このあいだはこんなことを書いたけど、どうやら手前の認識が甘く、間違っていたようです。報道規制は本当にあったんだねぇ。だって、赤松農水相が自ら言ってるんだから間違いないでしょうよ。
【ニコニコ動画】赤松農相「マスコミにお願いした風評被害対策はうまくいった」
「ま、あとは風評被害を心配してましたので、マスコミの皆様方にもそれをお願いして、これについてはかつてのBSEと比べていただければわかりますが、非常に冷静に見ていただいておりまして、これは、まぁ、上手くいったと思うんですけれども」(赤松農水相。2010年5月17日決算行政監視委員会第三分科会、民主党網屋信介議員の質問への答え)
クズ。しみじみクズ野郎だねぇ。
マスコミの皆様方にもお願いして風評被害が起きなかったとほざいてるけど、10年前の口蹄疫のときだって風評被害はほとんど起きなかった。自民党政権下で報道規制なんてやろうものなら、マスコミ総掛かりで袋叩きにしていた――しかも、当時は小渕内閣から森内閣への移行期間。最も叩かれていた頃だ――だろうから、恐らく報道規制はなかったんでしょう。それでも風評被害はほとんどなかった。
と、記憶頼りにこんなことを言ってもしょうがないので、昨日、市立図書館で朝日新聞の縮刷版(00年3~6月)と日経テレコンを引っ繰り返してみましたよ。そしたらこんな記事がありました。
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日本経済新聞地方経済面(北海道)(2000年6月1日)
口蹄疫、来週にも安全宣言、感染経路特定に課題残す――道などの対応、評価も
十勝地方の本別町で口蹄疫(こうていえき)に感染した牛が発生した問題で、九日にも道が安全宣言を出す見通しになった。家畜市場も順次再開され、懸念された道内農家の経営への影響は深刻には出ていない模様だ。
~~中略~~
報告の翌日には関連農業団体が消費者対策等に乗り出すなど、関係者の対応も比較的早い。九七年三月の台湾北部の口蹄疫発生では、一カ月あまりで台湾ほぼ全域に広がり、豚など約三百八十五万頭が処分された。
~~中略~~
発生当初、流通業者から道産の食肉、乳製品販売への影響を懸念する声があがったが、「十勝産の和牛を取り扱っていません」などの張り紙をしたのは道内でも一部のスーパーだけ。「消費者から質問があれば対応するが、張り紙を出せば逆に不安を与えかねない」(コープさっぽろ)と静観した店が大半だ。“風評被害”への警戒は依然必要なものの、少なくともパニック的事態は起きていない。
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この記事が出るまでに、北海道では705頭の牛を殺処分しているけど、それでも大部分の店は静観したという。
なぜ、風評被害が起きなかったのか?
報道が控えられていたわけじゃない。口蹄疫が確認された3月26日には、各紙とも社会面で報じている。手前が縮刷版を確認した朝日新聞、日経新聞の見出しは――
●肉牛、口蹄疫に感染? 92年ぶり 宮崎県、10頭処分へ(日本経済新聞3月26日社会面)
●宮崎市の和牛 口蹄疫感染か 92年ぶり、殺処分(朝日新聞3月26日第2社会面)
――というもの。朝日新聞は1段記事だけど、日経新聞は7段ものスペースをとっている。全文引用するのは控えるけど、大まかな内容は以下の通り。
・3月25日、宮崎市の農家で飼育する肉牛10頭が口蹄疫の疑い。
・宮崎県畜産課によると、13日に獣医師が症状を確認し、同課に連絡した。
・農水省畜産局で組織検査したところ23日に口蹄疫であることを確認した。
・26日に10頭全てを殺処分する。
・25日より同飼育農家より半径50km以内を立入禁止。半径20km以内の家畜市場を最長3週間閉鎖。半径50km以内の地域から地域外への家畜の移動を禁止した。
・同課によると口蹄疫は人に感染せず、感染牛の肉、乳を食しても人体に影響はない。
さらに石川清康・農水省農林水産技官の談話として、「口蹄疫は国際獣疫事務局で最も警戒度の高いランクのリストAに指定される重大な病気」とのコメントも掲載している。
その後も、4月5日、6日と事態の進展にあわせて刻々と報道している。少なくとも報道規制があったようには感じられない。ただ、比較的小規模な感染に止まっていたため、派手な報道ではなかったことも確か。ていうか、この頃は小渕首相が倒れたり、有珠山が噴火したりと結構わやな頃だったので、こうしたニュースに押し出された感もある。
ただ、小さなニュースで終わったから風評被害が出なかったというわけでもない。風評被害を予防するために、政府、農水省が結構重要な一手を打っていたみたいです。
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朝日新聞第3社会面(2000年4月21日)
検証:家畜伝染病「口蹄疫」広がる波紋
今月六日の朝、農水省の会議室にスーパーや卸業者を含む食肉流通業者約八十人が急きょ集められた。牛から口蹄疫ウイルスが確認されたのを受けた説明会だった。
~~中略~~
説明会はこれまでに四回を数え、玉沢徳一郎農水相も記者会見などで「誤解が誤解を生む事態があってはならない。理解に時間がかかったとしても正確な説明が大切だ」と繰り返している。
~~中略~~
しかし、複数の大手スーパーでは、宮崎産牛肉の取り扱いを見合わせる動きも出ている。ある大手スーパーは感染の疑いが明らかになった翌二十六日から、一部の店舗で宮崎牛の取り扱いを中断した。「人体に影響がないのは分かるが消費者感情を考えた」という。
ただ、肉類全体の売り上げや価格動向は今のところほとんど変わっておらず「消費者は冷静に行動している」(肉類卸関係者)とみている。
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つまり、マスコミに報道規制を強いるのではなく、流通業者を集めて正確な情報を提供するという一手を打っていたということ。
こういうことをせずに(赤松農水省の記者会見の文字起こしをザッとナナメ読みしてみたけど、これに類する発言は見当たらないねぇ)、マスコミ対策を優先する(もし同じようなことをやっていたら、とっくに報じられているはずですよねぇ)――。つくづく赤松は無能だねぇ。これで反省一つしないんだから、本っっ当にクズですよ。
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