリを3GB以内に収める必要があるわけですよ。

で、↑のような感じで「ほぼ最高設定」にした状態で動かしてみると、スポーツカーをかっ飛ばしていきなりドリフトするときにカクツキが見られるほかは、何の問題もなくサクサク動きます。ベンチマークでは30~50fpsくらい。これをグラボの推奨設定(=ほぼ最高設定から、さらに少々妥協する)にすると、カクツクことなくヌルヌル動きます。ベンチマークも多くの局面で60fpsを叩き出します。

よって、フルHDでストレスなく最高設定で遊ぶには、最低でもビデモメモリが4GB必要といえましょう。更にヌルヌル動かすには、10万円以上のハイエンドカードか、2枚挿しが求められそうです。その上で、ここまでの事実から推測するに、公式の推奨スペックにあるHD7870(ビデオメモリは2GB)では、グラフィック設定で更なる妥協が求められるでしょう。それでもPS4より綺麗であることは間違いないと思いますが。

というわけで、これはあくまでも手前の感覚を前提としたハナシ(検証? なにそれおいしいの?)ですが――

・PS4と同等以上のグラフィックで遊ぶなら2GBのグラボ(GeForce GTX750 Ti、Radeon R9 270X以上)
・PS4よりハッキリ上のグラフィックで遊ぶなら3GBのグラボ(Radeon R9 285以上)
・最高設定のグラフィックで遊ぶなら4GBのグラボ(GeForce GTX980、Radeon R9 290以上)
・最高設定のグラフィックでヌルヌルに遊ぶならハイエンドグラボ(GeForce GTX TITAN X 、Radeon R9 295X2)

――という感じになると思います。
ともあれ手前は、韓国は仏像を返還すべきであると思う。

2015年4月17日金曜日

これはやらなきゃウソ!

というわけでPC版GTA5の話です。思えばこの1月末日に、「2月1日までに予約すれば、ゲーム内通貨で150万ドルとGTASAをオマケにつけます」という阿漕なキャンペーンに完全に乗せられてしまい、定価の10%引きで開発。以後、発売日までの2ヵ月を、一日千秋の思いで待ち続けていたものです。

事前にプリロードを終えていたので、「4月14日の発売日にはすぐに遊べるンだろうナ」とワクワクしていたものの、実はアップグレード&データの解凍で1時間弱かかってしまうという罠が発動。これを甘受しつつ、箱コンを挿していざプレイ!

……で、あっという間に5時間。なぜ、5時間で止まったのかといえば、メインミッションの初めての強盗の件で詰んだ――Bプランを選び、ガス弾強奪を目指したものの、トラックを奪うだけでガス弾そのものを手にせずにミッションを進めた結果、Fがガス弾を持たずに屋上に上がってしまい進退不能。オートセーブなので直前のミッションに戻れなかった――ので、「ここでやり直す前に、一度ゲームを止めよう」と思ったから止まっただけの話。もし、これがスムースに進んでいたら、確実に徹夜していたはず。

このようにSkyrimに勝るとも劣らない時間泥棒なソフトなわけですが、その出来については改めて何か言う必要はないでしょう。もはや現代コンピュータゲームの最高峰のみならず、現代エンターテインメントの最高峰――実際、開発費と売上高は、大方のハリウッド映画を軽く凌ぐ。もちろん出来も――とさえ評価されていますが、この評価は大体正しいといえます。TPSとしてもFPSとしてもレーシングとしてもオープンワールドRPGとしても環境ソフトとしても、あらゆる点で水準以上の出来ですからね。で、これらの要素を、超一流の脚本家によるシナリオと、ハリウッド俳優による演技でまとめているんだから、ケチをつけるところはまぁ見当たりません。

ただ、手前が劇的にハマっている理由は、↑のようなことではありません。その理由は、「操作性が素晴らしすぎること」にあります。どういうことかというと、「TPSとFPSをいつでも変更できること」と「マウスとコントローラーをシームレスかつ同時に使えること」です。

