前々から気になっていたものの、日本語化されていなかったことからスルーし続けてきたPCゲーム『Project Zomboid』 steamのセールで随分安くなっていたので、チラっとスペックを見てみたら、公式で日本語対応になっているというので早速開発。一日30分づつコツコツと進めてきた『アサシンクリード4』『ローマ2』の合間にちょろっとプレイしてみるかナ――くらいの期待値でやってみたら……これがまぁハマるハマる! 購入から11日経た現時点におけるプレイ時間は27時間。『Banished』以来のハマりっぷりです。
どんなゲームかといえば、「初代『シムピープル』風の見下ろし方オープンワールドで、ゾンビが徘徊する街や森、草原を舞台に、自在に操作できる自キャラを使ってサバイバルするゲーム」です。ゲーム及び映像作品のなかで最もテイストが近いのは、海外ドラマ『ウォーキング・デッド』。つまるところ、たった一人で『ウォーキング・デッド』の登場人物みたいに生き抜くゲームということ。
どこが面白いのか? といえば、「“地球最後の男”としてサバイバルするため、あらゆる方法を使った立ち回り方のみを追及できる」こと。つまり、反射神経とかマウスさばきとか、WASDキーをグリグリ動かすとかいう、アクション性にほとんど依存せず、純粋に立ち回り方――「どこで休息するか」「何を獲るか」「何を使うか」「どれを倒すか」「いつ動くか」……etcといったサバイバルにおける諸行動の選択と決断――を考えることに没頭できる点にあります。
スタート地点である自宅に引きこもっているままでは、いずれ冷蔵庫の食料がつき、水道、電気も止まり、飢え死にしてしまう。まずは食料を得るために隣家に侵入しようと思ったら、目の前にゾンビがいる。これを倒すためには武器が必要だから、まずは自宅の机やタンスを漁ったところペンが2本あったから、これでゾンビを突き殺すとペンが2本とも壊れてしまったので、新たな武器を探さなきゃならない。近くでゾンビの群れていない家を探し、そこに侵入。食料とフライパンをゲットしたので、フライパンでゾンビをたたき殺しながら付近を探索すること数日。壊れたフライパンからバールのようなものに武器を変えながらうろうろしていたら、突然、水道が止まってしまったので、明日以降は雨水を貯めて飲まなきゃならなくなったから、水がめをつくらなきゃならないんだけど、これを作るためには大工スキルがレベル2以上なくてはならない。大工スキルを上げるためには、何か大工仕事をしなきゃならないけど、そのためには少なくとも木板とクギ、ハンマーが必要であり、もっといえば斧やノコギリもあると捗る。で、こうした貴重な道具は、ホームセンターや農家の物置くらいにしかないけど、ホームセンターにはゾンビの大群がいるし、農家は一日歩き続けても着かないほど遠くにある。ゾンビの大群をさばくには、ショットガンや釘バットのような強力な武器が必要だし、農家に行くためにはテントセットや水、食料の備蓄が必要となる。これらのアイテムを揃えるために、また、ゾンビの群れをぬって家から家、店から店を探索しなければならず……。
という具合に、常にプレイヤーに行動を強いるゲームデザインになっていて、その行動の選択肢は極めて豊富であり、決断の結果は、プレイヤーのスキル(反射神経やマウス捌きなど)に関係なく即反映されるわけです。なので全体的にのんびりした雰囲気であるにも関わらず、そのゲーム展開は存外スピーディであり、アクション一発で大逆転できないことから、常に緊張感溢れるプレイとなるわけですよ。
ちなみに手前は、サバイバルモードに10数回挑戦したものの3日と生き残れなかったので、サンドボックスモードでゾンビだけを弱い設定にして、ぬるく遊んでいます。それでも時々油断したときにはゾンビに囲まれてしまい、ちょっと噛み付かれて「すわ、感染か!?」とgkbrしつつ包帯を巻き、鎮痛剤を飲んでいたら、幸いにして感染せずにすんで良かったね良かったね良かったね(最強ロボ・ダイオージャ©)という感じで、適度な緊張感を味わえているので、もうしばらく――恐らくPC版GTA5(すでに予約済み)の発売日まで――はハマっていそうな感じです。
同じようなサバイバル系のゲームでは、これもsteamのセールで安かった『The Long Dark』も購入。こっちはFPSでうまい具合にデフォルメされたセンスの良いグラフィック(暖かみのある炎の表現は本当に秀逸。焚き火の点火アニメは、この手のゲームのなかでも最良)は気に入ったものの、中級では狼が強すぎてプレイにならず、初級では温すぎてすぐ飽きてしまいという感じで、現時点ではペンディング中。
最後に一つ。シーズン2までいま一つ乗れなかった海外ドラマ『パーソン・オブ・インタレスト』。近隣基幹駅付近のTSUTAYAでレンタル半額セールをやっていたので、シーズン3全部を借りてみたら、これがまぁ良かった。とくにEp9。あの盛大な死亡フラグのばら撒きっぷりは良い。あそこまで死亡フラグに自覚的な脚本は初めて見た。二捻りくらいした回収の仕方も見事だったしね。
あと、エイミー・アッカーが本当に輝きまくっているのが素晴らしい。加藤夏希の上位互換という恵まれたルックスであるにも関わらず、これまでいま一つ作品に恵まれていなかったけど、ここにきて当たり役を得て、レギュラーに昇格して、出ずっぱりになっているのがね。ファンとしては本当に嬉しくてね。
ああいう幸薄顔の美人って、やられ役か病的なキャラ以外はとことん合わないものだけど、それにしたってルートという病的にも程があるブッ飛んだキャラに、エイミー・アッカーがあそこまでピッタリと合うとはねぇ。当初は天才ハッカーという設定から、典型的文系女子という側面のみを見てキャスティングしたのだろうけど、確かな演技力とはじけっぷりからどんどんポジションが大きくなっていって、仕舞いには二丁拳銃を撃ちまくるまでに進化するからね。常に怒り顔のサラ・シャヒの魅力が半減している分、エイミー・アッカーがドラマの美女枠の大半を持って行ってる感じがする。
ともあれ手前は、韓国は仏像を返還すべきであると思う。
2015年1月28日水曜日
月末が近くなってきたので、とりあえず更新
・Huluの1月配信ドラマで、最も面白かったのは『シェイムレス』。3年前にIMDBで見つけて以来、ウィリアム・H・メイシー、エイミー・ロッサム、ジョーン・キューザックという「何このオレ得なキャスト陣!」と注目していた番組でもあって、視聴前の期待値はMAX。
・で、Ep1視聴を終えても失望感ゼロ。徹夜してシーズンを通して見終えても満足度MAX。大きな期待を一切裏切らず、それ以上に面白かった。とはいえ視聴開始10分後には、女優陣のキャストについて一言二言いいたくなった。実際、フィオナはとても21歳に見えないし、カレンだって未成年には見えないし。でも、視聴を続けているうちに、「ドラマで描かれるような荒んだホワイトトラッシュの生活を続けていれば、こういう感じでルックスも煤けてくるのかもナァ……」と、逆に妙なリアリティを感じるくらいのめりこんだので全然問題なし。
・『ハンニバル』は、キャスティングが完璧で、映像が綺麗で、金も十分にかかっていて、かつ面白い。けど、そもそも『羊たちの沈黙』やハンニバル・レクターにさして関心のない手前にとっては、「うん、新手の超人捜査モノだネ」という感想しか抱けなかった。といっても、最後まで見るつもりだけどね。
・Steamのホリデーセールで数多のゲームを買ったものの、今日までプレイしているのは『Total War : Rome2』(以下、ローマ2)と『Assassin's Creed IV Black Flag』(以下、アサクリ4)の二つ。ローマ2は、イケニ、ポントス、王族スキタイで一通り遊んだ後、ルシタニで地中海世界を制覇。その後、エジプトでプレイ中。戦車と象が使えて、最高レベルの騎兵と剣兵が強くて、射程の長い弓兵がいて、海軍のバリエーションも多いエジプトは、多分、ローマ2のなかで「プレイしていて一番楽しい国」だと思う。
・アサクリ4の内容は、一言で言うなら「カリブの海賊」。アクションゲームとしては、バットマンシリーズとほとんど変わらない印象。同シリーズの最大のウリであるパルクール――要するに忍者ハットリ君みたく屋根から屋根へと軽々動けること――にも、「いやぁ、バットマンでもっとかっこよく動かしてたからナァ」という感想しかなかった。ただ、グラフィックは本当に素晴らしい。で、ただひたすらパルクールで動きつつ剣や銃で暗殺するみたいなゲームだったら、始めて1時間で投げ出していたはず。でも、今日まで続けているのは、ひとえに「海戦が面白かったから」につきる。
・主観視点の『鋼鉄の咆哮』みたいな船舶シューティングで敵に砲撃を浴びせたり、衝角をぶつけたりしてダメージを負わせ、瀕死の状態になったところで船を横付けさせ、切り込み隊長として敵の船に乗り込み、エロール・フリンばりのチャンバラをするという、海賊ごっこの面白いところだけを抽出したような海戦が実に楽しい。正直、帆船の操作については、「ホーンブロワーを20回以上読んだ手前にとっては、リアリティのクソもない噴飯モノの出来」ではあるんだけど……。でもまぁ、直感的に動かせるし、それなりに風や波の影響が感じられるし、何より水夫がちゃんと酔っ払った風な感じで歌を歌うからね。雰囲気だけは最高だからね。文句を言ったらバチが当たるわね。
