2013年3月18日月曜日

読書記録:科学本とノンフィクション2冊ずつ

●なんでコンテンツにカネを払うのさ?(岡田斗司夫、福井健策著。阪急コミュニケーションズ)

常識的なハナシを進める相手に極論をぶつけて困惑させ、自分のペースに持っていってから持論を広げる“ワザ”は相変わらず。ただ、肝心の持論が『FREE』から一歩も出ていないところが残念。全メディアアーカイブ(=プラットフォーム)の具体論は興味深かったけど、英語が公用語となっておらず、これから公用語にも成り得ない日本――英語圏以外で英語教育にこれだけ時間を割いている国は日本しかない!――が、世界共通のプラットフォームを発明するのは、どうあがいても無理だろう。それにしても岡田斗司夫氏のモノ言いが以前よりもつまらなく感じてしまうのは、手前が成長したせいなのか、それとも感受性が失われたせいなのか、それとも単に岡田氏が“劣化”してしまったせいなのか?



●大腸菌 進化のカギを握るミクロな生命体(カール・ジンマー著。NHK出版)

一般向けに書かれた極めてわかりやすい科学本。大腸菌の発見からその生態、遺伝子組み換えなどの実験における最も手軽な被験体としての役割から、人工生命の可能性など、大腸菌を通して生物全般の営みと科学の発展を語っている。文章も平易で化学式も出てこないことから、誰が読んでも理解できる内容。良書。



●地図の科学(山岡光治著。サイエンス・アイ新書)

同レーベルの他の本の出来から、ほとんど中身に期待しないで読んだが、2章まで読み進めるうちに、良い意味で期待を大きく裏切られた。序盤のコンパクトにまとめられた地図の歴史も面白いが、中盤以降の「地図の見方と作り方」に関するマニアックな解説が秀逸。正直、表紙とは裏腹に相当レベルの高い内容だが、「地図を眺めるだけで30~1時間は平気で時間を潰せる」ような人にとっては、このうえなく面白く読めると思う。



●校長は興銀マン 4年間の出向で学校が変わった!(安川周作著。学事出版)

今年読んだ本のなかでは屈指の面白さ。ごく一般的なビジネスマンから見た「教師社会の歪さ」の描写は、ほとんど『ガリバー旅行記』レベル!

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