・キリストのクローン/新生・上下
タイトルとアオリにそそられて読んだんですよ。「普通にSFとして面白いんだろうなぁ。評判もいいし」って感じの期待値で読んだんですが……。上巻を読み終わった後は、「なるほど、タイトルに負けずスケールの大きなハナシだし、展開もジェットコースター的だし、エンターテインメントとして十分以上に面白いナ」と思いつつも、30年以上前に書かれたようなB級国際政治小説――第三次世界大戦モノとか要するにああいうやつ――みたいな当ての外れまくった国際政治シミュレーションや、キリストの最後を巡る『ダ・ヴィンチ・コード』的な陰謀論――テンプル騎士団の秘宝とか要するにああいうやつ――が、「ひょっとしてギャグでいってるのか?」という突っ込みを想定していないような筆致で書かれていてちょっと困惑するくらいだったんですよ。
が、下巻では、「『白状しろ!』 三度目は、鋭い命令口調だった」(311頁)なんて描写の直後に悪人が悪事を洗いざらい白状するような、いまどき水戸黄門でさえやらないような幼稚な展開がクライマックスになっていたり、「ニューエイジというのは、一時の流行やきまぐれなどではない。人類という種族が、進化における最後の、そしてもっとも輝かしい段階へと進むことができるほどに成熟したという証なのだ」(280~281頁)とかいうセリフが大上段&大真面目に書かれていてもうね……
こんな本だってわかっていたら最初から読まないって!
一応フォローしておくと、B級国際政治小説に目がなく、ニューエイジ思想に何一つ疑問を抱くことなく(もしくはニヤニヤ笑ってスルーできる)、何の必然性もなく大量死や核戦争が起きてもわくわくできるような方であれば、かなり面白く読めるエンターテインメント小説だと思うので、↑に当てはまる人は図書館で借りるなりブックオフで買うなりして読んでみてください。
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