いわゆるアクションゲームやレーシングゲームについて、手前がどのようにプレイするのかといえば――

「車の運転はWASDじゃ無理。マウスとWASDでどうやってドリフトすんのよ」
「飛行機の運転もWASDじゃ無理。アナログスティックがあればエースになれる」
「FPSは絶対にWASD。だってコントローラーじゃまともに狙いをつけられないでしょ」
「TPSはギリWASDでも我慢するけど、やっぱりコントローラーを使いたい」

――という感じです。つまるところ、「アクション全般はコントローラーでTPS。でも、射撃についてはFPSでマウスを使いたい」ということ。実際、TPSのゲームはまぁまぁ楽しく遊んでいるわけですが、やっぱり銃や矢の照準をつけるときに、アナログスティックでは上手く狙いがつけられなくて、むざむざと敵の餌食になることが多くてですね。それこそ、ちょっと前までほぼ毎日1時間遊んでいた『アサシンクリード4』にしても、コントローラーで派手なアクションをガンガン決めているときは本当に気持ちいいものの、いざ、銃や吹き矢を撃つ段になると、アナログスティックをちまちま動かさざるを得なくなり、ハイになっていた気分が途端に冷めてしまうという具合。

GTA5についていえば、これらのストレスはゼロ。TPSの一番遠い視点でコントローラーを駆使してカーチェイスをしつつ、車から降りてきた相手が殴りかかってきたら、TPS視点とコントローラーを駆使して叩きのめす。いざ、銃撃戦となったらFPS視点にして左手にコントローラー、右手にマウスを持って撃ちまくる……と、WASDを使わず手前にとって最も都合の良い視点、操作方法でキャラを動かせるわけですよ。


いろいろ規制があったり、低スペックな本体に合わせた結果、グラフィックが残念なレベルだったPS3版のGTA5。これに比べてPC版は、規制ゼロ、4K対応で60fps対応の超美麗グラフィック表示可能という完全版です。実際、「ほぼ最高設定のフルHD」で遊んでいると、「4Kテクスチャを含むグラ強化MODをしこたま入れ、クソ重いENBセッティングをしたSkyrim」に勝るとも劣らない感じです。てか、公式でハイレゾ超のテクスチャとENBを実装しているようなものですからね。前作とは世界への没入感がまるで違います。現在、ゲーム用PCを持っている人は、定価だろうが何だろうが、すべからく買うべきでしょう。

ともあれ手前は、韓国は仏像を返還すべきであると思う。

2015年3月29日日曜日

なぜ本邦の軍事評論家は、殊更に中共の脅威を訴えるのか?

◆タイトル:『こんなに弱い中国人民解放軍』
◆目次
・プロローグ
・第一章:こんなに弱い中共空軍
・第二章:大日本帝国海軍とそっくりな中共海軍
・第三章:中共の核は使えない、軍は統御できない
・第四章:中共陸軍の酷い実力
・第五章:弱い中共軍が強く見えるカラクリ

兵頭二十八師の新刊『こんなに弱い中国人民解放軍』(講談社α新書)を読みました。さすがに超メジャー出版社の有名なレーベルだけに、発売日には都内某駅構内の書店にすら商品が並んでいました。また、206頁というお手軽な厚さであるにも関わらず、写真は17点も載っていて、そのいずれもがキッチリとした報道写真――殲31の飛行写真や、尖閣諸島の領海に入ってきた海警を阻止する巡視船など、魅せる写真が多い――だったりするなど、良い意味で軍師の本らしくない取り扱いだったりします。

その中身はといえば、『予言 日支宗教戦争』以降書き続け、ここ最近では軍師の代名詞となりつつある「対シナ防衛」のハナシです。といっても、この「対シナ防衛」ネタについていえば、正直、『日本人が知らない軍事学の常識』において、ほぼ完璧な形で意見を開陳し尽くしてしまっています。ですから、文庫化も成った同書以降の「対シナ防衛」ネタの本については、「新たなネタ(最新の政治情勢or兵器に合わせた意見の微修正)」か「新しい切り口(客層に合わせて文体や重点要素を変える)」を楽しむのが、兵頭ファンの嗜みといえるでしょう。

この点、新刊はどのようになっているのか? 

