2011年7月31日日曜日

伊良部秀輝・吉井理人、「最新最強のピッチングメカニクス」

◆目次
・第1章:「基本的な投球フォーム」を身につける
・第2章:<伊良部式>ピッチング・メカニクス
・第3章:<吉井式>ピッチング・メカニクス
・第4章:一流投手の投球フォーム分析
・第5章:ウォーミングアップ&トレーニング
・第6章:吉井式変化球メソッド
・第7章:勝つためのピッチング術

追悼企画ということで、第1章、第2章より伊良部のパートを読書メモ風に紹介。

・投手にとっての才能は2つある。一つは「リズム感」。もう一つは狙ったところに投げる「指先の感覚」。この2つについては、意識しなくてもできる人がいる。

・傾斜のあるマウンドで「真っ直ぐに立つ」という意識を持つ。意識しても真っ直ぐに立てなければ、バランス感覚を養う練習が必要。まずはマウンドに立つ前に平地で真っ直ぐ投げられるようにすべし。平地でできないことが傾斜のあるマウンドでできるはずがない。

・メジャーのピッチャーはダイナミックなフォームに見えるが、肝心な動作はコンパクト。曰く「腕を身体の近くで振る投げ方」。理想をいえば、腕は捕手と二塁ベースの一直線上で振る。右投手なら三塁側に離れないのがベスト。コンパクトに振らなければ力のロスが大きくコントロールもつかない。10球なら良くても100球も投げると確実に疲れ方が違ってくる。

・投球フォームの基本は「大きく、小さく、大きく」というが、自分は「クイック、スロー、クイック」を意識した。こういったリズムは自分で探すべし。

・「リリースポイントをできるだけ前に置け」というだけでは説明不足。どんな投手でもリリースポイントは「顔の横」であって「顔の前」ではない。つまり、「身体全体を前に出して投げる」ということ。持っている力を全て使って投げれば、結果としてリリースポイントは「顔の横」あたりにくる。球持ちを意識させるより、下半身を使って投げさせることを意識させたほうが良いのではないか。

・軸足のヒザのお皿。これをピッチャープレートと平行にすることが一番大事。これにより身体がブレずに体重移動できる。これができないと体重移動の段階で軸足が回ってしまう。結果、身体の開きも早くなり、腕が身体から離れてしまい、無駄な力を使うことになる。

・右投手の場合は左肩を絶対に開いてはいけない。リリースの瞬間からボールの軌道まで丸見えになってしまう。これではバッターはバッティングセンターで打ち込むように簡単に打てることだろう。

・肩は左右でワンセット。右投手の場合、右肩を前に出せば左肩は後ろに下がる(開いてしまう)。その逆も然り。どうしても開いてしまうのなら、「右肩を前に出さない」「右肩を止めて体重移動する」といったことを心がけるべし。

・ただし、これを意識しすぎてもダメ。ピッチングはパズルのようなもので、一つのメカニズムが狂えば全て狂う。時には意識しすぎないことも大切。

・体重移動はゆっくり行い、そのあいだで打者を観察する。打者の一瞬の反応を見る。自分の場合は、打者の膝元を見た。そこで「踏み込んできたら一球分内側に外そう」と考え、実行していた。

このようにごくごく基本的なことを中心に語り下ろしている。もし、投手コーチとして活躍できる場があったとしたら、高卒新人やエスカレーター選手に対して、極めて効果的な指導ができていたのかも知れない。しかし、国内で事件を起こしただけにNPBでコーチになるのはほぼ絶望だったのだろう。キッチリと罪を償った人に対しては、実績や指導力を見て、一定以上の能力が認められればコーチとして招聘すべきではないだろうか。伊良部もそうだったが、とりわけ江夏豊を無役のまま在野に置いておくほどもったいないことはないと思うのだが……。

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