2010年6月29日火曜日

いまさら金子達仁を批判してみる

最初に言っておきますが、手前はあらゆる自営業者に一定の敬意を払っているつもりです。タレント、画家、作家、スポーツ選手……事務所に所属せず自分の顔と腕一本でメシを食べている人は、どんな人でも大したものです。

そりゃ、「こんなヒドい仕事しやがって!」とか「こういうことでおまんまを食べて恥ずかしくないのか?」と思うことは多々ありますよ。でも、一呼吸おいてから、「まぁ、彼(彼女)も生きていくのに必死なのだなぁ」と、ほとんどのことは許しています。上から目線でモノを言うなって? いや、その人の仕事を享受する“お客さま”の立場でのモノ言いですから、そこは多めに見てください。

ともあれ、実名or屋号を問わず名前を出して食べていくってのは、本当に大変なことですから。ボーナスも退職金もない世界でリスクも名誉も全て背負い込むということは、なまなかな覚悟ではできないことだもの。

と、あらかじめ保険を打っておいた上で本題です。

金子達仁って、ありゃいったい何なんだ。

ここ最近、スポニチでW杯の試合のレビューを掲載しているけど、正直、お金をとって読ませるものじゃないだろう。女子高生のポエムよりも価値がない。このあいだまでは我慢していたけどもう限界。いいかげん鶏冠にきたので、いまさらながら批判することにします。

スペインの醜いサッカーに嫌悪感

この記事に、禁じ手に近い形ではあるけど逐次引用の上、突っ込ませていただきます。

>もし“大会期間中に最も変貌(へんぼう)したチーム選手権”なるものが開催されていたら、前日までダントツの首位を走っていたのが日本だった。

だが、1次リーグ最終日に逆転劇は起きた。スペインによってうっちゃられた。

・ここまではツカミなのでどこをどうというつもりはありません。

>敗れたとはいえ、スイスとの初戦を戦ったスペインは、限りなくバルセロナに近いチームだった。82年のブラジルにも似て、結果だけでなく、内容で世界を酔わせることのできるチームだった。

・どこがどのように世界を酔わせるものだったのか? 一つでも例を挙げてくれなきゃわからないだろう。多分、「パスで繋いでパンパンパーンというサッカー」とかいうバカな答えが返ってくるんだろうけど。

>チリと戦ったスペインに、バルセロナの香りは微塵(みじん)もなかった。似ていたのは、ペナルティーエリア外での反則でPKをもらい、外したPKを「GKが先に動いた」と蹴り直させてもらうなど、ホームタウン・デシジョンの連発で薄汚く勝ち上がった82年W杯スペイン大会のスペイン代表だった。大会期間中に信じられないほどポジティブに変貌したのが日本だったとしたら、スペインは呆(あき)れ果てるほどネガティブに変質してしまった。

 メンバーが代わったわけではない。ホンジュラス戦を休んだイニエスタも帰って来た。言ってみれば、メッシがいないだけのバルセロナのようなチームだったというのに、展開されたのはバルセロナでは見たこともないような退屈なサッカーだった。28年ぶりに、わたしはスペインのサッカーに嫌悪感を覚えてしまった。

 彼らは、旅の恥をかき捨てた。

 自分たちのやっているサッカーが、カンプノウであればブーイングを通り越して白いハンカチを振られる質のものだということを、選手たちはよくわかっていたはずである。にもかかわらず、彼らは平然と時間稼ぎに走った。どれほどあくどく、醜いサッカーをやったところで、聞こえてくるのはブブゼラの音だけだからである。


・「バルセロナの香り」って一体ナニ? どういうサッカースタイル及びプレースタイルが「バルセロナの香り」なのか、具体的に示せよ。

・「世界を酔わせることのできるチーム」というのが、どういうものなのかがさっぱりわからない――初戦を見ていればわかるって? それを言葉にして伝えるのがスポールライターの仕事だろうが!――ので、そこを基準にネガティブに変質したといわれても、何がなんだかさっぱりわからない。

・ネガティブな事象の一つとして、「平然と時間稼ぎに走った」とあるが、これはどこのチームでもやっていることで珍しいことじゃないだろう。確かに後半30分くらいからパス回しばっかやって退屈だったのは事実だけど、そのまま終わればチリだって決勝トーナメントに出られることがほぼ確実だったわけだし。そういう状況の下、両チームの“談合”で退屈なパス回しが行なわれるのはグループリーグでは良くあることだろう。逆にこの状況でバカの一つ覚えのように攻撃していたら、時間稼ぎをする以上に叩かれていただろうし。

・「カンプノウであればブーイングを通り越して白いハンカチを振られる質のものだということを、選手たちはよくわかっていたはずである」にも関わらず、時間稼ぎが許せねぇってことだけど、カンプノウであればダメ出しされるサッカーとは一体何なのか? 少しでも誠意ってものがあるのなら、「カウンターサッカーはダメ」とか「守備的なスタイルはイカン」とか一言でも書かなきゃダメだろう。

