2012年5月29日火曜日

『新解 函館戦争』は、一息置いてから再読します

『新解 函館戦争』ですが、ようやく読み終えました。で、ファーストインプレッションといえば……なかなか上手い言葉が出てきません。というのも読むには読んだんですが、文字を追っただけで、内容を腑に落としたわけではないんですね。

なぜ、腑に落ちなかったのか? といえば、ごく単純なことで、「これまでの人生で函館戦争に興味を持ったことがなかったから」ですよ。実際、軍師の新刊を読む前の函館戦争に関する知識なんて、司馬遼太郎の『燃えよ剣』の“死闘篇”と、『維新の嵐 幕末志士伝』(『竜馬がゆく』と『燃えよ剣』をベースとした幕末モノのゲーム)の“土方歳三シナリオ”で知ったことくらいですからね。

つまるところ、「宮古湾襲撃ってのがあったねぇ」「どういうわけか大鳥圭介が無能な味方っぽく書かれてたなぁ」「土方歳三は歩兵隊の指揮に優れた名将なんだよ!」程度のものですよ。なぜ、榎本武揚が蝦夷を目指したのかとか、いつ戦争が始まっていつ終わったのかといった基本的なことさえ知らなかったってことです。

そんな素人にドがつくほどの無知な読者である手前にとってみれば、ほぼ一日ごと――基本、戦争開始から終了まで毎日であるものの、ところどころで何日が抜けている――に政治や戦闘の状況を仔細に書き綴った力作を読んだところで、情報を全然処理しきれなくて戸惑うことが多かったってことですよ。例えていうなら、九九の知らない小学1年生が「小学2年算数」の教科書を読むが如きです。

加えて道南の地理にも疎かったことも痛かった。正味なハナシ道南の地理よりもですね、『EU3』とか『Victoria』で遊んでいる分、ヨーロッパの地理の方が詳しいですからね。実際、木古内、江差みたいなメジャーな現代地名が出てきても、「これが函館市のどの方角、どのくらいの距離にあるのか?」「海沿いなのか山間なのか」さえパッとイメージできないほどなのに、昔の地名まで出てきた日にはもう……。という具合で、Googleマップと首っ引きで読んでどうにか状況が把握できたくらいでした。

ただ、大掴みなハナシでいえば――

・函館戦争=失業した公務員による“就活”の一環(?)
・自由も近代にも縁のない公務員が戦争すると、地元民への指図と徴発に頼る
・自由も近代にも縁がないから外国に土地を売っても悔やまない
・戦闘においては補給路が短い方が強い
・海軍だけでは戦争に勝てない

――といったことについては、よくよく把握できました。

で、とりあえず文字を追っただけとはいえ、最後まで読んだことで生まれて初めて函館戦争の概観――いつ始まりいつ終わったか。明治における徳川脱籍軍の位置づけと彼らの目的。大雑把な軍事作戦の推移etc――を把握できたことは確かなので、こうして得た新たな知見を武器に、再度読み通すことにしますよ。





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