結論から言えば、「新たなネタもあるし、新しい切り口もある。でも、そこまで目新たしいものじゃないかも」です。確かに随所に汲むべき警句が並んでいます。また、シナの呼称について、「中国という階級的特権を誇示する呼称は使わず、価値中立なシナを使うべき」と主張。これまで読者に強いることのなかった呼称問題に大きく踏み込んだところなど、古参の兵頭ファンにとって必見のパートといえます。加えて、フォース・マルチプライヤーの粋であるAWACSの実力について、これ以上なくわかりやすく解説しているところや、中共海軍の出自と政治性が、まんま大日本帝国海軍であることを論証したところなどは、既著にはないフレッシュなポイントといえましょう。個人的には、多くの軍事評論家(とりわけ空軍に関して)が、「中国軍は強いヨ。2020年には自衛隊もかなわなくなるヨ」といった能書きを垂れることについて、その政治的・経済的背景から理由を探った第五章が楽しめました。

とはいえ、概括的な解説としては『日本人が知らない軍事学の常識』があり、具体的なテーマとしては、『北京が太平洋の覇権を握れない理由』がありますからね。これらの本を全て読んだ人にとっては、対シナ防衛に関する「本人公認のまとめサイト」のように感じられるかも……というか、少なくとも手前はそう感じました。ただし、超メジャー出版社の有名なレーベルの新書ということを考えるなら、丁度良い内容といえるのかも知れません。実際、いつもの兵頭節では手軽な新書にそぐわないほど難解でしょうからね。                                                                                            

さて、ここ数年、年に数冊ペースで出版されてきた兵頭本も、ここ1年くらいは、「対シナ防衛」ネタの新刊及び文庫化が続き、他のネタ――歴史モノを筆頭に、ロボットから農業、スポーツまで――の本が出ていません。この不自然な出版スパンを見ると、ほぼ20年来の兵頭ファンとしては、経験的に「あっ、これはしばらく大ネタの調査or執筆に掛かりきっているナ」と感じてしまうわけです。次なるネタがどのようなモノになるのか? グリーンミリテクとか農業安保とか、全く予想のできないアプローチの新刊を出してきた軍師だけに、次の一冊が気になるところです。

ともあれ手前は、韓国は仏像を返還すべきであると思う。


2015年2月28日土曜日

steamで流行のマイクラ風味のゲーム2つとエイミー・アッカー

前々から気になっていたものの、日本語化されていなかったことからスルーし続けてきたPCゲーム『Project Zomboid』 steamのセールで随分安くなっていたので、チラっとスペックを見てみたら、公式で日本語対応になっているというので早速開発。一日30分づつコツコツと進めてきた『アサシンクリード4』『ローマ2』の合間にちょろっとプレイしてみるかナ――くらいの期待値でやってみたら……これがまぁハマるハマる! 購入から11日経た現時点におけるプレイ時間は27時間。『Banished』以来のハマりっぷりです。

どんなゲームかといえば、「初代『シムピープル』風の見下ろし方オープンワールドで、ゾンビが徘徊する街や森、草原を舞台に、自在に操作できる自キャラを使ってサバイバルするゲーム」です。ゲーム及び映像作品のなかで最もテイストが近いのは、海外ドラマ『ウォーキング・デッド』。つまるところ、たった一人で『ウォーキング・デッド』の登場人物みたいに生き抜くゲームということ。

どこが面白いのか? といえば、「“地球最後の男”としてサバイバルするため、あらゆる方法を使った立ち回り方のみを追及できる」こと。つまり、反射神経とかマウスさばきとか、WASDキーをグリグリ動かすとかいう、アクション性にほとんど依存せず、純粋に立ち回り方――「どこで休息するか」「何を獲るか」「何を使うか」「どれを倒すか」「いつ動くか」……etcといったサバイバルにおける諸行動の選択と決断――を考えることに没頭できる点にあります。

