2011年3月31日木曜日

責任を取る以外にどんな仕事があるのか?

政治家の仕事なんて、結局、コレに尽きるんじゃないの? 細かいことや実地での活動はスタッフがやることであって、有権者からの票をたくさん集めただけの人――民主主義国家であれば、これこそが一番大変なことであり価値があるものの、一個人の能力の高さを保証するものでは全くない――がやることは、「やるべきことの優先順位をつける」「優先順位の高いモノから実行するように指示する」「指示した結果の責任を一身に受ける」ことでしょ?

飯舘村に避難勧告を=IAEA

原発事故現場から30km圏の“避難推奨勧告”と同じで、「下手に決断して、あとで補償とかいうハナシになったら厄介だナ」みたいな小賢しい考えから、大切な決断を先延ばしにしていることが明らかだからねぇ。

最近、若者が右傾化してきたとか、軍靴の音が聞こえないのか? とか、ネトウヨが氾濫しているとか言われてますが、これは単純に常識的な人が増えてきただけでしょう。2011年現在において「民主党はダメ」って意見は、思想的な対立事項に関わる問題ではなくて、単なる“常識”だもの。それに、戦後直後の「日本を真っ赤にしてしまえ!」という気概のあった社会主義者には、一種のカリスマもあったんでしょうけど、いまの民主党の面々のような“お茶の間社会主義者”には気概も魅力も迫力もないしね。反民主党的な言動をとったからといって、右傾化しているとはいえないと思うけどなぁ。だいたい本当に右傾化していたら立ち上がれ日本があそこまで立ち枯れたり、維新政党新風が一議席もとれないなんてことになるわけないじゃんよ。

2011年3月30日水曜日

『熱闘パワフル甲子園』は廃人製造機

18:20~22:00に停電を食らったとき、人は何をすればいいのか?

PCもつかず、水も出ず、近所の店も開いておらず、鉄道も動いていない。外も家も漆黒の闇。ローソク一本で本を読むこともままならない非生産的な環境の下、ただ布団にもぐっているだけでは間が持たないのでは? 何か手慰みになるモノがあればいいんだけど、携帯電話は持ってないし……って、そうだ、DSがあるじゃないか! これならフル充電しておけば3~4時間つけっぱなしでも全然OKだし。でも、手許にあるソフトは『メタルマックス3』と『A列車で行こうDS』だけなんだよなぁ。『メタルマックス3』は30分で飽きるし、『A列車で行こうDS』はそもそも読書の最中にちょこちょこいじるゲームであって、3時間に渡って町の発展をガン見するようなモノじゃないしなぁ。

というわけで、夕方に計画停電を食らうことを覚悟していた頃、「3時間の時間つぶし」のために半年振りくらいに買ったDSソフト『熱闘パワフル甲子園』。計画停電地区から外れてからは存在自体を忘れていたのですが、昨日たまたま目にしたセンバツ高校野球に触発されて、さきほどプレイしました。

で、あっという間に8時間。全てを忘れて没頭してしまいました。

これはヤバイ。野球好きならハマらないのがウソ! ってくらいにヤバイ物件。どれくらいヤバイかっていえば、「サラリーマン時代、9:00~17:00で仕事をした後に、20:00~6:00でやりまくっていた『Civilization2』くらい」ってレベル。いやホント、仕事が全然ないときに手を出して良かった。

でも、ほんのひと時とはいえ、久しぶりに震災とか税金とか国民健康保険料とかのイヤなことを忘れられたのは大きな収穫といえるかも。





2011年3月29日火曜日

原発事故は“お雇い外国人”に任せるしかないか

東京電力、フランスに支援要請 福島原発事故で自力解決断念か

なんだか、前に書いたようにフランス任せってことになるのかね?

10年以上前のことだけど、兵頭二十八師がどこかのセミナー(演題は『兵器が語る近代日本史』だったか?)で、「日本の技術は最先端! なんて言われてるけど、それ違うから。基幹部分の技術(例えば巨大エンジンのタービンシャフトなど)は欧米に大きく遅れてるんだって。明治時代からカタチは真似ても、真髄は身に付けてないのさ!」というような趣旨のハナシをしていた記憶があるんだけど、これって原子力発電所のハナシにそのまま当てはまるよなぁ。

まぁ、原発についていえば、現代の科学水準では「一回マズイ事態になれば、ちょっと手がつけられなくなる」というのは古今東西同じだけど、「素早く原因を究明する」「あらゆる危険事象に対して正しい処置をする」「そもそもマズイ事態にならないようにメンテナンスをする」ことにおいて、日本は他の原発先進国に比べて明らかに劣っているとしか思えないもの。40年前から“お雇い外国人”に任せて、少しずつ技術を身に付けておけば……といっても後の祭りか。

「今回の件で痛い目を見たんだから、原発止めてエコな生活しようぜ!」みたいなことを言う人も増えてきてますが、日本経済のエンジンである首都圏で電気が足りてないってことは、産業全体を奈落の底に突き落とすってことでね。「エコな生活」どころか、生活水準がガクンと下がって「エコな生活どころじゃなくなる」ってのが本当のところでしょ。水力、地熱、風力、波力、太陽……etcといった代替エネルギーが、現時点ではあらゆる点で火力or原子力に遠く及ばないってことは、兵頭二十八師の『「グリーン・ミリテク」が日本を生き返らせる!』にある通りで、この期に及んで一所懸命、「太陽エネルギーが~」とか言ってる人は、広瀬隆氏――『赤い楯』とかを読んでも本気で信用している人は、宇野正美を信じている人を笑えないと思います――と同じくらいの信用度しかないといっていいんでしょう。

というわけで、政府は、原発問題をフランス電力公社なりIAEAなりの「東電&原子力保安院以外の専門家集団」に丸投げして、まずは被災地の救援にありったけのリソースを投入し、あまったリソースで新たな電力供給体制の中長期計画を提示――例えば、休眠中の原発を可及的速やかにフル稼働させるとともに、首都圏に火力発電所を増築するといった具合。もっと良いアイディアがあれば、それもバンバン盛り込む――して、「夏は停電するかも知れん。でも、彼岸までには絶対に停電しない体制をつくるから安心してネ」というメッセージを出すべきじゃないの? 

昨日までの官房長官の会見を見る限り「原発9割、被災地1割」って感じでしょ? これってどう考えてもおかしいと思うんだけどなぁ。



2011年3月28日月曜日

連休前まで日程調整すりゃ良かったのに

巨人 球場がない!東京D使用不可、ナゴヤDはAKB握手会

だから言ったじゃないの! そもそも「2週間以上の日程延期」「ナイターはダメという罰ゲーム」って制約のもとでシーズンを進めるのであれば、一カ月くらい時間をかけて新たに日程を組みなおすしかないんだって。巨人、ヤクルト、西武、ロッテの代替開催地は――

・長野オリンピックスタジアム(収容能力30000人)
・草薙球場(収容能力30000人)
・新潟県立球場(収容能力30000人)
・坊っちゃんスタジアム(収容能力30000人)

――と、パッと思いつくだけでこれくらいあるんだし。最初からこの辺の球場を暫定ホームとして日程を組みなおせば、中止だのダブルヘッダーだのをしなくても済むでしょうに。坊ちゃんスタジアムだけは西日本(四国)だけど、ヤクルトにとって見れば「将来の本拠地移転」の地ならしとして、ここで1シーズンやってみるのも悪くない手だと思うんですけどね。

あと、斎藤佑樹投手。打たれれば「半価値w」、押さえれば「ハンカチ!」と投げるたびに評価が激変している感じですが、本当の実力については公式戦での登板を見るまで何ともいえないでしょう。ただ、去年から何度も書いている通り、手前はあんまり買っていません。ニワカ日ハムファンとしては、がんばってもらいたいんですが、10年後に桑田真澄や松坂大輔投手みたく、世の野球少年が「将来はユウちゃんみたいになりたい!」って憧れる存在になっている図――がどうしても見えないんですよ。もっとも、『ダイヤのA』の主人公じゃないんだから、まともなフォーシームを投げられないピッチャーが“お手本”になれるわけがないんだけど。

2011年3月27日日曜日

もう一度、クラークやベルツの時代からやり直すべきかも

・一駅先のスーパーで米を発見。いつもの「無洗米ななつぼし」がなかったので、福島県産の「ひとめぼれ」を購入。月末には切らしそうだったので、ちょうど良いタイミングで買えた。あわせて雑穀ミックスも購入。震災前までは押麦を混ぜて麦飯にしていたけど、震災後はふりかけ要らずの雑穀飯に変更。

・麦飯は炊いた直後はおいしいけど、冷えると青臭くなるからふりかけ――もしくはレトルトカレーか雑炊、チャーハンに加工すること――が必須だったからなぁ。ふりかけとレトルトカレーが安定的に入手できないなかでは、この選択肢がベターと思い込むことにする。

・「買いだめ」騒動から10日以上経ったからか、品揃えはかなり安定してきている感じ。全くないのはトイレットペーパー、納豆くらいか。焼きそば、インスタントラーメンなども揃っていた。一頃はどのスーパーでも見かけなかった「3食焼きそば」が棚から溢れるほど並んでいたのが印象的。これは値段が定価だったからだろうか。

荒川区1万2千件「中小企業が全滅」議員が計画停電に強硬反対前にも書いたとおり、こういうことがあるのは多分事実なんでしょう。武蔵野市の市議会議員の件もあったし。本人と支持者が必死に弁解してるけど、口蹄疫禍の宮崎県への小沢の恫喝とか、長崎県知事選での石井一の恫喝みたいな「露骨過ぎる利益誘導」の実績を知っていれば、到底信用できないよなぁ。

・原発についていえば、東電は賠償させた後で解体。フランス電力公社を誘致して全国の原発運営を任せるというのがベターかも。細かなスキーム――賠償&解体方法、電力自由化の手法や入札方法など――はすぐに思いつかないけどね。

・ただハッキリいえることは、「日本航空もそうだったように半官半民はダメだ」「官吏に任せていたらもっとダメだ」ということ。別宮暖朗氏が、一連の著作で帝国陸海軍を例に挙げて指摘しているように、組織のトップに試験秀才を置くことが間違いなんだろう。かといって、豊臣秀吉とか西郷隆盛みたいなリーダーの中のリーダーを見つけてトップに据えるシステムを、これから作り上げていくのも難儀なことだ。

・だったら、明治一ケタの頃と同じように、外国人を使った方がいいんじゃないか? 最先端の原発技術を持っているのはフランスなんだから、有望な代替エネルギーが見つかるまでは、そこに任せるのがベターじゃなかろうかと。

