2012年10月19日金曜日

戦術としては多分、正しい

橋下徹大阪市長の言説というのは、つまるところ「ああいえば上佑」なんであって、真正面から議論しても絶対に勝てないんですよ。上祐史浩なり、その他ディベートだけでメシを食う論客――原理原則とか主義主張などを一切もたず、“お仕事”として反橋下の立場から論難する人――が橋下市長に挑戦しても、その議論の経過は猪木vsアリ状態で膠着し、結果は引き分けになるのが必定ですからね。

だったらどうすれば橋下市長に痛撃を与えられるのか? 有効な戦術は人格攻撃しかない。というわけで、不倫だの裏献金だのでいろいろ突っついてみたけど、そんなもので反省するようなタマじゃないし、煽り耐性(=何を言われても感情的にならないアタマと、華麗に受け流す反射神経)も十分に持っているので、あまり効かなかった。

となると、最後の手段としては誰もが持っている差別意識に訴えるしかない――ということは、誰でも思いつくことだし、橋下市長を引き摺り下ろすための戦術としては多分、正しい。国民の一定数は確実に、麻生太郎が野中弘務を指して言ったとされた(実は事実無根)「あんな●●出身者を日本の総理にはできないわなぁ」という意識を持っているものだからね。

そのうえで手前の考えを言えば、何度も書いている通り「ヘイトスピーチをする奴は文明人ではなく野蛮人」と思っているので、週刊朝日の戦術は全面的に認めていません。もちろん、呉智英先生の言う「差別もある明るい社会」であることは大切だけと思うけど、だからといって確信犯としてヘイトスピーチをすることが好ましいとは思わない。

加えて、このネタを書けば、どんなに巧妙な書き方をしたって橋下市長に「差別はダメ、ゼッタイ!」方向で突っ込まれるだろうってことは、猿でもわかるわけでね。となれば、ここにきてようやく話題性が落ち、結果、支持率が低落傾向にあった橋下市長が“復活”――差別問題という気持ち悪いくらい正しいネタで悲劇のヒーローを演じるなんて、B層に対する格好のエサじゃないか!――することは目に見えているわけで……。

じゃぁ、橋下市長に痛撃を与えるにはどんな手を打てばいいのか? と問われれば、我が心の師である適菜収先生の言うとおり、「橋下市長と同じ土俵に乗らない」という戦略しかないんでしょう。要するにアイツの言うことを真に受けるな、聞き流せ、てか、話題にしちゃダメ、ゼッタイ! ってことです。

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