スタート地点である自宅に引きこもっているままでは、いずれ冷蔵庫の食料がつき、水道、電気も止まり、飢え死にしてしまう。まずは食料を得るために隣家に侵入しようと思ったら、目の前にゾンビがいる。これを倒すためには武器が必要だから、まずは自宅の机やタンスを漁ったところペンが2本あったから、これでゾンビを突き殺すとペンが2本とも壊れてしまったので、新たな武器を探さなきゃならない。近くでゾンビの群れていない家を探し、そこに侵入。食料とフライパンをゲットしたので、フライパンでゾンビをたたき殺しながら付近を探索すること数日。壊れたフライパンからバールのようなものに武器を変えながらうろうろしていたら、突然、水道が止まってしまったので、明日以降は雨水を貯めて飲まなきゃならなくなったから、水がめをつくらなきゃならないんだけど、これを作るためには大工スキルがレベル2以上なくてはならない。大工スキルを上げるためには、何か大工仕事をしなきゃならないけど、そのためには少なくとも木板とクギ、ハンマーが必要であり、もっといえば斧やノコギリもあると捗る。で、こうした貴重な道具は、ホームセンターや農家の物置くらいにしかないけど、ホームセンターにはゾンビの大群がいるし、農家は一日歩き続けても着かないほど遠くにある。ゾンビの大群をさばくには、ショットガンや釘バットのような強力な武器が必要だし、農家に行くためにはテントセットや水、食料の備蓄が必要となる。これらのアイテムを揃えるために、また、ゾンビの群れをぬって家から家、店から店を探索しなければならず……。

という具合に、常にプレイヤーに行動を強いるゲームデザインになっていて、その行動の選択肢は極めて豊富であり、決断の結果は、プレイヤーのスキル(反射神経やマウス捌きなど)に関係なく即反映されるわけです。なので全体的にのんびりした雰囲気であるにも関わらず、そのゲーム展開は存外スピーディであり、アクション一発で大逆転できないことから、常に緊張感溢れるプレイとなるわけですよ。

ちなみに手前は、サバイバルモードに10数回挑戦したものの3日と生き残れなかったので、サンドボックスモードでゾンビだけを弱い設定にして、ぬるく遊んでいます。それでも時々油断したときにはゾンビに囲まれてしまい、ちょっと噛み付かれて「すわ、感染か!?」とgkbrしつつ包帯を巻き、鎮痛剤を飲んでいたら、幸いにして感染せずにすんで良かったね良かったね良かったね(最強ロボ・ダイオージャ©)という感じで、適度な緊張感を味わえているので、もうしばらく――恐らくPC版GTA5(すでに予約済み)の発売日まで――はハマっていそうな感じです。

同じようなサバイバル系のゲームでは、これもsteamのセールで安かった『The Long Dark』も購入。こっちはFPSでうまい具合にデフォルメされたセンスの良いグラフィック(暖かみのある炎の表現は本当に秀逸。焚き火の点火アニメは、この手のゲームのなかでも最良)は気に入ったものの、中級では狼が強すぎてプレイにならず、初級では温すぎてすぐ飽きてしまいという感じで、現時点ではペンディング中。

最後に一つ。シーズン2までいま一つ乗れなかった海外ドラマ『パーソン・オブ・インタレスト』。近隣基幹駅付近のTSUTAYAでレンタル半額セールをやっていたので、シーズン3全部を借りてみたら、これがまぁ良かった。とくにEp9。あの盛大な死亡フラグのばら撒きっぷりは良い。あそこまで死亡フラグに自覚的な脚本は初めて見た。二捻りくらいした回収の仕方も見事だったしね。

あと、エイミー・アッカーが本当に輝きまくっているのが素晴らしい。加藤夏希の上位互換という恵まれたルックスであるにも関わらず、これまでいま一つ作品に恵まれていなかったけど、ここにきて当たり役を得て、レギュラーに昇格して、出ずっぱりになっているのがね。ファンとしては本当に嬉しくてね。

ああいう幸薄顔の美人って、やられ役か病的なキャラ以外はとことん合わないものだけど、それにしたってルートという病的にも程があるブッ飛んだキャラに、エイミー・アッカーがあそこまでピッタリと合うとはねぇ。当初は天才ハッカーという設定から、典型的文系女子という側面のみを見てキャスティングしたのだろうけど、確かな演技力とはじけっぷりからどんどんポジションが大きくなっていって、仕舞いには二丁拳銃を撃ちまくるまでに進化するからね。常に怒り顔のサラ・シャヒの魅力が半減している分、エイミー・アッカーがドラマの美女枠の大半を持って行ってる感じがする。

