2011年4月16日土曜日

Podcast28 MIL短報・避難ver「福島原発事故って、これからどうなるの?」

震災以降、MIL短だけでなく半公式ファンサイトの「放送形式」、武道通信の「告知板」でも数多くの有意義な提言をされてきた兵頭二十八師が、またまた当blogに来られました。となれば聞くことは一つしかないでしょう。

都築有(以下、都):福島第一原子力発電所の今後の見通しはどうなんでしょう?

兵頭二十八師(以下、兵):圧力容器に緊急に孔を開けねばならぬような切迫した事態ではないようです。もともと開いている孔から、なんとか真水を循環させることはできるみたいで……。それで、燃料棒の崩壊熱が下がるのを数年待つことになるでしょう。そのあと、圧力容器の上蓋を外す工事に着手。それからクレーンで燃料ロッドを釣り出すことになるでしょう。

都:窒素ガスも送り込んでいるようですね。

兵:中で発生している水素と酸素が2対1で混在していると、何度でも爆発のおそれがありますから、窒素を送り込むことで爆発性のガスをできるだけ追い出そうとしているのでしょうね。ちなみに、不活性ガスの真打であるヘリウムをどんどん送り込んで循環させれば、水なしでも冷却になるじゃないか……とわたしなどは思ってしまったのですが、冷却媒体としてのヘリウムの効率は真水には遥かに劣るようで、いま開いている孔の大きさ等の制約から、それは不可能であるようです。

都:ロボットが使えなかった理由は何ですか?

兵:いろいろありそうなんですが、東京電力・経済産業省・文部科学省・メーカー・原発系諸機関の誰一人、原発が「爆弾テロ」や「通常弾頭ミサイルによる軍事的攻撃」の対象になるとは真剣に考えていなかったのです。これは人民に対する驚くべき無責任ですよ。それで「ロボットはガレキを乗り越えて奥まで進入する必要がある」というスペックが要求されておらず、したがって、どのロボットも、このような場合には、現場にアクセスすることもできないスペックにまとめられていた、という次第のようです。要は、「最悪事態想像力」が、彼らにはゼロらしいのです。

都:「9.11」テロのあと、日本国内の反原発派の人たちが、燃料満載のジャンボジェットが日本の原発に突っ込んだらどうなるんだという質問をつきつけていたと聞きます。


兵:軽水炉の圧力容器は、ジャンボジェットの激突に耐えるように設計されているという説明が、軽水炉のそもそものデザイン元であるアメリカから、ずっとなされていました。しかし、原発行政関係者が最も関心を払うべき「沃素131」は、使用済み核燃料棒の炎上や被弾によっても環境中に放散します。その使用済み燃料貯蔵プールは、なんと、ペラペラの構造でしかない「建屋」の、天井裏に近い高い場所に、蓋もなく、装甲もなく、ただ、置かれていた。わたしはうかつにもその事実を意識したことがありませんでした。あんなものを爆砕するのに、ジャンボジェットのテロ自爆なんて必要ありません。北鮮がもっているシナ製の対艦ミサイルの直撃でも十分でしょう。それだけで、福島第一と同じ「沃素131」の放散騒ぎが、全国十数か所で、起こり得るのです。

都:しかし対艦ミサイルは、日本海から発射すると太平洋岸までは届かないんじゃないですか。


兵:中共軍と韓国軍がもっている巡航ミサイルなら、日本海の潜水艦から発射して、日本列島を横断して、太平洋岸の原発の建屋に命中させることができますよ。その飛翔スピードはいまはジャンボジェットと近似ですが、やがては超音速バージョンも登場します。当然に予測しておくべき、こうした通常弾頭の戦術ミサイルの攻撃に対する備えが、日本の原発の設計思想には、初めから最後まで、まるっきり反映されていなかったわけです。少なくとも貯蔵プールは地下に設けるべきでした。