・もっと本質的なことを言えば、兵頭二十八師や太田述正氏の言うとおり「憲法を改正して、アメリカと双務的な同盟を締結して、属国であることを止める」ことからスタートしなきゃダメなんだろうけど、現時点では夢物語だからなぁ……。





2011年3月26日土曜日

明日の事故より今日の仕事

<東日本大震災>「非正規切り」が深刻化 26日に電話相談

原発のない社会の未来図だよなぁ。前日まで停電するかどうかわからない、スケジュールの決まっていない“無”計画停電を続ければ、そらそうなるでしょ。このあいだ地下鉄に乗ったら、中吊ポスター、額面ポスターから帯広告まで見事にスッカラカンになっていて、「こりゃ広告関係の仕事をやっている中小企業の人生オワタ\(^o^)/でしょ?」と戦々恐々としたものですが、この“無”計画停電が連休まで続くのであれば、非正規切りどころじゃ済まなくなるのは目に見えてるものなぁ。TVCMだって未だに仁科親子やポポポポ~ン連発でしょう? で、首都圏外縁の企業がダメになるってことは、遠からずそこと取引している23区内の企業もダメになるってことだし。首都圏のビジネスが低調になれば、当然、東海、関西も足を引っ張られるわけで……。

もう、この際割り切って「一県一原発」でいくしかないでしょ。もしくは、「一県三火力発電所」ということにして、スモッグと騒音とバカ高い電気代を甘受するか。それもイヤなら、全国民参加のバトルロワイヤルにより人口を半分くらいに減らして、生活水準をアジアの発展途上国並みにするしかないもの。リスクファクターは増えるけど、分散化しないとこういうことになるわけだから。

事故が怖い? 近視眼的で貧乏で非才の身である手前にとっては、明日の事故より今日のメシのタネが心配です。

2011年3月25日金曜日

原発ガレキの山は、ホメオパスたちに片付けさせろ!

福島第一原子力発電所・第3号機の瓦礫の山。政府は、この瓦礫を片付けるために自衛隊を動員するとかいう世迷言を言ってますが、何を言ってるんですか! たかが瓦礫を片付けるために、貴重な人材を失うことがあっていいものですか。瓦礫の片付けなんて所詮力仕事。健康な成人であれば誰だって出来ることです。

もちろん、そこで四六時中力仕事をしていれば、確実にヤバいレベルで被爆するでしょう。

「だったらナニか? 死刑囚とかホームレスを突っ込ませろってか?」

いえいえ。そんな百万回書かれたような古臭いアイディアを偉そうに書くわけないじゃないですか! 死刑囚だろうと人は人。戦時でもないのに、確実に死ぬかもしれないところに突っ込ませるようなことが倫理的に許されるはずがありません。

逆に言えば、「確実に死なない=被爆対策が万全か治療のしようがある」状況であれば、迷わず突っ込ませてOK! ということ。つまり、こういう主張とか、ああいう主張とかをする人(要するにホメオパス)であれば、放射線対策はバッチリなはずなので、彼(彼女)らを『原発ガレキの山を片付け隊』に任命すればいいんですよ!

ホメオパシー療法の啓蒙を図る意味でも、全国……いや全世界のホメオパスたちは、『原発ガレキの山を片付け隊』に志願すべきですよ。

①震災復興どころか世界貢献レベルの崇高な行為により、地球レベルでの宣伝効果が得られる。

②ホメオパシーが、現代科学では治療不可である放射線被爆に対する画期的な治療法であることを立証できる。

実行に移せばこれだけ巨大なメリットを享受できるんだから、もうね、志願しなきゃウソ。それに放射能被爆に対するホメオパシー療法の効果を立証できれば、文字通り、医療の世界に革命を起こせます。世界各国での保険適用どころか放射線被爆の標準療法に格上げですよ!

言葉を換えれば、ホメオパスが誰一人として『原発ガレキの山を片付け隊』に志願しない、あるいは猫の手も借りたいほど人がいない福島県の原発避難地域へ、ホメオパスが誰一人としてボランティアに行かなかったことが明らかになった時点で、「ホメオパシー? レメディ? で、何に効くの(笑)」と笑われても仕方ないってことです。

ガンバレ! ホメオパス!!

おまけ:【ニコニコ動画】ホメオパシー救急病棟



2011年3月24日木曜日

震災復興に向けて、兵頭二十八師の有意義な提案をまとめてみました

平成23年東北地方太平洋沖地震の後、毎日更新している「Podcast28_Military_News_Blog」(MIL短)のほかに、兵頭二十八半公式ファンサイトの「放送形式」、武道通信ホームページの「告知板」でほぼ毎日更新している兵頭二十八師。どこでどんな提案をしているのかについて、とりあえず下記のようにまとめてみました。

◆震災後の放送形式

■ 7月~9月は「強制夏休み」(都内のみ)でいいよ。
――7月まで東京都の公務員は24時間シフトで仕事して、7、8、9月はバカンスにしよう。そのあいだの首都機能は軽井沢あたりに移転すればいいのでは?

■ さて、テレビの「地デジ」化進行表は完全に吹っ飛んだわけだが
――日本全国一斉地デジ化は無理でしょう。被災地の延期は避けられないんだから。NHKの衛星放送を恒久無差別無料化でいいじゃん。家電業界も「衛星放送解禁特需」で息をつけるし。

■ 「オウ、急いでくんな、酒手は弾むぜ!」……緊急政令で「雲助」「俥屋」「牛追い」を認めよ。
――化石燃料を使わない運送サービスを民間が勝手にやってよいことを認めることで、燃料不足による物流停滞が緩和できる。被災地限定で認めるべきではないか?

■ 権力亡者がそれぞれ考え中。東北復興資金で日本の支配者になれるぞ、と。
――東北復興資金の配分権を握った者は、日本の支配者になれる。あと、国交省は車両甲板を持つ貨物船を全て借り上げて、被災地沿岸に重機と物資満載の車両を送り込め。併せて東北沿岸に浮き桟橋を作れ。

■ 日本の原発としては「アメリカ型軽水炉」は、ふさわしくなかった。
――島国や地震国では、陸上軽水炉が脆弱となる。海抜0m以上であれば水漏れのリスクが避けられないからだ。水中に置くスタイルなら別だけど、手っ取り早く整備できるのは別の型式の原発だ。あと、「災害時ヘリ取材制限法」もすぐ成立すべきだ。

■ UAVの応援を頼め!
――米軍のサーマル・センサー付きの固定翼無人航空機を借りるべし。ガレキの中で生きていれば、サーマル・センサーで外気との温度差を探知できる。これで生存者の座標を知ることができるじゃないか。

震災後の武道通信・告知板

・東京23区内のすべての官公署の非緊急的窓口を、「夜9時オープン、午前10時クローズ」にせよ。
――サマータイムとかバカじゃねぇの? 役所にあわせてビジネスしてんだから、役所を休ませればいいじゃん。役所が昼寝していれば、真夏のピーク時の電力消費も抑えられるんじゃないか?

・大量の「ドラム缶」が重宝するぞ。ドラム缶を送れ!
――ミニ焼却炉にもなるし、野外ストーブにもなるし、魚焼きグリルにもなるし、五右衛門風呂にもできる。雨水や川の水を煮沸して洗濯もできる。

・統幕議長は文句を言う前に緊急の要求は上げているのか?
――米軍からリースして重宝するモノを、とりあえず8つほどリストアップするよ。

・津軽海峡に自動車橋を架けよう!
――青函トンネルはトラックが通行できない。有事にはトラックが自走できる自動車架橋が必要。あと、日本海側に新幹線の迂回路を作るべし。

2011年3月23日水曜日

今日も元気だ 放射能コーヒーがうまい!

東京都の金町浄水場で乳児の基準超える放射性ヨウ素を検出

このくらいは想定内。多分、関東全域の浄水場で同じことが起きてるんでしょう。

四捨五入して40歳にもなれば、ちょっとくらいの放射性物質なんて屁の河童。なぁにかえって免疫がつく……わけはないし、健康に良いわけもないけど、新陳代謝も落ち着いてきたし、子作りも考えてないから全然大丈夫。毎日飲んで甲状腺ガンになる頃は、年金も貰えず生活保護も受けられない身の上になっているだろうから、そのときは無銭飲食を繰り返して刑務所に養ってもらえばいいしね!

追記:「水が安全じゃない」「鉄道がダイヤ通りじゃない」「ときどき停電する」「商店にモノが揃ってない」――世界標準では当たり前のこと。つまり、これでようやく小沢一郎の言う“ふつうの国”になったってことだな。良いか悪いかでいったら悪いに決まってるけどね!

いまこそ読まれるべき本、「マンガで読む たった一人のテロ対策」

◆目次
・第1章:爆弾テロに備えろ!―身近な危険を察知せよ!―
・第2章:BC兵器から身を守れ!―触れるな・嗅ぐな・留まるな―
・第3章:死の灰から逃れろ!―最悪のテロから身を守る3原則―
・第4章:サバイバルを楽しもう!―効率的な日常装備と備蓄法―
・第5章:サバイバルも体力だ!―痩せた狼で生き残れ!―
・第6章:応急処置をマスターする!―ファーストエイドの基本―

古参の兵頭ファンにはお馴染みの漫画家・小松直之氏が前書きと奥付以外の全てのページでマンガを担当している『マンガで読む たった一人のテロ対策』(平山隆一・文、小松直之・画。並木書房)。前書きに「本書は、爆発物・生物兵器・化学兵器・核兵器などの攻撃に対し、私たち一般市民がどのように身を守ったらようのか、できるだけ具体的な対策手段をコミックでまとめたものです」(1頁)とある通り、都市で出会う様々なバッドイベントへの対処法について、マンガを使って具体的に解説したサバイバル本です。

シュンジ君(痩せメガネのミリオタ。ボケ)、ユウコちゃん(シュンジの姉。しっかり者。ツッコミ)、カズヒロおじさん(特殊部隊出。セキュリティの専門家。先生)の3人が様々なテロの現場でいかにして生き残るか? をNHK教育の番組のように解説する手際の良さもさることながら、何よりも素晴らしいのは「必要な情報の取捨選択と具体性」です。

他のサバイバル本のように、「カッコつけるため」の情報は一切ありません。脂質ゼロ、実際に役に立つことしか書いていないところが、この本の凄みです。ある意味、レシピ本とか節税アドバイス本に匹敵するくらい、「買ってすぐに役に立つ」という類の本といえましょう。

なので、その内容には言わずもがなのことも少なくありませんが、専門家でなければ指摘できないことも数多くあります。少なくとも手前は――

・頭上をカバンなどでガードする際には、必ず手の甲を上に向ける
・カバンと頭のあいだは5センチほど空けておく
・熱さの確認は指の外側(ツメのある方)で
・予告電話に対してバカにしたような口調で話さない

――ということを、この本の第1章を読むまで知りませんでした。

昨今話題になっている原発問題(放射性物質への対処法)も、第3章でミッチリと解説しています。これを読むと「原発事故も大変だけど、ま、何とかやりようはあるわな」と思えてきます。ここで書かれていることをわきまえていれば、少なくとも2chや夕刊紙に書かれているようなデマには踊らされずに済むことでしょう。その意味でも、同書は今こそ読まれるべき本だと思いますね。

2011年3月22日火曜日

次に来るのはどの幕府か?:その2

*以下のエントリは、90%以上はヨタ話として読んでください

では、次に来るのは小沢なのか? それとも仙石なのか?

