●言語が違えば、世界も違って見えるわけ(ガイ・ドイッチャー著。インターシフト刊)
色彩を巡る言語と表現の発達の謎を探る歴史を紐解いた、第4章までが実に面白い。グラッドストンの『ホメロス研究』における卓見から、ラマルク説の影響で斜め上に進む研究。そして未開人の言語から明らかになる真相――という流れは、上質のドキュメンタリーのような趣。以降は、ごく普通の“言語学入門の解説書”のような感じ。良書。
●スーパーマン:レッド・サン(マーク・ミラー著。小学館集英社プロダクション刊)
誰もが一度は考えたことのある“if”を、どのように処理するか? という視点で読み、人民英雄となったカル=エルが、人民英雄らしく戦うこと――当然、スーパーマンとしてのソレ以上に、百戦百勝の鋼鉄の霊将のソレ――や、社会主義国家の人民英雄としての苦悩を、スーパーパワーでどう解決していくのか? といったことに期待していたものの、著者はスーパーパワーについて「リアル・ビッグブラザーを実現するためのツール」という側面しか書かず、東西冷戦も「二代ライバルの決斗」という側面だけをクローズアップすることに専念。要するに、わくわくする“if”を矛盾なく綺麗にまとめただけのことであって、当方の期待は大きく裏切られてしまった。といっても、短い頁数の冊子に↑のような大河ロマンを期待する方が間違っているので、多分、著者は悪くない。というか、与えられたフィールドで最高の仕事をしているといってもいい。ともあれ、登場人物紹介の「ラナ・ラザレンコ」「ピョートル・ロストフ」で草不可避の人は、多分、買って損はないと思う。
●キングダム・カム 愛蔵版(マーク・ウェイド著。小学館集英社プロダクション刊)
説明不要の大傑作。Amazonギフトを行使してようやく購入。アレックス・ロスのアートワークが素晴らしすぎて読んでいる間中、言葉を失ってしまった。本編にはちょっとしか出てこないけど、ブラックキャナリーがカッコよすぎ!
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