「民主党は今すぐ『改憲』をテーマにして自民党に大連立を持ちかけろ!」というアイディアが、民主党にとってどれだけメリットがあるものなのか?
まず、大前提として、「民主党は次の総選挙で大敗する」という現実があります。これは明日解散しようが2年後に解散しようが、動かしがたい現実でしょう。
多分、首相を代えてすぐに解散したとしても、過半数を維持することは不可能と思えます。実際、去年の参院選ではこれ以上ないタイミングで鳩山から菅にバトンタッチ→支持率急上昇という追い風があったものの、結果は予想以上の大敗でした。「菅のバカが消費税増税を言い出さなければ」というのは、「烈風があればヘルキャットなぞ蚊トンボのように~」という一昔前のミリオタみたいな言い訳と同じで、多分、前原でも野田でも大敗していたでしょう。
この他にもテコ入れ策はいろいろあるのでしょうが、首相交代以上に劇的な効果が望めるものはほとんどないといえます。もちろん「菅首相が類稀なリーダーシップを取って、現下の諸問題をたちどころに解決する」なんてことがあれば、過半数維持も可能かも知れません。でも、菅首相にこのような役割を求めるのは、犬にニャーと鳴けと求めることと同じであって、つまり、99.9%無理ってことです。
「そうはいっても、『改憲』なんて朝日新聞が憤死するようなテーマを持ち出したら、労組や中核派を初めとする組織票や従来の支持層をごっそり失うことになるのでは?」という懸念もあるでしょう。
そんな懸念に対しては、「組織票があったところで勝てないんだし、ちょっとやそっとのテコ入れでも現状打破できないんでしょ? だったら死中に活を求めるしかないじゃない! というか、このくらいの大胆な賭けをしなきゃ、次の選挙で政権維持するなんて不可能だって!」といいたい。
多分、労組を初めとする有力な組織票のほとんどは、社民党(もしくは『改憲』大連立の提案に乗らなかった自民党)が吸収するでしょう。これで新たな票を取れなければ、「100議席とれるはずが50議席しかとれなかった」となることは確実です。でも、衆議院で2/3の議席取れるポテンシャルを持つ巨大政党が『改憲』を打ち出すということは、空前絶後のことですからね。「ここに入れれば本当に『改憲』が成るかも知れない」と思わせるだけで、いま投票していない若年層や、60年間『改憲』に消極的だった自民党に愛想をつかした保守系支持者を根こそぎ獲得するチャンスが生まれるってことですよ。
もう一つ言えば、マニフェスト詐欺とか尖閣問題とか外国人献金問題とか菅首相の無能っぷりとか……あげていくとキリがない数々の失点を誤魔化す手段としても、『改憲』を最重要テーマに置くという一手は絶妙手といえます。実際、これを前面に出せば、致命的な失点も重要な争点もアラ不思議、全部霞んで見えるってものです。実際、『改憲』以上に大事なテーマなんてないんですから。
「でも結局は、『改憲反対』『9条を守れ』な社民党、共産党、みんなの党とかが躍進するんじゃないの?」と言われるかも知れません。これだって、このまま手を拱いていれば↑の社民党、共産党が自民党に代わるだけで結果は同じですからね。
つまり、民主党がダッチロール状態にある現状を打破し、次の総選挙で勝つためには、今すぐにでも『改憲』をテーマにして自民党に大連立を持ちかけるしかない――というのが、手前の結論です。
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