2012年3月31日土曜日

<野球本メモ>「ラミ流」、アレックス・ラミレス

●目次
・第1章:ベネズエラ産日本人誕生
・第2章:“ハッピー”を生む仲間
・第3章:マインド・ゲームに勝つ!
・第4章:“悪ガキ”がメジャーリーガーになった日
・第5章:僕の未来設計図

――以下、「第3章:マインド・ゲーム」に勝つより。

「野球は、“マインド・ゲーム”――心や頭でするスポーツだと僕は思う」
「試合を支配する要素の70パーセントはメンタリティ――ものの考え方や、知力、精神力。残り30パーセントがフィジカルの部分。僕は、各自の持つメンタリティが体をコントロールし、また、試合をコントロールするのだと思っている」(97頁)

・アメリカの野球はメンタリティを重んじるが、日本の野球は違う。日本でいう準備は練習だ。鍛錬、修養が強くなる秘訣であり、これは日本独自の伝統的なものだろう。すなわちメンタリティ以上にフィジカルを重視しているということだ。いまの日本の野球のメンタリティが40%程度とすれば、これを50~60%にすれば、もっとレベルアップできると思うのだが。

・アメリカでは投手が配球をリードするが、日本は捕手がリードする。配球傾向も逆だ。例えばアメリカでは2ボールのあとは決まって速球が来るが、日本では変化球が来る。1年目の外国人が苦労するのは当然だろう。日本のバッテリーはこれを知っているから、簡単に料理できる。

・外国人投手は捕手のサインに中々首を振らない。なので外国人選手にとっては打ちやすい。アメリカの配球を思い出せば良いからだ。例えば、捕手が「内角のストレート」のサインを出したとき、日本人投手はボールになる球を投げるが、外国人投手はストライクに投げてくる。そういった傾向を踏まえてバットを出せばいい。

・1年目、日本式の配球に苦労したときに若松勉監督から貰ったアドバイス。
「ラミちゃん。日本で成功したいと思ったら、もっとセンターからライト方向に打つことを心がけなきゃダメだよ。君はパワーがあるから、ボールを力でレフト方向に持っていっているけれど、その打ち方をしているうちは、打率を稼げるようにはなれないし、ホームランの数も伸びないよ」(105~106頁)

・つまり、日本人投手はパワーヒッターに対して安易にインコースを攻めず、アウトコースで勝負する傾向が強い。だからアウトコースを流し打てるようになれば打率を稼げるということだ(都築注:球場が狭く、球も飛びやすかった日本式野球に合致したアドバイス。アメリカであれば無理に引っぱらないと長打にならない。で、この打ち方に適応しきってしまったバッターは、アメリカで成功していても日本では適応し難いのだろう)。

・若い頃はメンタリティのことなど一切考えていなかった。ランナー2塁で何で右打ちするのか? ということさえわかっていなかった。当時の監督に言われたことは、「状況を頭に置いておかなくてはダメ。なぜそうしなくてはならないのか? を理解してプレーしろ」ということ。それからメンタル面での準備を大切にするようになり、結果、メジャーにも上がれるようになった。

・メンタル面での準備の一つとして、試合のDVDを活用している。これは球団が用意したものではなく自家製のもの。自分なりの分析の仕方で、自分なりの観点でDVDを見て、次の試合への準備をする。もちろん、チームのミーティングではスコアラーからデーターを貰うが、自分の観点も大事にしたいからだ。

・DVDを観るときに注意するのは、得点圏にランナーがいるときの配球。できれば前年のものまで見直す。誰がマスクを被っているかでも違うので、捕手ごとの違いもチェックする。あとは捕手がどこに構えているか。例えばランナー2塁でどこにイン、アウトのどっちに要求するかetc。こうして見ていくと、セリーグとパリーグの野球の違いも見えてくる。例えばランナー2塁でセリーグの捕手は速球を要求することが多い。一方、パリーグはカーブやフォークを要求する。

・グライシンガーもメンタル中心の準備をする投手だ。彼はいつもノートにメモを取っていて、実に研究熱心。彼が「今日は●●選手にスライダー3球、チェンジアップ1球」と組み立てを考えているときに、阿部が速球のサインを出しても、おそらく「ノー!」というだろう。それぐらい自信を持って、独自の準備をしている。

――ラミレス選手の言う「メンタリティ」はそのまま「頭を使う」に置き換えていいのだろう。お仕着せのデータを活用して“ヤマを張る”のではなく、自分の頭を使って自分なりにデータを積み上げることがいかに重要なことかを力説している。現役選手なので具体的な打ち方についての解説はない。

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