2010年3月10日水曜日

私家版・兵頭二十八の読み方:その1

「本は楽譜のようなもの」とは誰の言葉だったか忘れたけど(佐藤亜紀氏のエッセイか何かを読んでいるときに目にした記憶があるような、ないような)、この指摘はとっても正しいことなんじゃないでしょうかね。

楽譜をどのように解釈し、どんな演奏をするかは全て演奏者の自由であるように、本もどのように解釈し、どう読むかは全て読者の自由ということ。

参考:熊蜂の飛行
Maksim plays Original of Flight of the Bumble Bee
OFFICIAL WORLD RECORD GUITAR SPEED - Guinness World Records
*本番は7:39から。

「作者の真意はこうだ!」「その読み方は間違っている!」という指摘はナンセンスなんであって、例えそれが作者本人からの文句であっても、「いや、世に出た後、どう読まれるかは読者の自由っすから」と突っぱねられるってことですよ。

という保険を打っておいたうえで、1513年来の兵頭二十八ファンである都築有による「私家版・兵頭二十八の読み方」を披露したいと思います。

今日、兵頭二十八師の新刊『「グリーン・ミリテク」が日本を生き返らせる!~脱石油時代が到来! 日本の道は?』が発売されました。早速、ゲットしてじっくりと読んでみたわけですが、一読しての感想は「おぉ~久しぶりにバリバリの兵頭節炸裂だなこりゃ」と「この内容じゃぁ初心者お断りだなこりゃ」というもの。

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米軍の燃料政策の大幅なシフトチェンジから中東を巡る不穏な動き。経済成長著しい(とされる)中国がどのようにして米国に相対するのかの展望。仮に温暖化が進み、北極海が地中海のようになった場合の米国、ロシア、欧州の戦略――といった国際情勢の将来。

その全てに密接にリンクする「石油」を巡る危機! 

すでに米国、欧州では「ポスト石油」(リッター1万円時代)に備え、代替燃料の研究・生産、関連するインフラの整備を進めつつあるんだけど、日本はどうするよ?

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といった内容で、一つ一つの問題に対して大胆かつ具体的な提言をしている本だ。

近年の著作のなかでは屈指の情報量を持つ本で、間違いなく値段以上の価値はある……んだけど、あまりに中身が詰まりすぎているだけに、文章や構成とは別のところで読みにくくなっていることも事実だったりする。どういうことかといえば、「読者が著者の主張を知っていることを前提に、話をどんどん進めている」ってことです。

「そういう初心者を端から切り捨てるような本を書くのは、いけないと思います!」

って声もあるだろう。兵頭師に言わせれば、「既に発表した論を再び書くことは紙資源の無駄であり、ひいては日本語環境の低下に繋がる」(うろ覚え。さっき典拠を探すため本棚をひっくり返したんだけど、どこにも載ってないんだよなぁ。確か『ヤーボー丼』にあったと記憶してたんだけど……)というハッキリとした理由があることなんだけど、「だからどうした!」といいたい人だっているだろう。

で、そんな「兵頭二十八って人の新刊には興味があるけど、15年来のファンが『初心者お断り』なんていうモノは、とても手に取る気にはなれない」なんて方に向けて、これから、手前が考える「兵頭本をスイスイ読むコツ」を紹介することにします。

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