2013年9月6日金曜日

マッドメン(シーズン5)を2回視聴しての小並感:その2

以下、強烈なネタバレを含むので、シーズン1~5を未見で「これからマッドメンを見よう!」と考えている方は、そのままブラウザの「戻る」をクリックされることをオススメします。

これはあくまでも手前勝手な小学生並みの感想であって、つまるところ「オレはこう解釈した」ってだけのことです。「製作者の意図」とか「本当はこういう意味だ」とかってことは良く知らないし、興味もないです。本当ならこういうとりとめのないことはアタマの中にしまっておくものなんですが、こうやって書かざるを得なくなってしまうのがマッドメンの凄いところですよ。

・昨日のエントリで書き忘れたこと。最終話におけるドンの「虫歯」は、すなわち「善き心」。メーガンとの結婚で丸くなった性根であり、良き夫善き人間であろうとあがいた努力の結晶。でもこれは、アダムの幻に「腐ったところ」と指摘される。

・アダムを引き止めるドンの心情は、事実上、自分の手で殺したアダム(シーズン1、ep5)への贖罪というよりは、「腐ったところ=善き心」を喪いたくないという最後のあがき。アダムは「心配しないで。また来るよ」と答える。つまるところ、今後、ドンがいくら良き夫良き人間であろうと努力しようとも、アダムは「腐ったところ=善き心」を抜きに来るってわけで、結局、無駄骨に終わることを示唆している。

・良き夫善き人間であろうと努力した弊害は、ビジネスの失敗に顕れた。といっても、ドンは人智を超えたスキル――作中においてドンに匹敵するA級クリエイターはペギーのみ。手前が見るに、ジャガーの案件でホームランをかっ飛ばしたマイケルもC~D級くらい――があるので、業績には微塵も影響しなかった。

・ただし、仕事への甘さとそこから生じた齟齬の全てをペギーに押し付けた結果、二人の関係は破綻。結局、ドンはメーガンに抱いていた“真実の愛”とともに、本当の自分を知るペギー――メーガンはドンの本名やアンナのことを含めて全て知っているけど、深いところで識っているのはペギーしかいない――も失った。

・このペギーとの別れのシーンは、シーズン1~4までを5回以上見てきたファンであれば号泣必至。てか、ここで泣かない奴は人非人ってレベル。いやホント、シーズン3最終話以降のドンとペギーとのシーンは、その全てに独特のテンションがあり、二人の演技の巧さと研ぎ澄まされた演出、練りこまれたセリフ回しと相まって超見応えがある。てか、全てのシーンを一つひとつ切り取って額縁を嵌めて飾りたいくらいに見事。

・地味に素晴らしいのが、映画館でペギーがドンに気づいたときのリアクション。あの慌てぶりと「Are you waiting for somebody?」と問われて「Nope」と答える口調は、あまりにも自然で思わずドラマであることを忘れてしまった。

・今シーズンは、主要キャラ全てについてビジネス上の具体的な活躍ぶりが見られたことも良かった。これまで良くわからなかったピートやロジャーの仕事振りも、ハッキリと目に見える形で描かれている。とりわけピートについては、ep7でのドンの義父とのやりとりが良かった。

・その粋がep7でのハインツとのディナー。ペギーが2度失敗した結果、解約するつもり気満々のハインツに対して、ドン&メーガンが“夫婦漫才”でKOするシーンは、これまでのプレゼン成功シーン――シーズン1ep1の「焦げている」から回転木馬、ポプシクル、トパーズetc――の集大成。でも、ここが幸せのピークだったのだよなぁ……。

って書いていると、今月いっぱい書きまくることになりそうなので、ここで強引に打ち止め。ep11なんて神回の中の神回だものね。ジャガーと同じように「美しいけどカネがかかりすぐに走り去って実用的じゃない」モノを、ついに手に入れるハーブと、プレゼンが交錯する展開。メーガンがビュイック(=実用性がありドンが本当に求めている妻)ではなくてジャガーであることを薄々悟るドン。プレゼンの掉尾を飾る「Jaguar. At last, something beautiful you can truly own.」(ジャガー。あなたは美しいものをついに手に入れる)のコピーの見事さ……てな感じで、これについて書くだけで1万字くらい費やしそうだし。本当は「中の人が妊娠した結果、関取みたいに太ってしまったにも関わらず、登場して数秒で画面を支配してしまうベティのスター性」とか「ジョーンのあまりにもかっこ良すぎる『That's it』」とかいろいろ書きたいんだけどね。

ともあれ手前は、韓国は仏像を返還すべきであると思う。

・追記:花巻東の千葉くんだっけ? 噂の「カット打法」について、このあいだ初めてYouTubeで見たけど、あれはない。だって高校野球のお約束に全面的に乗っかった打ち方だもの。つまるところ、「故意死球。とりわけアタマへの死球は絶対にない」ってことに甘えた打ち方であって、個人的には認めたくない。ルールの隙を衝くプレイには大賛成だけど、善意の隙を衝くようなやり方はねぇ……。ああいうやり方を認めたら、ラフプレーがエスカレートするのは必定だものね。てか、手前が投手なら独断で初球からアタマにぶつけるよ。

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