・本当は月初に観た『ゴーン・ガール』について色々と書くつもりだったんだけど、6000字近く書いたところで、まとめるのが面倒くさくなりそのまま放置。でもね、ここ10年近くに作られた映画のなかでは、間違いなく屈指の一本ですよ。実際、観終わった瞬間に「あっ、オレはいま、歴史的名作を観た!」と確信したくらいだもの。
ともあれ手前は、韓国は仏像を返還すべきであると思う。
・で、Ep1視聴を終えても失望感ゼロ。徹夜してシーズンを通して見終えても満足度MAX。大きな期待を一切裏切らず、それ以上に面白かった。とはいえ視聴開始10分後には、女優陣のキャストについて一言二言いいたくなった。実際、フィオナはとても21歳に見えないし、カレンだって未成年には見えないし。でも、視聴を続けているうちに、「ドラマで描かれるような荒んだホワイトトラッシュの生活を続けていれば、こういう感じでルックスも煤けてくるのかもナァ……」と、逆に妙なリアリティを感じるくらいのめりこんだので全然問題なし。
・『ハンニバル』は、キャスティングが完璧で、映像が綺麗で、金も十分にかかっていて、かつ面白い。けど、そもそも『羊たちの沈黙』やハンニバル・レクターにさして関心のない手前にとっては、「うん、新手の超人捜査モノだネ」という感想しか抱けなかった。といっても、最後まで見るつもりだけどね。
・Steamのホリデーセールで数多のゲームを買ったものの、今日までプレイしているのは『Total War : Rome2』(以下、ローマ2)と『Assassin's Creed IV Black Flag』(以下、アサクリ4)の二つ。ローマ2は、イケニ、ポントス、王族スキタイで一通り遊んだ後、ルシタニで地中海世界を制覇。その後、エジプトでプレイ中。戦車と象が使えて、最高レベルの騎兵と剣兵が強くて、射程の長い弓兵がいて、海軍のバリエーションも多いエジプトは、多分、ローマ2のなかで「プレイしていて一番楽しい国」だと思う。
・アサクリ4の内容は、一言で言うなら「カリブの海賊」。アクションゲームとしては、バットマンシリーズとほとんど変わらない印象。同シリーズの最大のウリであるパルクール――要するに忍者ハットリ君みたく屋根から屋根へと軽々動けること――にも、「いやぁ、バットマンでもっとかっこよく動かしてたからナァ」という感想しかなかった。ただ、グラフィックは本当に素晴らしい。で、ただひたすらパルクールで動きつつ剣や銃で暗殺するみたいなゲームだったら、始めて1時間で投げ出していたはず。でも、今日まで続けているのは、ひとえに「海戦が面白かったから」につきる。
・主観視点の『鋼鉄の咆哮』みたいな船舶シューティングで敵に砲撃を浴びせたり、衝角をぶつけたりしてダメージを負わせ、瀕死の状態になったところで船を横付けさせ、切り込み隊長として敵の船に乗り込み、エロール・フリンばりのチャンバラをするという、海賊ごっこの面白いところだけを抽出したような海戦が実に楽しい。正直、帆船の操作については、「ホーンブロワーを20回以上読んだ手前にとっては、リアリティのクソもない噴飯モノの出来」ではあるんだけど……。でもまぁ、直感的に動かせるし、それなりに風や波の影響が感じられるし、何より水夫がちゃんと酔っ払った風な感じで歌を歌うからね。雰囲気だけは最高だからね。文句を言ったらバチが当たるわね。
・本当は月初に観た『ゴーン・ガール』について色々と書くつもりだったんだけど、6000字近く書いたところで、まとめるのが面倒くさくなりそのまま放置。でもね、ここ10年近くに作られた映画のなかでは、間違いなく屈指の一本ですよ。実際、観終わった瞬間に「あっ、オレはいま、歴史的名作を観た!」と確信したくらいだもの。
ともあれ手前は、韓国は仏像を返還すべきであると思う。
2014年12月26日金曜日
今年観た海外ドラマの短評
観たけど覚えていないものも多数あり。『ホームランド』とか『リベンジ』とかね。
・Arrow(S2):△。シーズン1より面白い。「実はあいつが生きていて~」みたいな展開については、放送局がCWなんだからしょうがない。リアリティレベルは高いように見えて、随分低めなので、肩肘はらずに見ていられる。大筋はシーズン1とほぼ同じで、要するに「バットマン・ビギンズ」を22~24epに渡って展開しているだけ。サラ(=ブラック・キャナリー)役のケイティ・ロッツは、ケツあご以外は文句なし。何より良く鍛えられたボディと、切れのあるアクションが良い。『マッドメン』で「野暮ったいカルフォルニアガール」を演じていたとは思えない。番組クラッシャーで有名なサマー・グローたんが結構出ずっぱりであったにも係わらず、シーズン3まで継続できたということは、それだけ番組に魅力があったからなのかも。
・私はラブリーガル(S4):×。シーズン3までは本当に面白かったんだけど……。シーズン全体の構成だけでなく、各話の法廷ドラマの出来も目に見えて質が落ちたような気がする。あと、これまではジェーンのハナシと対になるように、ステイシーのハナシが展開されていたものだけど、S4ではステイシーのハナシが随分減ってしまったのがねぇ。ステイシーファンとしては残念の極み。
・アウトランダー:○。8話まで視聴。原作も邦訳されたものは全て読んだけど、ドラマの方が面白さ、深みとも格段に上。S1E1の展開が結構ちんたらしているので、昨今流行のサッサとタイムトラベルするタイプのハナシに慣れた人には厳しいかも知れないけど、演者の魅力でグイグイ引っ張られる。ep2からはタイムトラベルモノの魅力がフルに発揮され、最高に面白くなってくる。原作に忠実なストレートなエロシーンが多いのも特徴的。
・アンダーザドーム:×。S1E2の途中まで視聴して脱落。ここまで見て、「あぁ、いつものキングね。ようするに『ザ・スタンド』とか『ミスト』みたいな展開になるのね」と早合点して自主的に視聴終了。聞くところによると『LOST』っぽいらしいけど、そもそも『LOST』みたいな「謎ありきのドラマ」が苦手中の苦手なので、どっちみち見続けても時間の無駄になるだろうと納得。
・Dr.WHO:◎。S4のクリスマススペシャルを視聴。S5からS7まで視聴して、ようやくマット・スミスに慣れたと思ったのに、いざ、デヴィッド・テナントを見ると、最初の1分で全部持っていかれた。もうね、彼は終身名誉ドクターでいいと思うの。
・ブレイキングバッド(S1~S5):◎。アメリカ文化の基礎教養レベルの作品。脚本、配役、演技。どれをとっても隙がない。面白さは文字通り破格。誰が見ても楽しめることは必定。これを見るためだけにHuluに加入してもいい。
・ハリーズ・ロー:△。S1E3まで視聴して中断。キャシー・ベイツはいいし、ブリタニー・スノウもかわいいんだけど、それ以上にコレといった魅力が感じられず。
・パンナム:×。S1E1で脱落。美術と衣装、CGは大したものだけど、肝心の脚本がダメ。ハナシの焦点が絞りきれていなくて実に散漫。女の一代記を見せたいのか、スパイ危機一髪を見せたいのか、ハイソなヤンエグの華麗な恋愛事情を見せたいのか。全部盛り込もうとして中途半端な出来になっている。
・グリム:×。S1E3で脱落。グリム童話をモチーフとした『量産型スーパーナチュラル』 ラスト近くに、あのエリザベス・マスラントニオ――トニー・モンタナの妹を皮切りに、90年代前半までハリウッド大作のヒロインをたびたび張っていた名女優――が出てくるというので、最後まで我慢して見ようと思ったんだけどねぇ。『スーパーナチュラル』でさえ、S1最後まで持たずに脱落した手前には厳しかった。
・ロストガール:△。S1E3で中断。こっちは女の子2人組による『量産型スーパーナチュラル』。主人公がサキュバスで、『スペースバンパイア』みたいな特技を持っているところが面白いし、サブの子もカワイイから見続けたいんだけど、それ以上の魅力がないところがなぁ。
・メジャークライムズ(S1):○。主人公がドニー・ダーコの母ちゃん(あるいは地球連邦大統領)になっても、面白さは相変わらず。手前的にはフリンとプロペンザの二人が元気でいれば、それで満足。脚本の完成度はいつもどおりハイレベル。良くも悪くも安定した面白さ。
・デクスター(S8):△。S5以降では一番面白くなかったかも。ラスボスが小物なのは仕方がないとしても、ハンナとの復縁とかデボラとの関係修復とかがね、ハナシの展開にあわせて無理矢理こじつけられた感がありありと感じられしまってね。ちなみにデクスターについての手前の評価は、「完成度ならS1。面白さならS2。でも一番好きなのはS3」という感じ。
・チャック(S5):△。ep1は面白かったけど、それ以降は尻すぼみ。これまで意図的に伏せられていたこと(サラの母親など)も全部開陳しつつ、広げっぱなしだった風呂敷をある程度畳むことに成功しているけど、展開が異常に早いので、脚本のアラが目立つ目立つ。フルシーズンでやっていれば大分印象が違ったんだろうけど……。終わり方については、まぁ、アレでいいんじゃないかと。
・ホワイトカラー(S4):○。いつかつまらなくなる! と思いながら見続けているものの、全然つまらなくならなかった。全シーズン、一定して面白い。アレックスが劣化したことと、番組内での扱いがぞんざいなことにナミダしたけど、それ以外にこれといった不満はなし。
