駒田徳広の新刊『問いただす“間違いだらけ”の打撃指導』(ベースボール・マガジン社)が、とても面白かったです。同社が昨年から出している「名手に学ぶプロフェッショナル野球論シリーズ」の最新刊なんですが、このシリーズって佐々木主浩、槙原寛己、立浪和義、川相昌弘と錚々たるメンバーが書いていながら、いずれも中身に乏しい――槙原のだけは面白かったけど、これも槙原にとって事実上初めての本格的な著書だったが故のこと――んですよ。なんで、「とりあえず立ち読みで済ますか……」と思いつつ1章を読んだら途中で読むのを止められず、1章の最後まで立ち読みしてしまったという。結局、買っちゃったわけですが、結論からいえば「1200円ながらイイ買い物をした!」です。
はっきりいって、「これってどうよ?」と思うところも結構あったりするんですが、そこら辺は駒田も弁えていて、「僕の考えに共感される方もいれば、疑問を抱かれる方もいるでしょう。疑問を抱かれた方とも意見を交換できれば、そこから新たなバッティングの可能性も見えてくるかもしれません。いずれにしても、本書が日本野球の発展のために一石を投じることになれば幸いです」(5頁)と書いています。謙虚な書き方ではありますが、一方で並々ならぬ決意で上梓したことが窺える一文といえましょう。
いろいろと紹介したいところがありすぎてわけがわかんなくなるくらいなんですが、それでも一点だけ興味深いところを紹介すると、駒田曰く、「『引きつけて打て』じゃダメよ」。
現時点で日本屈指の打撃コーチの一人である金森栄治の持論に真っ向から異議を唱えているわけですが、実はデーブ大久保も、駒田と同じ指導法――ポイントを前に置いて打ってみろ――で中村剛也選手を見事に開花させてるんですよ(この辺の事情は、この間紹介した『プロ野球二軍監督』(赤坂英一著。講談社)に詳しく載っています)。
帯にある――
「コンパクトに振れ」の真偽
「上から叩け」は正しいか?
「引きつけて打て」が投手を有利にする
――のフレーズを見て、心が響いたのであれば、迷わず買っちゃいましょう。多分、損はしないと思います。
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