勝負のポイントは、一回目の復興予算が通ってから数週間までに「どこまで復興計画に噛めているか否か」じゃないでしょうか? つまり、予算が通って、土建屋が契約を結ぶ頃までに談合をコントロールできる立場にいるか否かってことです。一度契約すれば、これを破棄するようなことはまずあり得ない――一応、法治国家であることに加え、どんな強権も、「一日も早い復興のために」というスローガンの前には沈黙しますからね――ですから。

と考えると、これから数週間~数カ月間は、これまでとは比べ物にならないほど先鋭化した政治闘争が繰り広げられるのかも知れません。自民党も黙ってはいないでしょう。仮に明日総選挙が行われれば、自民党が政権復帰することはほぼ確実です。で、自民党に政権交代したらどうなるかといえば、事実上のオーナーである古賀誠を軸に、民主党に勝るとも劣らないほどの土建&社会主義的政治が行われることは必定です。谷垣自身も思想的には古賀と近いので、もしこの数カ月のうちに自民党が天下を獲れば「小沢幕府」や「仙石幕府」の代わりに「古賀幕府」が樹立されるだけなんじゃなかろうか? とイヤな未来しか見えなかったりします(土建屋とのコネがなかったが故に社会主義的な色の薄かった森喜朗がオーナーだったら、少しはマシだったんでしょうけど)。もっとも、民主党政権にとって最大の懸案であった来年度予算案は、震災のお陰でほぼ通ることが確実なので、あと1年は民主党が政権に居座りそうな感じですが……。

というわけで、多分、今次震災の復興予算の配分権を握るのは仙石か小沢のどっちかなんでしょうが、どちらになるかまでは全くわかりません。ただ、どっちにしても社会主義的な政治を行うことは確実なので、軍師の言うとおり、「非常時を呼号していかに反対勢力を沈黙させて国民総動員統制体制を築き上げてしまう」ことも、当然視野に入れていることでしょう。

こうした動きに対抗する唯一の手段が、統一地方選挙での投票行動だったのですが、すでに数カ月延期することが決まりっぽい感じになっています。なので、手前みたいな雑魚有権者に残された手は、来るべき統一地方選を前に自分の選挙区の“隠れ民主党員”をあぶり出す(面倒かも知れないが、無所属議員の事務所に電話をかけて確認する)か、blogでヨタ話を書き続けるしかない――というのが現状なのでしょう。

新人の民主離れ続出

すでに復興庁創設の動きが出ていますが――

「僕は原子力に詳しいんだ」
「学校のプールにガソリンをためればいいと思う」
「国会に来てもやることがない」
「どういうことだ。俺を誰だと思っているんだ」
「初めてのことなので」
「アロマの匂いを楽しみながら英語を勉強したい」
「エステとコラーゲン化粧品に興味がある」
「俺たちの指示に従えないのなら、お前らやめさせてやる」

――と、鳩山由紀夫がかわいく思えるほどの無能な人材に任せても上手くいくわけがありません。

今次震災の復興にあたっての有意義な提案は、軍師に限らず多くの専門家、評論家が提示しています。これらを実現するためには、「計画的な予算配分」ではなく「重点分野への予算かけ流し」しかないと確信しているんですが、民主、自民とも社会主義者がデカイ顔をしているあいだは、このささやかな願いも叶うことはないんだろうなぁ。

2011年3月21日月曜日

次に来るのはどの幕府か?:その1

兵頭二十八師が放送形式とMIL短blogで、相変わらずキレまくっている評論を連発しています。

■ 権力亡者がそれぞれ考え中。東北復興資金で日本の支配者になれるぞ、と。
●自衛隊は、福島第一のガレキ片付け作業は拒否して可い。【2011-3-20作文】

なんというか世間の流れより一歩進むどころか、五歩か六歩は進んだ地平でハナシをしているところが素晴らしい。軍師が書いている通り、今次震災の復興予算規模は、低く見積もっても阪神大震災(単年度3兆2千億円。これを3年間支出)の倍くらいには膨れ上がるものと見込まれています。

参考:大震災被害「20兆円」 同志社大大学院教授推計

この巨額な復興予算を握った奴が、日本の独裁者になれるかもしれない――ということに気づいている人は、権力中枢にいる人間を除いては軍師唯一人だけじゃないでしょうかね? 少なくとも軍師が指摘するまでマスコミ、評論家諸氏は、このことにハッキリと気づいていなかったものと思います。良く訓練された兵頭ファンを自任している手前も、「言われてみればその通り!」「てか、軍師の著書(特に満州、帝国陸海軍関係のハナシ)を読み込んでいれば、この発想が出てこない方がおかしかった!」と膝を打ったものです。

といっても、復興予算を自由に差配できた権力者が独裁者になれるわけではないでしょう。ただ、闇将軍として君臨することは十分可能ではないかと考えています。

まず、復興予算の規模について。総計20兆円――阪神大震災の復興予算の倍と見積もった場合――というと、年間の国民医療費(33兆円強)に満たない金額なので、日本の支配者になれるほどの大規模な予算には見えないかも知れません。しかし、国民医療費や防衛費などの予算には自由にならない固定費に近いモノが多く、政治家や官僚が自在に差配できる“真水”の部分は案外少ないものです。例えば防衛費などは8割近くが固定費(人件費と歳出化経費)で占められています。

一方、今次震災の復興予算は、大雑把に言えばほぼ全額が“真水”。これだけ巨額な“真水”の予算を扱えるのは、日露戦争前に六六艦隊とかを作っていた頃の帝国海軍以来じゃないか? というくらいの規模なわけです。しかも、予算の大部分が土建屋に流れるので、この流れを押さえてしまえばリベート取り放題。仮に数%中抜きするだけでも、全選挙区に陣笠を立てるくらいのことは簡単に出来てしまいます。もっといえば、今回の震災を大義名分として、「鳩山イニシアチブ(笑)」とか「対中ODA」とか「国連拠出金」とか、止めたくても止められなかったバカな出費を全部カットすることも正当化されるでしょう。結果、扱える予算規模は更に膨れ上がる可能性も大ってことです。

カネさえあれば総理大臣にもなれるってことは、鳩山由紀夫が身をもって証明しました。が、鳩山は、その権力を維持することが存外難しいことも同時に証明しました。つまり、小選挙区制の下では、当人によほどの実力(人気、リーダーシップ、政治力……etc)がなければ、独裁者にはなれないということです。また、闇将軍になることも結構難しいものです。人気以上にカネの多寡で勝負が決まる中選挙区制の下であれば、田中角栄や竹下登のように院政を敷くことも簡単だったでしょう。これも小選挙区制の下では上手くいかないということは、いまの小沢一郎の境遇が証明している通りです。

ただし、今次震災の復興予算の規模は、昨日までの公共事業費とは文字通りケタが違います。これだけの規模の予算を独り占めできるような政策を主導し、自在に差配できる立場につくことができれば、小選挙区制という「一度の敗北で壊滅的なダメージを受ける」制度の下でも、「一回くらいダメでも、ま、お金はあるし」と再チャレンジできるということ。つまり、独裁者になることは難しいかも知れないけど、文字通りカネのパワーだけで闇将軍として君臨し続けることは十分可能と考えられるわけです。

2011年3月20日日曜日

社会主義者による人治政治はもうたくさん!

*注意――以下のエントリは十二分に眉につばをつけて読んでください

【緊急情報(東北地方太平洋沖地震)】
※~市は、1グループ・2グループ・5グループの3つの地域に分かれています。東京電力の計画見直しにより、~市の1グループと5グループは東京電力の計画停電から外れ、当面の間、停電はありません。(手前が住んでいる自治体HPより)

というわけで、どうやら手前の住んでいる地域(~市の第5グループ)は、しばらくのあいだ停電しないことになったようです。一昨日は、18:20~22:00までの停電予定ということで、17:40に夕飯を食べ、18:10に洗い物、トイレ、水汲みを全て終えて、18:15にPCの電源を落として、18:20にはようやく調達したローソクをガラス小鉢&アルミホイルで作った“簡易燭台ランプ”に3本立てて、枕元に懐中LEDライト(『カジノ・ロワイヤル』のDVD店頭特典として貰ったやつ。キーホルダー型で中指程度の大きさしかないけど結構重宝しているモノ)を置くという万全の体制で布団に突入……したものの、いつまで経っても停電しなかったんですよ。

痺れを切らして19:30にPCをつけて自治体HPを見たら、「~市第5グループの計画停電は回避されました」とのこと。で、翌日には上記の案内があったというわけです。

これはこれで嬉しいことで、「首都圏外縁といえど、23区なみの待遇になったってことか」と一瞬喜んだのも事実なんですが、改めて冷静に考えてみると、どうにも解せないわけです。だって、他にウチの地区より遥かに人口の多い地区でも2回停電があったりするにも関わらず、ウチの地区は、3日前の早朝と午後の停電予定から今日まで全部停電回避ですから。

「ということはアレか? ウチの地区は3日前から停電回避でハナシがついてたってことなのか?」

って誰でも思うじゃないですか。で、3日前に何があったのか調べてみました。そしたらですね、こんなニュースがあったわけです。

◆今朝の新聞各紙に~市が掲載◆ 読売新聞、毎日新聞、東京新聞、産経新聞、「原発避難24人 ~市受け入れ」、「~市に原発避難者」、「福島第1原発20キロ圏の住民 ~市まで避難」ほか。(3/16、22:04、自治体Twitterより)

つまるところ、福島県の原発被災者をいち早く受け入れたことで、何の変哲もない首都圏外縁の地方都市が一転して“被災地”に認定された結果、計画停電の対象から外れたんじゃないかってことですよ。まぁ、市長、代議士ともゴリゴリの民主党なので、彼らが東電に凄んだか官邸に泣きついた結果、こうなったのかも知れませんが。

ともあれ、海江田万里の選挙区である千代田区が計画停電の対象外であるように、こうした人治政治による不公平がまかり通るのは、「特定アジア(=儒教国家)大好きな社会主義政権」でなければあり得ないことでしょうね。言論の自由がある以上、クーデターには反対だけど、こういうしょうもない政権を国民の手で引き摺り下ろせない――菅は残り2年政権にしがみつく気マンマンだし、どうやら今回の震災で今年の予算は通りそうだから、あと1年は何があっても安泰っぽくなってきた――政治制度は見直さなきゃならんでしょう。それも早急に!

