「全米で話題沸騰!」
「オバマ大統領夫人も大ファン!」
「著名人がゲスト出演を熱望!」
「エミー賞を独占!」
「ベッキー一押し!」
と、手前みたいなボンクラには一切縁のない権威主義的&ミーハー向けなプロモーションをストレートフラッシュで展開している、アメリカの人気TVドラマシリーズ『glee』。
評判は聞いていても、こうしたプロモーションに嫌気が差して「誰が見るものか!」と思っていたんですが、ようやく準新作落ちしてくれた『ヒックとドラゴン』(3Dで見て泣きに泣いたけど、自宅のブラウン管で見ても素ン晴らしいことに変わりはない傑作)を借りるべく、近くのレンタルDVD店を訪問。「旧作・準新作4本で1000円キャンペーン」を受け、レンタルする3本まで決めたものの残り1本が決まらず、何気なく新作の棚を見たら「『glee』。新作だけど1weekレンタル!」とあり、店員さん曰く、「これを入れて4本1000円でOKっすよ」とのことだったので借りたわけですよ。
で、冷やかし半分に見てみたわけですが……
結論から言えば、もうズブズブにはまりまくりますた!
どれくらい劇的にハマったのかというと、「第1話:新生グリー誕生(原題:Pilot)」を見た2分後にはコートを羽織ってレンタルDVDに行き、貸し出されているvol2、3を借りにいったくらいです。
内容はというと、大雑把に言えば「合唱部を舞台にした『がんばれベアーズ』」であり、それ以上でもそれ以下でもありません。ただ、そのクオリティが不気味なくらいハイレベルなんですよ。だって、まぁまぁ高校生に見える若い役者さんが、45分の尺の中で4~5曲を歌って踊る――もちろん1話ごとに違う曲を違う振付&違う衣装で4~5曲歌って踊る――わけですが、それぞれが1本のPVとしてカネを取れるレベルな完成度なわけです。そのうえでラブコメ&シリアスな演技もきっちりやると。しかも放映ペースが毎週とか。
ストーリー展開は王道だし、パクろうと思えばいくらでもパクれるだろうけど、実際に日本のTV局がパクったとしたら、多分、目も当てられないレベルになることは必定ですよ。だって、歌って踊るってシーンだけでも、モーニング娘。や宝塚、劇団四季なんかより遥かにハイレベルだもの。
【ニコニコ動画】glee(ネタバレしない範囲&Vol3までの見た限りでは平均レベルのパフォーマンス)
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しかも、彼女(彼)らは日々厳しいトレーニングと振付の稽古を繰り返してのパフォーマンスであるのに対して、『glee』の面々は毎週放送という超過密スケジュールに合わせて大した稽古もできないでアレなわけですよ。vol3まで見終わっての感想は、「アメリカのエンターテインメント業界ってどんだけ凄いんだ!」の一言。掛値抜きで100年経っても追い付けないんじゃないか? って思いました。
個々のイケてる点――校内カーストとマイノリティの取り上げ方、脚本の完成度の高さ、シーンに合わせた選曲の見事さetc――について書き出すと止まらなくなるので自重しますが、「ミュージカルが死ぬほど嫌い」とか「洋楽なんて耳にするのもイヤだ」とかいうのでなければ、騙されたと思って見てください(幸い、11年1月中はPilotを無料で見られるようです)。
このPilotの出来が見事でねぇ。TVシリーズの命運を握るエピソードだから、面白くて当然っちゃぁ当然なんだけど、それにしても徹底的に練りこみ、ブラッシュアップにブラッシュアップを重ねた脚本が本っ当に見事。「ラストの『Don't Stop Believing』という決め技で、いかにして視聴者をKOするか?」だけに焦点を絞ってドラマを作り上げていてですね、ニュー・ディレクションズの面々が二番を歌うときに、シュースター先生が現れてくるカットには滂沱の涙!
妻の妊娠という現実を前に、「金のために生きるか?」「自分らしく生きるか?」という選択を迫られたときに耳にするのが――
日々の生活のために仕事してっけどさぁ、
誰だって自分の夢を追ってみたいわけよ。
もう一回だけ勝負できるんならね、
そりゃ何だってしちゃうもんね。
(都築意訳)
――ってな歌詞で、サビに入って「Don't Stop Believing♪」と来るんですよ。ベタもベタな展開だけど、そこに至るまでのドラマの作り方があまりに見事なために、ググッと感動するわけです。
……って早速自重できずに止まらなくなってしまったので、ここで本当に打ち止めにします。
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