政争にかまけている時間はないはずだ(日経新聞2011/6/2社説)
内閣不信任案提出反対論の典型的なロジックですが、これはおかしいんですよ。ここ数日、マスコミが一言も報じていないことですが、そもそも野党が不信任案を提出したのは「菅内閣が2次補正予算を出さずに国会を閉めようとしたから」です。
大震災2カ月 2次補正先送りとは…(中日新聞2011/5/11社説)
2次補正予算を速やかに通さなければ、復興のしようがありません。仮設住宅を建てるにも物資を送るにも、その費用に予算という名目をつけて「責任の所在」と「使用した結果」が明らかになるようにしなければ、お金の出しようがないわけですから。
手前は自民党支持者ではありませんが――政治的には中道。主義主張があるとすれば「反社会主義者」というところ。共産主義も国家社会主義も統制経済もみんな大嫌い!――、中立公正を御旗に掲げながら、この基本的なことを敢えて報じない“強烈な党派性”は犯罪的だと思うんですけどね。
で、以下、不信任案提出反対論に対する反論のテンプレートを考えてみました。
・主張A:お金なんていくらでもある。無駄な公共事業費を削ればいいじゃん。
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・反論A:その付け替えをするのが2次補正予算です。
・主張B:予算編成なんて後回しでいいじゃん。超法規的に付け替えして大急ぎで復興しようよ。
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・反論B1:日本は法治国家です。その根幹を揺るがすようなことはできません。
・反論B2:復興予算は少なく見積もっても数十兆円規模です。国債の発行は必至です。予算編成もなしにどうやって国債を発行するのでしょうか?
・反論B3:超法規的に国費を動かすとなれば、政治家が中抜きするのは必至です。なにしろ予算の名目がないんですから汚職しても追求のしようがありません。パリス・ヒルトンがいつもの格好でモガディシオにいくようなものです。
・反論B4:このように超法規的(事後法)な措置を認め続けることは独裁政治を認めることになります。
・主張C:昨日の党首討論で「通年国会にして議論しようず」っていってたんだから、野党は協力すべきだよ。
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・反論C:御身が危なくなってから「一緒にやろうぜ!」なんていう奴を、誰が信用できますか?
・主張D:こうなったら救国大連立を組むべし。こういう緊急事態のときこそ小異を捨てて大同で一致すべきだ。
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・反論D:急がば回れという言葉を知りませんか? そもそも6月で国会を閉めて、2カ月の政治空白を作ったうえで、2次補正予算の編成作業をしようとしてたんですよ。実際、現時点では財務省に2次補正予算編成の指示すら出していません。だったら解散して1カ月半の政治空白を作っても、「震災後の国民が選んだ救国政権」で復興した方がよりよい結果が生まれる可能性が高いのではないでしょうか?
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