2011年10月19日水曜日

私家版・東京中日スポーツ2011年優勝特集メモ

◆龍の背に乗って:渋谷真(森野将彦選手にスポットを当てた企画)

「僕にとって落合監督は(レギュラーで)使ってもらった監督。頭が上がらない人なんです。思い出といえば、そりゃノックですよ。あれについて、今もきれいごとでは言えません。というよりも、途中から記憶が飛んで、土とボールしか景色がなかった。どうやってあのノックが終了したか、覚えてないんです」

森野は酸欠と脱水症状で失神した。落合監督も凍りつき、後日「あのとき、オレは人を殺してしまったと思った」とまで言った。10分後、ようやくヨタヨタと医務室に歩く森野に、それでも落合監督は「(鍛えてやった)金もってこいよ」と声をかけた。すさまじい光景だった。

「あの次の年に優勝しましたよね。インタビューで監督は、号泣しながらこう言ったんです。『あれだけの練習をさせて、これで優勝できなかったら私の責任。そう思っていました』。僕にとっては初めて規定打席をクリアしたシーズン。ああ、僕にもそう言ってくれている…。そう思ったんです」

◆浅尾拓也★手記

シーズン開幕当初は最悪の状態。ブルペンでストライクが1球も入らないまま、マウンドに向かったこともある。そんなとき佐伯選手の言葉に救われた。

「オレが対戦していたときのタクはガムシャラに腕を振っていた。どんどん攻めてきた。そこが嫌だったんだよ」。こんな話だったと思う。5月13日の阪神戦、3連打されて1点を失った試合後のことだった。それまではフォームのことばかり考えていたが、これが今年の転機だった。

森ヘッドコーチには本当にお世話になった。今年も70試合以上登板しているが、酷使されているという感覚はなく、大事に使ってくれていると思っている。この前、初めて4連投しがた、その前は「行けます」といっても止められた。

森さんの見た目は怖くて、喋り方もキツイ。でも、入団2年目ぐらいの頃、“お仕置き”のような個人ノックを受けたことがある。何でこんなことを、と思っているときに「おまえはオレの息子と同世代なんだ。おまえら全員、そういう目で見ているよ」と言われた。キツイ言葉の奥にある優しさを感じた。森さんが退団されるのは正直さみしい。

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