・リゾーリ&アイルズ(S1~S3):△。刑事モノとしても家族モノとしても中途半端な出来なドラマだけど、タイトルになっている2人のキャラ造形があまりにも良くて、それだけで持っているドラマ。あと、オープニングについては、ここで取り上げた全てのドラマの中で一番かっこいい。
・スーツ(S1~S2):○。S1E1の出来が存外良かったので、その貯金で見続けているうちに段々とハマっていった。ヒロイン役は『フリンジ』に出ていたときとは打って変わって美人に撮られている。メイクと服装でここまで変わるのだね。
・アルファズ(S1):△。S1まで見て中断。S2はDVDをレンタルすれば見られるけど、お金を出してまで見る価値はないと判断。内容は劣化版『HEROS』。
・コバート・アフェア(S3):×。ジェイとお姉ちゃんの退場で、ハナシが一気に薄っぺらくなった。元々OLに毛の生えたようなアニーが、銃声に怯えながら書類を獲ったり獲られたりするような一風変わったスパイモノ――というのがウリだったのに、S2で戦闘訓練をして以降、良くあるアクションモノになっちゃったのがなぁ。
・パーソンオブインタレスト(S1~S2):△。S1E1は最高に面白かった。けど、以降はこれ以上に面白くはならず。S2はS1よりハナシがつまらないものの、エイミー・アッカー(加藤夏希の上位互換)、サラ・シャヒ(とにかくイイ女)という、手前の好きな二大TV女優が出てきたので、彼女たち見たさに視聴を続けた。
・ハウスオブカーズ(S2):◎。文句をつけるところは一つもなし。ドロドロした権謀術数が好きな人なら見ないと損。一言でいうなら“21世紀のアメリカ版夫婦坂”だけど、妻は耐える女では全然なくて、夫以上に野心があり智謀に長け執念深いという女傑。これを演じきるロビン・ライト(フォレスト・ガンプのヒロイン。そう、あの清楚系クソビッチ!)が本当に素晴らしい。
・エレメンタリー(S1):△。S1E8で脱落。ホームズ、ワトソンの配役、演技に文句をつけるところはゼロ。てか、BBCの現代風リメイクより好きだったりする。この辺はさすがにハリウッド俳優なんだけど、ここまでのところでは、お話自体に大きな魅力が感じられず。何というか、よくある刑事モノとあんまり変わらない感じがしてね。
ともあれ手前は、韓国は仏像を返還すべきであると思う。
・Arrow(S2):△。シーズン1より面白い。「実はあいつが生きていて~」みたいな展開については、放送局がCWなんだからしょうがない。リアリティレベルは高いように見えて、随分低めなので、肩肘はらずに見ていられる。大筋はシーズン1とほぼ同じで、要するに「バットマン・ビギンズ」を22~24epに渡って展開しているだけ。サラ(=ブラック・キャナリー)役のケイティ・ロッツは、ケツあご以外は文句なし。何より良く鍛えられたボディと、切れのあるアクションが良い。『マッドメン』で「野暮ったいカルフォルニアガール」を演じていたとは思えない。番組クラッシャーで有名なサマー・グローたんが結構出ずっぱりであったにも係わらず、シーズン3まで継続できたということは、それだけ番組に魅力があったからなのかも。
・私はラブリーガル(S4):×。シーズン3までは本当に面白かったんだけど……。シーズン全体の構成だけでなく、各話の法廷ドラマの出来も目に見えて質が落ちたような気がする。あと、これまではジェーンのハナシと対になるように、ステイシーのハナシが展開されていたものだけど、S4ではステイシーのハナシが随分減ってしまったのがねぇ。ステイシーファンとしては残念の極み。
・アウトランダー:○。8話まで視聴。原作も邦訳されたものは全て読んだけど、ドラマの方が面白さ、深みとも格段に上。S1E1の展開が結構ちんたらしているので、昨今流行のサッサとタイムトラベルするタイプのハナシに慣れた人には厳しいかも知れないけど、演者の魅力でグイグイ引っ張られる。ep2からはタイムトラベルモノの魅力がフルに発揮され、最高に面白くなってくる。原作に忠実なストレートなエロシーンが多いのも特徴的。
・アンダーザドーム:×。S1E2の途中まで視聴して脱落。ここまで見て、「あぁ、いつものキングね。ようするに『ザ・スタンド』とか『ミスト』みたいな展開になるのね」と早合点して自主的に視聴終了。聞くところによると『LOST』っぽいらしいけど、そもそも『LOST』みたいな「謎ありきのドラマ」が苦手中の苦手なので、どっちみち見続けても時間の無駄になるだろうと納得。
・Dr.WHO:◎。S4のクリスマススペシャルを視聴。S5からS7まで視聴して、ようやくマット・スミスに慣れたと思ったのに、いざ、デヴィッド・テナントを見ると、最初の1分で全部持っていかれた。もうね、彼は終身名誉ドクターでいいと思うの。
・ブレイキングバッド(S1~S5):◎。アメリカ文化の基礎教養レベルの作品。脚本、配役、演技。どれをとっても隙がない。面白さは文字通り破格。誰が見ても楽しめることは必定。これを見るためだけにHuluに加入してもいい。
・ハリーズ・ロー:△。S1E3まで視聴して中断。キャシー・ベイツはいいし、ブリタニー・スノウもかわいいんだけど、それ以上にコレといった魅力が感じられず。
・パンナム:×。S1E1で脱落。美術と衣装、CGは大したものだけど、肝心の脚本がダメ。ハナシの焦点が絞りきれていなくて実に散漫。女の一代記を見せたいのか、スパイ危機一髪を見せたいのか、ハイソなヤンエグの華麗な恋愛事情を見せたいのか。全部盛り込もうとして中途半端な出来になっている。
・グリム:×。S1E3で脱落。グリム童話をモチーフとした『量産型スーパーナチュラル』 ラスト近くに、あのエリザベス・マスラントニオ――トニー・モンタナの妹を皮切りに、90年代前半までハリウッド大作のヒロインをたびたび張っていた名女優――が出てくるというので、最後まで我慢して見ようと思ったんだけどねぇ。『スーパーナチュラル』でさえ、S1最後まで持たずに脱落した手前には厳しかった。
・ロストガール:△。S1E3で中断。こっちは女の子2人組による『量産型スーパーナチュラル』。主人公がサキュバスで、『スペースバンパイア』みたいな特技を持っているところが面白いし、サブの子もカワイイから見続けたいんだけど、それ以上の魅力がないところがなぁ。
・メジャークライムズ(S1):○。主人公がドニー・ダーコの母ちゃん(あるいは地球連邦大統領)になっても、面白さは相変わらず。手前的にはフリンとプロペンザの二人が元気でいれば、それで満足。脚本の完成度はいつもどおりハイレベル。良くも悪くも安定した面白さ。
・デクスター(S8):△。S5以降では一番面白くなかったかも。ラスボスが小物なのは仕方がないとしても、ハンナとの復縁とかデボラとの関係修復とかがね、ハナシの展開にあわせて無理矢理こじつけられた感がありありと感じられしまってね。ちなみにデクスターについての手前の評価は、「完成度ならS1。面白さならS2。でも一番好きなのはS3」という感じ。
・チャック(S5):△。ep1は面白かったけど、それ以降は尻すぼみ。これまで意図的に伏せられていたこと(サラの母親など)も全部開陳しつつ、広げっぱなしだった風呂敷をある程度畳むことに成功しているけど、展開が異常に早いので、脚本のアラが目立つ目立つ。フルシーズンでやっていれば大分印象が違ったんだろうけど……。終わり方については、まぁ、アレでいいんじゃないかと。
・ホワイトカラー(S4):○。いつかつまらなくなる! と思いながら見続けているものの、全然つまらなくならなかった。全シーズン、一定して面白い。アレックスが劣化したことと、番組内での扱いがぞんざいなことにナミダしたけど、それ以外にこれといった不満はなし。
・リゾーリ&アイルズ(S1~S3):△。刑事モノとしても家族モノとしても中途半端な出来なドラマだけど、タイトルになっている2人のキャラ造形があまりにも良くて、それだけで持っているドラマ。あと、オープニングについては、ここで取り上げた全てのドラマの中で一番かっこいい。
・スーツ(S1~S2):○。S1E1の出来が存外良かったので、その貯金で見続けているうちに段々とハマっていった。ヒロイン役は『フリンジ』に出ていたときとは打って変わって美人に撮られている。メイクと服装でここまで変わるのだね。
・アルファズ(S1):△。S1まで見て中断。S2はDVDをレンタルすれば見られるけど、お金を出してまで見る価値はないと判断。内容は劣化版『HEROS』。
・コバート・アフェア(S3):×。ジェイとお姉ちゃんの退場で、ハナシが一気に薄っぺらくなった。元々OLに毛の生えたようなアニーが、銃声に怯えながら書類を獲ったり獲られたりするような一風変わったスパイモノ――というのがウリだったのに、S2で戦闘訓練をして以降、良くあるアクションモノになっちゃったのがなぁ。
・パーソンオブインタレスト(S1~S2):△。S1E1は最高に面白かった。けど、以降はこれ以上に面白くはならず。S2はS1よりハナシがつまらないものの、エイミー・アッカー(加藤夏希の上位互換)、サラ・シャヒ(とにかくイイ女)という、手前の好きな二大TV女優が出てきたので、彼女たち見たさに視聴を続けた。
