2011年3月3日木曜日

原、落合、岡田の“監督力”:その1

先日、権藤博の新刊『教えない教え』(集英社新書)を読んで思うところがあり、落合博満の既刊本と原辰徳の『原点』(中央公論新社)、岡田彰布の『オリの中の虎』(ベースボール・マガジン社新書)を読み返しました。というのも、原の語るあるべき監督像と権藤、岡田、そして落合の語るそれとが微妙に違っていることが面白かったからです。

一体何が違うのか? どこが面白いのか?

という話をする前に、近年では屈指の実力を持つ原、落合、岡田の“監督力”について振り返ってみたいと思います。

“監督力”を何で測るのか? というと、これがまた難しい問題で、「采配の上手さかチーム作りの上手さか? どっちを測るんだ?」「戦力の多寡をどうやって比較するのか?」「球場の広さを考慮しないのか?」……と、比較するパラメーターを設定するだけでライフワークになるくらいのもの。なので、何か大雑把なモノサシを使ってエイヤッ! と測るしかないだろう――と割り切った上で、3人の“監督力”を測ってみたいと思います。

まず、ベースとなる数字は、3人がセリーグで戦った2006年から2008年のシーズン成績です。2~3年で監督のクビがすげ替えられるようになった近年のプロ野球界の現状を鑑みると、3年という期間は決して短くないスパンといえるでしょう。彼らの持つ通算成績を使ってもいいのですが、堀内巨人や真弓阪神みたいな“カモ”を相手に戦った数字を勘案するよりは、3年とはいえ同時に相まみえた期間で測った方が「誰が優れているのか?」をより公平に見られると考えました。

比較に使うのは計算が簡単で、科学的では全くないものの経験的に“正しげ”な値がでる「ピタゴラス勝率」。式は「得点二乗÷(得点二乗+失点二乗)」。これと実際の勝率を比べて見て、勝率がピタゴラス勝率より高ければ――

得失点差が少ないのに勝ちが多い

接戦はモノにして、負けるときは大差負け

効率良く勝ちを拾える有能な監督

――と見ることができるというわけです。もちろん使っている数字が得点と失点だけなので、全く科学的ではありません。それでも、過去数十年のプロ野球の歴史に当てはめてみると、大筋で当っていることが多いので、ある程度の指針にはなるといっていいでしょう。





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