2011年10月19日水曜日

私家版・デイリースポーツ2011年優勝特集メモ

◆中日・荒木雅博内野手独占優勝手記

落合監督と出会わなかったら、果たして今の僕があったかどうか。8年間、野球ってこんなに奥深いんだってことを教えてもらった。監督の先見の明には何度も驚かされた。

監督初年度のあいさつが、今でも忘れられない。「オレは今日から、面白くない野球をするぞ」。いきなり何を言うんだこの人はと思ったけど、今振り返れば、面白くないってのは、勝つことだけに徹した野球ってことだったんだって思う。

打てない時、監督がこうしてみろと言う。言われた通りにやったけど、すぐには打てない。でも、ずっと言われたことを守ってた1カ月後、不思議とヒットが当たり前のように出るようになった。手っ取り早いアドバイスだってあったと思う。でも、監督はそうしなかった。選手に頭で理解させて、体で覚えさせたものが本当の力。そんな指導が多かった。

去年のコンバートもそう。「お前、最近、ボールを目で追うようになったな。今までは足で追ってたのに。覚悟して1年半、ショートやれ。2年後には戻してやるから」。そう言われて始まったショート転向だった。

勝手が違った。エラーを20個もした。距離感、タイミング。全部がセカンドとは違った。この時ばかりは監督を憎んだ。「オレの右肩が悪いのを知って、ショートにしたのはアンタだろ」。あれから1年半。自分で言うのもあれだけど、プレーの質が変わった。足でボールを追えるようになった。野球人生を変えた1年半だった。約束の2年がたつ来年、監督はいなくなるんだけど。

監督にはよく怒られたけど、その一方で、すごく守ってもらった印象がある。荒木雅博っていう野球選手の将来を考えて、厳しいことを言ってくれたんだって今は思える。監督っていつもそう。言葉足らずっていうか、もっと細かく説明してくれよって思ってばかりだったけど、いつも常人の2個、3個先を読んでた。

今年限りで別れるのは正直ツライ。もし来年、監督がどこかでユニホームを着るのであれば、僕も付いていきたい。そう思わせる人間。まだまだ学び足りないことだってある。最後の花道を飾らせてあげることしかボクにはできない。

――一番読み応えのあった企画。スポーツマスコミのなかで本当に落合を理解しているのは、東スポとデイリーだけだね!

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