・ハウスオブカーズ(S2):◎。文句をつけるところは一つもなし。ドロドロした権謀術数が好きな人なら見ないと損。一言でいうなら“21世紀のアメリカ版夫婦坂”だけど、妻は耐える女では全然なくて、夫以上に野心があり智謀に長け執念深いという女傑。これを演じきるロビン・ライト(フォレスト・ガンプのヒロイン。そう、あの清楚系クソビッチ!)が本当に素晴らしい。
・エレメンタリー(S1):△。S1E8で脱落。ホームズ、ワトソンの配役、演技に文句をつけるところはゼロ。てか、BBCの現代風リメイクより好きだったりする。この辺はさすがにハリウッド俳優なんだけど、ここまでのところでは、お話自体に大きな魅力が感じられず。何というか、よくある刑事モノとあんまり変わらない感じがしてね。
ともあれ手前は、韓国は仏像を返還すべきであると思う。
2014年11月30日日曜日
「指揮官が悪いと部隊は全滅する」
――とは、プロ野球史上最多勝監督である鶴岡和人が、南海を退団するときに口にした言葉。この名言の価値、重さをズッシリと感じられるゲームが、中世村社会建設シミュレーション『Banished』ですよ。
11月初めにSteamにて半額セールだったので早速開発、日本語化MODを入れて遊び始めたわけなんですが……。チュートリアルをせずに「難易度ノーマル&小さい渓谷マップ」でチャレンジして30余回、連続で村を全滅させました(><)。
ゲーム開始時に4~5家族(20人弱)の人員と極僅かな食料、薪、服、道具と木材、石材、鉄材などの資源を持ってスタートするんですが、調子に乗って家を作ったりすると、人口が増えて薪、食料が足りなくなり全滅するし、猟師小屋ばかりを建てていると、不安定な食糧供給と薪不足により全滅するし、家、木こり小屋、薪切り小屋、漁師小屋などをバランスよく建てても、そこに働く人がいない&建物を建てすぎて資源不足に陥り薪がなくなり全滅……という感じで、簡単に全滅します。追放者の行く手に立ちはだかる大自然――舞台は開拓時代のアメリカだろうね。物々交換が基本でトウモロコシの種もあるってことは、少なくとも貨幣経済が成り立っていてトウモロコシのトの字もなかった中世ヨーロッパではないものね――は、本当に容赦ありません。
こんな感じで600人以上もの犠牲を払った結果、ようやくにして「ノーマルなら10回中10回は初年度の越冬を成功させられる」まで上達。ここまで腕を上げたことで、本格的な村の建設に着手すべく、「ノーマル&大きい山岳マップ」にて、Rorikstead――『Skyrim』で最も辺鄙な山村。馬泥棒のロキールと虐殺者エリクの出身地にして、赤のラグナルも滞在していたらしい隠れた名所――と名づけた地に桑を入れたわけです。
が、3~5年くらいは楽々と進められるものの、人口が100人近くになると、ちょっとした慢心及び環境の変化により、重いもよらぬ形で村が全滅するわけですよ(><)。
具体的に言うとですね……
・食料を多く備蓄すべく、6年ほど人口を増やさずに回していたら、熟練労働者が高齢化によりバタバタ死亡。
・労働力不足により一次産業に優先して労働者を配置し、二次産業を後回しにしていたら、道具不足により生産効率がガタ減り。
・結果、当年度の食料生産高が前年度比で30%減。薪の生産もカツカツだったため冬に餓死、凍死者が続出。
・学校を稼動停止にして、学生を無理矢理に猟師や漁師にするものの、非熟練労働者であるために思うように生産高が上がらない。
・その後も餓死者がコンスタントに増え続け、最後には人っ子一人いなくなる。
……みたいな感じですよ。このほかにも「ほんのちょっと家を作りすぎた結果、食料の生産が追いつかずに餓死者が発生。薬草小屋の熟練労働者を農家に回した結果、村人の健康度が下がり出生率が低下。少子高齢化が進んだ末に全滅」とか「移民を受け入れた結果、薪の備蓄が一切なくなり熟練労働者に凍死者が発生。これが食料生産に響き、数年後に村が壊滅」とか「竜巻により8人働いていた鉱山が壊滅。これにより鉄の生産がストップした結果、道具不足となり生産効率がガタ減りして、数年後に村が崩壊」とか。とにかく「安定軌道って何?」ってな感じでポンポンと全滅してしまいます。
とまぁ、このようにシビアなゲームなんですが、だからといって理不尽に難しかったりゲームバランスが悪かったりするわけじゃぁないんです。てか、システム、バランスともこの手のゲームのなかでは図抜けて素晴らしいんですね。人の配置とモノの生産、その結果起きることが、極めて論理的かつ厳密にマネジメントされているので、仮に村を全滅させたとしても、運やシステムのせいにすることなく、「村長である自分の采配が悪かったせいなのだなぁ」と100%納得できるわけですよ。
で、現在、Rorikstead建設(3日振り5回目)に邁進しているわけですが、20年目にしてようやく安定軌道に乗りつつあるようです。といっても、食糧生産高と消費量はギリギリで均衡していたり、近隣の森林を伐採しつくしたものの、ちょうど良い木こり小屋建設予定地が見つからなかったり、いつまでたっても交易商人が家畜を持ってこないので、中々良い服が作れなかったりと、潜在的な問題を抱え込んでいます。つまるところ死と隣り合わせの村ってこと。といっても、近代までは世界中どこでも餓死と凍死が身近にあったことを考えれば、いまのRoriksteadは“平時”ってことなんでしょう。日本語MODを使わず、Steamの実績解除を目指したこの村がどこまで発展できるのか? まぁ、仕事やHulu視聴の合間にちょくちょく進めていくつもりです。
追記:5~6年振りくらいに『Total War』シリーズを遊ぶ。Steamの“探索セール”で75%引きだったので、日本語化MODの導入が簡単であることを確認したうえで、『Total War:Rome2』を開発。前に遊んだのは『Medieval 2:Total War』だったんだけど、AIがあまりにもバカ――目の前で包囲機動をとられているのに全然動かないのね。まるで名乗りを上げているゴレンジャーに手出しをしない黒十字軍の面々くらいに無能――で、CPUが操作する教皇庁がムスリムと同盟を結んだことを確認した時点で、ソッ閉じ&ソフマップに販売したものです。翻って今作はAIがそこそこ賢く、映像も抜群にキレイで、「これはキャンペーンを完走してみなくては」という意欲を沸かせるくらいの出来にはなっています。実際にやってみたら、戦場で同数の相手に粉砕されたり、内政に時間をかけて磐石な体制を築いたと思ったら、隣国が2~3州を制覇していて太刀打ちできなくなっていたりと、久しぶりのプレイに四苦八苦。こんな感じで「やられながらコツを覚えるとき」ってのが、シミュレーションゲームをやっていて一番面白いときだからね。
11月初めにSteamにて半額セールだったので早速開発、日本語化MODを入れて遊び始めたわけなんですが……。チュートリアルをせずに「難易度ノーマル&小さい渓谷マップ」でチャレンジして30余回、連続で村を全滅させました(><)。
ゲーム開始時に4~5家族(20人弱)の人員と極僅かな食料、薪、服、道具と木材、石材、鉄材などの資源を持ってスタートするんですが、調子に乗って家を作ったりすると、人口が増えて薪、食料が足りなくなり全滅するし、猟師小屋ばかりを建てていると、不安定な食糧供給と薪不足により全滅するし、家、木こり小屋、薪切り小屋、漁師小屋などをバランスよく建てても、そこに働く人がいない&建物を建てすぎて資源不足に陥り薪がなくなり全滅……という感じで、簡単に全滅します。追放者の行く手に立ちはだかる大自然――舞台は開拓時代のアメリカだろうね。物々交換が基本でトウモロコシの種もあるってことは、少なくとも貨幣経済が成り立っていてトウモロコシのトの字もなかった中世ヨーロッパではないものね――は、本当に容赦ありません。
こんな感じで600人以上もの犠牲を払った結果、ようやくにして「ノーマルなら10回中10回は初年度の越冬を成功させられる」まで上達。ここまで腕を上げたことで、本格的な村の建設に着手すべく、「ノーマル&大きい山岳マップ」にて、Rorikstead――『Skyrim』で最も辺鄙な山村。馬泥棒のロキールと虐殺者エリクの出身地にして、赤のラグナルも滞在していたらしい隠れた名所――と名づけた地に桑を入れたわけです。
が、3~5年くらいは楽々と進められるものの、人口が100人近くになると、ちょっとした慢心及び環境の変化により、重いもよらぬ形で村が全滅するわけですよ(><)。
具体的に言うとですね……
・食料を多く備蓄すべく、6年ほど人口を増やさずに回していたら、熟練労働者が高齢化によりバタバタ死亡。
・労働力不足により一次産業に優先して労働者を配置し、二次産業を後回しにしていたら、道具不足により生産効率がガタ減り。
・結果、当年度の食料生産高が前年度比で30%減。薪の生産もカツカツだったため冬に餓死、凍死者が続出。
・学校を稼動停止にして、学生を無理矢理に猟師や漁師にするものの、非熟練労働者であるために思うように生産高が上がらない。
・その後も餓死者がコンスタントに増え続け、最後には人っ子一人いなくなる。
