『炎と氷の歌』以来、久しぶりに夜中まで一気読みした小説『尖閣喪失』(大石英司著。中央公論新社)。1800円と値が張るので、正直、人様にバンバン薦めるのは気が引けるのですが、書かれている時事ネタの鮮度と内容を考えると、「多分、この8~9月くらいまでが読み頃」というモノなので、懐に余裕のある人or図書館で今すぐ借りられる人は、なるべく早めに読んでおくのが吉でしょう。
本当に面白いのか? といわれると、「いやぁ、面白さってのは主観的なモノだから、アナタが読んで絶対に面白いと感じるとは保証できないわな」と答えざるを得ません。が、その後に、「新刊が出たら必ず読む小説家の新刊だけどネ」という事実は付け加えたいところ。
小金持ちだったサラリーマン時代、2日に1度は八重洲ブックセンターorジュンク堂池袋店に寄って、めぼしい新刊を買い漁っていたものです。しかし、貧乏な自営業をやるようになってからは、新刊を買うお金がなくなり、日本人作家の新刊小説も読まなくなりました。
そんな手前でも、新刊が出たら必ず読む贔屓の作家が3人います。すなわち、山本弘氏であり小林泰三氏であり大石英司氏です。といっても、大石氏についてあくまでも「ハードカバー」に限ったハナシであって、量産されている「ノベルズ」はほとんど読んでいません(ただし、デビューまもない頃に書いていた『原子力空母(カール・ヴィンソン)を阻止せよ』は本当に面白かった!)。言葉を換えれば、手前にとっては「大石英司のハードカバーに外れナシ!」ということであって、実際、中央公論新社からの既刊3冊はいずれも値段以上に満足したものです。
そんな大石氏のハードカバーの新刊ということで、書店で著者名を見たときには「買う、絶対買う!」というテンションだったんですが、値段が高いのと、露骨すぎるほどの時事ネタ本であることと、「もしかして自衛隊と中国海軍が東シナ海を血で染める架空戦記か?」という偏見から今日までペンディングしていたわけです。
で、昨日、随分前にやった不本意な仕事のギャラ(端金!)が振り込まれていたので、貯金とか老後とかを考える前に、「この予期せぬ収入をどうやって使おうか」と考えてしまう手前としては、値段が高くて購入を見送っていたモノを買うことで、わずかばかりのギャラを消尽してしまい、不本意な仕事のことも一切忘れてしまおうと考え、買うのを迷っていた『尖閣喪失』と、絶賛サマーセール中のSteamで『L.A. Noire』『Alan Wake』を購入。両ゲームをダウンロードしているうちに『尖閣喪失』を読んでいたら……まぁ、見事に夜中まで一気読みしてしまったという次第。
内容や感想について後日改めて。ともあれ、安っぽい架空戦記ではなく、大の大人が読んでも恥ずかしくない内容である――“闇の組織”が出てきたり、あり得ないくらい決断力のある指導者が出てきたり、●●は◆◆の陰謀みたいな安い展開ではない――ことは確かなので、懐に余裕があって、尖閣とか中国とかに興味のある人には「せめて8月中には読んでおいて!」とオススメしたいところです。
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