2013年2月14日木曜日

普段は映画の感想なんて書かないんだけど

仕事先でどういうわけかお茶をひくことになってしまったので、仕方がないから16時間前にレンタルDVDで視聴したリメイク版『トータルリコール』について思いついたことをメモしているうちに、ノート1ページ分が軽々と埋まってしまったので、以下、上記メモをコンパクトにリライトすることに。

*オリジナル版『トータルリコール』は、手前の番付では『コマンドー』と並ぶシュワ映画の双璧にして、三大バーホーベン映画(残り2本は『スターシップ・トゥルーパーズ』と『ブラックブック』)に位置づけられる愛すべき作品で、未だに2年に1回くらいのペースで全篇通して視聴しています。

・ファーストインプレッションは「うん、これは『脚本の教科書』。脚色は本当に素晴らしい」。ハナシのわかりやすさは明らかに前作以上。そこそこ複雑なスジを、どんなバカでも一見で99%理解できるようにリライトしていることに感服した。

・「伏線の撒き方と回収の仕方」「気の利いたセリフを言わせる場面の作り方」「とっちらかったスジをわかりやすく束ねる方法」――といった“シナリオ作りのお手本”を集めたような脚本は、確かに素晴らしい。

・でも、この素晴らしさってのは純粋に“技術”に対するものであって、例えるなら「イングヴェイ・マルムスティーンの速弾きsugee」と同じようなものであり、結局のところ「上手い? だからどうした!」で終わるものだったりする。つまり、脚色スキルが巧妙であること以外、特に見どころがなく、良くも悪くも心に残るプラスアルファがなかったってこと。

・個々のシーンで見るべきころもあるにはあった。The Fallの車内描写とか、無重力戦闘シーン――『インセプション』のアレを、実に上手く発展・強化させた見事なシーン――とかは見応え充分。The Fallのアイディアも科学考証的には失笑モノなんだろうけど、映画的に魅せるタネになっていたので全然OK。

・難点をあげつらうと悪口のオンパレードになってしまうので割愛。ここまでの要素だけを見れば、単なる2流映画でお終いだけど、手前の中の最終的な番付は1.5流映画。何が0.5流分上乗せしたのかといえば、これはもうケイト・ベッキンセール(=監督の奥さん)の怪演!

・前作のシャロン・ストーンとマイケル・アイアンサイドを足しっぱなしにした役柄だけど、例のごとくスッピンでも美人だし、スタイルもアクションのキレも良いし、何より禍々しい雰囲気を十分に醸し出しているのがイイ! 一流のハリウッド俳優に何億円ものギャラを支払う理由が良くわかった。

・悪口はいいたくない。いいたくないけど、一つだけいわせて! って何がアレかっていえば、「恋人が地味なのはいいけど、せめて髪の色はブロンドにしろ!」ってこと。やっぱりねぇ、髪の色でキャラを見分けられるか否かってのは、大切なことだと思うのですよ。

・地味なのはいい。いや本当は良くない。大大大好きなオリジナル版の中で唯一修正したかったのが「恋人を嫁(=シャロン・ストーン)とタメを張れるくらいの美人にする」って信条を持つ手前にとって見れば、「リメイクで真っ先に直すべき点を、敢えて踏襲するのか!」ってことであって、前作のお約束を外すくらいなら、ここを真っ先に直せよ! と。

・役柄から考えれば、演技力も知名度も必要とされないんだから、TV出身でもモデル出身でもいいからブロンドの美人――例えばイモージェン・プーツとかジョージナ・ヘイグあたり――を配して欲しかったなぁ。

・「じゃぁ、オリジナル版のどこが良いんだよ。セットも特撮もちゃちいじゃないか!」って? オリジナル版は見どころ一杯じゃないか。

・地下鉄駅での銃撃戦で人の盾としてボロクズになった後、ダメ押しに踏んづけられる一般男性とか、どういう意味があるのかよくわからない謎土方作業とか、アレック・ギネスの殺陣並みにキレの悪いシャロン・ストーンの格闘シーンとか、股を蹴られた後のシュワの顔とか、鼻から赤球(音量&効果とも絶妙なSEがナイス!)とか、「2weeks」とか。何より「For the memory of a lifetime... rekall rekall rekall」のCMソングが最高じゃないか。

・↑の見所が全部ガッカリな感じでリメイク(=穏当に処理)されていたのは悲しかったけど、まぁ、この辺の要素はバーホーベンの作家性に直結するものだからね。安易にリメイクしないのが正解ってのはわかってるんだけどさ。でも、CMソングだけは聞きたかったぞ。



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