……みたいな感じですよ。このほかにも「ほんのちょっと家を作りすぎた結果、食料の生産が追いつかずに餓死者が発生。薬草小屋の熟練労働者を農家に回した結果、村人の健康度が下がり出生率が低下。少子高齢化が進んだ末に全滅」とか「移民を受け入れた結果、薪の備蓄が一切なくなり熟練労働者に凍死者が発生。これが食料生産に響き、数年後に村が壊滅」とか「竜巻により8人働いていた鉱山が壊滅。これにより鉄の生産がストップした結果、道具不足となり生産効率がガタ減りして、数年後に村が崩壊」とか。とにかく「安定軌道って何?」ってな感じでポンポンと全滅してしまいます。
とまぁ、このようにシビアなゲームなんですが、だからといって理不尽に難しかったりゲームバランスが悪かったりするわけじゃぁないんです。てか、システム、バランスともこの手のゲームのなかでは図抜けて素晴らしいんですね。人の配置とモノの生産、その結果起きることが、極めて論理的かつ厳密にマネジメントされているので、仮に村を全滅させたとしても、運やシステムのせいにすることなく、「村長である自分の采配が悪かったせいなのだなぁ」と100%納得できるわけですよ。
で、現在、Rorikstead建設(3日振り5回目)に邁進しているわけですが、20年目にしてようやく安定軌道に乗りつつあるようです。といっても、食糧生産高と消費量はギリギリで均衡していたり、近隣の森林を伐採しつくしたものの、ちょうど良い木こり小屋建設予定地が見つからなかったり、いつまでたっても交易商人が家畜を持ってこないので、中々良い服が作れなかったりと、潜在的な問題を抱え込んでいます。つまるところ死と隣り合わせの村ってこと。といっても、近代までは世界中どこでも餓死と凍死が身近にあったことを考えれば、いまのRoriksteadは“平時”ってことなんでしょう。日本語MODを使わず、Steamの実績解除を目指したこの村がどこまで発展できるのか? まぁ、仕事やHulu視聴の合間にちょくちょく進めていくつもりです。
追記:5~6年振りくらいに『Total War』シリーズを遊ぶ。Steamの“探索セール”で75%引きだったので、日本語化MODの導入が簡単であることを確認したうえで、『Total War:Rome2』を開発。前に遊んだのは『Medieval 2:Total War』だったんだけど、AIがあまりにもバカ――目の前で包囲機動をとられているのに全然動かないのね。まるで名乗りを上げているゴレンジャーに手出しをしない黒十字軍の面々くらいに無能――で、CPUが操作する教皇庁がムスリムと同盟を結んだことを確認した時点で、ソッ閉じ&ソフマップに販売したものです。翻って今作はAIがそこそこ賢く、映像も抜群にキレイで、「これはキャンペーンを完走してみなくては」という意欲を沸かせるくらいの出来にはなっています。実際にやってみたら、戦場で同数の相手に粉砕されたり、内政に時間をかけて磐石な体制を築いたと思ったら、隣国が2~3州を制覇していて太刀打ちできなくなっていたりと、久しぶりのプレイに四苦八苦。こんな感じで「やられながらコツを覚えるとき」ってのが、シミュレーションゲームをやっていて一番面白いときだからね。
2014年10月9日木曜日
私家版・兵頭二十八の読み方:その28
「史上の人物が実際に考えていたことを忖度し、これを肉声化できる」 これが歴史研究家としての兵頭二十八師の“強み”なのだ――
といっても、こうした類の“強み”を持つ人々は、実の所少なからず存在します。代表的な例を挙げるなら、小説家上がりの歴史研究家でしょう。なかでも松本清張や井沢元彦氏は、その双璧といってもいい存在です。
松本清張は言わずと知れた社会派推理小説の大家にして、『昭和史発掘』『古代史疑』といったノンフィクションの歴史本を書いています。一方、井沢元彦氏は、週刊ポストで長く連載している『逆説の日本史』の著者です。いまでこそ歴史本しか書かない作家として名が通っていますが、かつては江戸川乱歩賞作家として、数多くのミステリ、歴史小説を書いていました。
こういった歴史好事家の魅力は、なんといっても「想像の飛躍による通説の打破」にあります。一例を挙げるなら、井沢氏による「天智天皇と天武天皇の非兄弟説」を下にした壬申の乱の新解釈でしょう。日本書紀を基に練られた通説を「資料至上主義」と一蹴したうえで、日本書紀成立の背景(=天武天皇による御用史書)という視点から、生没年の明らかでない天武天皇が、実は天智天皇の異母兄であったと論証。そのうえで、本来、天皇になれるはずのなかった賤しい血筋の天武天皇が、大友皇子から天皇の位を簒奪した経緯を糊塗するために、史書を編んだ――というハナシを展開している『逆説の日本史 古代怨霊編――聖徳太子の称号の謎』は、20年前、若かりし手前も大興奮しながら読んだものです。
しかし、こんな感じで歴史のエピソードを面白くまとめられる一流小説家の想像力と筆力というのは、歴史研究という点においては、短所ともなります。
基本的な歴史教育を受けておらず、一次資料をしっかりと読み込まずに書くと、想像力が暴走して無駄に面白いハナシを書いてしまうわけです。結果、松本清張の『日本の黒い霧』みたいな陰謀論とか、井沢氏の信長神格化みたいな歴史修正主義っぽいハナシのように、一つの“おとぎ話”としてはベラボーに面白いものの、史実をベースとしたハナシや論文として見ると、極めて残念なモノにしかならなくなってしまうという……。
この点、軍師には隙がありません。まず、小説家上がりの歴史研究家と違う点は、一次資料をしっかり読み込んでいることです。
「え!? なんでそんなことが断言できるの?」
と思われるかもしれませんが、手前がここまで言い切るには、ちゃんとした理由があります。その理由とは、『日本の陸軍歩兵兵器』『日本海軍の爆弾』の著者であるということ。三八式歩兵銃の評価を180度転換させた古典的名著である『日本の陸軍歩兵兵器』と、特攻作戦の持つ一種の合理性を丁寧に論証した『日本海軍の爆弾』は、いずれも膨大な一次資料を丹念に読み込まなければ絶対に書きようのない本だからです。実際、すべての項目に細かなスペックが記載され、それまでの研究者が見逃していた事実を掘り起こしまくっているわけですよ。内容だって誤解を恐れずに言うなら、ほとんど「1.5次資料」みたいなものですからね。軍学者として、こういう実績をしっかり残してきているところは、小説家上がりの歴史研究家とは明らかに一線を画している点といえましょう。
加えて、軍学者を名乗る以前は劇画原作者として名を成すべく、せっせとシナリオを書いていたという経歴があります。
以下、『ヤーボー丼』の著者紹介より引用
「私がこういう評論を書くのを快く思わぬ人達もいるでしょう。しかし、私に評論を止めさせたくば、ナイフもテッポーも必要ないんです。講談社、小学館、集英社、秋田書店…etcといったところのマンガ雑誌の編集部に、『今週の巻頭の作品は何だ。あんなものはすぐに打ち切って、兵頭二十八の原作で何か新しい連載を始めろ! 作画家は○○○[←ここにその雑誌で一番絵のうまい作家の名前を入れる]だぞ、いいな』という内容の手紙を書きましょう。ひとりが1社につき100通ぐらいは出してください。その甲斐あって週間で16ページ、月刊で32ページ以上をコンスタントに貰えるようになったら、もうその日限りでこんなアルバイト、即止めますよ。ホントーです。あっ、そうだ、Vシネマの脚本もやりますので、ヨロシク!!」
このように茶化して書いていますが、劇画原作者or脚本家を目指して日々精進していたことや、M16を持った殺し屋が主人公の劇画原作とか、気象予報士が主人公の劇画で単行本にもなった『ヘクトパスカルズ』の原作をやっていたことは、古くからの兵頭ファンであれば誰もが知っていることです。
であるからこそ、膨大な一次資料から読み解いた史上の人物を、劇画原作の手法を応用することで一キャラクターとして捉えなおせる。そのうえで史書に書かれていない声なき声を代弁できるのではないか? というのが手前の考えです。
劇画原作者として修行した経験と、(少なくとも)大東亜戦争における帝国陸海軍について研究者以上の仕事を成し遂げたという実績――この2つのユニークな経歴があるからこそ、クラウゼヴィッツや孫氏(と注解者)、宮本武蔵といった史上の人物の肉声を再現できるのではないかと。
……って、今回のハナシは、今回発売された文庫とは全く関係のないモノになってしまいました。が、かねてからボンヤリと考えていたことを、ひとまずカタチにすることができた――というか、こういう本と関係のないハナシは、新刊の紹介では中々出来ませんからね――ので、個人的には大満足です。
ともあれ、今回文庫化された『日本人が知らない軍事学の常識』と、先に文庫化されている『日本国憲法廃棄論』の2冊を精読すれば、兵頭流軍学の半分くらいはマスターできるので、「これから兵頭流軍学を修めよう!」という立派な心意気を持った方は、是非、ポチってください。
ともあれ手前は、韓国は仏像を返還すべきであると思う。
といっても、こうした類の“強み”を持つ人々は、実の所少なからず存在します。代表的な例を挙げるなら、小説家上がりの歴史研究家でしょう。なかでも松本清張や井沢元彦氏は、その双璧といってもいい存在です。
松本清張は言わずと知れた社会派推理小説の大家にして、『昭和史発掘』『古代史疑』といったノンフィクションの歴史本を書いています。一方、井沢元彦氏は、週刊ポストで長く連載している『逆説の日本史』の著者です。いまでこそ歴史本しか書かない作家として名が通っていますが、かつては江戸川乱歩賞作家として、数多くのミステリ、歴史小説を書いていました。