都:原発そのものも、地下に造れるのだという話も、聞いたことがあります。

兵:そうらしいですね。原発全体が地下化されていれば、すくなくとも、通常弾頭の対艦ミサイルや巡航ミサイルからは、安全にすることができたでしょう。しかし、彼らはそれをしなかった。理由は、建設費用が箆棒に高くなるからなのだそうです。その結果、シナ、韓国、北鮮などの日本の敵どもは、安価な戦術ミサイルを発射するだけで、日本じゅうを「沃素131」で汚染し、日本の総電力の1/3を長期的に奪うことが、できるようになってしまったのです。国家の安全保障上、馬鹿としかいいようがない。馬鹿が原爆や原発を扱ってはいけません。わたしはこれからは日本国内の商用原発の増設計画にも反対せざるを得ません。日本人には、原発を安全に運営する力量は、無かったのです。

都:手前も全く同意見です。原発には賛成ですが、新たに作るならフランス電力公社に全て丸投げすべきと思っているくらいですから。ところで、いま建設中の原発も、建設を中止すべきですか?

兵:燃料貯蔵プールを「装甲化」する設計変更をし、同時に稼動させるリアクターの数を「単基」に制限し、巡航ミサイルやステルス攻撃機から施設を防空するための「Flak Tower」(対空戦闘ができる塔状要塞)を付属させるなら、許されるでしょう。なにしろ1基のリアクターから放射能が洩れただけで、並んでいる全基のリアクターの保守要員が現場を撤収しなければならないなどというお粗末な根本設計だったらしいのですから、国防上、お話になりませんよ。

都:既存の原発はどうするべきでしょうか?

兵:やはり、プールの装甲化と、Flak Tower のための予算をつけなければいけない。陸自の高射特科を員数の上で増強することにもなるでしょう。そして古いものから徐々に休止させて行くことです。そのスタートは、今から3年後でいいでしょう。

都:3年で、火力発電が原発をリカバーできるほどになりますか?

兵:かつて小泉内閣のスローガンだった、規制緩和と民活・自由化。これを工業用電力の世界に導入すれば、徐々にリカバーすることはじゅうぶんに可能な話なんですよ。たとえば、関西電力が、京浜工業地帯の岸壁に、ガスタービン発電船を浮かべて、直接に給電して商売をしても可い、となったらね。彼らは突貫工事でそれをなしとげるでしょ。欲得ずくでね。

都:余剰電力の斡旋をするベンチャー企業も増えそうですね。

兵:そこなんですよ。たとえば東電の深夜電力は、今年の夏だって余るのです。それを、酸化還元液プールだとかフライホイールに夜のうちに蓄電して、昼になったら京浜の工場へ売る。そういう新商売への参入が、ベンチャーに対して、自由化されるべきなのです。もちろん、送電ラインは、東電とは別個に、独立に構成してくれなくては困る。「スマート・グリッド」など幻想です。給電系統をデュアル化し、冗長化して行くことが、京浜工業地帯の安全保障になるはずです。

都:太陽電池はダメなんでしょうか?

兵:ここへ来て突如として、「太陽電池」を連呼する「保守」の人が増えたと感じますが、ホントに日本の保守は「工学」の話に弱いねぇ。もうわたしが大学生の頃から、太陽電池パネルにはとうぶん見込みなどなさそうだという結論は出ているのですよ。詳しい説明はインターネット空間ではもうさんざんに既出のはずですから、ここでは割愛。とにかく太陽電池は、産業用の代替エネルギーとしては忘れといた方が利口です。

都:なるほど、今日以降、「代替エネルギーに“いますぐ”太陽電池の増設を!」という人は一切信用しないことにします。となると、原発のオルタナティヴは火力発電しかないのでしょうか?

兵:天然ガスを燃やすガスタービン、それと石炭火力が「二強」になるでしょうね。原発が生きているうちは、それプラス、さまざまな「蓄電」ですよ。夜間電力を蓄電して昼間に転売することです。遠い将来には、地熱、波力・潮力が有望かもしれない。しかし、太陽電池でまかなえるのは、せいぜいが家庭用の夜間照明まででしょうな。

都:節電のため、パチンコを規制しろという声もありますね。

兵:風営法によれば、都道府県知事が、特定店舗の営業時間について命令することができます。昼はやめろ、と命令することは、できるはずですね。

都:電気料金は上がりそうですね。

兵:仕方ないですね。いままでの「ツケ」を払うときが来たのです。特に東電管区については電気料金を夏季は3倍以上にして、ユーザー間で不公平にならない自主節電を強いなければ、これから3年間ぐらいの夏のピークは、物理的にも、政治的にも、乗り越えられないでしょう。

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