2011年3月19日土曜日

兵頭二十八師によるアクロバティックな復興策

津軽海峡に自動車橋を架けよう! 兵頭二十八

3/9にクリティカルな新聞批判を読んで以来、時々チェックしている「武道通信HP」の告知板。ここに兵頭二十八師の新作評論が掲載されていました。

>函館市内ではGSの行列などまったく見られない、電気屋に行けば、手回し発電式のLEDライト&防水ラジオが普通に入手可能である。
>ところが海峡を一歩越えた八戸市ではすべての物資が不足している。フェリー会社と国交省は、何をやっているんだという感じだ。

と、首都圏在住者にとってはとても信じられないような北海道の(主に物資関係での)リア充っぷりの紹介から、実に刺激的でアクロバティックなアイディアを提示しています。専門家から見れば突っ込みどころはたくさんあるのかも知れません。というか、短い文章にありったけのアイディアを詰め込んだ評論なので、逆に突っ込みどころがない方がおかしいともいえるんでしょう。

でもねぇ、こういう時期、こういう状況だからこそ、「現状よりも五歩くらい進みつつ一石三鳥な一手」を考えてみる必要があるんじゃないでしょうか。というか青函架橋のハナシは、平時であればコストばっかり高くつくだけで顧みられなかったものでしょうが、いまは1000年に1度の有事ですからね。

軍師が提示しているアイディアは、これから具体的な復興策を考えていく上での“たたき台”として一見の価値アリと思うんですよ。もし、技術的に困難な点があれば、専門家なりが違う視点や切り口から新たな代替案を提示すればいいだけであって、アイディアの大枠には大きな価値があると思いますね。

「プロ野球12球団・監督の査定ファイル2011」

◆総合2位
・中日ドラゴンズ、落合博満

◆指揮官としての落合博満
・通り一遍の落合博満の紹介。特に目新しい情報、切り口は一切ナシ。

◆各采配データ
・リリーフ防御率:3位
・代打成功率:4位
・盗塁成功率:5位
・僅差勝ち・大敗比較:1位
・2点差ゲーム勝率:6位
・1点差ゲーム勝率:3位
・7回以降の逆転勝率:6位
・ビジター勝率:5位
・ホーム勝率:1位
・1年当たりの平均セーブ数:2位
・1点あたりの安打数:9位
・延長戦勝率:3位
・1勝当たりの年俸:7位
・4番固定率:4位
・チームK/BB:3位

◆ハイレベルな投手陣で捨て試合を作る落合采配
・1点差ゲーム、延長戦に滅法強く、単年度で見ても勝率5割を下回ったことは一度もない。一方、4点差以上の敗戦数は151試合で、同じく7年間指揮を執っている原監督より15試合も多い。これはリードしている場面とされている場面での投手起用がハッキリしているためだろう。勝ち試合のリリーフ投手の登板数と投球回数がほぼイコールであることも、その証左といえる。

◆中日ドラゴンズOB・愛甲猛の目
・「今日の先発は何点取られるか」とシミュレーションして試合に臨んでいる。「浅尾と岩瀬に繋ぐまでの失点」を読んで、その通りのゲーム運びなら勝てる、予測がハズれたらあきらめると考え、そこに選手という駒をあてはめている。これは現役時代と同じ考え方。

・この感覚でゲームをしているため、どうしても短期決戦向きではない。ロッテに負けたのも内という計算外の選手が働いたため。内のデータを見て、打てると読んでいたのは?

・オチさんは野球に対する考え方をチームに浸透させている。昨年のチーム別総得失点差は阪神+100、巨人+94に対し中日は+18。どうやって優勝するんだという得点力で優勝できたのも、1にも2にも選手全員が役割を理解しているから。主砲の和田さえも、ここぞというときは右打ちに徹する。

・昨年の日本シリーズ第7戦でケガした森野を代えた。星野さんなら「行けるとこまで行け」というかも知れない。清原も「ベンチで座っている場合じゃない」とコメントした。オチさんは「無理をさせると来年を棒に振る」と考える。

・もうひとつ違うのはコーチの役割。各コーチをきちっと独立させている。左打者の僕が打撃を教わったとき、オチさんは「右打者の俺は左は教えられない。けど打ち方は教えてやる」と言った。まさに今、そのままをやっている。

・辻、奈良原、渡辺とポジションごとに名手を配置。森、小林はリリーフ、稲葉、近藤は先発、それぞれサイドハンド、右、左と分けている。打撃コーチも右の垣内に左の上田。ここまで徹底しているチームは他にない。

・今シーズンの課題は控え選手の底上げ。捕手の育成も長期的な課題。投手陣も朝倉、中田の復活が待たれる。10勝投手がもう一人でてくればチームは楽になる。

――還付金が振り込まれて気が大きくなっていなければ、絶対に買ってないムック。他のページに読むべきところはほとんどなかった(伊東勤による渡辺久信監督の解説だけはしっかりとしていた)。ちなみに総合1位は小川淳司監督、総合12位は尾花高夫監督。ま、1年の成績比較すりゃそうなるわな。

2011年3月18日金曜日

プロ野球開幕問題について

プロ野球の開幕延期問題ですが、手前の意見は「是非、延期すべし」です。といっても、「球遊びどころじゃないだろ!」とか「ナベツネ憎し」とか「選手会ガンバレ!」とかいう理由ではありません。単純にオープン戦中止により選手の調整不足が続くなかで予定通り開幕しても、多分、100%のパフォーマンスが見られず、逆にけが人が続出することと、首都圏の計画停電により東京ドーム、神宮球場、横浜スタジアム、西武ドーム、千葉マリンスタジアムでの開催日程の変更が迫られることが必定であるためです。

じゃぁ、どうすればいいのか? 手前のアイディアは以下の通りです。

①開幕日はセ、パとも4月29日――現時点でオープン戦が一週間行われていない。これにより実戦感覚を取り戻す作業は、事実上、ゼロからやり直すことになる。しかも、現時点ではオープン戦開催のメドすら立っていない。となれば、4月から再度オープン戦を始め、3~4週間かけて調整し直さなければ、シーズンでフルに実力を発揮することは難しいと考えられる。よって開幕日は一カ月程度延期し、ゴールデンウィークの書き入れ時に合わせて開幕すべきではないか?

②試合数は130試合、CSとアジアチャンピオンシリーズは中止――開幕日を延期したまま、フルシーズン144試合を戦えば、シーズン終了は11月になってしまう。よって、過去のシーズンのように130試合制とし、CSは一時廃止する。なお、試合数削減により一軍登録期間も短縮されるので、全選手の年俸も一律でカットすべきだろう。

③全試合デーゲーム、試合開始時間は13:00が基本――首都圏の計画停電は恒常的に行われる可能性も残されている。仮に行われないとしても節電が求められることは明らかなので、基本、夜間照明が必要とされず、停電時でもゲームを続行できるデーゲーム開催は必須だろう。なお、巨人と西武は、今シーズンに限り他球場をホームとするのが望ましい。

④オールスターは東北の球場で開催し、避難住民を無料招待――これについては特に付け加えることはない。

日程組み直しも数日で出来るものではないので――交通、宿泊手段の確保からチケット販売、外注業者のスケジューリング……etcが必要なので――、これから延期するとなれば、調整云々のハナシを横に置いても一カ月程度の準備期間は必要になるでしょう。もし、130試合に短縮するとなれば、シーズンチケットも7試合分の価格を払い戻さなきゃならなくなるでしょうし。ただ、これだけオープン戦が開けず、調整もままならないなかで、一週間後に開幕するっていうのは、ちょっとでも野球を知っていれば“狂気の沙汰”にしか思えないんですけどね。

2011年3月17日木曜日

人民は弱し官吏は強し

・今日は一駅先のスーパー2件を偵察。炭水化物、水、紙関係が全滅なのは相変わらず。ただ、肉、魚、野菜は豊富に取り揃えられていた。日持ちのしないモノが陳列されている状況を見る限り、物流網がある程度復旧しつつあることは間違いないのだろう。

・「買いだめ」に走る心理は理解できるものの、インスタントラーメンを買い占める心理だけは理解不能。食べるにはお湯が必要だし、大しておいしいものでもないでしょう。栄養価やカロリーはスナック菓子と変わらないんだから。非常時のカロリー補給源としては、お湯を使わないだけスナック菓子の方が価値があると思うんだけどなぁ。暖まりたいならカラムーチョ食べりゃいいじゃん。

・あと、値段が高めのモノが売れ残っているところを見ると、ここ数日の「買いだめ」は不安以上に、「日持ちするモノのなかで、安く買えるモノを先に買っておこう」という浅ましい動機だけで動いていたのかも。

・午前中に計画停電を食らう。これさぁ、輪番じゃなくて固定にしなきゃダメだって! 確かに固定にすると、「なんでウチの地区だけ毎日毎日夜だけ停電なの? ウチだけババひけってか?」という不満が出てくるから、“悪平等”にしようってハラなんだろうけど、それでも政治の力で固定にしなきゃダメ。

・家庭でもビジネスでも、決まった時間にイベントがあって初めて計画が立てられるわけだから。輪番で日々違う時間帯にバッドイベントが起きるのであれば、いつまで経ってもまともにビジネスを展開できないでしょうよ。福島の原発が全滅である以上、こういう停電が恒常化することは避けられないんだし。

・停電時間が固定化されて、毎日夜に停電する地区が出てきた場合、例えばその地区の居酒屋なんかにとっては死活問題でしょう。でも、常に同じ時間に停電することがわかっていれば、それを逆手に取ったビジネスも出てくるわけでね。それこそ「ランプを囲んで飲む居酒屋」にクラスチェンジするというように、民間の創意でいくらでもビジネスチャンスは出てくるものだと思うけどなぁ。

・もっとも社会主義者にとってみれば、「人民はアホで官吏は賢い」ってことだから、そういったアイディアや新ビジネスよりも、個別保障とか“悪平等”にこだわるんだろうけど。

・いやホント、停電は固定化にして欲しい。今日予定していた仕事もキャンセルになったけど、これだって計画停電の影響だしね。学会とかセミナーみたいな催しモノは軒並み延期or中止らしいし。これじゃ、復興の途も遠ざかるばかりだって!