こういった歴史好事家の魅力は、なんといっても「想像の飛躍による通説の打破」にあります。一例を挙げるなら、井沢氏による「天智天皇と天武天皇の非兄弟説」を下にした壬申の乱の新解釈でしょう。日本書紀を基に練られた通説を「資料至上主義」と一蹴したうえで、日本書紀成立の背景(=天武天皇による御用史書)という視点から、生没年の明らかでない天武天皇が、実は天智天皇の異母兄であったと論証。そのうえで、本来、天皇になれるはずのなかった賤しい血筋の天武天皇が、大友皇子から天皇の位を簒奪した経緯を糊塗するために、史書を編んだ――というハナシを展開している『逆説の日本史 古代怨霊編――聖徳太子の称号の謎』は、20年前、若かりし手前も大興奮しながら読んだものです。
しかし、こんな感じで歴史のエピソードを面白くまとめられる一流小説家の想像力と筆力というのは、歴史研究という点においては、短所ともなります。
基本的な歴史教育を受けておらず、一次資料をしっかりと読み込まずに書くと、想像力が暴走して無駄に面白いハナシを書いてしまうわけです。結果、松本清張の『日本の黒い霧』みたいな陰謀論とか、井沢氏の信長神格化みたいな歴史修正主義っぽいハナシのように、一つの“おとぎ話”としてはベラボーに面白いものの、史実をベースとしたハナシや論文として見ると、極めて残念なモノにしかならなくなってしまうという……。
この点、軍師には隙がありません。まず、小説家上がりの歴史研究家と違う点は、一次資料をしっかり読み込んでいることです。
「え!? なんでそんなことが断言できるの?」
と思われるかもしれませんが、手前がここまで言い切るには、ちゃんとした理由があります。その理由とは、『日本の陸軍歩兵兵器』『日本海軍の爆弾』の著者であるということ。三八式歩兵銃の評価を180度転換させた古典的名著である『日本の陸軍歩兵兵器』と、特攻作戦の持つ一種の合理性を丁寧に論証した『日本海軍の爆弾』は、いずれも膨大な一次資料を丹念に読み込まなければ絶対に書きようのない本だからです。実際、すべての項目に細かなスペックが記載され、それまでの研究者が見逃していた事実を掘り起こしまくっているわけですよ。内容だって誤解を恐れずに言うなら、ほとんど「1.5次資料」みたいなものですからね。軍学者として、こういう実績をしっかり残してきているところは、小説家上がりの歴史研究家とは明らかに一線を画している点といえましょう。
加えて、軍学者を名乗る以前は劇画原作者として名を成すべく、せっせとシナリオを書いていたという経歴があります。
以下、『ヤーボー丼』の著者紹介より引用
「私がこういう評論を書くのを快く思わぬ人達もいるでしょう。しかし、私に評論を止めさせたくば、ナイフもテッポーも必要ないんです。講談社、小学館、集英社、秋田書店…etcといったところのマンガ雑誌の編集部に、『今週の巻頭の作品は何だ。あんなものはすぐに打ち切って、兵頭二十八の原作で何か新しい連載を始めろ! 作画家は○○○[←ここにその雑誌で一番絵のうまい作家の名前を入れる]だぞ、いいな』という内容の手紙を書きましょう。ひとりが1社につき100通ぐらいは出してください。その甲斐あって週間で16ページ、月刊で32ページ以上をコンスタントに貰えるようになったら、もうその日限りでこんなアルバイト、即止めますよ。ホントーです。あっ、そうだ、Vシネマの脚本もやりますので、ヨロシク!!」
このように茶化して書いていますが、劇画原作者or脚本家を目指して日々精進していたことや、M16を持った殺し屋が主人公の劇画原作とか、気象予報士が主人公の劇画で単行本にもなった『ヘクトパスカルズ』の原作をやっていたことは、古くからの兵頭ファンであれば誰もが知っていることです。
であるからこそ、膨大な一次資料から読み解いた史上の人物を、劇画原作の手法を応用することで一キャラクターとして捉えなおせる。そのうえで史書に書かれていない声なき声を代弁できるのではないか? というのが手前の考えです。
劇画原作者として修行した経験と、(少なくとも)大東亜戦争における帝国陸海軍について研究者以上の仕事を成し遂げたという実績――この2つのユニークな経歴があるからこそ、クラウゼヴィッツや孫氏(と注解者)、宮本武蔵といった史上の人物の肉声を再現できるのではないかと。
……って、今回のハナシは、今回発売された文庫とは全く関係のないモノになってしまいました。が、かねてからボンヤリと考えていたことを、ひとまずカタチにすることができた――というか、こういう本と関係のないハナシは、新刊の紹介では中々出来ませんからね――ので、個人的には大満足です。
ともあれ、今回文庫化された『日本人が知らない軍事学の常識』と、先に文庫化されている『日本国憲法廃棄論』の2冊を精読すれば、兵頭流軍学の半分くらいはマスターできるので、「これから兵頭流軍学を修めよう!」という立派な心意気を持った方は、是非、ポチってください。
ともあれ手前は、韓国は仏像を返還すべきであると思う。
2014年10月8日水曜日
私家版・兵頭二十八の読み方:その27
兵頭二十八師の新刊文庫『日本人が知らない軍事学の常識』が発売されました。この本については、新刊発売時に上梓したエントリで全て書き尽くしているので、「どういう本なのか?」について知りたい方は、以下のエントリを参考にしてください。
・軍師にとって初めての軍学入門書『日本人が知らない軍事学の常識』
・私家版・兵頭二十八の読み方:その16
・私家版・兵頭二十八の読み方:その17
さて、今回の文庫化にあたっての目玉といえば、「付録 著者による旧著の解題」です。385頁から403頁までに取り上げられた著書は――
・大日本国防史――歴代天皇戦記
・新解 函館戦争――幕末箱館の海陸戦を一日ごとに再現する
・あたらしい武士道――軍学者の町人改造論
・陸軍戸山流で検証する 日本刀真剣斬り
・新訳・孫子――ポスト冷戦時代を勝ち抜く13篇の古典兵法
・予言・日支宗教戦争――自衛という倫理
・日本人のスポーツ戦略――各種競技におけるデカ/チビ問題
・名将言行録――大乱世を生き抜いた192人のサムライたち
・人物で読み解く「日本陸海軍」失敗の本質
・新訳・戦争論――隣の大国をどう斬り伏せるか
・東京裁判の謎を解く――極東国際軍事裁判の基礎知識
・比べてみりゃわかる第二次大戦の空軍戦力――600機の1/72模型による世界初の立体比較!
・精解・五輪書
・極東日本のサバイバル戦略
――の14冊。過去の著作についてあまり言及することのなかった兵頭師が、「オレはこういう意図でコレを書いたのだ」と、ガンガン語っているので、これはもうファン必読です。
で、今回の文庫について……と、書こうと思ったのですが、実のところ解題を読んでいて、かねてから考えていた「歴史研究家としての兵頭師の“強み”」について、改めて思うことがありました。というわけで文庫の紹介は過去のエントリにまかせ、今回は手前が考える兵頭師の“強み”について書いていこうと思います。
*念の為に言っておきますが、兵頭師の歴史研究家としての側面は、安全保障を軸にあらゆることに通じている軍学者としての一面に過ぎません。もっと砕けた言い方をするなら、「持ち芸の一つ」ということ。
以下、解題にある一文を引用します。
『一事が万事で、旧来の『五輪書』の解説書は、ほとんど冒涜的なまでに、武蔵の「肉声」の再現に失敗している』
『クラウゼヴィッツがジョミニを強く意識しながらその名をほとんど出していないため『戦争論』が後代の読者にとって難解となったように、また山本常朝が柳沢吉保の出世をいたく羨望しながら「赤穂浪士義挙」を聞いて『葉隠』を書いたという個人事情を察しないとわれわれにとって危険であるように、武蔵が強く意識しながらもわざと名を上げていないことの数々(その出世を最も羨まれた柳生家から、「大工の大名」だといえた中井大和守正清に至るまで)が、細かく注釈される必要があるのだ』(400頁)
そうこれ。歴史研究家としての兵頭師の“強み”は、「史上の人物が実際に考えていたことを忖度し、これを肉声化できる」ことにあるんですよ。
(つづく)
ともあれ手前は、韓国は仏像を返還すべきであると思う。
・軍師にとって初めての軍学入門書『日本人が知らない軍事学の常識』
・私家版・兵頭二十八の読み方:その16
・私家版・兵頭二十八の読み方:その17
さて、今回の文庫化にあたっての目玉といえば、「付録 著者による旧著の解題」です。385頁から403頁までに取り上げられた著書は――
・大日本国防史――歴代天皇戦記
・新解 函館戦争――幕末箱館の海陸戦を一日ごとに再現する
・あたらしい武士道――軍学者の町人改造論
・陸軍戸山流で検証する 日本刀真剣斬り
・新訳・孫子――ポスト冷戦時代を勝ち抜く13篇の古典兵法
・予言・日支宗教戦争――自衛という倫理
・日本人のスポーツ戦略――各種競技におけるデカ/チビ問題
・名将言行録――大乱世を生き抜いた192人のサムライたち
・人物で読み解く「日本陸海軍」失敗の本質
・新訳・戦争論――隣の大国をどう斬り伏せるか
・東京裁判の謎を解く――極東国際軍事裁判の基礎知識
・比べてみりゃわかる第二次大戦の空軍戦力――600機の1/72模型による世界初の立体比較!
