2010年7月21日水曜日

清原和博、「反骨心」:その2

「プロ野球史上、屈指の『肉体的才能』を持っていたものの、『精神的才能』欠け大成できなかった選手」――これがプロ野球選手・清原和博に対する手前の評価だ。

小学三年生のときにKKコンビのデビューを目撃した“KK直撃世代”だけに、こういう辛辣な評価をするのは気が引けるものの、清原のプロ生活を虚心坦懐に振り返ってみると、どうしても上記のような評価になってしまう。

手前に野球選手の才能を見通す眼はない。これはもう筋金入りで、手前が「こいつは凄い!」と思ったアマチュア選手――東亜学園の川島堅、秋田経法大附属の中川申也と小野仁、横浜高校の紀田彰一、PL学園の田中一徳、川之江高校の鎌倉健など――はことごとく大成せず、「こいつは大したことない」と思った選手――愛工大名電の鈴木一郎選手、福岡一高の前田幸長、東北高校のダルビッシュ有投手、光星学院高の坂本勇人選手――の多くが大成した。

このように小関某くらいの“逆神”っぷりなので、野球選手の才能についてとやかくいうのはどうか? と思うのは事実だ。ただ、いくら野球選手の才能を見通す眼がないといっても、あまりにも傑出した才能の良し悪しくらいは判断できるつもりだ。

桑田真澄、立浪和義、松井秀喜選手、田中将大投手などは、立ち姿から練習時の動きを見るだけで明らかにセンスが違うというか、良い意味で周りに溶け込めない強烈な個性があり、「こういう選手がプロで成功するんだろうなぁ」ということを、一考の余地もなく受け入れさせる何かがあるよう感じたものだ。

このクラスの誰が見ても凄い選手であれば、ちょっとした野球ファンでもハッキリと良し悪しがわかるものなのだろう。実際、前評判も高く、甲子園でも大活躍して、プロでも大成功を収めている。

このような明らかに傑出した才能の頂点に立つ選手が、清原だった。

「20年に1人の天才? いやプロ野球史上最高の天才だよ」
「王貞治のHR記録を超えられるのは彼しかいない」

プロ入り前からありとあらゆる称賛を受け、プロ1年目に高卒新人記録の全てを塗り替え、「ようやく名実共にONを超える選手が現れた!」と自他共に認める活躍をした大天才――。そんな清原のキャリアハイが新人時代で、その後、三冠タイトルを一つも獲らずに引退するとは、当時誰もが思わなかったに違いない。

「いや、通算安打2122本、通算HR525本という偉大な記録を作った選手に『大成できなかった』なんて失礼千万!」

という声もあろう。でも、彼の持つ巨大な才能を持ってすれば、打撃三冠タイトルの一つや二つは当然のこと、三冠王だって軽くとれたはずなのだ。

清原がプロの水になれた頃には、すでに新人時代の輝きを失いつつあるように見えた。当時、田舎でプロ野球ニュースに映し出される清原の勇姿を見ながら、「なぜ、落合博満を軽く凌駕する才能の持ち主が3割30本くらいのノルマをクリアできないんだろう?」と思っていた頃、勃然と思いついたのが『肉体的才能』『精神的才能』という考え方だった。

というわけで、本編の野球本紹介の前にもう少しだけ与太話を続けます(;^_^A

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