2012年4月11日水曜日

森繁和の『参謀』は、落合ファンにとっての必修テキスト

落合博満前中日監督の下、8年間に渡って投手コーチ~ヘッドコーチを務めた腹心・森繁和の新刊『参謀―落合監督を支えた右腕の「見守る力」』(講談社)を読みました。

既に先週金曜日に発売されていたことを知らず、Amazonで見たら「2~4週間で発送」となっていて、「だったら近所の書店で買えばいいじゃん」と、基幹駅近くの大型書店に在庫の確認をしたらどこにもない! で、Webで調べてみても紀伊国屋書店、三省堂書店ともに在庫がなくて、「こりゃ重版かかるまで読めないかも」と思いつつ、ダメ元で池袋・旭屋書店に電話したら「在庫があるので取り置きしておきますよ」という返事がキターー!

というわけで、大した用事もないのにわざわざ池袋まで行き、帰りの電車内でザザッとナナメ読みしたわけですが……。

ファーストインプレッションはというと、「そうそうこれこれ、これが知りたかったのよ!」。“落合中日”の強さの秘密については、落合博満の『采配』でも十分に書かれていました。しかし、『采配』は、あくまでも「監督の視点から勝負事の原理原則を語る」という内容がメインであって、現場レベルでの実践や工夫などについては、あまり書かれていなかったわけです。で、『参謀』はというと、『采配』で書かれていなかった具体的な戦略や戦術……つまるところ、「コーチの人事や指導は?」「ローテの決め方は?」「あの場面でああした意図は?」みたいな個別の事象について、余すところなく書ききっているわけですよ。

加えて、“落合中日”における不可解な事象についても、その多くの真相を暴露しています。例えば、オフ恒例の“ドミニカ通い”。手前は「ミラー問題で北米におけるスカウティングができなくなったが故の苦肉の策」「森の発案で行ったこと」と思っていたのですが、実際には――

「『外国人野手は必要だろうが、ダメでも来年はなんとかなるだろう。球団に頼めば、アメリカでメジャーとAAAを行ったり来たりする30過ぎの連中を連れてくる。でも、そんなのに7000万だ、1億円だとカネをかけて、代理人にもカネを払って、1年でダメでクビ、そういうのは嫌だよな。実績がなくてもゆっくり一年間見て、ダメでももう一年使ってみたいと思うような26~27歳までの、安く獲れてちょっといいのをどこかで探してこられないか』」(101頁)

――という、落合の発案によるもので、たまたまドミンゴ・マルティネスの仲の良かった森が、ドミンゴの故国であるドミニカに行ったという真相とか、山井大介投手と長峰昌司投手の“ジャンケン事件”の真相とか、8年間で新たに連れてきたコーチのほとんどが常勝西武のメンバーだった真相とか、長嶋清幸退団の真相(一応名前は伏せているものの、ちょっとでも“落合中日”を見てきたファンであれば、一発でわかるように書いてある)などなど。

刊行間もない本なので、これ以上の詳しい紹介は避けておきますが、落合ファンはもちろんのこと、“落合中日”の強さの秘密を知りたい人という人であれば、絶対に値段以上の“読みで”がある本なので、重版されたら即購入されることをオススメします。



0 件のコメント:

コメントを投稿