>喜び、怒り、祈り、呪(のろ)い。本来はスタジアムに満ちているさまざまな感情を、ブブゼラは一つの音で塗りつぶしてしまう。そのことが、スペインの選手たちを恐ろしく傲慢(ごうまん)な存在に変えた。こいつらの前だったら、何をやってもかまわない。何をやったってわからない。

彼らは、開催国への敬意を捨てたのだ。


・それはアンタが勝手に思い込んでいるだけだろうが。スポーツってのはルールの範囲内で何をしてもいいんだから。「こいつらの前だったら、何をやってもかまわない」といって、日韓大会の韓国チームのようなテコンドー&八百長サッカーをやっていたのであれば、それはルール違反だから指弾されるべきだろうけど、少なくともスペインチームはルールに従って試合をやって勝ったわけでね。何を批判される筋合いがあるの。それもスペインの縁もゆかりもない――スペインに遊学していたから縁があるというのなら、一頃「アラビヤン焼きそば」にハマって毎日食べていたこともある手前は、アラブ圏全体に影響力を及ぼしても良いよね――一介の東洋人に。しかも、現地観戦じゃなくてスカパーで見ていただけの人に。

>たった1つの試合が、チームを大きく変えることがある。醜かったスペインが、再び美しさを取り戻す可能性がないとはいえない。けれども、スペインが82年のブラジルとなる可能性は、もはや完全に失われた。勝敗を超え、時代を超えて愛されるチームとなる可能性を、自らドブに捨てた。スペインを愛してきた者として、それがとにかく残念である。

・最後まで何を持って「世界を酔わせるバルセロナの香りを持った全てのサッカーファンから愛される」サッカースタイル――って改めて文字起こしすると形容詞だけで本当に何も言ってねぇな――が何なのかわからないのは置いておいて、全ての試合で魅力的なスタイルを通して試合をしなきゃダメなの? 実のところ「世界を酔わせないバルセロナの香りもしない全てのサッカーファンから愛されない」サッカースタイルで決勝まで勝ち進んだとしても、決勝戦で「世界を酔わせる(略)」サッカースタイルを貫徹して勝てば、その一試合をもって伝説になるものじゃないかなぁ。第一、グループリーグの一試合の出来不出来なんて熱烈なサッカーファン以外どーでもいいことでしょう。前回大会のスペインvsサウジアラビアのことを覚えている人って何人いるのかね?

……ふぅ。慣れないことをすると肩が凝るわ。

こんなねぇ、思い込みだけで書いた文章でお金をとっちゃぁいかんでしょう。100歩譲って、それを認めるとしてもだね、アンタには最善の結果を出そうと必死で戦っている選手に対する敬意ってものがないのかね。全ての選手、監督が自分好みの試合をしなきゃ気がすまないのかね。そういう超然とした態度でモノを言えるのは、ヒト、モノ、カネを出している人間(敢えて言うならチームのワンマンオーナー)だけだろう。てか、ワンマンオーナーでもここまで生意気な口を利くのは許されないだろうよ。実際に人生背負って――回復不能なケガや、心臓発作での突然死、下手なプレーにより酷評に晒されるリスクを背負って――戦っているのは選手なんだから。

手前は全ての自営業者に敬意を払っているつもりだけど、その自営業者を自らの思い込みだけで貶めるような輩には、敬意を払うつもりはありません。つまるところ金子達仁は、手前にとって一切リスペクトする必要のない輩だってことです。ここで批判したコラムはもとより、他のコラムにだって選手、監督に対する敬意なんて微塵も感じられないもの。

もちろん「選手、監督に敬意を払う=批判しない」ってことじゃありません。でも、批判する以上は、「彼の出来は最低だった。なぜなら~」とか「過去のデータを見ると、あの試合展開はヒドイといえる」とか「自分が選手、監督なら、こういうシステムでこのような試合展開を~」というように、一定の根拠やデータ、建設的な代案や何かを提示すべきでしょう。思い込みだけで批判されたって、批判された方は反論のしようもないわけだから。そんなのはポエムであって、どうせやるなら五七五とか五言詩とかでやってみろと。ただ、自分の思い込みを書き連ねたいならblogで書いとけってことです。

いまだにプロ野球OBを前にしたら、初夜を迎える新婦のようにドキドキするほどプロ野球選手を心からリスペクトしている手前にとっては、本っっ当に許しがたい奴ですよ。まぁ、手前の人生にとってさほど大きな意味のないサッカーの世界だから、腹の底から怒りが湧くってほどのことはないけど、もしプロ野球を舞台にこういう批評をかましていたとしたら、彼の講演会にいってパイをぶつけてやりますよ。ええ。

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