2011年2月24日木曜日

片岡宏雄、「プロ野球スカウトの眼はすべて『節穴』である」:その1

◆目次
・第一章:二〇年に一人の逸材・高橋由伸
・第二章:スカウトの表側
・第三章:スカウトの裏側
・第四章:誰が「金の卵」を殺すのか
・第五章:長島一茂と野村克也
・第六章:赤く染まった神宮の空

伝説のスカウト・木庭教を描いたノンフィクション『スカウト』(後藤正治著。講談社)と、スカウトをテーマにした傑作野球マンガ『スカウト誠四郎』(三田紀房著。講談社)と並ぶ、「プロ野球スカウト三部作」(都築有©)の一つ『スカウト物語―神宮の空にはいつも僕の夢があった』(片岡宏雄著。健康ジャーナル社)。今回取り上げる新書は、この『スカウト物語』のリニューアル版である。

実際、内容はほとんど同じだ。尾花高夫とのエピソードや黒須陽一郎の裏切り、長島一茂の失敗まで漏れなく収録しており、前著の読者であればデジャブを感じること間違いなしといっていい。そんな焼き直しの本をなぜ取り上げるのか? といえば、「一冊丸ごと使って野村克也を糾弾しているから」だ。

片岡はスカウティングの基本について、このように書いている。

「スカウトについて、いささか誤解されている点があると思う。それは、“いい選手の基準”だ。いい選手とは『チームにハマるか、ハマらないか』。身体能力順に指名するとしたら、極端に言えば全チームが同じ選手を選ぶことになってしまう」(38頁)

つまり、チーム事情を基本としたうえで監督、コーチの好みに合った選手を獲得することが肝要と説いている。その好例として、“肉体的才能”に傑出したものがなかった尾花高夫のスカウティング――練習熱心な姿勢が当時監督だった広岡達郎の好みにマッチすると見抜きドラフト4位で獲得。結果、通産113勝という成功を収めた――をあげている。

このことは言葉を換えれば、監督の好みに合わない選手、ひいては監督が気に食わないスカウトが獲った選手が活躍することは難しいということでもある。このような論法で長島一茂が野村克也と出会ってしまった“不幸”を論じ、野村の野球観への批判と確執の真相を詳らかにする――というのが、同書の眼目であり一番の読みどころといえる。





0 件のコメント:

コメントを投稿