2011年5月1日日曜日

『Veronica MARS』には感心した:その1

TSUTAYAオンラインでシーズン1のBOXセットが2000円(上・下それぞれが1000円)という安価で販売されていた『Veronica MARS』。シーズン全部をレンタルするよりも安い価格だったので即買いしたものを、このほど全部見終わりました。

感想は、「シーズン1は大傑作!」「シーズン1のBOXセット購入は、ここ10数年で一番賢い2000円の使い方だったかも」です。

『Veronica MARS』は、一言でいうと「『The O.C.』を舞台にした捜査モノ」です。海外ドラマに疎い人向けにいうなら、「“ビバヒル”で女子高生が探偵をやるドラマ」といった方が通りが良いでしょうか。とにかく、海外ドラマで一番ありがちな捜査モノなので、「あぁ、『BONES』みたいなのね。そういうのはもうお腹一杯!」と思われる向きもあるかも知れません。でもこれがですねぇ、他の海外ドラマの捜査モノとは比べ物にならないくらいに本格的なもので、ある意味、古典的な探偵モノが大好きな人間にとっては感涙モノの出来なんですよ。

他の捜査モノとどこが違うのか? といえば、「主人公が超絶能力を持っていない凡人」であることが一番の違いです。

最近の捜査モノのほとんどは「主人公の超絶能力で難事件を解決する」というプロットの超人捜査モノ(都築有©)です。例えば、『BONES』なら主人公は「骨を見て全てがわかる超人」ですし、『Lie To Me』なら「100%嘘を見抜ける超人」。『NUMB3RS』なら「数を見て全てがわかる超人」、『TRU CALLING』なら「死人の記憶を探れる超人」……と、まぁ、海外ドラマで流行っている捜査モノのほとんどは、主人公が超絶能力を持っていて、その力を巡るサスペンス――どう使うのか、使わないのか、使えないのか、使いたくないのか、使う度胸もないのか(椎野四段活用©)――でハナシを引っ張っていくものといっていいでしょう。

これはこれで面白いんですが、あまりに超絶能力が多用されると見続けているうちに食傷気味になってしまうのも事実で、超絶能力のインパクトが薄れてきたり、ハナシがマンネリ化した後は、登場人物間の色恋バナシで視聴率を稼ぐというパターン(最近の『BONES』は捜査モノですらないでしょう?)に陥ることが多いわけです。

『Veronica MARS』の主人公であるヴェロニカは、こういった超絶能力は何一つ持ち合わせていません。得意なスキルは「写真撮影」くらいで、車の運転もパソコンも人並み程度のスキルしかなく、格闘能力に至っては、その小柄な体格から同年齢の女子高生よりも低めな感じに設定されています。もちろん銃なんて扱えません。つまり、主人公単体では、せいぜい「写真撮影が上手くて頭が良く回るだけの、ちょっとカワイイ女子高生」でしかありません。しかも、物語のスタート時点では、あるバッドイベントにより学園内カーストの最下層に落とされ、ハブられているという境遇にいるわけです。

で、そんな主人公が、頭とコネをフル回転させて相手の弱みや証拠をつかみ、こんがらがった人間関係を巧みに操って悪い奴を追い詰め、学園内カーストを再び駆け上がる――という、「古典的探偵モノ+『The O.C.』的青春ドラマ+知恵とコネで成り上がる太閤記カタルシス」を足して2で割ったようなハナシだから面白くないわけがない! ってことですよ。

追記:積みDVDにしていた『バーレスク』。良い意味で期待を裏切る怪作だった。これは劇場で見たかったなぁ。いまからリバイバルやるんだったら絶対見に行くだろうな、コレ。







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