ともあれ手前は、韓国は仏像を返還すべきであると思う。

2015年1月28日水曜日

月末が近くなってきたので、とりあえず更新

・Huluの1月配信ドラマで、最も面白かったのは『シェイムレス』。3年前にIMDBで見つけて以来、ウィリアム・H・メイシー、エイミー・ロッサム、ジョーン・キューザックという「何このオレ得なキャスト陣!」と注目していた番組でもあって、視聴前の期待値はMAX。

・で、Ep1視聴を終えても失望感ゼロ。徹夜してシーズンを通して見終えても満足度MAX。大きな期待を一切裏切らず、それ以上に面白かった。とはいえ視聴開始10分後には、女優陣のキャストについて一言二言いいたくなった。実際、フィオナはとても21歳に見えないし、カレンだって未成年には見えないし。でも、視聴を続けているうちに、「ドラマで描かれるような荒んだホワイトトラッシュの生活を続けていれば、こういう感じでルックスも煤けてくるのかもナァ……」と、逆に妙なリアリティを感じるくらいのめりこんだので全然問題なし。

・『ハンニバル』は、キャスティングが完璧で、映像が綺麗で、金も十分にかかっていて、かつ面白い。けど、そもそも『羊たちの沈黙』やハンニバル・レクターにさして関心のない手前にとっては、「うん、新手の超人捜査モノだネ」という感想しか抱けなかった。といっても、最後まで見るつもりだけどね。

・Steamのホリデーセールで数多のゲームを買ったものの、今日までプレイしているのは『Total War : Rome2』(以下、ローマ2)と『Assassin's Creed IV Black Flag』(以下、アサクリ4)の二つ。ローマ2は、イケニ、ポントス、王族スキタイで一通り遊んだ後、ルシタニで地中海世界を制覇。その後、エジプトでプレイ中。戦車と象が使えて、最高レベルの騎兵と剣兵が強くて、射程の長い弓兵がいて、海軍のバリエーションも多いエジプトは、多分、ローマ2のなかで「プレイしていて一番楽しい国」だと思う。

・アサクリ4の内容は、一言で言うなら「カリブの海賊」。アクションゲームとしては、バットマンシリーズとほとんど変わらない印象。同シリーズの最大のウリであるパルクール――要するに忍者ハットリ君みたく屋根から屋根へと軽々動けること――にも、「いやぁ、バットマンでもっとかっこよく動かしてたからナァ」という感想しかなかった。ただ、グラフィックは本当に素晴らしい。で、ただひたすらパルクールで動きつつ剣や銃で暗殺するみたいなゲームだったら、始めて1時間で投げ出していたはず。でも、今日まで続けているのは、ひとえに「海戦が面白かったから」につきる。

・主観視点の『鋼鉄の咆哮』みたいな船舶シューティングで敵に砲撃を浴びせたり、衝角をぶつけたりしてダメージを負わせ、瀕死の状態になったところで船を横付けさせ、切り込み隊長として敵の船に乗り込み、エロール・フリンばりのチャンバラをするという、海賊ごっこの面白いところだけを抽出したような海戦が実に楽しい。正直、帆船の操作については、「ホーンブロワーを20回以上読んだ手前にとっては、リアリティのクソもない噴飯モノの出来」ではあるんだけど……。でもまぁ、直感的に動かせるし、それなりに風や波の影響が感じられるし、何より水夫がちゃんと酔っ払った風な感じで歌を歌うからね。雰囲気だけは最高だからね。文句を言ったらバチが当たるわね。

・本当は月初に観た『ゴーン・ガール』について色々と書くつもりだったんだけど、6000字近く書いたところで、まとめるのが面倒くさくなりそのまま放置。でもね、ここ10年近くに作られた映画のなかでは、間違いなく屈指の一本ですよ。実際、観終わった瞬間に「あっ、オレはいま、歴史的名作を観た!」と確信したくらいだもの。

ともあれ手前は、韓国は仏像を返還すべきであると思う。