2011年7月2日土曜日

超一流選手の持つ“テンション”について

落合博満監督の考える、超一流選手の持つ“テンション”について、自著『プロフェッショナル』(ベースボールマガジン社)より抜粋します。

「山田さんが引退を決意した理由は本人にしかわからない。また、急激に勝てなくなった原因もひとつではないだろう。ただ、開幕投手の連続記録が途絶えたことが、山田さんの中で何かを変えたと、私は信じて疑わない。それは、一流の野球選手だけが持っている独特のテンションのようなものだ」
「若手に比べて基礎体力やパワーが明らかに劣ってきても、ベテランがエースや四番の座を簡単に明け渡さないのは、円熟した技術もさることながら、このテンションがあるからだと思う」
「しかし、これは他人が気づかない些細なことでも、あっという間に消えてしまう。山田さんにとっては、開幕戦でマウンドに立つということが、誰が考えるよりも大切なことだったのだ。結果論かもしれないが、山田さんはどうにも先発を任せられないという状態になるまで開幕投手で良かったのではないかと思う。そうすればもっと長く投げられただろうし、投げられないような状態になった時は、それを一番良く知っている本人が、自らその役目を固辞するはずだからだ」(78頁)

この“テンション”では、『野球人』(ベースボールマガジン社)でも、自らのテンションが切れた瞬間について書いている(ちなみに山田と落合のテンションを切ったのは、いずれも上田利治監督)。落合監督の岩瀬仁紀投手に対する配慮は、このような経験を基になされているものといっていいんでしょう。で、岩瀬投手がたとえフラフラでも抑え投手として機能し続けることが、どれほどチームにとって重要なことなのかは、昨日の巨人の試合を見ればわかるとおり。つまるところ信用できる抑え投手ってのは簡単に見つけられるものではないってことですよ。

浅尾拓也投手を配転させればハナシは早いのかも知れませんが、そうなれば“テンション”の切れた岩瀬投手は事実上“戦力外”となり、多分、セットアッパーどころか中継ぎすら任せられなくなるんでしょう。となれば高橋聡文投手を欠くなかで誰がセットアッパーをやるのか? ってことになるわけで……。まぁ、実際のプロ野球はTVゲームみたいにはいかないってことですね。



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