というわけで、地震に動揺しての身元雑記風blogは今日でおしまい。というか、今日まで地震以外のことはなかなか考えられなかった。被災地から離れているとはいえ、精神的なダメージが思いのほか大きかったのだなぁ……ということを改めて実感しました。

2011年3月16日水曜日

停電寸前らしいのでまたまた簡潔に

・昨日は12:50~15:50まできっちり停電。幸い昼食後&日の高い時の停電だったので、何一つ不自由はなかった。停電中は布団に入って本を読んで過ごす。

・スーパーは相変わらずのモノ不足。魚の棚は干物、肉の棚は高級ソーセージと生ハムしか残っていない。紙関係ではキッチンペーパーが一つ残っていたので購入。丁度切らしてたんだ。

・一昨日は陸の孤島状態だった最寄り駅に電車が通るようになったので、同じく陸の孤島状態にあった基幹駅まで遠出。目的はレンタルDVD(旧作100円キャンペーンを受け、しこたま借りたモノ)の返却。

・駅に出てびっくりしたのは、銀行以外の店が全部閉まっていること。駅前のデパート、電気店、衣料品店、スーパー、お菓子屋さん、マクドナルドまで閉店。開いているのはTSUTAYAとドンキホーテくらい。

・レンタルDVD返却後、向かいのドンキホーテを偵察。案の定、炭水化物、紙関係、水関係が全滅。酒と韓国食材だけはしこたま残っていた。黒綿棒とかつおぶしを買って帰宅。明後日の停電は18:20~22:00までとか。その間、どうやって過ごせばいいんだろうか?

・TVは原発報道一色。正直、最新情報を聞いたところでどうなるものでもないので、電気の無駄と思い消すことに。多分、悪くてもチェルノブイリみたいなことにはならないんだろうし、それであれば首都圏住民としては日々恙無く過ごしつつ義捐金を送るくらいしかやることはない。

・万が一、チェルノブイリみたいなことになったとすれば、そのときは首都圏の機能喪失(=日本経済の崩壊)を意味するので、東海や関西に逃げたところでどうなるものでもないだろう。死ぬまで生活できるだけの外貨、金地金を持っている人や、ホームレスになっても生きたいという人であれば別かも知れないけど。

追記:兵頭二十八師、放送形式を更新。

■日本の原発としては「アメリカ型軽水炉」は、ふさわしくなかった。

原発問題についてガッツリ書いております。

2011年3月15日火曜日

官房長官には舘ひろしを起用すべし

・計画停電で首都圏のビジネスがほぼストップ。一昨日までは天災だったけど、昨日のはいうまでもなく人災。月曜日に全てのビジネスマンが通勤できるようになることこそが、復興への第一歩だとなぜわからない!(カミーユ・ビダン風に読んでください)

・自営業者と年金生活者の特権である「午前9時のスーパー巡り」。しかし昨日は、仕事にいけなかったサラリーマン&若夫婦が「買いだめ」に殺到。ジジババと零細自営業者のパラダイスだった早朝の東武ストアが一転、腐敗と自由と暴力のまっただなかな感じに。

・紙関係は全滅。キッチンペーパーまで一つも残っていなかった。木曜日にトイレットペーパーを買っておいて本当に良かった。カップめん、加工食品もほぼ全滅。ただし「辛ラーメン」を中心とする韓国関係製品だけは売れ残っていた。なんだ、本当はみんな韓国のこと大っ嫌いなんじゃないか。

・計画停電で3時間停電の可能性アリとのことで、半額セールのときに買い込んでいた冷凍食品を消化。朝はスパゲティ、昼はチャーハン、夜はそばを食う。摂取カロリーは2500kcalと平時より800kcal超過。まぁ、一日だけの暴食だからいいか。

・で、15:00にPCの電源を落とし、布団の中で読書するも中々停電にならない。しびれを切らして18:00にTVをつけたら茨城、静岡の一部で停電とか。ウチの地区の停電はないとのこと。まぁ、停電しなかったらしなかったでよかったけど、明日以降は同じようなスケジューリングでやっちゃぁダメでしょう。

・日々ローテーションが変わるとか一体何を考えてるんだろう。こんなことを続けていたら生活やビジネスが成り立つわけがない。本当は春分の日まで休日にして、それまでに関係機関と調整して固定化したスケジュールを組むのが良いんだけど、年度末だからなぁ。いっそ鉄道は間引きする代わりに24時間運行にすればいいんじゃないかしら。

・てか、休眠中の火力発電所をフル稼働させればいいのに。いまの季節なら、どう考えたって真夏並みの需要にはなりっこないんだから、せめて電車と工場、病院が遅滞なく動けるような体制にしなきゃダメだって。こんなん、政府が率先してモノ不足という状況を作り出しているようなものだもの。

・というか、要するに政府は“戒厳令”を敷きたかったってことなんだろうなぁ。ああいういつ何時停電になるかわからないスケジューリングを承認することで、事実上、通勤、通学できなくするという形で。社会主義者が考えそうなことだ。政府主導で「計画」の名のつくものには、ホント、ロクなモノがない。

・あと、官房長官。民間登用してもいいんだから舘ひろしとかにやらせればいいんだよ。彼に一夜漬けでモノを覚えさせて、渋いルックスと声で説明させた方が、いまよりも遥かに民心が鎮まると思うんだけどなぁ。

2011年3月14日月曜日

丸一日、計画停電対象の田舎者が通りますよ

昨日の首相会見は掛値抜きで最低だった。明日から計画停電スタート! ってスタートまで12時間切ってるじゃん。そのくせ5W1Hが何一つわからないという。ネットに繋げない奴は死ねってこと? てか、ネットに繋がっても東京電力のサイトは落ちてるし。22:00過ぎに日刊スポーツのサイトで見たけど、3つのグループに入ってるorz。政府と東電は、ベッドタウンに自宅兼オフィスを持つ零細自営業者に死ねといってますカ?

で、実際にやられたら一週間前に冷凍食品半額セールで買い込んだ食材が全部ダメになるってことだね。新鮮な食材がしばらく調達できなさそうだから、豚肉塊を買って炊飯器で煮豚を作っておいたけど、これも室温保存になると1日でダメになるだろうなぁ。かといって、スーパーに行っても食材は切れているだろうし。てことは、しばらくご飯とイカの塩辛で飢えを凌ぐことになるんだろう。ところで昨日「買いだめ」していたババアは、計画停電のお陰で自分の投資がパーになったことをどう思うんだろうか?

追記:いま東電のサイトで確認したらグループ5だった。そりゃそうだよな。いくらなんでも丸一日停電ってこたぁないだろうなぁ。あまりにも悲壮な覚悟をしていたから、正式なリリースを見てちょっとだけ安心した。

追記2:有志でどなたかが作った停電地域検索スクリプト

2011年3月13日日曜日

近所のダイエーが凄いことになっていたけど

確かに東北地方の輸送網は壊滅的なダメージを受けたし、日持ちする食品を被災地に送るためにストックが少なくなっているのは確かだけど、日本一国で見れば生産設備もインフラもほぼ完全に稼動していることも事実でしょう。政令指定都市全てが核攻撃を受けたのであれば別だけど、被害甚大とはいえ主要な工業地帯と商業地帯はほぼ無傷なんだし。だいたい生産能力の過剰が原因で深刻なデフレに陥っていたくらいなんだから。

てことは、モノ不足は一時的なことであって、週明けから企業活動が本格稼動するのに合わせて、足りないモノが速やかに供給されるであろうことはサルでもわかることだと思うんだけどなぁ。あ、石油だけはガチでヤバめかも知れないけど、物流が完全に止まるってレベルにはならないでしょう。

でも、首都圏で生活する国民が「買いだめ」に走る気持ちもわからないではないんですよ。実際、あれだけデカい揺れを経験した後、間髪入れずに大地震級の余震が起きて、その後は30時間以上に渡って30分に1回のペースで震度3クラスの余震に襲われれば、どんなに気持ちの強い人でも、不安に駆られるものですからね。

震源地の推移

この不安を補う代償行為として「買いだめ」に走るという心情はわかることはわかるんだけど、それでも2つのカゴにインスタントラーメンとサトウのごはんとパンとおーいお茶を目一杯詰め込んでいるババアの浅ましい姿を見るとね、こう●●を(以下、自主規制)。

福田康夫は偉かった

顔を見た瞬間に「あぁ、ダメだこりゃ……」と感じさせる男の言葉なんて、百万言聞いたところで意味ないでしょ。あらゆる意味で想定外過ぎる事態しか起きていないから、政治の責任とか民主党が悪いとかは言わない。自民党だろうが共産党だろうが手に余る事態であることは明らかだもの。だけどねぇ、官房長官が会見するんだったら、いくらかは民心を鎮めるような効果がないとダメじゃね? その点、どんなハードな状況でも「人を小馬鹿にした態度で、淡々と事実を述べる」という姿勢を徹底していた福田康夫が官房長官だったら、会見の効果も少しは違ったんじゃないかなぁ。

さて、有史に残る大地震&大津波に“バケツ臨海”を遥かに超える規模の原発事故。これ以上に悪いことったら「敵国による核攻撃」くらいしかないような。

あ、あと、ダメなアニメやマンガで良くある「目覚めよ日本人」なハナシ――自作自演テロや外患誘致により日本を攻撃することで、国民の危機意識を高め、“あるべき日本人”へと目覚めさせようというプロットの物語――も、今回の件で戯言でしかないってことが確認されたといっていいんでしょうねぇ。最悪事態のトリプルパンチでも国民の意識が劇的にナニしたというわけじゃないんだから。

つまるところ、「日本人よ、これが戦争だ!(笑)」ってことです。

2011年3月12日土曜日

30分おきの体感地震が、これほど人を不安にさせるとは……

・余震多すぎ。体感的には「揺れてないときのほうが少ない」という感じ。0:30から寝入ったと思えば揺れで起こされ――を繰り返して延々とウトウトし続けた後、10:00過ぎになってようやく目覚める。
・菅が原発を視察? バカじゃね~の。コイツは受け入れ先の調整とか苦労とかをちょっとでも考えたことがないのかね? 救助活動に入っている自衛隊&自治体の邪魔をしてどーすんの? せめて被災者生存率がガクンと下がり始める48時間後(できれば72時間後)にしろよ!
・今回のことで学んだことは、「本当の非常時には携帯電話は役に立たない」ということ。「携帯電話禁止運動家(禁携家)」として、携帯中毒の残念な方――禁携家である手前に携帯電話の所持を執拗に薦めてくるハタ迷惑な方――に反論する際の有力な証拠になりそう。
岡田斗司夫って人はソシオパスなんじゃないだろうか? 一応、前後の書き込みを読めば意図するところは理解できるし、それなりに理屈も通っているけど、論理的でありさえすれば何もかも許されるってものじゃないからね。控えめに言っても「他人に対する共感」が決定的に欠けてるとしか思えないよなぁ。

2011/03/11、14:50

近所の床屋でおでこにカミソリを当てているときに揺れ始める。床屋さんもさすがにプロで、揺れた瞬間にカミソリを外す。「まぁ、ここしばらく続いている東北の揺れでしょ」と顔に石鹸をつけたまま鷹揚に寝ていると、しゃれにならないくらいに揺れる揺れる。

「お客さん、これはまずいですよ。避難した方がいいですよ」と床屋さん。慌てて立ち上がり、顔を濡れタオルで拭ってもらっているうちに立っていられなくなる。とりあえず髪を濡らしたまま部屋の隅っこの大きな植木鉢を押さえながら、揺れがおさまるのを待つ。

揺れた時間は体感時間で3分くらい。「一度、外に出ましょう。ここじゃ危ないですから」と促され駅前の広場に。工事現場の兄ちゃんから買い物の主婦、女子高生、ホームレスまで一緒に広場に固まる。携帯を持っているお姉さんに「いまの地震、震度どれくらいでした?」と聞いてみるものの、「ケータイ繋がんないですよ」とのこと。みんな一斉に電話をかけているからなんだろうか?

