2010年12月10日金曜日

Podcast28_Military_News_Blog 12-10緊急避難

Podcast28_Military_News_Blogの「中の人」が超多忙とのことで、師走にも関わらず超ヒマ(ぶっちゃけニート状態)な手前にお鉢が回ってきました。というわけで、以下、最近気になるアノ話について訊いてみました。

都築有(以下、都築)――今年もあとわずかですが、民主党政権としての新しい「防衛大綱」は、ほんとうに年内に決まるんでしょうか?

兵頭二十八師(以下、兵頭)――無理じゃないかという話もありますよね。まあ、大綱ができなければ対支防衛ができなくなる――ということでもないので、わたしはあまり関心を払っていないんですよ。

対支防衛は、装備の問題じゃないのです。いまあるだけの装備でも勝てるのですが、それを使う政府幹部の根性が内弁慶では、何を持ってたって、宝の持ち腐れに終わる。それこそが根本の大問題なのですよ。

でも防衛省の内局としたら、大綱が定まらないと来年以降、予算を取る根拠ができませんから、必死になっているのは無理もないでしょう。

都築――そこで気になるのが、いわゆる“保守論壇”における先生のポジションなんですが……

兵頭――ここで売文業の評論家としてはいろいろな立場があり得ます。

シナが脅威なんだからそれにかこつけてどんどん予算をとればいいだろうという立場もアリでしょう。しかしそういう大物評論家さんを防衛省はすでにもう何人も確保しておられるはずです。わたしはその仲間には入りません。まあ防衛省からおかねでも届けられればすぐにもころびますけどね。これは宣言しておきましょう(w)。

むしろこういうときだからこそ、3自衛隊や内局から上がってくる筋の悪い要求をリアルタイムでオープンに指摘しておくことが、世論の理想的な成熟への近道になると、わたしは確信しています。とにかくいままでの国防評論は低劣すぎました。バカウヨ一派みたいに、煽っていれば善いんだという時代じゃ、もうないですよ。それは国民の知能を愚弄することに他なりません。

政党や政治家が腐っているときこそ、マスメディア周辺者が既往の何倍もしっかりしませんとね。日本の納税者はバカじゃないんだから。

『National Journal』という、よく存じ上げぬネット媒体に、Otto Kreisherという人が2010-12-8付で「Northrop sees rising demand for Global Hawks」という記事をUpしておられるのですが、ここに興味深い情報が出ました。

ノースロップの副社長George Guerra氏が、日本は無人偵察機のグローバルホークを4機から5機、買うだろう、と言っているそうなんです。

これまでにリークされてきた大綱案では、空自が「3機」買うっていう話だったのですよ。しかし3機では足らなくなったようです。

都築――南西諸島だけでなく、もっといろんなところに飛ばしたいからなんですか?

兵頭――理由は、稼働率が悪すぎるからでしょう。

さいきん連載している「MIL短報」でも紹介いたしましたが、ストラテジーページというウェブ媒体の2010-12-3記事の「Readiness Rate Riddles Revealed」で、米空軍のRQ-4の最新の稼働率(即日出撃可能な機数の率)が41.6%と、非常に悪いことが報じられているのです。これで24時間監視を実現しようとすれば3機ではとうてい無理。おそらく6機は必要なのですよ。NATOもこれから6機買って運用すると言っている。そのくらいないと、常時運用はできないのでしょうな。

さてグローバルホークはいくらするのか。メーカーは、1機3000万ドルだと宣伝していますが、米国の会計検査院は、なんだかんだで1機が1億3000万ドルになるじゃないかと怒っています。「プレデター」級の無人機にくらべて、コストパフォーマンス比が悪すぎるというのが、米国メディアでよく目にする批判だ。このグローバルホークはすでに150機ほど製造されていますが、これまでのところ量産効果で単価が下がることがなくて、逆に、年々、納入単価が上昇しています。

これはもうね、F-22は拒否られたし、F-35はとうぶん買える順番は回ってこないから、ほうっておくと空自の予算支配率が長期的に下がってしまうから、その予算支配率を維持するために一点豪華主義のグロホをたくさん買おうじゃないかという話になっているんじゃないかと、わたしは疑います。

くだらない金星探査衛星などをうちあげている資源があったら、それを偵察衛星に注入すべきでしょう。監視衛星と、超水平線レーダーと、レーダー・ピケット艦――あえて「イージス」とはいいません――があれば、グローバルホークは必要ありません。グローバルホークは、アフガニスタンでは撃墜されていませんけれども、シナ軍や韓国軍には撃墜されてしまいます。あ、いうまでもなく、韓国は日本の敵国ですから。これは空自がいちばんよく分かっていると思いますけど。

都築――先生のロボット三部作を読んだ身としては、至極単純に「無人機いいんじゃね?」と思ったりするのですが……

兵頭――もしやられたらやりかえすという米軍が運用してこそ「鬼に金棒」となるのがグローバルホークなので、ヘタレの日本政府には、超水平線型レーダーや偵察衛星の方が、下から撃たれないだけ、安全・安価・有利です。

2010年にはグァム島に米軍のグローバルホークが配備されました。これは徐々に機数が増えて、やがては朝鮮半島を24時間監視することになります。それと空自の装備とをわざわざ重複させる必要がどこにあるんでしょう?

コストは高いしパフォーマンスは悪い。空自によるグローバルホークの調達は、まさに税金の無駄遣いになるとわたしは疑います。そうならぬとおっしゃるなら、是非、空自は公開的に反論して欲しいですね。

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