我が心の師(繰り返すようですが手前が勝手に認定しているだけです)である適菜収先生の新刊『ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体』を読みました。
●目次
・序章:こんな社会に誰がした?
・第一章:資本主義と「大きな嘘」
・第二章:B層に愛される「B層グルメ」
・第三章:B層カルチャーの暴走
・第四章:日本を滅ぼす「B層政治家」
・第五章:大衆社会の末路――ゲーテの警告
結論から言っていいですか? 超おもしろかったです。
少なくとも2011年下半期に読んだ本のなかではベスト。今年読んだ本でも『トルコのもう一つの顔』(小島剛一著。中公新書)に次ぐレベルです。といっても、『トルコのもう一つの顔』は、名だたる中公新書の中でも間違いなくベスト5に入るほどの大傑作にして、個人的にもオールタイムベスト10には入るだろうという作品ですからね。つまるところ、手前が読んだ2011年の新刊のなかで一番面白かったってことです。
大きなテーマや「B層」批判、本を読んで触発された手前の考える世直し案など、書きたいことはやまほどあるんですが、正直、ここ数日いろいろとアレな状況が続いているので、この辺のハナシは後日キチッと書きたいと思います。
ただ、一つだけこの本の美点を挙げるなら、「誰もが漠然と考えている『どう考えてもいまの世の中っておかしくね?』という疑問を、これ以上ないくらいにわかりやすく分析したうえで、著者なりの回答をしっかりと導き出しているところ」です。いわゆる古典的な「大衆批判モノ」の系譜にある本でありながら、小難しいことゼロ――なので一見、粗雑な論理展開に見えるんですが、よくよく読めば極めて明晰だったりするんですよ、これが!――で、かつ、言いっぱなしじゃないってことのみをとっても画期的なことだと思いますよ。
帯にあるとおり「日本をダメにしているのは本当は誰なのか?」を知りたい人はもちろんのこと、民主主義が“絶対的真理”だと思っている人(もしくは呉智英先生のファン)、『だから私は嫌われる』(ビートたけし著。新潮社)、『人でなし稼業』(福田和也著。新潮社)といった「ハイブロウな床屋政談本」のファンの人であれば、多分、値段の倍以上は楽しめるはずです。
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