しばらく待っていたらまた余震。これが結構でかい。頭上の電線がブンブン唸る。余震が収まったところで床屋に戻り、「ノドにカミソリ当ってるときに余震が来たらお陀仏ですから、髪だけ乾かしてください」といって帰路に着く。駅を覗いてみると全線ストップとのこと。駅構内は立ち入り禁止になっていた。

帰りに寄ったスーパーには、すっぱい匂いが充満している。店員に「買い物できますか?」と聞くと「大丈夫ですよ」という返事。すっぱい匂いの元は棚から落ちて割れた米酢らしい。店内放送では「当店は震度7まで耐えられる耐震構造です。ご安心ください」とアナウンスするテープがエンドレスで流れている。300坪以上の広い店内にいる客は、手前も含めて両手で数えられる人数くらい。とりあえず夕食の食材を調達して帰宅。

――というわけで、国内観測史上最大の地震があった“そのとき”に、自分が何をしていたのかについて、忘れないうちに書き留めておくことにする。家の中の惨状については思い出したくもないけど、こんなものは都内の帰宅困難者や東北各地の被災者の方に比べれば何でもないことだ。

2011年3月11日金曜日

片付けは一服してからだな

いま帰宅。まだ余震。家の中はわや。
とりあえず食器を高いところに置いておかなかったことは不幸中の幸い。電気、水道はいまのところOK。ただ、ガスが止まったまま。

J・J・エイブラムスがやりたかったこと:その2

以下、『ALIAS』と現在、第3シーズン絶賛放送中の『FRINGE』についてガンガンネタバレしますので、ご承知置きください。



J・J・エイブラムス製作の『ALIAS』と『FRINGE』の共通点について、思いついた点をちょっと箇条書きにしてみると――

・婚約者を殺された美人エージェントが、復讐&謎解きのために奔走する
・“捜査”のカギを握る“ツール”を作るのは、変人の技術者
・“捜査”を進めていくなかで、ハンサムな相棒と恋仲になる
・復讐&謎解きの過程で見えてくる巨大な陰謀と謎の組織
・陰謀のカギを握るのは主人公。実は幼い頃に特殊な実験の被験者となった結果、特別な能力を身につけ、世界の命運を握る存在へと成長していたのだった!

――という感じになります。

まぁ、基本的なストーリーラインと主要キャラクターの設定はほとんど一緒なわけですが、それよりも何よりも一緒なのは、<コピー人間>を使っての、「オレがアイツでアイツがオレで」ごっこですよ。

『ALIAS』では、遺伝子操作により人間を複製する「ヘリックス計画」の産物として、何人かのコピーエージェントが出てきましたが、「舞台が現代なのであまり無茶な科学考証はできない」「裏切り上等のスパイモノで<コピー人間>が出てきたら、それだけで最終兵器になる」という足枷のおかげで、そこまで大活躍したわけではありませんでした。

が、『FRINGE』では、「フリンジ科学という“超科学”が日常的にあるので無茶な科学考証も全然OK!」「裏切り上等じゃない人間ドラマに比重を置くことで、<コピー人間>を出すことによるサスペンス色を効果的に打ち出せる」と、ハナから<コピー人間>ありきの設定にすることで、本当にやりたかったことであろう「オレがアイツでアイツがオレで」ごっこを大展開したのだなぁということですよ。

いま、『FRINGE』は本国でシーズン3の15話まで放映――シーズン2最終話のクリフハンガーは本当に凄くてヒドかったけど、『ALIAS』ではアノくらいは序の口――されていますが、8話までの展開は文字通り「オレがアイツでアイツがオレで」ごっこで、いろんな意味で面白かったですからね。シーズン2でシェイプシフターが出てきたときには、「それは、どうだろうか?」と思ったけど、ここまで突き抜けてくれたら逆にアリですよ。

とまぁ、つらつらと書いてきた『ALIAS』ですが、シーズン1後半からシーズン2前半まではアクション活劇として無類に面白いですし、何よりゲストで出てくるレナ・オリン――アノ怪作『蜘蛛女』の女殺し屋にして五十路の美熟女。メリッサ・ジョージ、レイチェル・ニコルズといった美人女優も出てくるものの、個人的には彼女こそ全話通して一番の美人と認定――が本当に素晴らしい!

というわけで、レナ・オリンが全篇に渡って大活躍するシーズン2は一見の価値アリ! と断言しますよ。





2011年3月10日木曜日

J・J・エイブラムスがやりたかったこと:その1

以下、『ALIAS』と現在、第3シーズン絶賛放送中の『FRINGE』についてガンガンネタバレしますので、ご承知置きください。



近所のレンタルDVD店の閉店(3/14閉店。すでに新作、準新作以外の作品は全て引き上げられていました)を前に、駆け込みで『ALIAS』を全部レンタル。このほどようやく見終わりました。昨年秋からの「海外ドラマ毎日半額キャンペーン」を受け、片っ端から海外ドラマを見てきたのですが、最終シーズン及び現在貸し出されているシーズンの最後まで視聴したのは『ALIAS』と『FRINGE』『MADMEN』『Lie to me』『glee』くらい(昨日見始めた『Veronica MARS』は殺人的に面白い!)ですからね。他のドラマは第1シーズンの数話か第1シーズン最後くらいで脱落してますし。つまり、『BONES』『24』『LOST』あたりの大ヒット作ですら途中で投げてしまうド失礼な視聴者である手前に、曲がりなりにも最後まで見せるだけのパワーがあった作品ってことですよ。あ、ちなみに先日全巻レンタルスタートした『FLASHFORWARD』は掛値抜きの駄作です。

といっても、なんで105話(倍速で見たので約40時間)もぶっ通しで見て無駄な時間を過ごしたのかといえば、物語の面白さとか役者や演技の魅力とかじゃなくて、「クリフハンガーに引っ張られた」だけのことですよ。

もう毎回毎回「えぇっ! あいつが死ぬor生きているなんて!」と「なにぃ! こいつが裏切るのか!」の繰り返し。“死亡確認”は王大人よりも杜撰で、グサグサ刺されたり、かなり高いところから落ちたり、銃で2~3発くらい撃たれたりしたくらいでは死にません。胸に7発(ちゃんと数えた)銃弾を打ち込まれたエージェントがネパールで療養していたり、頭に銃弾を打ち込んだはずのキャラが生き返ったりしますから。で、このように「コイツ絶対に死んでるだろ」ってキャラが、各話のラスト5秒くらいに出てきたり裏切ったりしてまぁ大変! というパターンで最後まで行くと。作中でも「あの人は死んだはずでは?」「そんなことは珍しくもないだろう」なんてやりとりがあるので、クリエイターも確信犯でやっているんでしょうけど。

で、最後まで見終わって思ったのは、「『FRINGE』って『ALIASver2.0』じゃね?」「J・J・エイブラムスがやりたいことって本当に一貫してんだなぁ」ですよ。そのくらい『ALIAS』と『FRINGE』は似てますからね。







2011年3月9日水曜日

必見! 兵頭二十八師の「新聞批判」

まずはこちらの記事をご覧ください。放送形式の記事はネット巡回中に見つけ、武道通信の記事は熱心な兵頭ファンの方に教えていただきました。

地域情報環境の未来を考える/兵頭 二十八
■ 《真実》は最後には勝つが、すぐに勝つとは限らない(大長編です)

いずれも「新聞がダメな理由」をテーマとした兵頭二十八師の記事です。

いわゆる“マスゴミ”批判については、2chネトウヨによる批判(その精髄が三橋貴明氏の一連の著作)を中心に数多くの論説が上梓されていますが、軍師の批判はこうしたありきたりの批判とはちょっとレベルが違います。というか、いわゆる“マスゴミ”批判と同列にして論じるのは、斎藤佑樹投手と田中将大投手を同列に論ずるようなもので、「そういうことはマー君に失礼!」ってなものです。つまるところ、これまでに上梓された数多の“マスゴミ”批判とは、論じる視座、深み、内容……全ての点で「段違いに上」ってことですよ。

なので、兵頭ファンではない人にも、「絶対に一読の価値あり。てか、タダでこれだけのモノが読めるんだから、プリントアウトして行き帰りの電車の中ででも読むべき」と強力にオススメしたい。その主張に賛同できるか否かは別として、読み物としてのグレート&完成度が異様に高いので、下手なマンガやゲームよりも楽しいときが過ごせるコンテンツとしてもオススメしたいところです。

とまぁ、朝っぱらからカフェイン抜きでも興奮しっぱなしでつらつら書いているわけですが、今朝、放送形式の記事の大作っぷり(『Word』の文字カウントで12000字!)を見て思ったのは、「もしかしてコレって月刊誌向けの原稿じゃね?」ということ。

兵頭ファンを14年やっていれば、どんな記事でも10行くらい読んでみれば「ネット上で書き散らすことを前提とした記事」か「何がしかの媒体に載せてお金を頂戴する記事」かくらいは見分けられるものです。文体や構成などからどうやって見分けるのか? については説明が面倒くさいので省きますが、多分、両方の記事とも何らかの媒体に載せてお金を頂戴するはずだったものだと確信しています。

ではなぜ月刊誌なのか? といえば、放送形式の記事についていえば、「12000字もの記事を発注する媒体は、月刊誌くらいしかないから」です。新聞、週刊誌、ネット媒体とも、最初からこれだけの分量の記事は発注しないものですからね。

そのうえで更に想像の翼を羽ばたかせてみると、「うん、『正論』(もしくは『別冊正論』)に断られたんだね!」です。保守系の月刊誌は『WILL』『正論』『Voice』とありますが、『WILL』『Voice』であれば、これだけレベルの高い記事を載せない理由なんてないですからね。言葉を換えれば、日本屈指の保守系月刊誌に掲載されるべき原稿(それだけのお金を頂戴できるはずのネタ)が、こうしてタダで読めるようになっている理由はタダ一つ――

『正論』のケツ持ちである産経新聞社が、軍師のクリティカルな新聞批判に激怒したからじゃね!?