・精解・五輪書
・極東日本のサバイバル戦略
――の14冊。過去の著作についてあまり言及することのなかった兵頭師が、「オレはこういう意図でコレを書いたのだ」と、ガンガン語っているので、これはもうファン必読です。
で、今回の文庫について……と、書こうと思ったのですが、実のところ解題を読んでいて、かねてから考えていた「歴史研究家としての兵頭師の“強み”」について、改めて思うことがありました。というわけで文庫の紹介は過去のエントリにまかせ、今回は手前が考える兵頭師の“強み”について書いていこうと思います。
*念の為に言っておきますが、兵頭師の歴史研究家としての側面は、安全保障を軸にあらゆることに通じている軍学者としての一面に過ぎません。もっと砕けた言い方をするなら、「持ち芸の一つ」ということ。
以下、解題にある一文を引用します。
『一事が万事で、旧来の『五輪書』の解説書は、ほとんど冒涜的なまでに、武蔵の「肉声」の再現に失敗している』
『クラウゼヴィッツがジョミニを強く意識しながらその名をほとんど出していないため『戦争論』が後代の読者にとって難解となったように、また山本常朝が柳沢吉保の出世をいたく羨望しながら「赤穂浪士義挙」を聞いて『葉隠』を書いたという個人事情を察しないとわれわれにとって危険であるように、武蔵が強く意識しながらもわざと名を上げていないことの数々(その出世を最も羨まれた柳生家から、「大工の大名」だといえた中井大和守正清に至るまで)が、細かく注釈される必要があるのだ』(400頁)
そうこれ。歴史研究家としての兵頭師の“強み”は、「史上の人物が実際に考えていたことを忖度し、これを肉声化できる」ことにあるんですよ。
(つづく)
ともあれ手前は、韓国は仏像を返還すべきであると思う。
2014年9月9日火曜日
今年観たドラマで一番のお気に入り『サン・オブ・アナーキー』を宣伝する
Huluのみの配信でDVDは海外版しかなく、かつDQN臭紛々なイメージボードにして、舞台が本邦とはまるで縁のないバイカー集団という、見る人を選び過ぎるほど選ぶドラマ『サン・オブ・アナーキー』(Sons of Anarchy。以下、SOA)。ググっても感想を書いているblogが1~2つくらいしかないほど不人気……というか、そもそも本邦において知名度が果てしなくゼロに近いドラマです(アメリカでは大人気でシーズン7まで製作決定)。
Huluについていえば、結構なヘビーユーザーであると自認している手前にして、↑のような先入観から、第1話を視聴するのに躊躇していたんですが、Huluでシーズン4を更新した際に何となくIMDBで出演者を見ていたら、ヒロインがマギー・シフ!!―― 『マッドメン』シーズン1でドンの浮気相手だったレイチェル・メンケンにして、女性の好みについて特殊な嗜好を持つ手前にとってどストライク(“秋の風物詩”の140km/hストレート以上にど真ん中)なルックスと空気感を持つ女優――であると知り、「これはヒロインを見るために視聴せにゃならん」(戸田奈津子風)と決心。即、マギーたんのヒロインっぷりを楽しむべく、布団と枕をイイ位置にセッティングして視聴したわけですよ。
で、見始めてみたら、これがもう本ッ当に素ン晴らしい。
食わず嫌いで見ていなかったことを恥じてしまうほど面白い。そりゃもちろん『ブレイキング・バッド』とか『ドクター・フー』みたいに、誰が観ても面白いドラマとは言いませんよ。でも、本邦において、このまま知名度ゼロで埋もれてしまうには、あまりにも勿体ないドラマだと思うので、以下、誰に頼まれたわけでもないけど宣伝します。
『SOA』とはどんなドラマなのか? シーズン4まで見終わった手前が定義づけるなら、「アメリカの西海岸を舞台とした、『仁義なき戦い・代理戦争』と『極道の女たち』を足して2で割ったような血みどろの群像劇」ってな感じになるでしょうか。
もう少し詳しく説明すると、『SOA』の舞台となるのは、カリフォルニア州にある架空の都市・チャーミングに本拠を置くバイカー集団『SOMCRO』(Sons of Anarchy Motorcycle Club, Redwood Original)です。バイカー集団とは、「革ジャンを着てハーレーに乗ってジャック・ダニエルズを回し飲みするようなアメリカ版珍走団」(=ヘルズ・エンジェルスみたいな集団)のこと。ただし、その実態はといえば、「ケンカといえば鉄パイプとチェーン」程度の珍走団みたいに大人しいものでは全然なくて、「ケンカといえばMP5とM4。あとC4も少々」という極めて物騒な暴力組織です。彼らのシノギは「銃の転売」。古くから懇意にしているIRA(アイルランド共和国軍)から武器を卸してもらい、これを黒人ギャングやチャイナマフィアに売りつけることで、日々の活動費を稼いでいます。
この『SOMCRO』の副総長を務めるのが主人公のジャックス。このジャックスを中心に、敵対組織や地元警察、ATF(アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局)、連邦検事補などとの対立という縦軸と、義理の父と母、恋人と息子、『SOMCRO』メンバーとの人間関係という横軸の綴れ織りで展開するストーリー……というのが、基本的なハナシの構造です。
で、どんなハナシなのかといえば、製作者が語っているように、基本構想は「バイカー集団×ハムレット」というもの。ただし、ハムレット色が濃厚なのはシーズン1までで、シーズン2以降は、そこから大きく逸脱した過激な群像劇になります。
さて、ここで本題。このドラマの何が素晴らしいのかっていえば、一にも二にも脚本の出来です。ハナシの整合性やキャラクター造形の一貫性、練りこまれたセリフといった基本的なことはもちろんのこと、抗争における戦術とか、大仕掛けの罠とか、脅迫の仕方とかがね、実に良く考えられていて、本当に頭の良い脚本なんだ。
具体的にいえば、イケメンでケンカも強い副総長・ジャックスの描き方。彼は作中において最も頭の切れるキャラクターで、ATFや敵対組織の罠を看破しつつ、カウンターの策を仕掛けるという、諸葛孔明レベルの知略の持ち主として描かれています。
そう、ここでは簡単に諸葛孔明レベルの知略って書いているけど、これって文字にするのは簡単だけど、実際にドラマの中でこういうキャラクター描くためには、「脚本家が諸葛孔明レベルの知略」 すなわち知力100の脚本家じゃなければ描けないものです。
もちろん知力100ではなくても諸葛孔明レベルの知略を描くことは不可能じゃぁありませんよ。例えば知力65くらいの作家、脚本家ならば、「主人公の知力は65だけど、相手の知力を25くらいにする」という形……すなわち、相手を底なしのバカに設定すれば、主人公が相対的に優秀に見え、ひいては諸葛孔明レベルの知略があるようにも見えるという描き方もあります。
↑の手法で典型的な作品といえば『銀河英雄伝説』です。主要登場人物の作戦なり戦略なりは、冷静に考えてみれば全然大したものじゃないんだけど、その作戦なり戦略に相手がまんまと引っかかった結果、「奇術師ヤン」という伝説が生まれ、銀河の歴史がまた1ページ捲られていくという。といっても田中芳樹先生くらいに、読者に一切疑問を抱かせなほど物語に引きずり込む類まれな筆力があれば、↑の手法も上手くハマるわけですが、それでも再読すれば、「やっぱ相手がバカすぎじゃね」と思ってしまうのは否めないわけで……。
この点、『SOA』では、ジャックスのライバルであるATF捜査官のストール、連邦検事補のポッター、NORDOのソベルらの知力が90~80くらいはありそうなキレ者で、底なしのバカなんかじゃぁ全然ないんですよ。そんなキレ者の繰り出す策なものだから、基本的に頭の悪いジャックス以外の面々――古株で経理も得意なボビー(知力80前後)や総長のクレイ(知力60前後)以外は、全員低学歴なDQN(知力30~20くらい)――は、まんまと策に乗せられてしまうわけです。
しかも彼らが仕掛けてくる策というのが、実に周到でえげつない。本気で“殺しに来る”んですね。他のドラマとは違って、主人公達は実に容赦なく追い込まれます。たとえて言うなら、シーズン毎に「デボラに正体がバレたデクスター」クラスの窮地に追い込まれるということ。
追い込み方も本当にえげつなくて、結果、他のドラマでは絶対に死にそうにないキャラがバンバン死んでいきます。こいつは死なないだろうと確信できる(=主人公補正が掛かっている)のはメインキャストの3人くらい。全くもって気が抜けない。
