2011年3月21日月曜日

次に来るのはどの幕府か?:その1

兵頭二十八師が放送形式とMIL短blogで、相変わらずキレまくっている評論を連発しています。

■ 権力亡者がそれぞれ考え中。東北復興資金で日本の支配者になれるぞ、と。
●自衛隊は、福島第一のガレキ片付け作業は拒否して可い。【2011-3-20作文】

なんというか世間の流れより一歩進むどころか、五歩か六歩は進んだ地平でハナシをしているところが素晴らしい。軍師が書いている通り、今次震災の復興予算規模は、低く見積もっても阪神大震災(単年度3兆2千億円。これを3年間支出)の倍くらいには膨れ上がるものと見込まれています。

参考:大震災被害「20兆円」 同志社大大学院教授推計

この巨額な復興予算を握った奴が、日本の独裁者になれるかもしれない――ということに気づいている人は、権力中枢にいる人間を除いては軍師唯一人だけじゃないでしょうかね? 少なくとも軍師が指摘するまでマスコミ、評論家諸氏は、このことにハッキリと気づいていなかったものと思います。良く訓練された兵頭ファンを自任している手前も、「言われてみればその通り!」「てか、軍師の著書(特に満州、帝国陸海軍関係のハナシ)を読み込んでいれば、この発想が出てこない方がおかしかった!」と膝を打ったものです。

といっても、復興予算を自由に差配できた権力者が独裁者になれるわけではないでしょう。ただ、闇将軍として君臨することは十分可能ではないかと考えています。

まず、復興予算の規模について。総計20兆円――阪神大震災の復興予算の倍と見積もった場合――というと、年間の国民医療費(33兆円強)に満たない金額なので、日本の支配者になれるほどの大規模な予算には見えないかも知れません。しかし、国民医療費や防衛費などの予算には自由にならない固定費に近いモノが多く、政治家や官僚が自在に差配できる“真水”の部分は案外少ないものです。例えば防衛費などは8割近くが固定費(人件費と歳出化経費)で占められています。

一方、今次震災の復興予算は、大雑把に言えばほぼ全額が“真水”。これだけ巨額な“真水”の予算を扱えるのは、日露戦争前に六六艦隊とかを作っていた頃の帝国海軍以来じゃないか? というくらいの規模なわけです。しかも、予算の大部分が土建屋に流れるので、この流れを押さえてしまえばリベート取り放題。仮に数%中抜きするだけでも、全選挙区に陣笠を立てるくらいのことは簡単に出来てしまいます。もっといえば、今回の震災を大義名分として、「鳩山イニシアチブ(笑)」とか「対中ODA」とか「国連拠出金」とか、止めたくても止められなかったバカな出費を全部カットすることも正当化されるでしょう。結果、扱える予算規模は更に膨れ上がる可能性も大ってことです。

カネさえあれば総理大臣にもなれるってことは、鳩山由紀夫が身をもって証明しました。が、鳩山は、その権力を維持することが存外難しいことも同時に証明しました。つまり、小選挙区制の下では、当人によほどの実力(人気、リーダーシップ、政治力……etc)がなければ、独裁者にはなれないということです。また、闇将軍になることも結構難しいものです。人気以上にカネの多寡で勝負が決まる中選挙区制の下であれば、田中角栄や竹下登のように院政を敷くことも簡単だったでしょう。これも小選挙区制の下では上手くいかないということは、いまの小沢一郎の境遇が証明している通りです。

ただし、今次震災の復興予算の規模は、昨日までの公共事業費とは文字通りケタが違います。これだけの規模の予算を独り占めできるような政策を主導し、自在に差配できる立場につくことができれば、小選挙区制という「一度の敗北で壊滅的なダメージを受ける」制度の下でも、「一回くらいダメでも、ま、お金はあるし」と再チャレンジできるということ。つまり、独裁者になることは難しいかも知れないけど、文字通りカネのパワーだけで闇将軍として君臨し続けることは十分可能と考えられるわけです。

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