――ってことですよ!

この想像がどこまで当を得ているのかはわかりませんが、思わず↑のような想像をしてしまうくらい、本質的な新聞批判&将来への提言を含んだ記事――もし、月刊誌にコレが載っていたのであれば、この記事目当てに1000円くらい出しても全然後悔しないくらいの記事――なので、この手前の繰言をここまで読んだにも関わらず、軍師の2つの記事を読んでない人は、いまからでも遅くないのでマウスのホイールを上に回転させてリンク先をポチッとしてください。



2011年3月8日火曜日

暴論を承知で言うけどさ

やっぱりねぇ、巨人が勝てないのは四番が足りないせいであるように、いまの日本には中選挙区制が足りないんですよ。「苛烈な派閥争いがあってこそ、政治家の実力は磨かれる」を持論としている手前に言わせれば、中選挙区制に戻して、派閥が幅をきかせて、三木武吉や川島正次郎みたいな業師がイイ仕事をする――という政治環境にならなければ、いつまで経っても前原とか枝野のように、50過ぎても“うすらバカ”みたいな奴しか輩出されないんじゃないかと思うわけですよ。

雑巾がけからはじめて、贈収賄の現場に立会い、口の堅さを認められ、対立派閥の離間工作に奔走し、20年越しで同志を見つけるというように、地道にレベルアップしないとね。こういう下積みをしないで屁理屈ばっかり捏ねてるから、脇は甘いわ、口は軽いわ、約束は平気で破るわ……という実社会ではボールペン一本よりも使えない奴になってしまうわけで。

松下政経塾出身者が、従来の議員とどこか違って見えるのは、よく言えば「政治家らしくない」ってことでしょう。でも真実は、政治家として必要なスキルを身につけずに年齢を重ねただけの“うすらバカ”でしかないだけですからね。ホント、政治家としての実力はコイツらよりも鈴木宗男の方が100倍高いもの。

えっ? 鈴木宗男は悪い奴だけど、前原とか枝野は良さげに見えるって?

小選挙区制施行以後に台頭した政治家についていえば、党派に関係なく全員政治家以下じゃん! 石破も石原兄も渡辺喜美もみんなダメ。善し悪しは別として、コイツらに「まず脇と口が堅くて腹芸の一つくらいはできる政治家になってくれよ」と願うことは、話の筋道として間違ってないと思うんだけどなぁ。

2011年3月7日月曜日

原、落合、岡田の“監督力”:その5

原辰徳と岡田彰布、落合博満との違いが最も良く現れているのが、「自己犠牲」に対する考え方です。以下、3人の著書(『原点』、『オリの中の虎』、『コーチング』)から少し長めの引用をしてみたいと思います。

*原辰徳『原点』より
「そのうえで強いチームを作るとき、一番大事なのは自己犠牲と自立の精神だ。チームの一員がそれぞれ自己犠牲の気持ちを持っていないと、その組織は伸びないし、チームも強くはなれない。さらに大事なのは、その一人ひとりがどれだけ自立しているか。それは言い換えれば、どれだけプロとしての力を持っているかということで、サラリーマンでいうとどれだけの仕事ができるか、ということになる。自己犠牲も自立もできない選手は、チームにいたとしても足を引っ張るだけ。むしろいないほうがいい。僕は常々、選手たちにもそう言っている」
「試合ではしばしば困ったことが起こるものだ。ピッチャーが打たれる、野手がエラーをする。あるいはチャンスにダブルプレーを取られてしまう……。そういうときでも、自分の気持ちを立て直し、前向きにプレーできるのが自立。自分の力によって、チームを助けることができる。一方、自己犠牲は、自分はここでアウトになっても、ランナーを進める。その選手は自分を犠牲にすることによって、チームが勝利に近づく。どちらも勝利に必要なことだ」(210~211頁)

*岡田彰布『オリの中の虎』より
「おれはチームプレーと称して『犠牲になる』という言い方をするのが大嫌いや。犠牲って何よ。なんの犠牲になるんよ。『犠牲の精神』とか言うのも、おかしいわな」
「犠牲になんかならんでええやん」
「おれは選手に『犠牲になれ』なんて、一度も言うたことない」
(中略)
「例えばノーアウト、一、二塁で、勝手にバントして、ワンアウト二、三塁なんてされてみ。はい、あんたが走者を返してくれって、わざわざ次の打者にプレッシャーかけるようなもんよ。1点入って当たり前なんて場面、おれは打席に入るの嫌やったわ」
「それで点が入らんかって、あそこで1本出ていればなんて、そんな場面を作った監督があかんのよ。打てなかった選手が悪いんじゃなくて、そういう場面を作った監督が悪い。選手の特徴によって、作るべき場面は変わるもんよ」(60~62頁)

*落合博満『コーチング』より
「監督は、常にチームが勝つために采配を振るっている。選手は、その采配に忠実に従った上で、自分のベスト・パフォーマンスを発揮する。これが、“自分の役割”に徹することであり、組織が目標を達成するための近道なのだ」(56頁)

「ペナントレースに臨むにあたっては、『自分を生かしてチームに貢献しよう』と考えていた。『自分が犠牲になっても、チームの勝利に貢献したい』とか『タイトルはいらないから、優勝を経験したい』という選手もいるようだが、私はそんな気持ちが理解できない。どうして自分を生かし、その上でチームにも貢献しようと、一石二鳥に考えないのか」
「私のように考えれば、自分の野球に責任を持たなければならない」(143頁)

「自己犠牲」を求める原と、「自己犠牲」を一切求めない岡田、落合。その違いは、「選手の本分を100%発揮させるため、ややこしいことや責任の一切を被る覚悟を持った岡田、落合」と、「そこまでの覚悟がない原」ともいえるし、「選手の持つ可能性に必要以上に期待しないリアリストの岡田、落合」と、「選手の持つ可能性に大いに期待する原」ともいえます。つきつめれば「常に最悪の事態を想定している岡田、落合」に対して、「ポジティブシンキングで物事を進めていく原」ということになるのでしょう。

では、どっちが優れた監督なのか? というと「どっちも優れてるでしょ?」としかいいようがないと思います。要するに双方の考え方は、それぞれの野球観から導き出された信念体系であり、その根底に科学的根拠が一切ないという意味で宗教と同じことですからね。キリスト教と仏教に優劣がつけられないように、双方の“信念体系”にも優劣はつけられないと考えています。ただ、原の考え方についていえば、“永遠の若大将”という特異なキャラクターであればこそバッチリとハマっているのであって、他の誰かが同じようなことを真似しても失敗することは必定じゃないかなぁ……とは思います。





2011年3月6日日曜日

原、落合、岡田の“監督力”:その4

「偉そうなことを書いている割に薄っぺらい」という原辰徳とは対照的に、岡田彰布は「全く偉ぶらないけど薄っぺらくない」ことを書いています。既刊3冊とも、熱烈なタイガースファンのオッサンの繰言みたいな語り下ろしで、その内容はほとんど同じです。今回は、その中で最も良くまとまっている『オリの中の虎』(ベースボール・マガジン新書)を取り上げてみます。

岡田は、原のようにとってつけたようなことや奇麗事は一切言いません。無防備なほど本音をさらけ出しています。その本音が最も素直に表れているのが、以下に引用した部分といえましょう。

「2試合連続で、ぼこぼこに打たれて負けた(5月27日、28日、甲子園)。選手をトレーニングルームに集めて、おれはこう言った」
「『もうチームのことはええから……。チームが勝った負けた、チームの成績がこうなったいう結果は、すべておれの責任や。チーム成績に対する責任は、監督が取るから、もうおまえら選手が考えんでもええ。好きなようにやれ。自分の数字を上げるために、自分の給料を上げるために、家族のために野球をしたらええ。そうせえ』」
(中略)
「生活かかってるんやから。チームが弱いから、給料減りましたではあかんのよ。家族のために、自分のために、個人の数字を残すために思い切りやったらええんや」(59~60頁)

落合博満と全く同じプロ野球観です。すなわち、徹底した個人プレーの集積がチームの勝利に繋がるという考え方です。実は原も同じようなことを言っているのですが、その意味は岡田、落合のそれとは180度異なるんですよ。

「僕は選手にこう言った」
「『勝ち負けは、もう監督である僕に任せてほしい。選手諸君は、勝ち負けに囚われる必要はない。プロとして、ファンを魅了するプレー。それに徹してくれ』」
(中略)
「試合をすれば、当然勝ち負けはついてくるわけだが、そこにはそのときの運もある。それより選手はもっと自分たちの足下の部分――試合の用意、準備、そしてファンを魅了するプレーに徹しよう、と」(『原点』107~108頁)

そもそも檄を入れるときに、「ファンを魅了するプレー」なんてぼんやりした言い方をしちゃダメだろ! もっと直截的に響く言葉を言わなきゃ――なんて突っ込みはさておいて、原のいうファンを魅了するプレーとは一体どういうことなのか? 『原点』から探ってみるとこんな記述があります。

「諸葛孔明にならったわけではないが、僕がシーズン中に出す監督賞の基準はただ一つ。僕がファンの気持ちで「やはりプロだな」と感動したプレー。それに対し、監督賞を出すことにしている」
(中略)
「ピッチャーなら完封すれば、もう無条件。打者でいえば逆転ホームラン」(168~169頁)

つまりこういうことです。

岡田、原とも「勝ち負けは監督の責任」と言いながら、岡田が「プレーは自分自身のためにやれ。後の責任は無条件でオレが取る」という潔い態度であるのに対して、原は「責任は取るけどプレーはファンのためにやれ。要するに完封、タイムリーという勝つためのプレーに徹しろ」と、一見、潔さげに見えながらも実は全然責任を取るつもりがないってこと。

この辺の監督としての腹の据わり方が、岡田、落合と原を分ける決定的な何かなのではないかなぁ? と思うわけですよ。



2011年3月5日土曜日

原、落合、岡田の“監督力”:その3

原辰徳の『原点』(中央公論新社)のファーストインプレッションは、「薄っぺらいなぁ、コレ」。最初から最後までとってつけたようなこと――「少しだけ頭の良い松岡修造」「出来の悪い求人広告のコピー」のような内容。これに一番近かった感覚は、松本人志の『しんぼる』の終盤を見たときに感じた薄っぺらさ――しか書かれていないんですよ。