で、シーズン通して混乱した事態を収拾しながら、時に味方を騙したり利用したりしつつ、シーズンラストでキッチリ反撃するジャックスがカッコイイ! カッコイイ!! カッコイイ!!! 本気で“殺しに来る”策を上回るカウンターを繰り出し、かつ、容赦なく追い込まれた状況をひっくり返す。そんな大逆転を「主人公補正」や「ご都合主義」をなるべく使わず――シーズン2の偽札やシーズン4のCIAは、一応伏線っぽいのはあったけど「ご都合主義」だわね――に実現するんだから、見終わった後に感じるカタルシスも超特大ってことです。
あと、ヒロインのマギー・シフが……とか書いていったら、本当にキリがないので、ここで強引に打ち止め。最後にシーズン4まで通して見た中で、一番のお気に入りのシーンはS2E7終盤の「ジャックスvsストール」 ここは普通に鳥肌が立ちましたよ。セリフも完璧、演技も完璧。なにより最後に脅迫されるストールの演技が凄い。文字通り一世一代のレベル。でね、このストールってのがね、本当に憎たらしく造形された素ン晴らしい仇役でさ……って、ダメだね。本当にキリがないね。
本当に最後に一言付け加えるなら、「『SOA』を見るためだけに1000円払う」価値は間違いなくある! ってこと。これだけは、2011年以来、200本以上の海外ドラマを観ている手前が太鼓判を押します。
ともあれ手前は、韓国は仏像を返還すべきであると思う。
Huluについていえば、結構なヘビーユーザーであると自認している手前にして、↑のような先入観から、第1話を視聴するのに躊躇していたんですが、Huluでシーズン4を更新した際に何となくIMDBで出演者を見ていたら、ヒロインがマギー・シフ!!―― 『マッドメン』シーズン1でドンの浮気相手だったレイチェル・メンケンにして、女性の好みについて特殊な嗜好を持つ手前にとってどストライク(“秋の風物詩”の140km/hストレート以上にど真ん中)なルックスと空気感を持つ女優――であると知り、「これはヒロインを見るために視聴せにゃならん」(戸田奈津子風)と決心。即、マギーたんのヒロインっぷりを楽しむべく、布団と枕をイイ位置にセッティングして視聴したわけですよ。
で、見始めてみたら、これがもう本ッ当に素ン晴らしい。
食わず嫌いで見ていなかったことを恥じてしまうほど面白い。そりゃもちろん『ブレイキング・バッド』とか『ドクター・フー』みたいに、誰が観ても面白いドラマとは言いませんよ。でも、本邦において、このまま知名度ゼロで埋もれてしまうには、あまりにも勿体ないドラマだと思うので、以下、誰に頼まれたわけでもないけど宣伝します。
『SOA』とはどんなドラマなのか? シーズン4まで見終わった手前が定義づけるなら、「アメリカの西海岸を舞台とした、『仁義なき戦い・代理戦争』と『極道の女たち』を足して2で割ったような血みどろの群像劇」ってな感じになるでしょうか。
もう少し詳しく説明すると、『SOA』の舞台となるのは、カリフォルニア州にある架空の都市・チャーミングに本拠を置くバイカー集団『SOMCRO』(Sons of Anarchy Motorcycle Club, Redwood Original)です。バイカー集団とは、「革ジャンを着てハーレーに乗ってジャック・ダニエルズを回し飲みするようなアメリカ版珍走団」(=ヘルズ・エンジェルスみたいな集団)のこと。ただし、その実態はといえば、「ケンカといえば鉄パイプとチェーン」程度の珍走団みたいに大人しいものでは全然なくて、「ケンカといえばMP5とM4。あとC4も少々」という極めて物騒な暴力組織です。彼らのシノギは「銃の転売」。古くから懇意にしているIRA(アイルランド共和国軍)から武器を卸してもらい、これを黒人ギャングやチャイナマフィアに売りつけることで、日々の活動費を稼いでいます。
この『SOMCRO』の副総長を務めるのが主人公のジャックス。このジャックスを中心に、敵対組織や地元警察、ATF(アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局)、連邦検事補などとの対立という縦軸と、義理の父と母、恋人と息子、『SOMCRO』メンバーとの人間関係という横軸の綴れ織りで展開するストーリー……というのが、基本的なハナシの構造です。
で、どんなハナシなのかといえば、製作者が語っているように、基本構想は「バイカー集団×ハムレット」というもの。ただし、ハムレット色が濃厚なのはシーズン1までで、シーズン2以降は、そこから大きく逸脱した過激な群像劇になります。
さて、ここで本題。このドラマの何が素晴らしいのかっていえば、一にも二にも脚本の出来です。ハナシの整合性やキャラクター造形の一貫性、練りこまれたセリフといった基本的なことはもちろんのこと、抗争における戦術とか、大仕掛けの罠とか、脅迫の仕方とかがね、実に良く考えられていて、本当に頭の良い脚本なんだ。
具体的にいえば、イケメンでケンカも強い副総長・ジャックスの描き方。彼は作中において最も頭の切れるキャラクターで、ATFや敵対組織の罠を看破しつつ、カウンターの策を仕掛けるという、諸葛孔明レベルの知略の持ち主として描かれています。
そう、ここでは簡単に諸葛孔明レベルの知略って書いているけど、これって文字にするのは簡単だけど、実際にドラマの中でこういうキャラクター描くためには、「脚本家が諸葛孔明レベルの知略」 すなわち知力100の脚本家じゃなければ描けないものです。
もちろん知力100ではなくても諸葛孔明レベルの知略を描くことは不可能じゃぁありませんよ。例えば知力65くらいの作家、脚本家ならば、「主人公の知力は65だけど、相手の知力を25くらいにする」という形……すなわち、相手を底なしのバカに設定すれば、主人公が相対的に優秀に見え、ひいては諸葛孔明レベルの知略があるようにも見えるという描き方もあります。
↑の手法で典型的な作品といえば『銀河英雄伝説』です。主要登場人物の作戦なり戦略なりは、冷静に考えてみれば全然大したものじゃないんだけど、その作戦なり戦略に相手がまんまと引っかかった結果、「奇術師ヤン」という伝説が生まれ、銀河の歴史がまた1ページ捲られていくという。といっても田中芳樹先生くらいに、読者に一切疑問を抱かせなほど物語に引きずり込む類まれな筆力があれば、↑の手法も上手くハマるわけですが、それでも再読すれば、「やっぱ相手がバカすぎじゃね」と思ってしまうのは否めないわけで……。
この点、『SOA』では、ジャックスのライバルであるATF捜査官のストール、連邦検事補のポッター、NORDOのソベルらの知力が90~80くらいはありそうなキレ者で、底なしのバカなんかじゃぁ全然ないんですよ。そんなキレ者の繰り出す策なものだから、基本的に頭の悪いジャックス以外の面々――古株で経理も得意なボビー(知力80前後)や総長のクレイ(知力60前後)以外は、全員低学歴なDQN(知力30~20くらい)――は、まんまと策に乗せられてしまうわけです。
しかも彼らが仕掛けてくる策というのが、実に周到でえげつない。本気で“殺しに来る”んですね。他のドラマとは違って、主人公達は実に容赦なく追い込まれます。たとえて言うなら、シーズン毎に「デボラに正体がバレたデクスター」クラスの窮地に追い込まれるということ。
追い込み方も本当にえげつなくて、結果、他のドラマでは絶対に死にそうにないキャラがバンバン死んでいきます。こいつは死なないだろうと確信できる(=主人公補正が掛かっている)のはメインキャストの3人くらい。全くもって気が抜けない。
で、シーズン通して混乱した事態を収拾しながら、時に味方を騙したり利用したりしつつ、シーズンラストでキッチリ反撃するジャックスがカッコイイ! カッコイイ!! カッコイイ!!! 本気で“殺しに来る”策を上回るカウンターを繰り出し、かつ、容赦なく追い込まれた状況をひっくり返す。そんな大逆転を「主人公補正」や「ご都合主義」をなるべく使わず――シーズン2の偽札やシーズン4のCIAは、一応伏線っぽいのはあったけど「ご都合主義」だわね――に実現するんだから、見終わった後に感じるカタルシスも超特大ってことです。
あと、ヒロインのマギー・シフが……とか書いていったら、本当にキリがないので、ここで強引に打ち止め。最後にシーズン4まで通して見た中で、一番のお気に入りのシーンはS2E7終盤の「ジャックスvsストール」 ここは普通に鳥肌が立ちましたよ。セリフも完璧、演技も完璧。なにより最後に脅迫されるストールの演技が凄い。文字通り一世一代のレベル。でね、このストールってのがね、本当に憎たらしく造形された素ン晴らしい仇役でさ……って、ダメだね。本当にキリがないね。
本当に最後に一言付け加えるなら、「『SOA』を見るためだけに1000円払う」価値は間違いなくある! ってこと。これだけは、2011年以来、200本以上の海外ドラマを観ている手前が太鼓判を押します。
ともあれ手前は、韓国は仏像を返還すべきであると思う。
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