一々あげつらうのも趣味が悪いので、ひとつだけ特徴的なところを引用してみましょう。

「僕は、江戸中期の米沢藩主・上杉鷹山が好きで、彼について本を読んでいる。論語の言葉「過ちては則ち改むるに憚ること勿れ」(過ちを犯した時は、躊躇することなく速やかに改めよ)は、彼のモットーの一つである」(77頁)

「中国の三国時代、蜀漢の軍師・諸葛孔明の政治の基本は『信賞必罰』だった。(中略)諸葛孔明にならったわけではないが、僕がシーズン中に出す監督賞の基準はただ一つ。僕がファンの気持ちで『やはりプロだな』と感動したプレー」(168頁)

「余談になるかもしれないが、僕は『三国志』でいえば、曹操のようになりたいと思う。巨大戦力によって絶対的な地位を築き上げ、残酷かつ冷淡、手段を選ばない。おそらく僕は、あそこまでにはなりきれないだろう」(94頁)

もうね、『週刊ダイヤモンド』にいかれた中小企業のワンマン社長みたいなセンスがね……。

『三国志』がお気に入りらしいけど、「多分、三国志を元ネタに書き散らされたビジネス書しか読んでない(読んでても吉川英治版まで)んだろうなぁ」と思わせるような底の浅さ。上杉鷹山が好きなのは結構なことだけど、自らの監督論を書く本で偉そうに持ち出したら笑われるのがオチでしょ。為政者のための道徳という意味で権威づけした物言いをしたいのなら、せめて『吾妻鏡』くらいを持ち出してほしいものです。しかも、こういう“権威”を持ち出して言わずもがなのことを書くってことは、自分で書いたことを血肉化していないからですよ。

論旨が一貫していないところも薄っぺらいと思わせる大きな理由の一つ。あるところで「選手は強い」「強い選手」と書きながら、別のところで「選手は弱い」と書いたり、あるところで「信念を押し付けるのはダメ」と書きながら、その後に「岩をも通す信念が必要」と書いたり――と、まぁ、この本を読む限りにおいてはポリシーのポの字も感じられない、というのが率直な感想です。

このように薄っぺらい本しか書けない原が、なぜ勝てるのか? といえば、こうした薄っぺらさが原のキャラクターと絶妙にマッチしているからではないかと想像しています。

つまり、ただのオッサンが言えば「バカじゃねーの?」で済まされることも、アノ経歴、アノ顔、アノ無邪気(に見える)な“永遠の若大将”が言えば、「コイツが言うならしょうがない」と納得させられてしまうという。ある種、周りの人にアイドルを愛でるような気持ちにさせるキャラクターであればこそ、多くの選手が、この本で書かれているような薄っぺらいゲキや主張にも素直に従っているのではないか? と勝手に考えています。もちろん、原に対して「バカじゃねーの?」と思う選手もいるんでしょうが、そういう肌に合わない選手(例:仁志敏久、二岡智宏、矢野謙次)は冷遇or放逐すると。

まぁ、後半はほとんど根拠のない妄想ですが、案外、当らずといえども遠からずってところではないでしょうかね?





2011年3月4日金曜日

原、落合、岡田の“監督力”:その2

原辰徳、落合博満、岡田彰布の3人が、監督として相まみえた2006年から2008年シーズンにおける勝率とピラゴラス勝率との差は、以下の通りです。

◆2006年/勝率/ピタゴラス勝率/勝率-ピタゴラス勝率
・巨人.451/.465/-0.014
・中日.617/.645/-0.028
・阪神.592/.580/0.012

◆2007年
・巨人.559/.608/-0.048
・中日.549/.557/-0.007
・阪神.529/.460/0.068

◆2008年
・巨人.596/.585/0.011
・中日.511/.481/0.030
・阪神.582/.552/0.030

◆3年間通算
・巨人.535/.555/-0.020
・中日.559/.563/-0.004
・阪神.567/.531/0.036

この数字から判断する限りにおいては、「3人の中で最も有能な監督は岡田で、原は2人に敵わなかった」という結論になるのでしょう。もっとも原ファンからは、「06年は暗黒期。黄金期は09年以降なので、この数字は参考記録」という突っ込みが入りそうですが、近年のプロ野球界では3年通して監督でい続けること自体、そこまで簡単ではないですからね。3年間延べて見た数字は、ある程度信頼してもいいのではないかと思います。

さて、ピタゴラス勝率だけで見れば岡田>落合>原という序列となったわけですが、これが正しいとは全く思いません。例えば、以下のようなやり方で測ってみると、断然、落合の“監督力”が上だったりするわけですし。

プロ野球監督の能力(大竹文雄・安井健悟。PDFファイル)

セ・リーグ最高の監督は誰?~得点効率で監督采配を評価する~

ただ、様々な分析や評判、なにより手前自身の主観から言えば、「岡田と落合は同格。原はちょっと落ちる。でも3人とも名監督だよ!」って結論になります。つまり、岡田、落合と原には越えられない壁が立ちはだかっているのではないか? と思うわけですよ。



2011年3月3日木曜日

ええハナシや!

仕事に疲れてダラダラとネットを漁っていて見つけた秀逸なネタ。文章も達意。

原、落合、岡田の“監督力”:その1

先日、権藤博の新刊『教えない教え』(集英社新書)を読んで思うところがあり、落合博満の既刊本と原辰徳の『原点』(中央公論新社)、岡田彰布の『オリの中の虎』(ベースボール・マガジン社新書)を読み返しました。というのも、原の語るあるべき監督像と権藤、岡田、そして落合の語るそれとが微妙に違っていることが面白かったからです。

一体何が違うのか? どこが面白いのか?

という話をする前に、近年では屈指の実力を持つ原、落合、岡田の“監督力”について振り返ってみたいと思います。

“監督力”を何で測るのか? というと、これがまた難しい問題で、「采配の上手さかチーム作りの上手さか? どっちを測るんだ?」「戦力の多寡をどうやって比較するのか?」「球場の広さを考慮しないのか?」……と、比較するパラメーターを設定するだけでライフワークになるくらいのもの。なので、何か大雑把なモノサシを使ってエイヤッ! と測るしかないだろう――と割り切った上で、3人の“監督力”を測ってみたいと思います。

まず、ベースとなる数字は、3人がセリーグで戦った2006年から2008年のシーズン成績です。2~3年で監督のクビがすげ替えられるようになった近年のプロ野球界の現状を鑑みると、3年という期間は決して短くないスパンといえるでしょう。彼らの持つ通算成績を使ってもいいのですが、堀内巨人や真弓阪神みたいな“カモ”を相手に戦った数字を勘案するよりは、3年とはいえ同時に相まみえた期間で測った方が「誰が優れているのか?」をより公平に見られると考えました。

比較に使うのは計算が簡単で、科学的では全くないものの経験的に“正しげ”な値がでる「ピタゴラス勝率」。式は「得点二乗÷(得点二乗+失点二乗)」。これと実際の勝率を比べて見て、勝率がピタゴラス勝率より高ければ――

得失点差が少ないのに勝ちが多い

接戦はモノにして、負けるときは大差負け

効率良く勝ちを拾える有能な監督

――と見ることができるというわけです。もちろん使っている数字が得点と失点だけなので、全く科学的ではありません。それでも、過去数十年のプロ野球の歴史に当てはめてみると、大筋で当っていることが多いので、ある程度の指針にはなるといっていいでしょう。





2011年3月2日水曜日

これは絶対に許しちゃダメでしょ

NHK、テレビのネット同時配信を検討へ 松本会長が表明

受信装置があれば受信料が取れる――なんて狂った条文があるから、TVもなくワンセグを受信できる機器(携帯電話etc)も持っていない“TV難民”な手前からでも容赦なく受信料をしゃぶりつくそうって魂胆でしょ? だいたい失明しても受信料が半額にしかならないって時点でヤクザより阿漕な商売してるわけだから、いまになってこんなことを言うのは、手前みたいに「7月に地デジ完全移行したら気兼ねなくNHKとの契約を解約してやろう」っていう良心的な人々の懐からゼニをガメてやろうって本音しか見えないもの。

手前はルックス&人格に様々な問題を抱えつつも遵法精神に富む良識的な日本国民であると自負しているので、アナログTVを所有し、一日に10分くらいしかTVをつけないとしても「法律は法律だしぃ~」ということでNHK受信料を払っている(しかも振込みで!)けど、もし、NHKが上記のような措置をとり、「地デジTVや携帯電話がなくても、ネットに繋げるでしょ? だったらタダでTVが見れるでしょ? そんなら受信料払わなきゃ!」みたいな無茶を言ってきたら断固戦いますよ。現実的には、ネット配信でプロバイダー料金に抱き合わせ強制徴収――ってことになりそうだけど、そうなればいくつかの弱小プロバイダは「NHKのサイトだけ接続しない設定で3000円割安」みたいなプランを創出――NTT系のプロバイダから顧客を奪う滅多にない合法的なビジネスチャンス――するはずなので、そこと契約しますよ。エエ。貧乏だから自分から訴訟を起こすってわけにはいかないけど、手前がとれる合法的なありとあらゆる手段を使ってNHKを追い詰める所存です。

2011年3月1日火曜日

最後は追わなくて良かったんじゃね?

黛弘人騎手、緩慢プレーで騎乗停止30日間

2011年小倉12R甘木特別 / 黛弘人騎手・油断騎乗で制裁

動画を見ての感想は「うん、手抜き!」

てか、勝ち上がりしたくなかっただけなんでしょう。オーナー&調教師から「勝ち負けにならないように」という無言の圧力があったのかも。これだけ年食ってこのクラスなんだから、次のクラスに上がってドベを繰り返すよりも、いまの条件で着外にならないように走り続けて賞金や特別出走手当を貰った方が得なんだし。

競馬の八百長についていえば、「勝つのは不可能だけど、負けるのは簡単」。ヤラズ(わざと凡走すること)なんて隠語もあるし。実際、ベテラン騎手の自伝にも、弱い馬でも馬主に損をさせないため、いかにして勝たずに上手く着を拾うかに苦労した――なんて話がワンサカ出てくるものね。外国産馬に強かったM騎手(現調教師)なんて、こういうのが本当に上手かったしなぁ。

なんで、この問題について言えば、サルでもわかる下手な手抜きをしたってことについて「1カ月騎乗停止処分」を下すことは当然だけど、つける文句については、「黛君、もっと上手くやらなあかんで」でいいのでは?